
2016/09/02 - 2016/09/05
8位(同エリア286件中)
ウェンディさん
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・・・海を越えた遥か西の果て、そこにはフウイズムと呼ばれる馬が棲む島がある。
馬が共同自治を行う国では争い、妬み、憎しみは存在せず、全ての馬たちが家族の様に慈しみあい、幸せに生活を営んでいる・・・/スウィフト著 ガリバー旅行記より
そんな馬の国を夢見てプランニングを開始した隠岐・西ノ島への旅。
でも、その旅のプランニングは一筋縄では行かず、港までの足、ひとり宿泊の可能な宿、交通手段などの山盛りの問題たちが旅の準備に取り掛かった私の前に立ちはだかりました。
大小様々な問題の中でも一番頭を悩ましたのは、西ノ島の島内での移動手段でした。
西ノ島は人口が3400人という小さな島で、島民の方の移動は自家用車がその中心です。
公共交通機関として島内を走る路線バスはありますが短い一路線のみで、その運行本数は1日10本程度ですので、バスは観光の足としては不向きでした。
かといって、島内を徒歩で巡っていたら総歩行距離は50kmになってしまうので、それでは歩くだけでヘトヘトになってしまい、幾ら歩くのが好きな私でもさすがに徒歩観光は無謀というもの。
車の運転が出来ればレンタカーという手段(台数は多くは無いそうです)がありますが、運転をしない私にはそれは論外で、残すは観光タクシーのみか…と一時は西ノ島へ行くのを諦めようかとも思いました。
タクシーは経費が高いこともネックですが、それ以上に、車でドライバーさんが待っていると思うだけで、なんだか落ち着いて景色を見ることが出来なくなってしまうので、あまり好きではないのです。
そんな時、ふと目についたのが西ノ島の観光協会から送ってもらったパンフレットに書いてあったレンタサイクルの文字でした。
レンタサイクルであるならば、自分の好きなように島内を移動でき、気に入った景色を見つけたら何時間でもピクニックが出来る!
自転車は私にとってはピッタリの移動手段である様に思えました。
しかし、机上のプランニング・イメージと実際の旅とは、なかなか一致はしないモノ。
カルデラ地形…つまり起伏の激しい地形である西ノ島のサイクリングは、標高差250mの丘と谷を登ったり下ったりと、かなりハードな運動となりました。
急な坂道を登る時は、ただでさえ傾斜が急なのに自分の体重+自転車を転がすのでもう息も絶え絶えでしたが、登り切った頂上から眺める景色は、空と草原が広がる別世界!
体力的にもかなり厳しい自転車旅でしたが、「もう一回、西ノ島のサイクリング旅に挑戦する?」と聞かれたら、迷わずYESと答えてしまう絶景の数々が広がっていました。
西ノ島旅行記の第二弾は、女のひとりサイクリング旅♪
まだ見ぬ絶景を求め、島に住む方に助けてもらいながらも自然たっぷりのユネスコ世界ジオパークを自転車で遊んだ旅の記憶です。
☆★☆★2016.9月 お気楽・隠岐 一人旅・旅程☆★☆★
■9/2 羽田-米子空港-七類港-別府港-国賀めぐり観光船
■9/3 西ノ島サイクリング 摩天崖-国賀海岸-赤尾展望所-鬼舞展望所-焼火神社
□9/4 別府港-境港-松江-小泉八雲の幻想世界
□9/5 松江-足立美術館-境港の妖怪の世界 米子空港-羽田
☆★☆★★2016年9月 お気楽・隠岐 一人旅 旅行記☆★☆★
【1】蒼の洞窟へ♪ http://4travel.jp/travelogue/11171204
【2】天空の摩天崖 http://4travel.jp/travelogue/11183051
【3】天国と地獄 http://4travel.jp/travelogue/11187018
【4】ヘルンが愛した松江 https://4travel.jp/travelogue/11432271
【5】妖怪は何処へ消えた https://4travel.jp/travelogue/11436287
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 高速・路線バス タクシー ANAグループ JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
今年の夏の後半は台風が次から次へと誕生し、天気図に台風マークを見ない日が無かったと言って過言ではないほど台風の数が多かった。
迷走する台風、日本列島を西から東、南から北へと舐めるように通り過ぎる台風…。
夏の風物詩を通り越した災害級の台風も多かった。
だから、私の旅の前日に台風が生まれた!というニュースを見た時には、目の前が真っ黒!
