2016/05/09 - 2016/07/29
295位(同エリア443件中)
おくさん
歩く歩く歩く2016 北の道5
歩き14日目 Requejada - コブレセス
5月26日(木) 今朝は起きた時からメチャメチャ腰が痛くてアルベルゲの中でちょっと移動するのでもヒェーッと言う感じで大変。こんなんで今日歩けるのかなぁ?アルベルゲのテーブルで昨日買っておいたピーチジュースとチョコパン、ヨーグルトで朝飯にして7時50に出発する。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
- 交通手段
- 徒歩
- 航空会社
- カタール航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
30年以上の腰痛持ちなので家にはコルセットがあるが、勿論そんなものは持って来ていない。代わりにバックパックのベルトをギュギュギュッと締めてそろりそろりと歩き出してみる。しばらく歩くと痛みは引いてくるので少し安心した。これなら今日も歩き続けることが出来そうだ。舗装路をずーっと歩いて町外れにあった教会で休んでいたらオリベアも後からやってきて休み出した。少し長めに休んだ後、歩き出そうとしたらまた激痛が!!やっぱりダメじゃん。それでも朝と同じようにして歩き出すと徐々に痛みは引いてくるので、取りあえずこのパターンを繰り返すっきゃないのかな。
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ずっと歩いて日本の教科書にも載っているアルタミラ洞窟の近くまでやってきた。石器時代の洞窟に狩りや動物の絵が描かれている、誰でも知っているあのアルタミラの洞窟だが、巡礼路を外れて2km歩かなくてはならないので残念ながらパス。腰が痛いしそんな余裕はこれっぽっちもない。食べ物や宿を求めて2km歩くのは仕方ないとしても、観光のために2kmは歩きたくない。ここはアルタミラほか分岐点が集中してるので巡礼路が分からず少し迷うがGPSでコブレセス方面を見つけて歩き続ける。
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次の村にベンチがあったので靴を脱ぎジュースとチョコパンを食べながら大休止してから歩き出そうとしたら激痛で一歩も歩けない。今までで最高の痛みでギョギョギョだ。日本にいるときにもこの位の痛みは経験しているが、日本なら安静にして動かないのが一番と思っているのでそうするが、ここでは歩かないことには事態は1ミリも進展しないので歩かない訳にはいかない。こ、これどうしようと立ち止まったまま脂汗が出てくる。
出来ることと言ったらバックパックの腰ベルトをこれでもかと言うくらいギュッと締めて、歩幅を10cmずつにして、そろりそろりと歩くことしかできない。その状態で15分くらい歩き続けていると徐々に痛みは引いてくるので地獄に仏の気分だ(サンチャゴ巡礼だけど)。腰掛けるのが一番悪いようなので注意したいところだが、ずっと座らない訳には行かないのでどうしたもんじゃろう。取りあえずは行けるところまで行ってみよう。今はそれしか出来ないし。 -
そろそろアルベルゲがある村に近づいてきたなと思ってた道筋にスーパーマーケットがあったので、アルベルゲがここから遠くなければ買い物に来れるかなと思いながら横を通り過ぎる。案の定、そこを過ぎてから10分ほどで修道院併設のアルベルゲに到着する。直前にイタリア親父二人組と一緒になり、彼らが最初にこのアルベルゲを発見してくれた。私は建物を見ても教会の一部にしか見えなくてアルベルゲとは思わなかったので一人なら見落としたかも知れない。
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大きな平屋に入っていくと受付とかは特に見当たらないが、先着の寝袋がベッドにふたつ敷いてあるので自分達も気に入ったベッドに勝手にチェックインする。ここには平ベッドが幾つかあったので、当然平ベッドだ。
シャワー洗濯してから腰痛対策に薬局を探しに近くを探検するが見つからない。バス停にいた地元の人に聞いたらこの村にはないそうだ。今日のところは諦めるっきゃないので、なるべく痛くならないように気を付けているしかない。
