サブスクで行く横浜散歩　＃１関内

2020/07/12 - 2020/07/12

サブスクとはサブスクリプションの略で、「有限期間の使用許可」を意味します。古稀を迎え、私にもいよいよ横浜市の敬老特別乗車証（敬老パス）が交付されました。収入に応じた定額負担金で、市営バス・地下鉄、金沢シーサイドライン、市内民営バス路線などが利用できます。

コロナ騒ぎで旅行もままならないご時世、このパスを目一杯使って、横浜市内を探訪してみようと思い立ち、不定期ですがシリーズで旅行記をアップすることにしました。

現住所に居を移してから28年間ずっと横浜市民ですが、田園都市線沿線住民はいわゆる「横浜都民」、視線はいつも東京に向いていました。横浜駅周辺に２年間勤務したことはありますが、それでも自宅と会社の往復ばかりで市内のことは意外に知りません。この機会に新しい横浜を発見できればと期待しつつ、横浜散歩を始めようと思います。

シリーズ第１回は、幕開けに相応しく横浜の中枢、関内周辺からスタートです。

エリア 横浜(神奈川)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.0
• グルメ: 3.5

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 高速・路線バス 私鉄 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

これが敬老パス。これ１枚あれば追加交通費ゼロで横浜市内を縦横に動き回れる魔法の絨毯。自宅から最寄駅までのバス移動もパスモフリー、年金生活者は大助かりです。

というわけで、横浜市営地下鉄始発のあざみ野駅。

あざみ野駅 駅

日曜日のこの時間、車内はガラガラ。コロナの影響もあるのでしょうか？

桜木町駅で下車。改札口を出たところに臨時の観光案内スタンドがあったので、市内地図を貰い、出口の方向を尋ねます。行きたかったのは新市役所です。

桜木町駅 駅

こちらはJRの桜木町駅。

これが横浜市の新市庁舎。今年１月末竣工、６月末より全面供用開始。
地下２階、地上３２階、塔屋２階、最高高さ約155メートル。納税者としてしっかり確認しておきたかった。

水辺デッキからみなとみらい方面の眺め。

日曜日なので、館内で入れるのは２階部分だけ。

高層部は市役所執務室、中層部は市議会、低層部は市民利用・商業施設だそうです。

アトリウム

観光周遊バス「あかいくつ」が待機していたので、運転手に尋ねると敬老パスは使えない、と。

市庁舎隣の横浜アイランドタワーのファサードは、旧第一銀行横浜支店のバルコニー部分。

次に訪れたのは神奈川県立歴史博物館。入場料シニア100円。

神奈川県立歴史博物館 美術館・博物館

建物は旧横浜正金銀行（現・三菱UFJ銀行）本店本館。国の重要文化財です。

屋上部分に八角形のドームを持つネオ・バロック様式だそう。

３階はテーマ１「古代」。縄文土器や

甲冑

埴輪

土師器と須恵器など、興味深い展示が並びます。

テーマ２は「中世」。
東国武士団や鎌倉新仏教などの動きが紹介されます。
興味深い展示が並びますが、ほとんどが写真撮影禁止で残念。

２階はテーマ３「近世」、ここも写真撮影禁止が多い。
神奈川県域にあった東海道の宿駅や箱根関所絵図など。
「えっさえっさ　えっさほいさっさ」で有名な『お猿のかごや』の童謡に登場する小田原提灯がこういうものだったとは知りませんでした。

テーマ４は「近代」。横浜開港と近代化の資料が並びます。
江戸内湾防備の大砲。

ウィリアムス女史日本旅行記念蒐集資料　明治30年（1887年）。
「欧米の富裕層では、世界一周旅行がブームであった。そのうちのひとりであったアメリカ人女性ウィリアムスは、横浜グランドホテルに滞在し、神奈川県が発給したパスポートを手にすると、日光、箱根、伊勢、京都などを巡り、龍の木造彫刻や刀などの美術品を購入し、長崎から日本を離れた。」（資料説明書）とあります。

横浜居留地の模型。

五箇国之内　英吉利人

テーマ５「現代・民俗」

相模人形芝居

横浜正金銀行で使用された洋式大秤など。
振り返ると、鎌倉幕府や黒船来航など、歴史の節目節目に重要な役割を果たしてきたのが、横浜であり、神奈川であることが理解できます。
入館してちょうど１時間、期待以上に見応えのある展示でした。