旅の行先は島根県の離島である隠岐諸島。
台風が近づいてきたら、船で島へと渡ることも島から脱出することも出来なくなってしまう。
たとえ島へと渡れたとしても帰りの船が欠航してしまえば、本土へは戻ることが出来ない。
本土へ戻れない→羽田への飛行機に乗れない→翌日の仕事への出勤が難しくなる…ことを意味する。
常識ある社会人としては、飛行機をキャンセルして旅を中止すべきなのか、それとも離島へと行くのをやめて島根県の本土側だけを観光するべきなのか。 -
旅の前日の晩はキャンセルか、旅の方針転換か、無謀にも予定通りの島旅にチャレンジすべきか、かなり悩んだ。
天気図、海洋波浪予報図、台風の進路予想図などの情報を総合的に判断して私が出した結論は、予定通りの島旅の決行。
ただし訪れる島は西ノ島のみとし、台風の影響もまだ少ないであろう3日目の朝には朝一番の船で島を出ることにした。
そして、過ごした西ノ島での1日目。
島を巡る船に乗り、カルデラ地形が作り出さす不思議な地形を船の特等席であるデッキから楽しんだ。
外海も台風が来ているとは思えないほど静かで、クルージング日和の天気。
島旅の出だしは、予想外に良い感じ♪だった。 -
奇岩クルージングを楽しんだ後は、西ノ島での拠点となる宿へと向かい、荷物をデポしたら、ちょっとお散歩へ。
お散歩へと向かった先は、宿から300m先にある後醍醐天皇の御所である黒木御所。
御所と言えば天皇のお家なのだが、それがどうして本土から遠く離れた西ノ島にあるのか。
そのお話は、ちょっと古い歴史を紐解くところから。
隠岐諸島が歴史書の中に登場したのは今から約1600年前の律令時代で、隠岐は遠流刑の島としてその名を残している。
流刑の地としては隠岐諸島以外に伊豆七島や佐渡島などが有名だが、隠岐が流刑地としてその名を馳せているのは有名な後鳥羽上皇と後醍醐天皇が流された場所だから。
後醍醐天皇と後鳥羽上皇。
漢字にすれば全く異なる文字だが、音で聞くとなんだか似通って聞こえる気がする。
だから、学生の頃の歴史の授業ではいつも二人の名前がゴッチャになっていた。
今回の旅の前準備段階でも、しょっちゅう頭の中で名前が混同してしまい、旅の前に簡単な歴史書で再復習したのだが、これが大正解!
島での見学の時間をより楽しむことが出来た。 -
後鳥羽上皇と言えば「承久の乱(1221年)」が有名なのだが、承久の乱でその名を一躍馳せたのは後鳥羽上皇ではなく、源頼朝の奥さんで才女でもあり後の世に尼将軍とも呼ばれた北条政子だろう。
北条政子は鎌倉幕府から離反していきそうな御家人たちに対し、一世一代の大芝居をしかけたのだ。
「頼朝公の御恩を忘れた御家人たちは出て行くがいい。しかし、出て行く前に誰のお蔭で太平の世となったのかもう一度考えて欲しい。今こそ、今は亡き頼朝公に御恩を捧げるチャンスではないのか」
政子女史の名台詞は安定したヌルい世の中に浸りきった御家人たちの心を打ち、勇み立った御家人たちは鎌倉幕府に反旗を翻していた一派をあっという間に一掃した。
その反旗を翻した一派というのが、後鳥羽上皇だ。
後鳥羽上皇は幕府への反逆罪の廉で流刑となり、隠岐諸島の中ノ島へと流され、18年後に京へと帰りたいと念じながら、島でその生涯を閉じた。
そして鎌倉幕府はまたヌルい政治に逆戻りし、源氏の将軍はタダの飾り物と化し、北条氏が実質的に政治の実権を握るようになった。
そんなヌルヌルの幕府に嫌気がさしたのが、虐げられていた京の天皇の後醍醐天皇。
後醍醐天皇は今がその時とばかりに、討幕軍を編成して鎌倉(北条氏)へと殴り込み!をしかけた。
が、やはり宮家と御家人ではパワーが違うのか2回の出兵にも関わらず、討幕はことごとく失敗し、1332年に後醍醐天皇は隠岐の西ノ島へと流された。
その時の後醍醐天皇の御所が、黒木神社として祀られている。黒木御所跡・碧風館 名所・史跡
-
黒木御所があるのは港の直ぐ近くなのだが、辺りに人影はなく、その参道を上がるのもちょっとためらわれる雰囲気の場所だった。
それでも私は参道を登っていく。 -
参道を登り切った先にあるのは黒木神社で、神社の傍に後醍醐天皇の御所跡がある。
実は後醍醐天皇が西ノ島の黒木御所で流刑となっていたのは1年程度の期間しかない。
たった1年で幕府への反逆罪の罪が許されたのか?
