2017/04/25 - 2017/07/19
179位(同エリア449件中)
おくさん
歩く歩く歩く2017 プリミティボの道2(2の5)
プリミティボの道5 欠けた Bodenaya - Campiello
6月23日
今朝のアルベルゲはお洒落に音楽と共に起床。元気なオーナーは朝からテンションが高い。みんなで朝飯を食べさせてもらう。昨夜から差し歯が不穏な動きをしていたので注意していたが、朝食を食べてる時にあっけなく欠けてしまう。2年前にもスペインで差し歯が取れてしまったことがあって、そのときは粉々になったので捨ててしまったが、今回は綺麗に折れたので、これは大事に持って帰って友達の歯医者さんで治してもらうことにする。でもまだ1ヶ月近くスペインにいるのに前歯が欠けた間抜け面で過ごさなくちゃならないのかー。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
- 交通手段
- 徒歩
- 航空会社
- エティハド航空
PR
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食事は二食ともあっさりだったので、ドナティーボには15ユーロを入れさせて貰って、7時40に雨仕様でスタートする。幸いなことにすぐ霧雨程度に変わってくれたので、このまま上がってくれると嬉しい。アルベルゲから少し歩くと昨日昼飯を食べた帰りに歩いた舗装路に出るが、巡礼路はここから脇道へと誘導している。でも、昨日の食事をしたバルで巡礼路と合流してるのが分かっているので、ここは舗装路を行ってしまおう。天気が悪いのでなるべく泥道は歩きたくない。
※お役立ち情報
ドナティーボのアルベルゲで高額紙幣しかないと寄付するときに困ります。お釣りを貰うのも何なんで、5や10の小額紙幣を常に持っていることをお勧めします。 -
昨日のバルの辺りがこの村の中心らしく、スーパーもあった。後で手製の地図を見返したら、このスーパーはアルベルゲもやっているらしいのが分かった。でも、この村には昨日の名物アルベルゲがあるので、ここに泊まる人は居ないんじゃないかな。
朝早いがこの店は開いていたので、少し買い物していくことにする。早朝なのに何人もの人たちが買い物しているので、出勤前に食べ物の調達をしているのかと想像する。行動食用にチョコパンとホワイトチョコレートを購入。店を出たところで昨日一緒だった体格のいいスペインおじさんと会ったので、何となく一緒に歩くことになった。おじさんと言っても年齢は私より10歳くらい下か。 -
巡礼路は舗装路を外れて村の路地に誘導されて行く。と、一軒の家から中型犬3匹が躍り出て勢い良く吠え掛かってきた。数歩前を歩いていたスペインおじさんはその恐ろしい姿に立ちすくんでしまった。行く手を阻まれて立ち往生、おじさんピーンチ。しかし元の舗装路に戻るには大分あるし、村の一本道なので脇へ逃げることもできない。これを進むしかないのはすぐ分かった私はスティックで威嚇しながら意味もなく口笛を吹きながら進むと3匹は後ずさりをしながら吠えている。おじさんは「おぉ」と感嘆の声を漏らして私の後ろに続き、犬を通り越すと今度はそそくさと私の前に移動する。犬は後ろを見せると危険なので後退しながらその場を抜ける。犬は縄張りを10mも離れれば追ってはこないので一件落着。おじさんはスペイン語で何やら言っているが、ペロ、ペロと言う単語が入っているので犬の扱いが旨いとでも言っているようだ。ペロは犬のことだから。
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スペインでは犬の放し飼いが本当に多く、村では犬を良く飼っている。私といれば犬に脅された時に助かると思ったのか、これ以降、ずっと二人で歩くことになった。実は私も歩いている中で一番のストレスがこの犬っころとの対峙だ。吠え掛かる犬には全て石をぶつけてやりたくなるが、いまだに実行したことはない。
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次の山村には立派な無料休憩所があった。へー、こんな小さな村なのに凄いなと感心する。スタンプも用意してあったので押させてもらおう。自販機も複数あるし温かい飲み物の自販機まである。それにテーブルもあってとても綺麗。宿が見つからずニッチもサッチも行かなくなった夕暮れにこんなのがあったら大喜びで泊まってしまいたくなるような建物だ。