引き続き街歩き。
横浜第二合同庁舎、1926年（大正15年）建築の旧横浜生糸検査所です。

横浜第２合同庁舎［旧生糸検査所］ 名所・史跡

日本郵船歴史博物館、シニア300円（氷川丸と共通入場券）。
創業前のペリー来航から現代まで、日本郵船の歴史が展示されています。

横浜郵船ビル 名所・史跡

館内は撮影禁止ですが、片隅で開催されているヨコハマトリエンナーレのこの展示はOKということなので、建物内装の記録のためにパチリ。

海岸通りの眺め。

神奈川県警察本部。事件が起きるとニュースなどでお馴染み。

その隣のこのモニュメントは、三菱倉庫の支店事務所・倉庫跡地です。今はパトカーの駐車場。

横浜税関。コロナ対策で玄関が閉ざされ入館できません。

横浜税関本関庁舎 名所・史跡

みなと大通りを南進、横浜市開港記念会館です。

横浜市開港記念会館 名所・史跡

1917年（大正6年）竣工。横浜開港５０周年を記念し、横浜市民からの寄付を募り建設された記念建造物だそうです。国の重要文化財。

コロナウイルス感染防止対策のため一般人の見学・館内撮影は当面中止とのことですが、せっかくなので三密にならない範囲で見学させていただきました。というか、誰もいない。

趣のある中央階段ホール。

とりわけステンドグラスが素晴らしい。

２羽の鳳凰の間に横浜市章の「ハマ菱」。

ステンドグラスは、宇野沢組ステンドグラス製作所の作品です。関東大震災により焼失しましたが、1927年（昭和2年）、当初のものを尊重して復旧されました。我が国のステンドグラスの歴史上、非常に価値の高い作品として評価されているそうです。

これも、

これも。
黒船ポーハタン号来航の様子を題材としたステンドグラスです。1854年（嘉永7年）ペリーはこの船を旗艦として来航、日米和親条約を締結しました。

資料コーナーは閉鎖されていましたが、通りがかりの職員の方がわざわざ鍵を開けて見せてくれました。

大正レトロの内装。

こちらは南玄関ホールの階段。好奇心をそそる興味深い建築でした。

ちょうどお昼時、うなぎを食べようと老舗のこの店を訪れましたが、案の定、店内は長蛇の列。諦めます。

伊勢佐木モールを通り過ぎて、向かったのは、

丿貫（へちかん）福富町本店です。横浜市のラーメンランキング６位。

丿貫 福富町本店 グルメ・レストラン

９人目に並びましたが、15分ほどで入れました。

店内は９席。

煮干そば 800円
他に例を見ない強烈な煮干し風味。ローストビーフのようなチャーシューが美味しい。

かつては進駐軍のカマボコ兵舎が並び、返還後は横浜でも有数の風俗・歓楽街となったディープな福富町には、今でも足を踏み入れにくい印象がありますが、すぐ近くにはグルメサイト評価４超の高級焼鳥店も並んでいます。年金生活者には敷居が高いけど‥。

街歩き再開。横浜で唯一足繁く通った場所、横浜スタジアムです。

横浜スタジアム 名所・史跡

野球でなく、アメフトの観戦ですが。

対面の旧市庁舎は解体待ちでしょうか？

ブラントン胸像
「1868年（明治元年）政府の招聘により来日した英国人土木技師R・H・ブラントンは、（中略）日本沿岸各地に灯台を建設する一方、（中略）日本大通りや横浜公園の設計を行うなど、近代的なまちづくりに大きな足跡をのこしました。」（案内板）

横浜公園 公園・植物園

横浜公園から海岸にまっすぐ伸びるのは日本大通り。

日本大通り 名所・史跡

旧横浜地方裁判所

横浜地方 簡易裁判所(旧横浜地方裁判所) 名所・史跡

「新聞少年の像」が立つ建物は、ニュースパーク (日本新聞博物館)です。

新聞少年の像 名所・史跡

大きな輪転機のモニュメントがあります。入館料400円は高いので中には入りません。

日本新聞博物館(ニュースパーク) 美術館・博物館

建物は旧横浜商工奨励館。
関東大震災でこの地にあったアメリカ領事館が全焼し、その跡地に横浜商工業界の復興拠点として1929年（昭和4年）建設されたそうです。

横浜情報文化センター(旧横浜商工奨励館) 美術館・博物館

３階の旧貴賓室。

昭和天皇も開館日に来浜され、休息されたそうです。

さらに進んで神奈川県庁。関東大震災後の1928年（昭和3年）完成。
一般公開は、コロナウイルス感染防止対策で当分中止。

神奈川県庁本庁舎 名所・史跡

ただし、トイレを借りるために入ることはできます。

守衛さんに伺うと、日曜日のこの日も黒岩知事はコロナ問題のテレビリモート出演のため、朝一番に登庁された由。

「神奈川県内務部（成富又三）により設計され、建築顧問として佐野利器が迎えられた。昭和初期に流行した帝冠様式が取り入れられている」（Wikipedia）そうです。
重厚な建物です。

