晴れおじさん「ちょっとそこまで」お出掛け日記 (山形県・最上町)

2019/06/09 - 2019/06/09

山形県の北東部、宮城県との県境にある最上町の堺田地区(さかいだちく)は、古くは源義経・弁慶一行が、江戸時代には松尾芭蕉と曽良が関所を越えた山峡の地。
ここには、近年話題となっている「分水嶺」がありますが、まさにその場所でクラシック・コンサートが開催されると聞き、梅雨入り後最初の日曜日に愛車を走らせました。

エリア 最上・舟形(山形)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.0
• グルメ: 4.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 自家用車

東北南部は一昨日に梅雨入りしたと発表されましたが、今日の天気予報は曇り。
午前1０時３０分現在の気温は２２度で、半袖では肌寒い陽気だけれど、国道１３号線を北進して最上町を目指します。

尾花沢市で県道に入り、山刀伐峠(なたぎりとうげ)入口で、ちょっと休憩。

芭蕉と曽良が山賊に怯えながら越えたというこの峠も、現在は、トンネルで難なく潜り抜けることが出来ます。

旧道

山刀伐トンネル

赤倉温泉を過ぎて

JR陸羽東線の堺田駅に到着。
「分水嶺」と大書してあります。

これが分水嶺

奥から手前に流れてきた水が、左右に分かれ、それぞれ１００キロ余り先で、日本海と太平洋に注ぎます。

案内板。
つまり、ここは奥羽山脈の天辺(尾根)であるため、間近に水が分かれていく様を観察できるとのこと。。

水辺には、地域の人が植えた菖蒲が咲いています。

作家・藤沢周平氏の一文が紹介されています。
そう、ここには、芭蕉が「蚤しらみ　馬の尿する　枕元」の句を詠んだ「封人の家」(ほうじんのいえ)があります。

駅前に車を停めたまま、遊歩道を散策して、封人の家に向かうとしましょう。

途中に蓮池があって

蓮の花が咲き始めています。

さらに少し進むと、

今日のコンサート会場になっている集会所に到着。
山菜などの出店が立っています。

そして、国道４７号線を挟んだ向かい側に「封人の家」。

国境の警備も務めた庄屋「有路家(ありじけ)」の御屋敷。
コンサートに協賛して、観覧料２５０円が１００円に割引されていました。

内部

囲炉裏に薪がくべられていて、

厩では、模型の馬が、芭蕉が逗留した時代の雰囲気を演出しています。

昭和４４年に国の重要文化財に指定されたとのこと。

解説文。
松尾芭蕉と曽良は、雨に祟られて、ここに三日間逗留、あの有名な句を詠んだ訳ですが、ここに来る直前、尿前の関(しとまえのせき)を通って来たことが、「馬の尿(しと)する」と詠んだことにつながったのではないかとの見解が書かれています。
なるほど。

中座敷(なかざしき)
座敷は四つありましたが、客の身分で泊まる部屋が決まり、芭蕉と曽良は、この下から２番目の部屋に泊まったのではないかと推測されるとのこと。

さて、コンサートの前にお昼ご飯。

土日祝日限定で営業している蕎麦店「時空」

そばと岩魚のから揚げセットを注文

岩魚のから揚げは揚げ経てでまだ暖かく、味、歯ざわりともに文句なし。
蕎麦も、私の合格点に達していました。

さて、コンサート会場に入ります。
客席は木製のベンチで、演奏者の椅子はパイプ椅子。この手作り感がいい。

演奏者は、中央で活躍した後に最上町に移住したバイオリニスト池田敏美さんと、近隣在住のプロ、アマのミュージシャン。

前座は、地元最上町のギター愛好会の皆さん。中学生から高齢者まで８人の合奏。
失礼ながら、アマチュア感満載。
プロの演奏の引き立て役とはいえ、テンションが下がってしまいました。

そして、池田敏美さんのバイオリン演奏。
７０代の御高齢と思われるけれど、さすが武蔵野音楽大学で学んだプロ。ドヴォルザークの曲など円熟の演奏にテンションはV字回復。

池田さんの演奏は、３、４年前に山寺で鑑賞したことがありますが、この場所では初めて。
「分水嶺コンサート」と銘打ったこの演奏会は、なんと今回で２５回目だとのこと。

ピアノ伴奏は、県境を接する宮城県大崎市在住のアマチュアの女性。
１曲だけ独奏もありました。

余興は、山形県東根市在住のアマチュアのパントマイム。

技量はイマイチながら、会場を和ませてくれました。

そして、山形県尾花沢市在住のチェロ奏者、加藤晧平さん。

東京音楽大学卒業の県外出身者ながら、尾花沢市で地域おこし協力隊として活動した縁で同市に定住したとのこと。

２曲目は、以前、ヨーヨーマがCMで演奏していた「リベルタンゴ」でしたが、ヨーヨーマに勝るとも劣らない名演奏。アンコールの声が出ていました。

まだ演奏は残っていたけれど、休憩に入ったところで会場を出ました。
せっかくテンションマックスになったのに、この後、子供たちの演奏を聴いてしまっては、元の木阿弥。

音楽で気分が高揚したお陰で、駅に戻る途中、さっきも見た草花が一層美しく感じられ、目に沁みました。

同上

さて、せっかく最上町まで来たので、前森高原まで足を延ばしてみましょう。

実は、ここに来るのは初めて。
娘たちを連れていつか来ようと思いながら来る機会がなく、娘たちは、とっくに成人してしまいました。

牛が草を食む姿は、文字通り牧歌的。

総合案内所

案内板

ビアハウス

乗馬クラブ

馬の表情は、とても穏やか。
テレビで見る競走馬の表情とは真逆の感がします。

同上

バーベキュー広場には小川が流れていて、子供会や家族連れの行楽に打ってつけ。

孫が出来たら一緒に引馬でも楽しみたいなあと、しみじみ思う、爺ちゃんになりかけの晴れおじさんでありました。

完