はちのすけさんのクチコミ(83ページ)全3,564件

　江戸時代から現代にかけての生活用品などが多数展示されている。いわゆる民俗資料館だ。観光的に言えば、展示物もさりながら、この建物の方が興味を覚える人が多いかもしれない。明治時代に建築された尋常高等学校で、昭和47年まで小学校として使用されていた。

　日本の児童文化運動の父と呼ばれる鈴木三重吉。左側の碑には三重吉の胸像が飾られ、台座には自身が創刊した児童雑誌『赤い鳥』の表紙が描かれた。子供たちが腰かける右側の碑には三重吉直筆の言葉が彫り込まれた。像は広島県尾道市出身の彫刻家・圓鍔勝三の手によるものだ。三重吉は像がある原爆ドームから数十メートル離れたところが生家で、現在はエディオン本店が建っている。

　かつて一帯は原爆投下の影響で一面の焼け野原だった。そこから一帯をどんなエリアにするのか、先人たちは考えに考えたことだろう。その選択の一つが、子ども図書館であり、こども文化科学館だ。子供が楽しめる施設なのは言うまでもないが、前庭から見たこの建物がいい。紅葉に囲まれ童話的で美しく、とても豊かだ

　「あれはなんだろう」。ＪＲ広島駅北口から二葉の里へ向かうと、山頂に見える不思議なデザインの塔だ。原子爆弾の犠牲者の冥福を祈るとともに、人類の幸福と戦争のない世界の恒久平和を念願して近くのお寺と地元有志が1966年に建立したという。インドのネール首相から贈られた仏舎利一粒などが奉納されている。

　ＪＲ広島駅の北口側に広がる二葉の里歴史散歩道沿いにあるお寺だ。最初に目を引くのは威風堂々とした二重門の山門だ。少し高いところにあるので余計に威容が目立つ。両脇に仁王像が安置されている仁王門。本堂は江戸時代前期の築で、原爆の衝撃にも耐え抜いたいわゆる「被爆建物」だという。同じく被爆建物の庫裏とともに国の重要文化財だ。一見、新しい建築に見える本堂だが、少し違和感を覚えていた。後からわかったのだが、神社建築ではなく城郭建築の技法で造られているからだ。あまり高くない屋根に城壁は確かにお城のデザインだ。

　広島駅の北側の山ろくに広がる二葉の里歴史散歩道にある神社だ。名前の通り、徳川家康を祭る。広島藩主の浅野家が江戸時代に建立したが、原爆でほとんどを焼失。戦後に復興した。山の斜面にあり、通りから急な石段を上った所にある。日光東照宮で言えば陽明門にあたる唐破風の門が目を引くが、これは創建時からの残存建築物だという。

　池の中央に架かる縮景園のランドマークだ。1786（天明6）年に建築された花崗岩のアーチ橋。一度築いたが、藩主の命で一度取り壊し、再び架けたとの伝説が残る。造りは堅固で、原爆の衝撃にも耐えた。現地で聞いたが、橋を中心に東西の植栽、南北の造形が違っているという。子供みたいだが、渡るのがとても楽しい橋だ。

　原爆ドーム横にある新しいビルだ。一階では広島県の物産・土産物・雑貨販売を展開しており、おしゃれなレイアウトで広島県内各地の特産品を集約して売っている。問題は屋上の展望台だ。入場料が1700円と高額で、入るのに二の足を踏んだ。

　県立美術館の隣接地という街中にある庭園だ。ビルディングを借景とする、そう広くない池泉回遊式庭園だが、池の大きさ以上に沿岸からの景色が多数用意されており、凝った演出が施されているのが特徴だ。また、池中央を横断する太鼓橋のほか、各種の灯ろう、庵、茶室、あずまやなど装置も多く、飽きない。個人的には美術館と接続しているのがいい。散策で疲れても美術館のロビーという洗練された空間で癒せる。

　龍雲寺は山頂にそびえる曹洞宗の寺院だ。山門前に広がるエリアは池泉回遊式の公園として整備されており、訪ねた時は参道沿いの紅葉が鮮やかだった。伽藍は緩やかな斜面に広がっており、本堂を中心に回廊が巡らされ、本堂背後からは寺域全体が見渡せる。本堂内は参拝しなかったが、寺域の木々が美しいお寺だ。時期的に紅葉狩りとなったが、花見や青紅葉もきっと美しいだろう。

　浜田市にはゴルフ場が二カ所しかないが、この地域では老舗のコースだ。広々としているものの、山岳コースで攻略性は豊かだ。夏に回ったが、きれいなコースだ。コースまでのアクセスは山岳コースにありがちな道路の狭さはなく良好だ。