シエスタでも開いているスーパーがたまにあるので、半分期待して来る時に見ていたスーパーに行ってみたが、期待は見事に外れて2軒ともシエスタやっていた。注意しながら歩けば痛みはないので、歩くのは大丈夫。座るとテキメン。 -
仕方ないので昼飯を求めてアルベルゲから一番近いバルに入っていく。先客のペレグリノ夫婦が定食を食べていたので、私も同じものを頼む。ビールと定食で8.9ユーロと安めだが内容もそれなりだった。後からフランス夫婦もやってきて同じものを注文していた。食事が済んで立ち上がる際にもフンッと息を止めて痛みを堪える必要がある。
アルベルゲに戻って日記を書いていたら、昨日、シャワーをバッティングしそうになったカタリナが到着してきた。チェックインは私もまだで、食事するなら近くのバルで8.9ユーロだったことと、スーパーはシエスタ中だったと伝える。 -
前にも一緒の宿になったドイツのオリベア(写真)もやってきたので、腰が痛いことを身振りで伝えたら良く効く塗り薬を持っているそうだ。スネーク何とかと言って、蛇から作ったクリームだそうだ。蛇が大の苦手の私には何か嫌な響きだが、この際そんなことは言ってられない。ワラをも掴む気持ちで早速塗ってもらったところ、カッカと熱くなり、これが嘘みたいに効いて痛みがなくなったので本当にビックリした。腰痛って、こんな効く薬があったんだ!今まで腰が痛くなるとシップ薬を貼って安静にするっきゃ方法がないと思っていたよ。薬局でこれが買いたいと言ったら、ドイツでしか売ってないそうだ。
オリベアは私より先を歩いていたのに後からやって来たので不思議に思っていたら、アルタミラの洞窟まで歩いて見物に行って来たそうで、とっても良かったと言っている。元気だなー。今の私は前に進むだけで精一杯だよ。 -
最後にアメリカのリンダが到着してきた。顔を真っ赤にしてるので、頑張って歩いてきたのが分かる。スーパーに行きたい私とオリベアとカタリナの三人でシエスタが終わった時間に買い物に行く。だが、予想した時間ではシエスタは終わってなかったので、時間潰しに隣のバルでビールコンファンタ(名前どおりビールをファンタで割ったもの)を三人で飲む。これはカタリナがおごってくれた。痛みは引いたと言っても、イスから立ち上がる時も最新の注意が必要だ。何が引き金になって痛みがぶり返すか分からない。
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色々買い込んでアルベルゲ前のテーブルで持ち寄りディナーにする。私は1リットルビールとチョコパンとトマト2個を提供したが、ビールは誰も飲まないと言うので一人でラッパ飲みする。このアルベルゲにはキッチンがないので食器がない。みんなはワインの方が好きなようだが、オリベアの買ってきたワインの栓を抜く道具がない。オリベアはコルク栓を瓶の中に落としてしまおうとしているが簡単にはいかなそうだ。随分と乱暴な方法だけど、ヨーロッパではワインオープナーが無い時はこうやるのかな。カタリナが修道院の草刈をしていた婦人に頼んだら簡単にワイン抜きを借りられたので一件落着。リンダも後から加わって、粗末ながら楽しいディナーとなった。はて、ワインは何で飲んだのか日記に書かれていないが、コップ位は手に入ったのかな?それとも自前のがあった?
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途中で修道院の夕の祈りにみんなで行ってみる。サルベレジナと言うのか、昔、函館のトラピストで同じのに与った時より数段落ちる歌声だったのでちょっと残念。がんばりま賞を上げよう。
食べ物を出しっぱなしにしていた外のテーブルにまた戻ってお喋りを続ける。カタリナとオりベアは英語を上手に喋るが、話の内容が込み入ってきて二人でドイツ語で相談しながらアメリカについてリンダに質問している。オバマがどうのと言っているので政治的な話らしかった。もちろん私はひとつも分からない。 -
テーブル隣に干してある洗濯物も全て乾いたので満足の一日だった。腰もオリベアのクリームのお陰で今のところ痛くないし。このまま再発しなくちゃいいが、明日はどうかな?
