2016/05/04 - 2016/05/04
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モボ101さん
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アドリア海の奥まったところに位置する人口20万人余りの港町、トリエステはスロベニアと国境を接するイタリア北東端の街。第一次世界大戦までは、オーストリア=ハンガリー帝国の貿易港として繁栄してきたものの、オーストリアの敗戦でイタリア領になってからはその重要性が大きく低下したのだとか。
首都ウイーンからトリエステの背後の丘の上にあるオピチーナ駅に達した、かつてのオーストリア南部鉄道が、高低差をかせぐために大きく迂回しながらトリエステの街まで降りる路線が開通したのが19世紀の半ば。
トリエステには2つのターミナル駅があったものの、今ではヴェネツィア方面の列車が発着するトリエステ中央駅だけ。港の近くにあって廃止されたカンポ・マルツィオ駅は、今ではトリエステ鉄道博物館になっていて、2016年のゴールデンウイークに訪問しました。
ボランティアの手によって運営されているようで、開館は水、土、日の週に3日だけ。それも、10時にオープンして13時には終わってしまう、1日わずか3時間。遠来の旅行者には訪ねにくいスケジュールです。
※ 2021年春段階で改修工事のため休館中です。再開予定はアナウンスされていません。ご注意ください。
その1では、蒸気機関車、電気機関車、ディーゼル機関車と客車を中心に、
その2では、電車、路面電車、貨車、特殊車両等をご紹介します。
https://4travel.jp/travelogue/11682760
- 旅行の満足度
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 家族旅行
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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トリエステ中央駅から8番の市バスに乗り、オーストリアの雰囲気が漂う荘厳な石造りの州庁舎や市庁舎の建ち並ぶ広場のある海岸沿いの道を10分ほど、徒歩でも20分余りのところに、プレジャーボートが整然と並ぶ港に面して立派な石造りの駅舎が残っています。
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かつてのカンポ・マルツィオ駅が鉄道博物館。
トリエステ鉄道博物館 博物館・美術館・ギャラリー
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港に面した正面は閉じられていて、鉄道博物館は側面の入口から入ります。
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入口で5ユーロの入場券を買って入ります。広いホールは待合室だったのでしょうか。かつての出札窓口もそのまま残っています。
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中央には透明なケースに入った白亜のカンポ・マルツィオ駅の模型が置かれています。
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今はホームの上屋が無くなっているものの、かつてはドーム屋根で覆われていたようです。
オーストリア=ハンガリー帝国の時代には、今はスロベニア領のノヴァ・ゴリツァを経て首都ウィーン方面に向かう標準軌の路線に加えて、イストラ半島の海岸沿いを南下し、今はクロアチアのポレチを結んでいた狭軌の軽便鉄道、バレンジャーナ鉄道も、ドーム屋根の外の一番海側のホームに発着していたようです。 -
鉄道博物館を運営するボランティアの中に、鉄道模型が得意な方がいるのでしょうか。このホールには2つの大きなジオラマがあり、HOゲージの列車が走行しています。
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こちらは雪景色のジオラマ。
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この2つとは別に、ウェザリングを施した扇形庫とターンテーブルの模型も。
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踏切遮断機や信号機なども待合室内に。
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駅舎からホームに出ると、蒸気機関車が並んでいます。博物館が所有する10両の内訳は、イタリア製が5両、オーストリア=ハンガリー帝国から引き継ぎが4両に、ドイツ製が1両です。
軸配置1Cの640型テンダ式蒸気機関車は、1908年ミラノのブレダ製。今の日立レール(イタリア)のルーツです。 -
軸配置1Cのテンダ式蒸気機関車683型は1918年製で、もとハンガリー国鉄の324型。
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軸配置Cの835型タンク式蒸気機関車は、1911年にナポリで製造。
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軸配置1C1の229型タンク式蒸気機関車は、1916年のクラウス製。観音開きの煙室扉がオーストリア式。オーストリア王立帝国鉄道からユーゴスラビアを経てここに来たようです。