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10時40分。次のTineoは大きな町だった。ここにもアルベルゲはあるが、予定どおりスルー。おじさんがバルに寄りたいと言うので付き合ってコラカオ1.3ユーロを頼み、持参のチョコパンを食べておく。コラカオは暖かい牛乳に小袋入りのココアの粉が一緒の皿に載せられて出てくるのが一般的だが、ここんちは大きなココア缶がスプーンと共に一緒に出された。日本的には喫茶店でココアを飲むのに、ココアの粉が小袋で出されて自分でミルクに入れると言うのもどうかと思うが、ここんちはそれを上回る手抜きに感心する。さすがスペイン。
おじさんはトスターダ(トースト)を頼んだが、上下半分にカットしてトーストしたコッペパンに塩とオリーブオイルの瓶が一緒に出てきた。ここんちではトーストに定番のバターやジャムは付かなかった。うーむ、手抜きもここまで来ると潔いな。でもここで休憩と腹ごしらえが出来たのでよかった。目的のCampiello村までは、山道をあと12.2kmなので残り3時間と言ったところか。時間としては理想的だ。 -
このおじさんとは長い時間を一緒に歩き、私の何ちゃってスペイン語に良く付き合ってもらえた。文法なんかに構っていると話はストップしてしまうし、手持ちのスペイン単語も幾らもないので理解するには想像力が必要だろけど、それでも二人して良くお喋りしながらの歩行は楽しいものだ。
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山道から舗装路に入り、次にあった村はたった一軒の家だけだった。その家の一歩手前に村を示す立て看があって、その家を過ぎた所に村の出口を示す斜線付きの立て看があった。どういう経緯でこうなったのか知りたいところだ。この辺りから前の晩で一緒だったスペイン人カップルも列に加わって4人で歩くことになる。
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Campiello(カンピエジョと読むのかな?)の村が見えてきた。村に入ると早速2軒のアルベルゲが目に入る。勿論私が目指すのは安い公営だ。大きなバル兼スーパーが受付らしいので半公営というところか。こういう時にスペイン人と一緒だと何かと具合がいい。チェックインはおじさんに全ておまかせ。宿代は5ユーロで巡礼定食が10ユーロで7時からと、受付のお姉さんの言ったスペイン語をおじさんが丁寧に通訳してくれるが、それも全てスペイン語って通訳になるんかな。合計15ユーロのお支払い。
おじさんと歩いている途中でお喋りしたことを受付のセニョーラにも言っているのが分かる。この人はセビージャから銀の道を歩き通してからプリミティボの道を歩いていると伝えているので、おじさんは私の代わりに自慢してくれてるようだった。
日記帳におじさんの名前を書いて貰う。Juan Prefaciファンと読むらしい。若干肥満型なので、膝を痛めているらしく長い急坂を下りるときには狭い道なのにジグザグで下っていたな。 -
ベッドルームは少し離れた別棟だった。トイレ・シャワー室は3つもあるしベッドの間隔も広くてとても綺麗。巨大な洗濯乾燥機があるが、これはきっと業務用。とても気に入ったがキッチンも食事するスペースもないのが玉に瑕だ。皿もコップもないのを確認してスーパーから生ハムと1リットルビールを買って来る。入口に一つだけあったソファーに座ってビールはラッパ飲みでハムは手づかみ。
大きなドイツのおっちゃんがチェックインしてきた。結局この大きなアルベルゲには私とスペイン人3人とドイツ人一人の5人だけだった。昨日のアルベルゲに泊まった5人の内、4人がここに再集合できたが、歌姫のモンセラットは手前の大きな町Tineoに泊まったらしいのをスペインカップルが教えてくれる。残念、また歌を聞きたかったな。