このアルベルゲは定員が30人だが、泊まっているのは10人ほどしかいない。みんな勿論平ベッドを選んでいる。平ベッド最高。明日は20キロ先のサンビンセンテを目指す。
歩き15日目 コブレセス - サンビンセンテ -
5月27日(金)コブレセス、修道院併設のアルベルゲの朝。夜中にトイレに起きる私はトイレ前のベッドが定位置だ。起き上がったベッドの上でボーっとしていたら、Tシャツに黒いパンツ姿のカタリナがニコニコと手を振りながら前を通ってトイレに行った。そのあとはリンダが同じ格好でニコニコしながら前を通過。みなさん自分を解き放っているね。
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アルベルゲを7時半に出発する。今日は曇り。歩き出して1時間ほどは腰が暖かいのを感じ、痛みもないので、昨日塗ってもらったスネーククリームがまだ効いているらしい。良く整備された公園みたいなところを巡礼路が続いていた。こんなところばっかりだと楽しいのにな。
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歩き続けてから由緒正しそうな邸宅が並ぶ道沿いにベンチがあったので、痛くなるかどうか試しに座ってオレンジを食べてから歩き出したらやっぱり痛いのでスネーククリームが切れてきたのが分かった。残念、ずっと効いているわけではなかった。昨日よりマシだが、クリームが切れてくるに従ってもっと痛くなるのは想像できるので、そうそうオリベアを当てに出来ないから自力で何とかしないとだ。
次の大き目の村コミージャスの中にあったファルマシア(薬局)の中に入っていって身振り手振りで腰が痛いことを伝える。「ジョ(私)ペレグリノ(巡礼者)モチーラ(バックパック)腰(を指さす)イタイイタイ」。ボルタレンというクリームを出してくれた。ボルタレンというのはサンチャゴ巡礼をネットで調べていたときに、靴擦れ防止のクリームを発売しているメーカーと覚えているが、スポーツ関係のメーカーでなくて薬品も扱っていたのか(これは勘違いだったと後で知る)。 -
軟膏1本が7ユーロちょっとなので決して安くはないが、これで腰痛が治れば安いものだ。しかし、腰痛の友達を何人か知っているが、痛くてたまらんときは医者に行ってブロック注射だとか整体に行くとか言っているのを聞いているので、ただのクリームが劇的に効くとは思えないのだがなぁ。でも、スネーククリームの例もあるし、アルベルゲに着いたらシャワーの後に塗ってみよう。一縷(いちる)の望みにかける。
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山の中を歩き続けて海沿いに出たところで大きな橋を渡ったらサンビンセンテの町に入ってきた。GPS頼りで町中をぐねぐねと歩き回り、坂の上のアルベルゲを探し当てる。ここも教会併設のアルベルゲらしく、上には立派な教会が建っていた。壁には大きな帆船のオブジェがあるので、航海と関係ある教会のようだ。
受付は4時と遅かった。現在まだ1時。3時間も待たなくてはならないが、ここを過ぎたら次にアルベルゲがあるのはPenduelesまでの29.6kmなので待つっきゃない。すぐペレグリノ親子らしき二人連れがやってきた。ザックは小さめだが「ペレグリノ?」と聞いたらそうだって。バルセロナからやってきたイサベル、マリナ母娘で、待ち時間が長いので一緒にスーパーへ買い物に行くことになった。
私はアルベルゲを探している途中にスーパーを見かけたが、この母娘は違うスーパーを目指しているようだ。まぁスペイン人なんだから任せておけばいいだろう。今日も1リットルビールにトマト、オレンジ、パン2袋、生ハム、チーズで7ユーロ台。アルベルゲから少し離れた草むらにポツンとあったベンチで、大河を見下ろしながら一人宴会を開く。これって印象派の絵みたいかな。(じゃないです) -