そんな訳はない。
後醍醐天皇は流刑になりながらも情報網を密かに持っていて、京の都、鎌倉で起きている出来事を入手し、鎌倉幕府側に状況が不利と見るや否や、流刑地脱出の計画をたてはじめていた。 -
でも、流刑地である西ノ島はその警護も厳しく、そんな簡単には抜け出すことはできない。
そこで、後醍醐天皇が考え出した策略は「あかちゃん、生まれちゃう~」作戦。
黒木御所へと連れてきた女性(流刑になっても侍らせる女性を連れてこられるのだから、時の権力者って凄いよね~)が妊娠し、産気づいた…ということで急いで御所の門を開けさせることに成功したのだ。
この産気づいた女性説にもいくつか面白いものがあり、本当は妊婦は存在せず後醍醐天皇が女装(今風にいうならばコスプレね♪)して腹に座布団を巻いた…とか、後醍醐天皇が門を出る出産間近の女性の輿にそっと忍び込んだなどがある。
後醍醐天皇の顔が絵馬の似顔絵と同じ様ならば、公家顔に白塗りして女装しても結構バレ無かったのではないかな。黒木御所阯 名所・史跡
-
神社の前にはおみくじの箱があったが、完全なセルフサービス方式。
多分、雨の日も風の日もここに置きっぱなしのおみくじ箱なのだろう。
1回50円での運試しは面白そうだったが、おみくじ箱の内側に蜘蛛とかが居そうで、虫が得意ではない私は怖くて手を突っ込むことはできなかった。 -
黒木御所は高台にあり、そこからは西ノ島、知夫里島、後鳥羽上皇が幽閉されていた中ノ島が形成するカルデラ湾の姿が見える。
700年前にこの高台に立った後醍醐天皇も、きっとこの景色と変わらぬ風景を眺めていたのだろう。
そして、この流刑の地から脱出する術を日々考えていたに違いない。
(参考として:後醍醐天皇の流刑地としては隠岐の島の国分寺説もあるが、現在有力視されているのは西ノ島の黒木御所説。ただ、現存する当時の文書は、隠岐の島説を示唆している。文書に残っている地名の方が説得力がある様に思えるが、実はこれらの文書は後醍醐天皇の脱出の約30年後に伝聞を記した書物であることから、作者の聞き間違い、勘違いの可能性が高いとされている)
鬱蒼とした森の中の黒木御所跡。
誰もいないその場所は、鎌倉時代の空気が漂っているかのように静かだった。 -
さあ、もうすぐ夕食の時間だ。
宿へ戻ってお風呂に入ろう♪
今回、西ノ島でお世話になったのは、別府港から歩いて5分の竹並旅館さん。
竹並旅館さんを選んだ理由は、レンタサイクルの基地である別府港の観光案内所が近いというのが一番のポイントだが、2番目のポイントが女性の一人旅・お断り!ではない点。
日本の旅館の場合、なぜか女性の一人旅というと断られる場合が多いのだが、竹並旅館さんは、そんなことはなくサラリと予約を入れることが出来た。
此処は旅館と名がつくものの、おばあちゃんがメインで経営している民宿風旅館。
広い和室に昔ながらの鏡台、蚊取り線香に目覚まし時計…。
床の間に置いてあった週刊誌もレトロ風なのか数か月前に発売された雑誌。
なんだか田舎のおばあちゃんの家の空き部屋に泊まりに来たかの様なお宿だった。 -
建屋の中も純和風の造りで、部屋に扉は無く、基本は引き戸の襖仕様。
お手洗いも洋式ではなく和式だったし、お風呂の浴槽も昔懐かしいステンレス製で昭和に戻った様な懐かさ。
建屋の屋根の上には島根県特産の赤茶色の石州瓦。
石州瓦は凍てに強く撥水性も高い優れものだが、最近では軽量瓦に押されて使う家も減ってきているというが、離島ではまだ現役バリバリで使われていた。
黒い瓦を見慣れていると、明るい発色の石州瓦や鬼瓦に鬼の代わりに大黒様の笑顔が飾られているのはちょっと不思議な感じだったが、瓦の色が明るいと建物全体が明るく見える。
そんな竹並旅館の宿泊金額は他の宿泊施設に比べて良心的で、1泊2食で8000円。
ただ、注意してほしいのは、タオル等のアメニティはないという事。
タオルは言えば貸してくれるそうだが、おばあちゃんの洗濯の負担を減らすためにも、基本は持参する方が良いのではないかな。
(浴衣と使い捨て歯ブラシはあり)
室内は清掃してあるが、小さな虫の死骸が窓辺に転がっていた。