7時過ぎたので泊まった全員がバルに移動して夕食の始まり。まず出てきたのは大鍋に入ったスープ。これって私が良くやるインスタントスープとそっくりじゃん。スパゲッティの麺をぶつ切りにしたのが沢山入っている。私はこれを作るときには大して煮込むことはしないが、この麺はくたくたになっていたので、ここまで煮込んで食べるものなのかと新発見した。バルでインスタントを使うのはコスト的に無理だろうから、スペインにはこういうパスタブツ切りのスープが定番であるのかも知れない。 -
2皿目に出てきたのは、またも大きなフライパンに入ったパエージャ。米なのが嬉しい。もう2皿目なので後はないだろうと腹いっぱい食べる。でも日本のオジヤの方が何倍も旨い。これで終わりかと思ったら、まだ次があった。牛肉とポテトが大きなフライパンに載ってどっさり出てきた。これがメインだったのかー。もう腹いっぱいになってるので1かけらの肉と少しのポテトを食べてみただけで勿体なかった。
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デザートはドイツ人だけヨーグルトを食べているが、私のデザートを誰かが勝手にケーキと注文したらしく、大皿に盛られたケーキにも手をつけることができなかった。ヨーグルトが食べたかったよ。食べ残すなんて節約旅行者の私にはあるまじき行為。大失敗してしもうた。
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食後にスーパーの方に行ってファンタオレンジと干しブドウを一袋買う。干しブドウは2ユーロもしたらしい。ファンタオレンジは、コーラより炭酸が強くて旨いので良く買うようになってる。
今日は上り下りの激しい行程だったが24kmを歩き切ったので良く頑張りましたで賞を上げよう。高低表によると、明日はまた上り下りが激しそうなので16.2km先のPola de Allandeを目指すことにしよう。
プリミティボの道6 スペイングループ登場
Campiello - Pola de Allande -
6月24日
濃霧の中7時半にスタートするも、ほかのみんなは巡礼路と反対の方に歩き出した。え?自分が思ってたのと違うなぁと付いていくと昨日のバルで朝飯を食べるようだ。言葉が分からないから、そんな手筈になっているとは知らなかった。コラカオのグランデ2ユーロを頼み、昨日買っておいたパンを食べる。それで結局スタートは7時50とゆっくり目に。相変わらず今朝も雨支度での出発となる。 -
次にあった村のバルにも3人は寄っていくそうなので、余り金を使いたくない私は一人で先へ進むことにする。山が深くなった頃、山肌にそってU字型に曲がった先に巡礼者らしい人影が目に入る。どうやら二人組みが休んでいるようだ。近づいて行くと、インディラ、アストンだった。数日振りの再会なのでお互いに喜びあう。インディラはいつも愛想が良く、相方のアストンは優しそうでいつもインディラを気遣っている。インディラの英語は激しい鼻濁音なので、いつも「ら」行しか聞こえてこないがスペイン語で話すよりは通じるので楽しい。一緒に写真を撮ってからは二人の少し後を付いていくことにする。
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相変わらず上り下りの激しい山道が続いている。インディラは若干メタボ気味なので大変そうだが頑張って歩いている。荷物が大きすぎるんじゃなかろうか、体の3分の1位はありそうなバックパックを背負っている。それでもきっとアストンが重い荷物は持っているのだろうと想像するが無理をして膝を壊さなくちゃいいが。二人の邪魔をしないように、少し距離を置いて後ろをずっと付いていく。歩くのが鈍いインディラに合わせていくとこちらも楽だし。
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山の中から巡礼路は分岐していて、片方は更に山深い道になるオスピタレスを回るコースらしいが、歩いた人のブログではこっちに行って懲りたと書かれていたのでもちろん別のコースを選択する。歩くのがしんどそうなインディラ達も考えは同じようだ。昨日もホスピタレスへの分岐があったようだが、分岐は2カ所あるのかな?