港の桟橋に到着。

大さん橋には飛鳥Ⅱが係留され、一気にテンションが高まります。

横浜港大さん橋国際客船ターミナル 名所・史跡

クルーズ船を間近で見るのは初めて。

地中海クルーズを予約したことがありますが、てるみくらぶの破綻でお流れ。

全長241m、総トン数50,444トン。
この環境下で経営は大変そう。

対岸に停泊しているのは海上保安庁のしきしま型巡視船「あきつしま」。

長引く梅雨の貴重な晴れ間。この時とばかりにあちこちで結婚式の記念撮影が行われています。

ベイブリッジの遠望。

大さん橋国際客船ターミナルは2002年に完成。
「設計は、国際コンペ660件の応募から、アレハンドロ・ザエラ・ポロとファッシド・ムサヴィの設計が選定された。（中略）建物2Fや屋上床はブラジル産イペを使用したウッドデッキになっており、さらに天然芝の緑地を設けてある。接岸船舶からの眺望や周辺空間の眺望を遮らないことを考慮し、比較的低層構造となっている。」（Wikipedia）
近年の日本の建造物の中では出色の素晴らしさ。新国立競技場もザハ・ハディド氏案をそのまま採用しておけば良かったのに。

出入国ロビーに展示された客船模型は、あのダイヤモンド・プリンセス号。つくづく縁が深い。

30分ほど見学して次の目的地、氷川丸に向かいます。

街角ではジャズのライブ演奏。

山下公園に入ります。
思い思いに寛ぐ人々。ソーシャル・ディスタンシング。

山下公園 公園・植物園

インド水塔
関東大震災の際に、横浜市がインド商人をはじめとする外国商人の救済措置を積極的に講じた返礼として、インド商組合から寄贈されたものだそうです。

インド水塔 名所・史跡

赤い靴はいてた女の子像
野口雨情作詞・本居長世作曲で発表された童謡『赤い靴』の歌詞をイメージして1979年（昭和54年）設置されました。

横浜では、実在した「メリーさん」の方が有名です（詳しくはネットでお調べください）。

赤い靴はいてた女の子像 (山下公園) 名所・史跡

氷川丸
日本郵船が1920年にシアトル航路用に建造した貨客船です。国の重要文化財。

氷川丸 名所・史跡

船内見学はたしか２度目だと思いますが、前回の記憶は全くありません。やはり写真を撮り、旅行記に記しておくことが大切です。

一等児童室

一等食堂

一等社交室

同じく。

内部階段

階段ホールのステンドグラス。

一等喫煙室

一等客室

一等特別室

スイートルームになっています。
チャプリンなど各国の貴賓や著名人が利用しました。

ブリッジ

操舵室

操舵室から船首の眺め

船長室

屋外デッキ

機関室

機関室下部
なるほど。

白灯台
横浜港山下埠頭側の内防波堤に1896年（明治29年）設立。1963年（昭和38年）に現在地に移設されるまで、船舶の通行標識を務めました。赤灯台（横浜港北水堤灯台）とペアで使用されていました。

これで氷川丸の見学を終了。朝９時４０分から炎天下を歩き続けて５時間、もうくたくたで足が攣りそう。

これ以上歩けないので、山下公園前バス停から市バスに乗ります。

海岸通りの車窓から横浜税関が見えます。

桜木町駅前バス停で下車。
桜木町ぴおシティ（地下街）の立ち飲み居酒屋に唆られますが、帰路を急ぎます。

桜木町ぴおシティ ショッピングモール

横浜市営地下鉄ブルーラインあざみ野行き。本日の横浜散歩はここまで。

桜木町駅 駅

歩数は21,207歩、13.4km。疲れましたが熱中症にならなくて良かった。

この旅行記へのコメント （6）

• salsaladyさん 2021/04/30 10:43:13

  関内今昔～

  ☆横濱には些か関わりも有り、旧市庁舎を解体？と驚いたり～神奈川県庁が健在で又驚いたり!（学生時代の春休み？県庁でバイトした頃からかなり古い建物!それに引き替え、市長舎は当時近代的な市長舎として市民に愛されてた世!）関内駅前～
  