でも、コレは自然が豊かな島だから当然のこと。
都会の様に夜になっても網戸に虫がつかない生活の方が明らかにおかしい。
風通しの良い部屋だったが、エアコンは各部屋についていた。
私が宿泊した9月初旬は、夜に寝る時には網戸にすれば涼しい海風が入ってきて気持ちが良かった。
島の宿泊は1泊2食で1万円を超える民宿やペンションが多い中で、竹並旅館のコスパの良さは群を抜いているかも。
ただし、老夫婦のお宅なので、何事もユックリ。
のんびりとした島旅を楽しみたい方に向いている宿だと思う。 -
旅館でのお楽しみの夕食は…というと、これも島の魚介類が盛りだくさんで、1日目には鯛の塩焼きとサザエのつぼ焼き、二日目にはヒラマサとサザエのお刺身と煮魚がついて、更におばあちゃんお手製の煮物やおしんこ達。
勿論、食後には季節のフルーツも付いていた。
私が宿泊した土日は台風のせいでキャンセルもあったとのことで、宿泊者は私一人だけ。
ホントに田舎の祖父母の家にいるかのようにのんびりと過ごさせてもらった。 -
翌朝9/3の起床は6時半。
階下の台所からは、朝ごはんの支度をする音が聞こえてくる。
お味噌汁の美味しそうなお出汁の香が、食欲を刺激して朝食が待ち遠しくてたまらなかった。
朝食後、7時半に宿を出て別府港へと向かう。
ちょうど朝一番の船の入港時間だったようだ。 -
別府港へと向かう前に少しだけ道草を。
道草の場所は宿から徒歩4分にある飲み物の自販機。
西ノ島にはコンビニはなく、ペットボトルのお茶を1本手に入れようと思うのもそんなに簡単ではない。
でも、宿泊した竹並旅館の直ぐ傍にはお酒からジュース・お茶までを取りそろえた自販機が並んでいたので、そこでこの日の飲み物を入手する。
大きめのスーパーを島で見かけたのは一度きり。
小さな商店は港の近くにはあるが営業時間も短い。
そして、一歩山の中に入ってしまうと自販機すらなくなるので、夏場の旅の場合には、飲み物の事前入手はマスト事項だ。
別府港傍のこの自販機のある場所は、“まつのや”という名のお店の前。
日中は、簡単な食品や日用雑貨を販売している商店の様だった。 -
別府港へと向かった理由。
それは、船に乗るため…ではない。
用があったのは西ノ島の観光案内所だ。
観光案内所には自転車を貸してくれるレンタサイクルがあり、事前予約を入れていた自転車を借り受けに来た。西ノ島町観光協会 名所・史跡
-
観光案内所のカウンターで自転車を1日レンタルし、さっそうと漕ぎだす。
道端には山百合が咲くワイルドな環境。
アップダウンが激しい西ノ島のサイクル旅なので、今回借りたのは電動自転車。
ちょっとした上り坂もスイスイと進み、気持ち良い。
(実は、ここで電動を借りたことが、午後の予定で裏目に出てしまったのだが…)。 -
観光案内所での自転車のレンタル時間は朝7:30~夕方の4:30まで。
西ノ島のホームページではレンタル開始は8:30~となっているが、本当はその1時間前から営業中だ。
レンタル料金は電動自転車で1日1500円+保険200円。
そんなに高くはない。
レンタル自転車は総数で10台程度はあるようだが電動は2台しかなく、繁忙期には予約で電動を含めた全ての自転車が出払ってしまう事もあるという事なので、私の様に初めから自転車旅をしよう♪と計画している場合は、電話で予約をしてしまう方が良いかもしれない。
(予約をしていても、雨天時等のキャンセルも可能だ)
観光協会の電話予約の番号は08514-7-8888で、観光協会では、様々な旅の相談にも気軽に乗ってくれる。
別府港から大津、市部を抜ける485号線を走り抜ける。
市部の先にはトンネルがあり、その先を抜けると…。 -
そこは、西ノ島大橋の上。
蝶が翅を広げたような形の西ノ島の2枚の翅を繋ぐ橋だ。
橋の上からは牡蠣の養殖筏や知夫里島が見えた。 -
イチオシ
橋の下を覗き込むと、下に見えるのはコバルト・ブルーの海。
朝の光を浴びた海が輝いていた。 -
橋を渡り切って向かったのは、浦郷にあるイカ寄せの浜。
イカ寄せの浜とは、その名が示すように烏賊が大量に打ち寄せる浜の事だ。