　浜田藩の密貿易を知った幕府が関係者を処分した「竹島事件」。その中心となった会津屋八右衛門の功績をたたえた碑だ。浜田藩の財政難を救うため、八右衛門は禁じられていた密貿易で利益を上げる。が、幕府の隠密で「間宮海峡」で知られる間宮林蔵の見つかるところとなり、八右衛門は処刑された。密貿易とはいえ、地元民にとっては義挙だけに昭和に入ってから地元の有志が建立した。海の男をたたえる碑らしく、すこし海岸線から突き出したところにある。

　浜田城跡の小高い丘に設けられた公園だ。城跡には護国神社のほか、島村抱月、司馬遼太郎らゆかりの記念碑が多数置かれており、浜田という街の歴史が垣間見えるような場所だ。春は桜の名所、秋は紅葉の名所として親しまれているという。景色もいい。ここから見る日本海は風光明媚だ。

　事前の下調べが足りなかったのだが、アクセスの仕方が難しい城跡だ。結局、街中に車を止めて歩いて上がった。あとからわかったのだが、自動車であれば商工会議所近くのアクセス道から護国神社の境内に向かえばスムーズだった。本丸付近に残存している石垣は見応えがある。意外だったのだが、海との距離だ。本丸の眼下にすぐに海があり、外堀のようだ。少し遠方には北前船の寄港地として日本遺産に指定された外の浦港が見える。陸からは平山城であり、海からは海城でもある。

　ＪＲ浜田駅前の広場にあるからくり時計。ヤマタノオロチの伝説を題材にした演目などのからくりが日中の毎正時に上演される。時計の愛称は子どもたちが石見神楽を「どんちっち」と呼ぶことにちなんだという。ただ、行った時は機械の調子が悪くストップしていたが。浜田市は石見神楽が盛んで、訪れた時も宴会の余興で上演されていた。

　海に突き出た岬の向こう側に広がっているので、行くにはトンネルをくぐることになる。が、このトンネルが少し雰囲気があるのだ。音がすごい。初冬だったので日本海は白波がたっていたこともあるが、波が押し寄せる「ザバーン」と波が引く「ザワーッ」がトンネル内部に反響して聞こえてくるのだ。さらにトンネルの入り口がスピーカーのホーンのように音が集約され、外に響いている。最初は何の音かと思った。が、トンネルを抜けると、別世界だ。遠浅の浜だが、畳ケ浦の名の通り岩が広がっているように見える。写真で見たほうがいい、不思議な地層が広がっている場所だ。

　「聖さん」の名で鳥取市民に親しまれる神社。初夏に市中を練り歩く神幸行列「聖さん」は、ここの大祭だ。千代川に近い住宅街にある神社で、商店街など町衆の信仰を集める。ニニギノミコトなど三神を祭っており、境内の社叢は古木が残されている。本殿・拝殿は江戸時代の建物で、豪華に配置された彫刻が印象的。県の指定文化財だ。

　『ふるさと』のほか『春が来た』『春の小川』『紅葉』など日本を代表する童謡唱歌の作曲家・岡野貞一の業績をたたえる記念碑。代表作『ふるさと』の楽譜が刻まれている。平成２６年にリニューアルされ、さだまさしやEXILE ATSUSHI、安田祥子＆由紀さおりの歌声など八つの音源が再生される音楽碑も併設された。碑は鳥取城址の入り口にあるが、近くにある久松小学校は岡野の母校。彼がオルガンを弾いた教会も市内にある。

　現代で言えば、経営再建のために派遣された出向先の会社が倒産し、自らに落ち度はないものの、その責任をすべて一身にかぶった悲劇の経営者、ということになるのかもしれない。像は新しいもので鳥取城があった久松山のふもとに昭和末期に立てられた。経家については秀吉の兵糧攻めに敗れた戦国武将ぐらいのイメージしかなかったが、現地の看板に刻まれた子供あての手紙文には胸を打たれた。「とつとりのこと　よるひる二ひやく日　こらえ候　ひゃうつきはて候　我ら一人御ようにたち　おのおのをたすけ申し　一門の名をあげ候　そのしあわせものがたり　おきゝあるべく候」。この手紙を読むと、もう少し注目されてもいい武将なのかとも思う。

　鳥取藩主だった池田家の墓所だ。８０近くの墓碑があり、国の文化財に指定されている。亀の形をした台座など江戸期の大名の墓として貴重な史料という。山懐深い場所にあり、紅葉の名所としても有名で、写真コンクールの舞台ともなっている。地元の人がボランティアで清掃するなど「墓守」をしている。