2020/11/21 - 2020/11/22
67位(同エリア138件中)
玄白さん
写友のI夫妻から、伊豆沼にマガンと白鳥の撮影に行きましょうとお誘いを受けた。白鳥の撮影が好きなF女史を誘い、4人で一泊二日の水鳥撮影旅に出掛けた。
伊豆沼は、宮城県北部の栗原市と登米市の境に位置する平均水深が1mにも満たない沼地だが、毎年、初冬になると、2000羽の白鳥と数万羽のマガンが飛来する。この水鳥たちが夕方に近くの田んぼのエサ場から沼にねぐら入りし、夜明けから餌場に羽音を発てて一斉に飛び立つ姿は迫力満点である。この時期になると、大勢のバーダーや野鳥撮影愛好家が集まる。
伊豆沼の大きさは約387ha、東京ドーム83個分の広さの、平野部にある湿地としては日本有数の大きさを誇り、マガンや白鳥などの渡り鳥の越冬地として1985年には、ラムサール条約の登録地となっている。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 友人
- 交通手段
- 自家用車
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いつもは撮影旅行というと、夜明け前に出発することが多いのだが、今回は、夕方と翌朝の水鳥の撮影が目的なので、自宅を8時前に出発、I夫妻の家で合流し、移動は、I夫妻の自家用車に相乗りである。自分では運転しないので、高速道路移動中でも撮影できるラクチン旅である。
東北自動車道を福島県内移動中に虹が見えたので、時速100kmで走りながらの撮影。 -
虹は普通雨上がりで雲を背景に出現することが多いのだが、今回は青空をバックにした虹である。
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途中、2回ほどトイレ休憩をし、最後の長者ヶ原SAで、少し早めのランチ。
宮城県のグルメと言えば、やはり仙台の牛タンが上位にランキングされるので、これを食さねばなるまい。ということで、SAのレストラン「冠舌屋」で人気No.1の牛タンしお定食(\1,680)を食す。 -
まずは、明朝朝日が昇る頃の撮影ポイントの下見で、伊豆沼の西側へ。
ここでも、またまた、虹が現れた。この日はよくよく虹と遭遇する日だ。 -
伊豆沼の北岸にある伊豆沼・内沼サンクチュアリセンター
館内には、伊豆沼・内沼のジオラマで伊豆沼・内沼周辺の地理を紹介しているほか、四季折々の見どころがわかるようになっている。沼には自生の蓮が生育していて、蓮根が、白鳥の貴重なエサになっているという。そのため、ここの白鳥は、顔を泥だらけにしているヤツが多く、アップの撮影には不向きだと同行のI夫妻が解説してくれる。I夫妻は、伊豆沼の鳥撮影は、今回で4回目というベテランである。 -
伊豆沼周辺は江戸時代初期まで未開の原野だった。江戸中期以降、沼の周辺は新田開発が行われたが、沼自身は遊水池として干拓をまぬがれた。周辺は今では宮城県有数のコメどころとなっている。
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沼自体は、水深が浅く、自生している蓮根が白鳥の恰好のエサになったり、周囲の田んぼの落穂がマガンやカモなどの水鳥のかっこうのエサとなっているため、日本でも有数の渡り鳥の楽園となったのである。
撮影はしなかったが、館内にはマガンの剥製も展示されていた。予想よりずいぶん大きな鳥で、コハクチョウと大きさは変わらない。 -
一通り、館内を見学したあと、今日の撮影イベント、夕日と水鳥の撮影地である沼の北東側に移動する。
まだ、虹が出たり消えたりしている。 -
まだ、日の入りには早いが、白鳥たちがエサ場から沼に戻り始めている。
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大空に舞う白鳥
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だいぶ日が傾き、西の空がオレンジ色に染まり始めた。白鳥たちが次々とねぐら入りしている。
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夕日がキラキラ反射する水面を優雅に泳ぐ白鳥
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イチオシ
夕日を浴びてねぐら入りする白鳥たち
沼の周囲の小高い丘の黄葉も夕陽に照らされてオレンジ色に染まっている。 -
もう一枚!