隠岐諸島には9月か2月にかけてイカが打ち寄せる湾が二つあり、その一つが西ノ島にあるこの湾だ。
大きな湾ではないのだが、この湾を埋め尽くす位の大量のイカが押し寄せると云う。
押し寄せるイカの個体数があまりに凄い数なので、網などを使ったら破けてしまう。
だから、湾の中の模型パネルが示すように、海の中から拾い上げるようにしてイカをとったと云われている。
近年では、イカが押し寄せるのは数年に一度程度でその数も減っていて、以前の様な湾がイカで埋まる光景は稀だそうだ。 -
イカは隠岐の人達にとってはとっても馴染みのある海産物。
故に、西ノ島のキャラクターは、その名も【活イカ活っちゃん】。
ゆるキャラって、どうしてこうなってしまった…??とため息をつきたくなるデザインのものも多いが、西ノ島の活イカ活っちゃんはカワイイ。 -
西ノ島の道路に設置されているマンホールの蓋にもイカがデザインされていた。
海の中をデザインした図柄、なかなか好きだ。 -
イカ寄せの浜のすぐ隣には小さな社の由良比女(ゆらひめ)神社がある。
由良比女の主神は漁業や海上の守護神として信仰されているのだが、実はイカ寄せの浜にイカがやってくるのは、この主神であるが由良比女さんが関与している。
時は今から数千年、もしかしたら数万年の昔のこと。
由良比女命(ゆらひめのみこと)さんが海辺で遊んでいると、そこに現れた大イカが由良比女命さんの指を噛んでしまった。
それ以降、お詫びの印として秋になるとイカが西ノ島に押し寄せるようになった…とか。
(神話とは神様の物語。だから、なぜに由良比女さんが海岸で遊んでいたのか、そこへ突如大イカが現れたのかの解説は一切ない。そんなんで昔の人はよく納得していたよね?)由良比女神社 寺・神社・教会
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神社の主神である由良比女命は海の守護神なので、その社の彫刻も水に縁のある水龍。
荒れ狂う波の間から水龍が躍り出てくる様が表現されている。 -
イカが島の神サマの手を噛んでしまったからそのお詫びに…なんて説は浪漫があり、神社に参拝する人に空想物語を与えてくれるが、実はイカが隠岐諸島の特定の湾のみに打ち寄せられるのは、海流の影響だとする説が現在は有力となっている。
隠岐諸島の周りには対馬海流が流れていて、西ノ島に多く打ち寄せられるソデイカは南西から流れてくる対馬暖流に乗って南方からやってくる。
秋を迎える頃になると、その暖流の動きがちょうどイカ寄せの浜に流れ込む形となり、浜にイカが打ち寄せられてしまっていたらしい。
しかし最近では地球規模の気候変動で、秋の暖流の流れも以前とは変わってきていて、なかなか昔の様に暖流がイカを運んできてくれることは少なくなっている。 -
この由良比女神社だが、神社本体にもイカの彫刻が施されているという。
どこにある…という情報は事前入手していなかったので、必死になって探して…ようやく見つけた。 -
イカが彫り込まれているのは拝殿の天井付近。
前の写真の該当部分を拡大してコントラストを強調してみると、波間にイカが泳いでいる様子が分かると思う。 -
由良比女神社でイカ探しを愉しんだ後は、国賀海岸へと向かう。
西ノ島では由良地区を越えた地域には、観光客が飲み物や食べ物を買える所が殆ど無く、由良地区のこの写真のお店が多分この道での最後の1軒で、この先の道沿いには商店は何もなかったと思う。
西ノ島をサイクリングで巡ろうと考えていて飲み物や食べ物を持っていない場合は、このお店に立ち寄っておかないと途中で体力切れや熱中症になってしまう可能性が高い。
お店の名前を紹介したいのだが、お店の顔である看板がこの写真の状態なので名前は不明。
でも、これから自転車で西ノ島を旅する旅人の方は、是非この不思議な看板のお店を覚えておいてほしい。 -
イチオシ
国賀海岸への道はかなりの急坂。
普通のママチャリだったらかなり大変な坂道だが、この日の自転車は電動サイクル。
ちょっとはキツイが、それでも比較的楽に坂を漕いで行く。
坂を上る途中で、ビュー・スポットを発見!