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同じく観音開きの煙室扉が特徴的な、軸配置Eのテンダ式蒸気機関車476型は1911年製で、オーストリア=ハンガリー帝国からの引き継ぎ。
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軸配置1Dのテンダ式蒸気機関車740型は、1913年イタリアのアンサルド製。この会社も今は日立レール(イタリア)です。
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軸配置Dの895型タンク式蒸気機関車は、1913年ミラノのブレダ製。
ここまでの機関車は全車ヘッドライトがないけど、前部デッキの左右と煙室扉の上に取付金具らしきものはありますね。 -
軸配置1Eのテンダ式蒸気機関車は、その形態から見てドイツで大量生産された戦時設計の貨物機52型。ユーゴスラビアで使われていたのだとか。
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炭水車だけが1両。でも、機関車と連結する側にもバッファーが付いているので何か他の用途に使ったのかもしれません。
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続いて電気機関車です。
軸配置BBBで2車体連接タイプのE645型。正面にイタリア国鉄“FS”のマークを付けています。このホームだけ架線があるので、動くのかな。 -
動輪が5軸のようで、軸配置はBABでしょうか。凸型の車体を持つ電気機関車の片端に、虎塗りのラッセルのヘッドのようなものを取り付けています。三相交流のE550型で、屋根にパンタグラフが見あたらないものの、2本の架線から別々に集電していたのでしょう。
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続いてディーゼル機関車です。
軸配置B、“ドイツ”の丸いメーカプレートを付けた同型式のロッド式ディーゼル機関車が2両。果たして展示なのか、展示車両の入れ換えに使われている現役のDLか。 -
同型がもう一両。
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一回り大きなのB型入れ換え機503号もいます。
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続いて客車です。
電気機関車の向こうにいるのは、各コンパートメント毎に開き戸のある狭窓の並ぶ古典的なスタイルのボギー客車。初期の鋼製車でしょうか、木造車のようなトラス棒付きの台枠です。 -
大きな側面の引き戸のある荷物車でしょうか。イタリア国鉄FSの他に、イタリア国旗とOMNIAEXPRESSの表記があります。ウイングバネの台車や最高速度160km/hの表記から見て、古いものではなさそう。
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塗色は異なるものの、この客車も同一形式のようです。
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鋼製車だが台枠にトラス棒が付く古典的な1等と2等合造のボギー車。窓上に黄色のラインが入った部分が1等室で、側面にそれぞれ2個所ずつの開き戸があり、1等室のドアには“1”の、2等室のドアには“2”の表記。
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車体の中央部に1個所のデッキがある、ホイールベースの極端に長い2軸の3等車。
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コンパートメント毎に開き戸のある3軸が珍しい3等車。各ドアには“Ⅲ”の表記。車端部の引き戸は荷物室でしょうか。
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両端デッキの客車を改造して、片方のデッキや側窓を埋めた跡のあるボギー車。用途は?
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果たして客車か貨車なのか。側面にベンチレータらしきものが付いた、黄色い三角屋根の2軸車の用途は何でしょう。
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ホームの向こうにはヤードが広がり、錆びたレールの上に客車と電車が放置されています。博物館の持ち物でしょうが、果たしてどこまでが博物館の敷地やら。
電気機関車の奥にいた車両と同じ、各コンパートメント毎に開き戸のある狭窓の並ぶ古典的なスタイルのボギー客車。 -
側面の2個所の扉がシャッターになった荷物車。ウイングバネの台車や140km/hの表記から見て、それほど古いものではなさそう。
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右側の赤い客車の側面には、“POSTE”の表記と郵便投入口があるので郵便車でしょう。
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車体の側面2個所の扉がシャッターになった荷物車。新型の台車を履き200km/hの表記があります。
その2 電車、路面電車、貨車、特殊車両等を中心に は、
https://4travel.jp/travelogue/11682760
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