葛飾北斎『日進除魔図（宮本家本）』

2022/05/22 - 2022/05/22

80歳を過ぎ、信濃の小布施をたびたび訪問していた北斎は、逗留中に信州松代藩士の宮本慎より掛幅の制作を依頼され、「描いて送る」と約束して江戸に戻る。
だが、約束は守られないまま年月が過ぎ、江戸の藩邸に勤めることになった宮本慎助は、北斎の居所を数年かけて捜し訪問。

もちろん（と言っていいものか）、注文した掛幅は出来ておらず、娘・阿栄が掛幅の代わりに渡すよう北斎に提案し宮本慎助に贈ったのが、阿栄保管の200枚以上にわたる「日新除魔図」でした。

エリア 太宰府(福岡)

重要文化財
日新除魔図（宮本家本）
葛飾北斎 江戸時代・天保13～14年（1842～43）
九州国立博物館（坂本五郎氏寄贈）

全219枚が一般公開され、すべて写真撮影が可能でした。

北斎は83歳を迎えた天保13年（1842）から翌14年にかけて、ほぼ毎朝、厄除けのために獅子を日課として描いていました。

八月と九月だけ展示数が少ないです。北斎が描かなかったのか、阿栄が保存し損ねたのか、宮本家から誰かに譲渡されたのか・・・
暑くて描くのをサボったのかも。

88歳になった北斎が宮本慎助に渡す際、北斎直筆の「序文」・「宝珠図・」「長寿の薬方」の３枚が新たに加えられたそうです。　

描かれた除魔図を、娘の阿栄が集め保存していなければ、宮本慎助に渡されることも世に出ることもありませんでした。