有名な国賀海岸が見えてきた。国賀海岸 自然・景勝地
-
自転車は快調に走っていたのだが、突如、急ブレーキ。
赤い色の何かが、私の前を横切ったのだ。
現れた珍客は左右の鋏の大きさが異なるカニさん。
以前に屋久島で見た陸の岩陰で生息する蟹に良く似ている。
私が自転車を止め動かなくなると、カニも危険を察知したのかピタリとその横歩きを中止し、こちらをじっと見る。
どっちが先に動くか根競べ。
勝利の女神がほほ笑んだのは私。
カニは私が危害を加えそうにないとみるとゆっくりと動きだし、側溝の草むらの中に消えて行った。 -
先ほどの商店から登り坂をひたすら漕いで10分弱。
国賀海岸の絶景が見えるポイントへと到着した。
昨日、船から見た観音岩(蝋燭岩)の姿も見える。
多分、この場所が夕陽の時間帯の蝋燭岩の観測ポイントなのかも知れない。ローソク岩(観音岩) 自然・景勝地
-
水色の自転車カンムリウミスズメ号がこの日の私の愛車。
タイヤの空気もしっかりと入り、走りやすい自転車だったが、若干ブレーキが甘かったかも。(ブレーキの件は、自転車返却時に観光協会の方に報告済)
西ノ島はアップダウンが激しいので、特に下り坂でブレーキの利きが悪いのは大きな事故につながりかねないので注意しなければならない。 -
国賀海岸の展望台から海岸線を眺める。
海上から眺めるのとはまた異なる景色だ。
この時の時刻はまだ8時半ころ。
島に宿泊している団体ツアーもまだ動き出さないし、本土からの船もまだ到着しないので、島の中で動いている観光客は少ない。
だから、この美しい国賀海岸の景色も私で独り占め。
…の筈だったのだが、不意に背後から声をかけてくる人がいた。 -
声をかけてくださったのは、島在住のカメラマンさん。
少しお話をして、私がサイクリングで島を廻っていて、これから摩天崖(まてんがい:写真)へ登ろうと思っている…と話すと、思わぬ提案をしてくれた。
「良ければ、摩天崖の上まで車で送ろうか…」と。
それは、私にとっては思ってもいなかった申し出。
国賀海岸から摩天崖の上までは登りでは1時間以上かかり、さらに同じ道を下ってくるので往復2時間以上のハイキングとなる。
9月とはいえ朝の気温は既に30℃超えなので、山を登るにはちょっと辛い気象条件。
その登りルートをエスケープできるのならば、こんな嬉しい話はない。
基本的に私も女性という部類に入るので、知らない男性の車にはあまり乗らないのだが、カメラマンさんは悪いヒトには見えなかったので、その申し出に甘えさせていただく。 -
5分後、車は摩天崖の駐車場へ到着した。
先程、国賀海岸から眺めていた岬があんな遠くに見える。
実はこの日の午後に自転車でちょっとしたアクシデントがあり、此処で節約した1時間の時間が無かったら夕方4時半迄に自転車を観光協会へと返却できなかった可能性がある。
優しいカメラマンさんのおかげで上手く動けた1日。
カメラマンさん、どうもありがとうございました♪ -
摩天崖のエリアは、牛や馬の居住区。
人間がそのエリアに入り込む時には守るべきルールがある。 -
むやみに近づかない。
驚かさない。
触れない。
了解しました! -
柵を開け、すぐに後ろ手で鍵を閉める。
目の前に広がるのは、碧の草原地帯。
遠くに馬の姿も見える。
-
イチオシ
ゆっくりとした歩調で、馬を驚かせない様に草原を歩く。
親子の馬が一心不乱に草を食んでいる。
この馬たちにはオーナーはいるが、彼らが一生を過ごすのは西ノ島の草原の中。 -
彼らの生活スタイルは自由そのもの。
寝るのも食事をするのも草原の中。
崖の上をゆっくりとしたギャロップで走り、好きな時に食べ、好きな時に眠る。
脚にも蹄鉄の縛めは無く、ほぼ野生といっても過言でないような暮らし方をしている。 -
海からそびえ立つ断崖の摩天崖。
その高さは海抜257mで70階建てのビルに相当する。
下から見上げていた時、崖の上はもっと切り立った場所なのかと思っていたのだが、思いの外、広い。
まるで、テーブルマウンテンみたいだ。 -
摩天崖の上から国賀海岸方向を見下ろす。
うわぁ!