母娘と片言でお喋りしながらオープンを待っているとき、マリナがボルタレンの注意書きを読んでくれ、シャワーの後が効果的とか一日に3回塗るとか教えてくれる。ママは私が書いていた日記に興味があるらしく、と言うより日本語が珍しいのでスマホのカメラで写真を撮らせてくれと言ってきたので、はいどうぞ。
そうこうしていたら、オーストリアのカタリナが到着する。チェックインのあと、シャワーしてからカタリナとオランダ人がスーパーへ行きたいと言っているので案内しながら、またビールを買って来てアルベルゲのキッチンで夕飯にする。スネーククリームを塗ってくれたオリベアと先日のアルベルゲ満杯で泊まれなかった南米の女性、アメリカのリンダと数人の顔見知りも到着してきたので知り合いがいっぱいになった。 -
このアルベルゲの形態は珍しいものだった。どうも家族で運営しているらしく、年寄り夫婦もいるし幼児もいる。それに、家族が寝泊まりしているのもアルベルゲの中らしい。マリナが可愛い女の子の相手をしているので子ども好きのようだ。
肝心の腰痛の方はシャワーの後に塗ったボルタレンが嘘のよう効いて痛みが失せている。ホントか!?こんな効く薬がそこいらにある町の薬局で買えるんかスペイン!!これが本当にホントなら何十年も腰痛に苦しんだ日々がアホみたいに見える。スペインを離れる時にもう一本買って帰ろう。
リンダ達はプラスチックのバケツに入った野菜サラダを食べだしたので、野菜が取りずらい私もあぁ言うのを食べてみたいなぁと思った。どこで買うのだろう?スーパーに売っているんだろか。食べている所をつかまえて聞くのはエチケット違反なので後で探してみよう。これ以降、私はこのバケツ野菜の大得意に変身したのであった。
明日はPenduelesだと29.6kmだがどうするか。Colombresなら21kmで手ごろだが、そこにはアルベルゲ情報がない。毎日の宿泊場所は、距離よりもアルベルゲ次第。
歩き16日目 サンビンセンテ - Pendueles -
5月28日(土)アルベルゲで昨日買っておいた食料で朝飯にする。出発するとき、マリナ親子が今日のショートカットを教えてくれる。5kmくらい近道になるらしい。8時ころ一人で出発するが、運よくマリナ親子が出発した後だったので、着いて行くことができる。
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教わったショートカットの橋を渡ると泊まったアルベルゲと教会の全体が見渡せた。中々の威容だ。アルベルゲは教会のほんの一部だったことが良く分かる。
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暫くは山と湖の素晴らしい眺めが続く。英語とスペイン語を話すソロのお嬢さんが先頭で、この子は昨日のアルベルゲで英語とスペイン語の通訳が必要だったときに、私は話せるよと役割を買って出た子だ。歩くのが非常に早く見る見るうちに遠くに行ってしまった。
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二番手はマリナ親子で、この二人は私と同じスピードなのでペースメーカーに調度いい。ショートカットの道なのでいつもの矢印がないから一人歩きは不安だ。スペイン人が先を行くならこれ以上の道案内はないだろう。
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マリナは背中に鯉のぼりのような布をダラリと下げて歩いている姿がユーモラスだ。これは乾かない洗濯物のようだ。舞妓さんのだらりの帯と見えないこともないようなあるような。
今日は腰の調子がいいようだ。昨晩1回と今朝も出発する前に1回ボルタレンを塗ったのが効いているらしい。30年以上も時々腰痛に苦しんでいたのに、こんなありがたいクリームがあるなんてひとつも知らなかった。何で日本で大々的に売り出さないのだろう?政治的・経済的なカラクリでもあるのか?