次の村にポツンとあったバルでコラカオとトマトで1.5ユーロ。店の中にはほんの少しだけ食料を売っていた。インディラ達二人も寄って来て休憩とエネルギー補給をしている。バルのおばちゃんは田舎の素朴な人らしく感じが良かった。Pola de Allandeのアルベルゲまでは巡礼路なら5kmと教わるが、上り下りが多かったので1時間20分も掛かってしまった。時速3キロと言うところか。 -
山間の小さな町に入ってくると、すぐアルベルゲの看板が掛かっていて、脇道に入ると建物はすぐ見つかった。山の傾斜を利用して建てたのか、高い石積みの上にアルベルゲが乗っている。12時20に到着。扉は開いているが管理人はいなかった。このスタイルが一番好きだ。インディラ達は次のアルベルゲを目指すと言っていたが、上り下りで疲れたらしく、今日はここに泊まることにしたようだ。顔なじみがいればこっちも嬉しい。インディラが下段ベッドでアストンはいつもその上段を取っている。下段が他に空いていてもそのスタイルなので、決め事にしてるようだ。
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シャワーはしたけど洗濯はしないでおく。昨日洗ったのがまだ乾いてないので着る物が無くなってしまうから。生乾きの洗濯物だけ窓の外に飛び出た物干しに掛けておく。この物干しは日本にはないタイプで、スペインではたまに見かける。大きな蜘蛛の巣みたいな形で中心に支柱があり、ぐるぐる回しながら洗濯物を引っ掛ける方式。中心付近に掛けるのは窓から体を乗り出さないと掛けられないのでちょっと危険だ。いや、かなり危険。ここから落ちたら怪我では済まない。良くて病院送り悪くちゃその先だ。
町の中心に向かって10分ほど歩いた所にある小さなスーパーへ行って、2.5ユーロもする白ワインを買ってみる。アルコール度数15パーセントなので日本酒並なのが気に入った。ビンに入った豆があったので、これでスープを作ろう。他に6個入りカステラにクックテイルと言うナッツ1袋で8.43ユーロ。やっぱりワインが高かった。と言っても日本円なら400円もしないが、普段買っているのは1リットル1ユーロのワインなので、これでも高望みの方だわって想い出の九十九里浜か。 -
瓶詰めの豆をアルベルゲに置いてあったインスタントスープで温める。日本で食べる白い豆と同じ味がしたので同じ種類なのかも知れない。これに砂糖を加えれば完璧な甘い煮豆になる気がする。同じテーブルで食べだしたインディラ達にワインを勧めてみたが、今日は缶ビールと言うことでノーサンキューだった。ボトル半分も飲むと少し酔ってきた感じがしてきて気持ちがいい。全部は飲みきれないので蓋をして取っておき、後で誰かに飲ませてやろう。
3時頃、スペイン人の団体7,8人がどやどやと入ってくる。ひとしきりベッドを品定めしてから私の所にやって来て何か言っている。カマと言う単語が聞こえてくるのでベッドについて何か言っているようだ。ぴんと来ないでいると、完全メタボのおっちゃんが自分のバックパックの中に入っている機械を見せてきた。蛇腹の太いホースが見えたので、どうも電動の吸入器のようだ。このおっちゃんは喘息持ちなのか。そのためのコンセントが私のベッドにしか付いていなかったので、ベッドを交換して欲しいらしい。そういうことなら勿論OKだ。バレバレ(オッケーのこと)と言いながら気持ちよく交換してやることにする。私が取っていたベッドの隣と交換するらしく、そこの下段に陣取っていたメンバーのセニョーラも移動し始めた。上段ベッドでなく等価交換のつもりらしい。喘息のおっちゃんは両手を合わせて拝む仕草をしているので、スペインにも日本みたいな感謝の表し方があったんだなと思った。自分の子供にも喘息の子がいたと身振りだけで伝えてみるが通じたのかな? -
一番先に到着したアドバンテージで、コンセントがあって右チャック寝袋が使いやすいベッドを確保した積もりだったが、そういう事情なら譲るのが当然だろう。巡礼の道の魅力はそこなんだし。と書いていたところに歌姫のモンセラットが到着してきた。おっ、今晩も歌ってくれないかなと密かに期待する。モンセラットもスペイン人の団体がいたのでテンションが上がっているようだ。スペインにいるんだから当然だが、どこに行っても同じスペイン人がいるのは羨ましい。4月の25日に成田を出発して、もう2ヶ月間日本人に一人も会ってない。
夕方近くなったらインディラ達がWi-Fiしに行こうと誘ってくるので付いて行く。バルは歩いて5分くらいか。ギャエレに教わったティント・デ・デラードを注文したら通じなくて、ファンタと言ったら通じる。ギャエレに教わった名前は違ったのかな?出てきたのはちゃんと赤ワインにファンタが入ったものだった。小さなコップだったので、たったの0.5ユーロ。これだって一応アルコール飲料なのに、それが60円ほどで飲めるスペインは素晴らしいな。インディラ達にモンセラットがユーチューブで歌っている所を見せてあげる。 -