これは、凄い絶景。
船から見る西ノ島の岩肌とは全く異なる景色だ。 -
イチオシ
70階建てのビルから下を眺めているのと同じ高さなのに、この高さでも海の透明度がハッキリとわかる。
いったい、あの下の海岸線の海の水はどれだけ澄んでいるのだろう。 -
野生馬が暮らす天空の草原・摩天崖。
大地と海と空、そして朝の光が奏でる絶景の四重奏。
地球のカルテットだ。
この景色に会いたくって、私は西ノ島へとやってきた。
もう、感動しすぎてこの場から動けないくらいだった。摩天崖 自然・景勝地
-
馬のいる崖の上には、人間用のベンチもある。
まだ私以外には誰もいないので、ひとりきりの贅沢な時間。 -
ベンチに横になり、空を見上げる。
鳶が何羽も円を描きながら、天を舞う。 -
時折、草原へと急降下するのは、何か獲物となるモノを見つけた時なのだろうか。
日焼けするのも構わず仰向けで寝ころぶ。
直射日光が容赦なく顔を攻撃してくるが、自然の中にいるとそれすらも心地よい。 -
もし、台風が来ていないならば2日間をかけてゆっくりと西の島を巡るのに…と台風の襲来を恨みつつ起き上がる。
あんまり此処でのんびりとし過ぎると、後の予定が回らなくなる。
国賀海岸へと向かって摩天崖を下り始める。
下り道は緩やかな坂道。
今回の私の装備はNew Balanceのスニーカー。
ここ国賀海岸遊歩道を歩くのにトレッキングシューズは必要ない。 -
摩天崖の丘陵地帯を歩く時、気を付けなければいけないことがある。
それは、牛や馬さん達の落し物。
乾燥していれば上から踏んでもパリンと割れるだけだが、生乾きや出来たてホヤホヤの落し物には要注意だ。
写真は、牛さんの落し物。
どうでもよい知識だが、「馬は小判型、牛はトグロ型」の糞を残すと覚えておくと、サバイバルな状況に置かれた時に役に立つかもしれない。
もし、どこかで道に迷って遭難した時、小判型とトグロ型の乾いた糞を見つけたとしよう。
役に立つのはどっちだろうか。
時間は夕刻。
ポカポカとした日中の気温も日没と共に下がり始め、夜にはダウンが欲しいほどの冷え込みとなる。
ライターは持っているのだが、燃やす物が何もない。
このままでは凍死してしまうかも…という状況に追いやられた時に役に立つのがトグロ型の落し物。
あくまでも乾いた物であるという条件下だが、乾いた牛の糞は固形燃料となり、よく燃える。(モンゴルのゲルで、体験済!)