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あちこちの方向から白鳥たちが戻ってくる。
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イチオシ
天使の梯子という麗しい別名の薄明光線が見えた美しい夕暮れの伊豆沼。
天使の梯子以外にも、天使の階段、レンブラント光線など、さまざまな呼び名を持ち、夕景の美しさを一層際立たせる光である。 -
水鳥たちは、岸から離れたところに群れている。伊豆沼は水鳥の聖地として有名になり、大勢のバーダー、野鳥撮影カメラマンが集まるようになったため、水鳥たちは警戒して岸から離れたところをねぐらにするようになったようだ。
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ときどき近くに寄ってくる白鳥もいる。シルエットになっていてわかりにくいが、重なっている2羽の白鳥の手前のヤツは、水中に首を突っ込んで蓮根をかじっている。
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白鳥が次々と着水
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白鳥に遅れて、マガンが沼に戻り始めた。
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上空には上弦の月が輝いてる。そばをマガンの群れが通過していく。
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「月に雁」 歌川広重の浮世絵の名画が頭に浮かんだ。描かれている雁はマガンである。この作品、切手の図案に使われたことがある。小学生の頃、切手集めに夢中になっていたが、この「月に雁」と「見返り美人」という切手がずいぶん高値で売買されていて、とても小学生の小遣いでは買えるようなものではなかったことが思い出される。
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マガンは大空を群れで移動するときはきれいなV字など列をなして飛んでいるが、着水前の降下するときは、バラバラと列を乱して着水する。この様子を落雁という。
ところで和菓子に落雁というものがある。でんぷん質の粉に水あめや砂糖を混ぜて型に入れて固めたものである。京都本願寺の綽如上人がこの菓子を後小松天皇に献上したときに、白色の地に黒ごまの点在する様が、マガンの落雁を連想させたので「落雁」としたというのが、名前の由来だという説があるが、果たして真偽のほどは? -
夕日は沈み、暗くなってきたのでこの日の撮影は終了。
今宵の宿、栗駒高原駅近くのビジネスホテル「エポカ」に投宿。 -
翌朝、4時に起床、ふたたび伊豆沼へ。
まだ、夜が明けるまでには時間があり、空は満天の星だ。しばし、星空撮影タイムだ。
西の空には沈みゆくオリオン座、オオイヌ座、こいぬ座の冬の大三角 -
東の空には金星(明けの明星)が煌々と輝き、凪いだ伊豆沼の水面にも映り込んでいる。
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やがて東の空が朱に染まり始め、水鳥たちの目覚めの鳴き声が聞こえてくる。
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冷え込んだ朝だが風がないので、放射冷却で気嵐が立っている。そんな気嵐の中をマガンたちが飛び立っていく。
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朝焼けの空にマガンが羽ばたく
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この日の気嵐はすさまじい。まるで雨雲のようだ。
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気嵐にけぶる伊豆沼の対岸。
I夫妻の話では、マガンは一斉に飛び立ち、その時の羽音が迫力があり圧巻だというのだが、この日は、なぜか一斉には飛び立たず、バラバラと分散して飛び立っている。 -
良い色の朝焼けの情景である。
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朝焼けでオレンジ色にそまった雲と気嵐を背景に次々とマガンが飛び立っていく。
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この頃になると、沼の堰堤にはバーダーや鳥撮りカメラマンが大集結し、道の片側は車で埋め尽くされた。
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イチオシ
やがて白鳥も朝焼けの空を羽ばたいてエサ場を目指して飛び立っていく。
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イチオシ
マガン乱舞
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マガン乱舞 もう一枚
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白鳥の飛び立ち
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このころになると、少し風が出て水面がわずかにさざ波あるので、飛び立つ白鳥の映り込みは乱れてしまった。
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次から次へとマガンたちの飛び立ちは続いている。
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やがて、雲のような気嵐も朱に染まり始めた。日の出直前だ。
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日の出
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水面のサンロード
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気嵐のなか、まだ寝ている水鳥たちもいる。
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マガン乱舞。同じようなシーンでも何度もシャッターを切る
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南の方角の沼の岸辺。朝日に染まった気嵐にけぶる雑木林の映り込みが、幻想的な情景にしている。
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やがて日は昇り、空は青い昼の色になってきたが、幻日が現れた。幻日とは、低い高度の太陽の左右22度ぐらいのところの雲が虹色もしくは白色に輝く現象である。この日はきれいな虹色の幻日だった。
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イチオシ
幻日の空を飛ぶマガンの群れ
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幻日の水面へも映り込み
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幻日を背景に飛翔するマガン
この後は、風は凪いで白鳥たちはぱったり飛び立つのをやめてしまった。
地元の人によると、気嵐がでるような穏やかな朝は白鳥は飛ばないのだそうだ。
8時過ぎに伊豆沼撤収。途中、寄り道して福島県の達沢不動滝に立ち寄ってみたが、すでに紅葉は終わっていた。あとはひたすら東北道を走って帰路についた。
I夫妻が、マガンや白鳥に魅せられて4回も伊豆沼に来た気持ちがわかった。機会があれば再訪するのも良いし、夏の蓮の花の時期に訪れるのもよいかもしれない。
誘ってくれたI夫妻に感謝!
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