暫くバルで遊んでアルベルゲに戻ったら、モンセラット達が食事中だったので、半分残った白ワインを勧めたら飲んでくれた。遅くチェックインして来たバルセロナから来たというおじさんにも勧めたら、これはワインではなく何とかだと言っているが、何を説明しているのかさっぱり分からん。それでアルコール度数がワインより高めだったのかなと想像する。甘いものと一緒に飲む物らしく、おじさんはベッドルームに戻って胡桃や甘い豆を持ってきて、モンセラットも小さく切った菓子を持ってきてくれる。こうやって飲むのか。でもやっぱりショッパイ物の方がツマミには合うな。
プリミティボの道7 やっちまった Pola de Allande - Berducedo
6月25日
スペイン人の団体は早起きだった。まだ5時なのに全員が出発準備で行動し始めた。勘定してみたら8人の大所帯だった。ソロで後からやってきたモンセラットも合流したようで一緒に起きだしている。みんなテンションが高く賑やかだがフレンドリーなので楽しい。今日はこの人たちに付いて行こうと勝手に決める。
キッチンで何か食べていると、6時なのにもう出発するようだ。自分も急いで出発の用意をして後を追うことにする。いつもは忘れ物をしないように少し明るくなってから慎重にパッキングするのだが、今日ばかりは急いで準備をしたために悔いの残る結果となるが、それが判明するのは今日の夕方だ。 -
外はマックラ。急いで後を追うも、やっぱり急いでやったパッキングが心配なので貴重品だけチェックするために街頭がある所でバックパックを下ろして改める。パスポートなどの貴重品は間違いなくあるので安心したが、その間にまた離されてしまったので暗い道を急ぎ足で後を追う。
小さな町なので、ぽつぽつあった街灯もすぐに無くなって自分のライトだけが頼りになる。スペイングループに追いつこうと足早に黙々と歩いて行く。8人グループと思ったが、一人加わったらしく、私を入れて合計10人の団体になった。これなら放し飼いの犬が何匹いてもへっちゃらなので、とても心強い。 -
一人、ものすごくテンションの高いおっちゃんが居て、やたらと話しかけてくる。日本人が珍しいようだ。あまりにテンションが高いので最初は少し警戒していたが、普通に楽しいだけの人のようだ。
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道は益々山の中に入っていくが、これだけの団体なので何の心配もいらない。こんな山深い中を一人ぽっちで歩かなくて良かった。いつもは殆ど一人で歩いているが、大勢が一緒だと改めて安心して歩けることに気が付く。
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途中、休憩を挟んだりしながらぐんぐんと高度を上げていく。2時間近く歩き、上り坂が急になったところでみんなが遅れだしたので、そこからは一人歩きになる。
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すっごい霧の中、狭い山道に牛が通せんぼをしていた。おまえ野良牛か?牛は人間が近づくと離れるまでじーっと見ているのが特徴だ。基本的におとなしいが何かの拍子に蹴られたんじゃたまらないから1m離れた所を迂回してやり過ごすと、また1匹いる。牧場でもないこんな山の中にいる牛って何なんだろう。
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ぐんぐん上って行くと霧は益々濃くなってくる。今度は霧の中に大型のテントが出現した。え、これ何?中にも外にも人がいないので、もしかして巡礼者の緊急避難用?それくらいしか思いつかないが実態は不明。そこを過ぎると、どうやら頂上になったらしく、原っぱのような所に出た。どういう訳か、霧が立ちこめる中にテーブルがあって、上に水らしきボトルを並べて女性が二人立っている。なんか意味不明だし気持ち悪いな。これも巡礼者のために?でも滅多にやって来ない巡礼のためと考えるのはかなり無理があるだろう。いったい何なんだろう。
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そのまままっすぐ歩いて行くと、今度は男の人から「そっちはカミーノじゃないよ」と声が掛かった。霧の中を目を凝らしてみると、確かに離れた所に巡礼の道標が立っているのが見えた。人がいて教えてもらったから良かったものの、こんな濃霧の山奥で間違った方に進んで行ったら遭難ものだ。それにしてもこんな所に何で人がいるんだろう?