  ☆当時通ったクリスチャンの教会跡がYOKOHAMA STADIUMに為ったときもショックでしたが､そんなことを覚えている人は少ないでしょう｡カソリックとプロテスタントが両翼に有って、プロテスタント側の聖歌隊に参加してた私は東京へミュージカルをミニ連れて行って貰ったり､豪華なディナーをご馳走になったり優雅な学生時代～
  
  ☆今や近代的になりすぎて､”ニューグランドホテル”しか懐かしさが味わえない！
  
  ☆歌は世に連れ～でなくて、街も世に連れ～ですね。

  beanbagさん からの返信 2021/05/31 07:26:58

  RE: 関内今昔?

  salsaladyさん
  
  コメントありがとうございます。お礼が遅くなって申し訳ありません。
  
  昔の横浜をよくご存知のようですね。私が横浜に転居したのは29年前ですからそれほど古いわけではありません。しかも、青葉区都民でしたから西区や中区に出かけることは滅多にありませんでした。
  
  確かに、昔を彷彿させるのはニューグランドくらいかもしれません。そのニューグランドも20年ほど前に行ったきり。当時ですら設備の老朽化が目立って、続々と建つ新しいホテルとの競争で苦戦しているようでした。
  
  旅行記には書きませんでしたが、１年前の横浜散歩でニューグランド前を通りがかったとき、ホテル前にアメ車のクラシックカーがずらりと並んでいました。しかし、周りの面々を見渡すと明らかにその筋と思われる人ばかりで、怖くて写真すら撮れませんでした。
  
  横浜の魅力は、時代に合わせてどんどん変化していくことかもしれません。みなとみらいの発展ぶりには目を見張るばかりです。
  
  これからもよろしくお願いします。
  
  beanbag

• travelさん 2020/07/20 11:36:26

  旧市庁舎は懐かしいです。

  beanbagさん、桜木町から大桟橋までの旅行記を懐かしく見させていただきました。
  私も関内駅から大桟橋までを歩いたり、桜木町でショッピンをしていたのでとても懐かしいです。
  横浜旧市庁舎も良く立ち寄ったのですが解体されるのですね。
  当時の風景は今でも思い出されます。
  
  チベットの旅行記に訪問頂き有難うございます。
  標高が高いので過酷でしたが風景が素晴らしく何時何時までも記憶に残る旅となりました。
  
  

  beanbagさん からの返信 2020/07/23 18:51:53

  RE: 旧市庁舎は懐かしいです。

  travelさん
  
  コメントをありがとうございます。
  
  一時期、上大岡にお住まいだったのですね。横浜は広いようで狭く、狭いようで広い街です。
  まだまだ知らないところがいっぱいあります。時間をかけて回ってみたいと思います。
  
  スケールの大きなチベット旅行、羨ましい限りです。成都までは仕事で行ったことがありますが、その先はとてもとても。美しい写真を拝見して、行った気分に浸ります。
  
  次はどこにいらっしゃいますか？楽しみにしています。
  
  beanbag

• たらよろさん 2020/07/14 22:53:43

  異国情緒☆

  こんばんは、beanbagさん
  
  フリーパスを使って、交通費無料であちこち。
  やっぱり、元気だと良いですね。
  私も還暦を迎えるときに、こうしてたくさん歩ける足をしっかり保っていたいな。
  
  それにしても、横浜は、流石に異国情緒たっぷりで…
  建造物が本当に欧州。
  ステンドグラスも美しく、港横浜に大きなクルーズ船が絵になるなぁ。
  のんびりと、ソーシャルディスタンス！！
  芝生公園で思い思いに過ごすのも素敵な時間ですね。
  
  たらよろ

  beanbagさん からの返信 2020/07/15 15:07:20

  RE: 異国情緒☆

  たらよろさん
  
  コメントありがとうございます。
  いつも優雅で素敵な旅行記を楽しみに拝見させていただいております。
  
  コロナ騒ぎでしばらく近場をうろうろするしかなさそうですね。
  ステイ京都を拝見していると、京都にはいろいろ美味しそうなお店が多くて羨ましいです。横浜はそういうお店は少なくて、グルメランキング上位はラーメン店が大半を占める惨状です。
  私も学生時代の４年間は京都で過ごしましたが、当時はグルメとは無縁の生活です。行きつけは「餃子の王将」ですから（汗）。
  
  これからも旅行記を羨ましく拝見することになると思いますが、よろしくお願いします。
  
  beanbag