2時間ほど歩いて巡礼路と合流する。マリナ親子は村の中で休みだしたので一人歩きとなる。でも歩く方向が同じで道も同じなので何度も一緒になったり離れたりを繰り返す。ブスチオの町の中にあった細長い公園にベンチがあったので、オレンジを食べていたらマリナ親子に加え、何日も顔を合わせている鬚ボーボーのフランス人が通り過ぎながら挨拶してくれる。ベンチの近くには水道とゴミ箱があるのを確認してたので、オレンジの皮もベタ付いた手も始末できる。こういう好都合のベンチがあちこちにあると有難いなぁ。 -
町を抜けたらすぐに山の稜線を歩く道になって、ソロのフランスおじさんとマリナ親子と付かず離れず歩いていくと、道端にマリア像を祀っている小さな祠があって、近所の爺さんが親子を捕まえて何やらありがたい話をしているようだ。聞いても意味が分からない私はその横を素通りする。
次の町の中を歩いていたら道端に何か紙切れが落ちていた!え、と思って拾い上げたら馴染みの5ユーロ札だったので嘘みたいだった。スペインで初めて金拾ったよ。裸の札なので、誰が落としたかなんて分かる筈もないのでありがたく頂いておく。ドナティーボのアルベルゲがあったら余計に入れてやろうかなと殊勝にも思ったりする。 -
ずっと歩き続けて小雨の中、Penduelesの村に入ったところで、1輪車の荷台にバックパックを積んだ顔見知りのオランダ人と一緒になる。アルベルゲはすぐ近くの筈だが、その前にバルで一息入れていたらしい。私はまずチェックインしたいのでアルベルゲ方向に行こうとすると、その人とバルの中にいたもう一人の小父さんが付いてきたので三人で急坂を下りていくと小さなアルベルゲはすぐあった。
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既に3人のフランス夫人たちが前の椅子に座ってオープンを待っていた。私の到着が2時で、オープンは2時半だった。すぐその後、ソロのおばさんペレグリノも到着。こんな淋しい、おまけに小雨が降っている山の中までよく女性一人でやってくるよなと思う。ソロで歩いている女性はみんな強靭なメンタルの持ち主だ。
チェックインした頃から本格的に雨が降り出したので、今頃歩いている巡礼は大変だなぁと思いを馳せる。4時半にマリナ親子がビショビショの濡れ鼠状態で到着してきた。気温が下がっているので凄く寒そうだ。日本語の並びのまま「カリエンテ(暖かい)ルチャ(シャワー)があるよ」と言ったら、スペイン語ではひっくり返して「ルチャ カリエンテ」と言うのだと教えてくれた。なるほど、日本語も英語もホットコーヒーのように形容するが、スペイン語はコーヒーホットとひっくり返した形容になるらしいと漠然と学習した。
濡れネズミでも冷えてても暖かいシャワーとベッドがあって泊まれるなら幸せだ。ここは14ベッドしかない小さなアルベルゲなので、やっと辿り着いた山のアルベルゲにベッドがなかったら可愛そうだ。どうか満床になりませんようにと願うばかりだ。
今日のマリナは私の上段ベッドに落ち着いて、ママは隣の上段ベッドなので話をするにも具合がよさそうだ。この親子に取って、今日のような苦労が伴うサンチャゴ巡礼を歩いたことは一生の思い出になるんだろうなぁと、何となく想像する。
このアルベルゲは夕食・朝食に加え、洗濯乾燥までしてくれてドナティーボだそうだ。雨の日に乾燥機が使えるのは特別ありがたい。世話をしてくれるオスピタレロがボランティアでなくちゃ経営が成り立たないだろう。ありがたいことです。偶然にも昼間ひろった5ユーロが思い出された!