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峠を越えて下りだすと青空が広がっていた。今の今まで濃霧の中を歩いてきたのに何てぇ天気だ。後ろを振り向くと相変わらず凄い霧が渦巻いているが上の方にはこんな青空があったのか。あの中を突き抜けて来たんだなぁと写真を撮っておく。まるで映画インディペンスデーに出てきた高密度の雲のようだ。映画ではあの中から巨大な円盤が出てきたな。
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今度は急な下り坂が待っていた。上りより下りのほうがよっぽど危険だ。スティックを使いながら捻挫しないように慎重に降りて行く。すると後ろから何やら人がやって来る気配が。なんとその人は走って急坂を下りてきたのだ。え、えぇぇぇぇ!軽装どころか何も持っていないから巡礼じゃないのはひと目で分かった。おまけにやって来たのは一人じゃなかった。その後もドカドカと走り下ってくる人が何人も続いてきたのだ。それでやっと山岳マラソンをやっているのだとわかった。頂上に居た人たちは水の補給係だったのか。と言うことは霧の中のテントは中継本部か何かだったようだ。テントの謎がやっと判明した。写真右に写っている青いリボンはマラソンコースの印らしく、そこかしこに立っていた。
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下る途中には舗装路が横たわっていた。ここを車で来ればテーブルやテントも運べたのか。舗装路を横断した先に飛び出た岩棚があって、そこに昨日のアルベルゲでベッドを交換してあげたフリアンが待っていた。フリアンは喘息もちなので、舗装路を歩いてきたらしい。顔に似合わず愛想のいい男で、やたらとスペイン語で話しかけてくる。そのうち、スペイングループも追いついてきて、この棚でみんな休憩しだした。
一息ついた私はまた一足先に出発することにする。少し下ると熊笹みたいのが生い茂る分岐にマラソンの係がいて、ランナーが間違った方に行かないように誘導していた。巡礼路はまっすぐ、マラソンコースはそこから左の谷底へ下っていた。自分的には濃霧の中をすっごい山越えして冒険してる気分だったのに、そこにマラソンの誘導係がいるとは気が抜ける気がした。 -
この辺りがプリミティボの道、最大の山場のようだ。文字通り山だし。眺めの良さも最高潮。暫く下っていくとオール石つくりの素朴な集落が現れるが、人の気配はない。でも首輪の無い犬が日向ぼっこをしているので無人の村でもないようだ。後ろを振り返ると、さっき越えてきた山が見えている。こちら側は晴れているが、越えてきた向こう側は相変わらず濃い霧で覆われている。あそこを越えて来たんだなぁと何だか感慨深い。この写真がプリミティボの道で一番の景色になった。
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道があるような無いような、時には藪を掻き分けるようにしながら山の中を歩いて、やっとLagoの村に辿り着いたが、期待していたバルは日曜で休みだった。コーラが飲みたかったのでがっくし。ここからは舗装路歩きとなる。
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Berdusedo村の入口に公営のアルベルゲがあった。11時45着。スタートが6時と早かったので午前中に到着できた。オスピタレラは既にやって来ていて、でも12時のオープンまで入らせないらしい。時間になったので一番乗りで好きなベッドを取ってシャワー・洗濯をする。建物はかなりボロく、トイレ・シャワーは男女混みで1つしかないが泊まるには十分だ。