馬の糞は乾いても水分が抜けきらず、さらに熱を加えるとかなりの悪臭がでるので燃料にはならない。
サバイバルな状況に陥った時には、有用なのはトグロ型だ! -
歩いていると、彼方此方で馬や牛に出会う。
コチラの馬は食事中だったのだが、私が通りかかると警戒して顔をあげ、私の動きを観察していた。
良く見たら、馬の背後の草陰には小さな仔馬の姿。
お母さん馬は心配性だ。 -
一方、牛のお母さんは子供が傍に居ても我関せずで、お食事に集中。
-
イチオシ
仔牛たちはこちらの事が気になるらしく、私の動きに合わせてその首が左から右へと動いて行く
-
草原の中には小さな野草の姿も沢山あった。
この小さな花はオオヤマフスマ。
名前も知らない花が、あちらこちらでお花畑を作っていた。 -
Wendy's Eye Cameraの映像。
カメラを私の視線の位置に起き、歩く目線での前方を撮影。
空の中に向かって歩いているみたいだ。
台風が来ているとは思えないくらいの気持ちの良い青空と天気。
台風だから…と島旅を安易に諦めないで良かった。 -
イチオシ
半分位を下ったところで、摩天崖を振り返る。
海から垂直にせり上がる257mの断崖絶壁。
その崖の上に馬がいる風景。
その光景は想像以上にダイナミックだ。国賀海岸遊歩道 名所・史跡
-
道は基本的には下るだけなので、結構気儘に自分の好きなルートを歩ける。
ちょっと崖の方へと行って下の方を眺めると、火山性の地形である崖、そして浸食や風化によって崩れた海岸線の岩の様子が良く見える。 -
更にもう少し、崖の方へと寄ってみる。
ちいさな岩陰の海の青が輝いているのが分かる。 -
更にもう一歩、崖側へ。
海の水がすごく綺麗だ。
先程、摩天崖の上でカメラマンのオジサンに別れ際に「落ちないでね」と言われたのだが、きっとこういう事なのだろう。
摩天崖のトレッキングルートの崖の周りには、安全柵はない。
私の様に海の青さに引寄せられて崖の近くまで行き、落ちる…という事故もあり得そうだ。
摩天崖の火山性の溶岩は、赤い酸化岩と黒い溶岩のミルフィーユ状態で、更に火山性の岩は軽石の様にもろいものがあり、もしそのもろい部分が崖際に集中していたら…。
ヒトが乗った衝撃で、簡単に崩れてしまうかもしれない。 -
イチオシ
摩天崖を出発して約1時間。
写真を撮りながらゆっくりと歩いて、海岸線近くまで降りてきた。
そして、目の前には石虹の橋である大きく海へとせり出した通天橋の姿が現れた。
昨日、海上の船から見た通天橋の姿もカッコよかったが、陸上から眺めるその姿も迫力がある。
通天橋の様子を紡ぎだすと長くなってしまうので、西ノ島サイクリング編旅行記の第一弾は此処まで。通天橋 自然・景勝地
-
この日、自転車で走ったルートを西ノ島の地図に重ねてみると、こんな感じ。
1日で走ったサイクリング距離は、約44kmでその詳細は↓
別府港-国賀海岸 8.8km
国賀海岸-赤尾展望所 6.3km
赤尾展望所-鬼舞展望所 4.9km
鬼舞展望所-焼火(たくひ)神社 18.4km
焼火神社-別府港 5.2km
旅行記で紹介した区間の所要時間
別府港-由良比女神社 25分
由良比女神社-国賀海岸 15分
摩天崖-(ハイキング)-国賀海岸 60分
電動自転車を使ったサイクリング旅は、緩い上り坂ならばスイスイ登れて気持ちヨイ~のだが、旅の後半では電動であるが故のアクシデントが…。
そのお話は、また次回の旅行記で紹介したい。 -
【旅行記の最後に】
2016年の夏の終わりに訪れた鳥取・島根旅。
一週間前、その山陰地方を強い地震が襲いました。
私が滞在した隠岐地方も震度5の揺れ。
短かった西ノ島での滞在ですが、宿のおばあ様や車に乗せてもらったカメラマンの方、食堂のオジサンや観光協会の方、色んな方の親切に助けられて出来た旅でした。
地震で怪我をされてはいないだろうか。お家は大丈夫だったのだろうか。
摩天崖や国賀海岸の岩が崩れて、負傷された方はいなかったのだろうか。
ただの一介の旅人の私ですが、心配になってしまいます。
そして旅の最後に訪れた鳥取では、震度6の揺れ。
多くの方が被災し、避難をされていると聞いています。
地震の揺れが早く収まり、被災された方々が落ち着いて眠ることができる日々が1日でも早く来ることを祈っています。
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