夕飯前に坂の上にある村の雑貨屋から1リットルビールを買って来てキッチン兼談話室で飲む。1輪車のオランダ人が隣にいたのでコップに2杯飲ませて上げたら、あとからワインを買ってきて1杯飲ませてくれた。 -
ベッドで寝てしまっていたら誰かが夕飯だよと起こしてくれる。暗めの明かりの下で全員で長いテーブルを囲んでいただきますをする。米の入ったスープにマカロニ入りのサラダ、それにパンとワイン。デザートまであってカップヨーグルトを食べさせてもらった。作ってくれた二人の男性も同じテーブルで楽しい夕げとなる。素朴な料理だが無骨な男二人が作ってくれた食事は暖かく、寒い夜に心まで温かくになるように感じた。私が言うと「何ちゃって」だけど本当のことだ。
歩き17日目 Pendueles - Poo
5月29日(日)ドミンゴーッ!!今日は日曜日で店がお休みだから買い物がしづらい。と言うより買えない可能性がある。食料が尽きないように注意しなくてはだ。もし開いてる店があったらすかさず買っておこう。 -
7時にアルベルゲで朝飯を食べさせてもらう。いつものようにパンが主体の簡単朝食。出発時間になったら、ここのオスピタレロのお兄ちゃんは宿泊者全員の写真を撮るのがいつもの習慣らしく、出る人をいちいち玄関前に立たせて撮っている。その姿をこちらからも一枚撮らせてもらうパチリ。兄さんお世話になりました。
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今日は急坂を幾つも越える巡礼路だが、そのため絶景も楽しめるのでプラスマイナスまずまずだ。Llanes(スペイン語読みではヤネスとかジャネスと読むらしい)に辿り着くと道端の看板には目指すPineresまで18キロとある。山の中なのであと5時間は掛かるだろうか、時間的に無理だ。Llnesから2キロ過ぎたところにあるPooに泊まることにする。
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山の中を前後して歩く男性ペレグリノがいて、分岐点でどっちに行くべきか一緒に協議する。迷ったらタブレットだ。その人もGPSを知っていて覗きこんできた。困った時のGPS、巡礼路でこれ以上強い味方はない。
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13時、線路を越えたところでPooに到着。この村には私営アルベルゲしかなく、そのアルベルゲも巡礼路を外れて細い路地をくねくねと歩いて辿りつかなくてはならなかった。道幅が1mしかなく草だらけで猫しか通らないような道まであったので、こんなところに良くアルベルゲを作ったもんだと思った。でもアルベルゲの名前を書いた看板はそこかしこにまめに置いてあるので、これさえ辿って行けば迷うことはなさそうだ。
路地を抜けたら車も走れる広い道に出て、そこからもアルベルゲの看板だけは続いているので程なく到着。オープンまでまだ2時間もあるので、アルベルゲの玄関前にバックパックを置いて巡礼路沿いに見つけたバル迄戻ってビールを飲むことにする。このバルの他に、道の反対側にもバルが1軒あるが、そっちには誰もいなかったので人気がないバルなんだろうか。日本でも長距離トラックやタクシー運転手が沢山寄る食堂は間違いがないので、スペインでもそこは同じだろう。入って行くと、日曜日なのでバルの中には地元の男連中が何人も昼間から酒を飲んでいる。
人で混んでいるバルを選んでみたが、特別なところはなかった。あ、特別なのがあった。この店は店内に直径30cmくらいの金属の長い筒が置いてあって、一見すると傘立てのようだが客がその筒の上でコップを手にして、反対の手で酒瓶を高く掲げてコップにダラーっと酒を注いでいた。あ、これテレビで見たことある、高いところから酒を注いで空気を入れる飲み方らしい。ちょっと興味があったけどチャレンジしないで普通にビールだけ飲んでおく。自分が上手に注げる気がまったくしなかったし注文の仕方も分からないし、笑われるのが落ちだ。
この通りにはスーパーらしき店が見当たらないのでこの村にはないのか、それともドミンゴなのでシャッターが下りて表からは見えないのか?いずれにしても非常に不便。