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後から巡礼がやって来るが、誰もこのアルベルゲにはチェックインしないで前を通り過ぎて行く。察するに、どうもこのアルベルゲは良くないと言う情報が流れている気がする。実際その通りだし。近くには私営のアルベルゲが複数あって、そっちは多分綺麗なんだろう。私営10ユーロでここは5ユーロだ。差額の5ユーロで食料が調達できることを考えれば少しくらい設備が落ちてもそのほうが有難い。モンセラットやスペイングループもやって来たが近くの私営に流れていった。やっぱりね。
近くの商店兼バルに買い物に行く。そしたらそこの女性オーナーはアルベルゲの管理人だった。ここんちが公営を管理していたのか。大きな肉団子の缶詰を買って開けようとしたら、パッカンじゃなくて缶切りが必要なタイプだったので百均で買ってきたナイフの出番がやって来た。でもこのナイフ付属の缶切りはヤワで使い物にならなかった。百均は安くていいが、たまにはこんな憂き目に会うことがあるんだな。アルベルゲにも缶切りはないので、さっきの店に缶持参で行って手まねで缶を開けてくれるように頼むと、奥に持っていって開けてくれる。スペインで幾つも缶詰を買ったが、パッカンでないのは初めてだった。まさか十数年前の売れ残りじゃないだろな。キッチンで温めてから食べてみると、肉団子は塩っぱ過ぎるので、このままスープにでもするのか?体に悪そうな塩辛さなので汁は捨ててしまう。
前の道端にタワワに実っているサクランボをバルのおかみさんと、どっかの爺ちゃんがバケツにいっぱい取ってたので、いなくなってから一つ取って食べてみたが、想像に反して酸っぱいだけだった。サクランボじゃなくてユスラゴのようだがハッキリしない。
夕方、歯磨きをしようとしたら歯ブラシを入れて置いた筒が見当たらない。ここに到着したとき、バックパック底部の同じポケットに入れて置いたサンダルを出しながら転がり出てしまったかと思い、付近を捜してみたが見つからない。到着してサンダルを出した時にも筒は確認はしていなかったことも思い出した。筒の中に一緒に入れて置いた電動歯ブラシは仕方ないとしても、銀の道の巡礼証明書と距離証明が入っていたので、それを無くすのはちょっとショックだ。今朝のアルベルゲを出発するときに、スペイングループに追いつこうと急いでパッキングしたとき、サンダルを底部のポケットに入れたので、そのときに丸い筒なので転がり出た可能性が高い。いつもは忘れ物が出ないように必ず慎重にパッキングするのだが、唯一今朝だけは急いでしまったのが、そのまま悪い結果として現われてしまった。がびーんもいいとこだ。 -
銀の道は今まで歩いた中で多分、最難関と思われる道だし距離も1,007kmと最長だったので今までは買ったことのない距離証明書まで手に入れたのに、その両方無くしてしまった。でも、パスポートやクレカなどの本当の貴重品をなくした訳じゃないからまだ良かったとしよう。もしかしてサンチャゴの巡礼事務所で頼めば再発行してくれないかと、google様の翻訳を使って依頼のためのスペイン語を作って保存しておく。それでダメなら諦めるしかない。銀の道の各地でスタンプを集めたクレデンシャル(スタンプ帳)はあるので、こっちの方が証明書より価値があるんだと自分に言い聞かせる。
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アルベルゲに若者グループが入ってきた。これがまた騒がしい連中で、男女混合だから更にはしゃいでベッドルームで大騒ぎ。若者は一人二人だと大人しいが、束になると総じてこうなってくる。むかつくのが顔に出てきていて若者と目があってもニコリともしない。
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