まだアルベルゲのオープン迄には時間はあるので他も探してみようと歩き回る。けれど狭い村なので少し歩いただけで村はずれに出てしまう。店もないし見るところもないからアルベルゲに戻ることにする。もしかしたら時間前にオープンしてくれるか知れないから。その途中、オーストリアのカタリナと道端で再会する。おー、カタリナー。カタリナも嬉しそうだ。カタリナもアルベルゲの玄関前に私と同様にバックパックを立てかけて一緒にビールを飲みにいくことにする。今度は別のバルに入る。でもビールじゃなくてリモンconセルベッサを頼んでいるので私もそれにする。前にカタリナが似たようなのをおごってくれたので、今度は私がおごったる。 -
カタリナは長ズボンが歩きづらかったようで、自分で膝から下をちょん切っていた。切り口はボロボロなのでナイフで無理やり切ったようだ。自分でワイルドだろうと、どっかのギャグみたいなことを言っている。帽子はキューバ兵みたいなのを被っているし、シャツは南方の日本兵みたいだし、まるで鉱山で働いているおばさんのように見える。こんなのカタリナが読んだら怒ること必至だろうな。でもカタリナの現役時代はやり手のキャリアウーマンと想像できるテキパキした女性です。
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時間が近づいて来たのでカタリナと一緒にアルベルゲに行ってみる。猫しか通らない狭い路地を撮りたいので、カタリナにポーズを取ってもらったら、これがまた絵になる見事なポーズを決めてくれる。日本人はモデルでもない限り、ポーズでビシッと決めるのは難しいだろうが、やっぱりヨーロッパの人って違うんだなーと感心した。
14:50にアルベルゲを訪れたら少し早めにチェックインさせてくれる。ここのアルベルゲは部屋の定員数によって値段が異なるそうで、モチロン一番安い6人部屋をお願いする。カタリナも安いほうがいいそうで一緒の部屋になるが、まぁここで別々の部屋を選べる人はそう多くはないだろな。それでも私営なので13.5ユーロと高め設定だった。朝食が別料金で2ユーロだそうだが、食料を持っていないのでお願いする。ベッドは高いけど朝食は安いんだな。
部屋は6人部屋だけど広くてキレイだったので満足。二人とも一番乗りなので当然下段ベッドだ。カタリナが最初に取ったベッドはクッションが沈んでしまうそうなので、別のベッドに移っていた。後からやってきたペレグリノもいたけど、この部屋ではなくて少し高い4人部屋などに入ったので、結局この部屋はカタリナと二人で独占だった。2段ベッドでも上に人がいないとシングルベッドのように快適に過ごせる。いやむしろ、天蓋付きベッドのようで落ち着くから私はこの方が好きかも。押し入れで寝ている感覚と言えば通じるかな。天蓋付きベッドと押し入れじゃ大分違うけど、雰囲気的にそういうことです。 -
カタリナがディナーを食べに行こうと誘うので付き合うことにする。アルベルゲからは巡礼路と反対側に海岸があって、遠浅の静かな砂浜が広がっているので天気が良い日は海水浴場になりそうな海岸だった。
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やっぱり海水浴客の為なのか、近くにレストランがあった。ディナーは8時からでないと出来ないそうなので、その前に食べられるものをチョイスして外のテラスで食べることにする。サラダ、白ワイン(グラス)、イカフライ、コーヒーで一人23.5ユーロもした。たまに食べるバルでの定食の倍以上だった。普通のレストランってこんなにするんだ!!その割りに腹はいっぱいにならないので、もうレストランなんか絶対に入りたくない。やっぱり私にはバルが合っていると痛感した。スーパーがないと辛い。
食べている途中、雨がびちゃびちゃと降ってきたが、このテラス席には大きな天蓋があるので濡れることはないが寒くなってきた。小降りになってきたところでアルベルゲに引き上げる。カタリナは明日は18キロ先のPineresまで行くと言ってるが私はどうするかな?その次にアルベルゲがあるのはRibadesellaで、更に10.2キロある。明日歩きながら考えよう。
ベッドでうつらうつらしていたら艶(なま)めかしい声で目が覚める。上体を起こしてボーっとした脳で見回すと、カタリナがベッドの上で情感たっぷりに携帯で話していたのが目に入った。欧米人ってこんなに感情を込めた話し方をするのか、映画の人みたい。カタリナにはボーイフレンドがいると前に聞いていたので、その人のようだ。欧米でボーイフレンドは恋人と同義らしい。
歩く歩く歩く2016 北の道6へつづく
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