2019/09/18 - 2019/10/03
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jijidarumaさん
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レムゴーの町は日本人にはあまり知られていない。
ここはハノーファーにも近く、かつて(1975年)ハノーファーの見本市に機械部門が出店した事があって、お味噌汁とおにぎりを陣中見舞いに持参し、帰る途中にこの町のHotel Stadtpalais Lemgo、D-32657 Lemgo 、Papenstrasse 24シュッタトパレスという古城ホテル(4星・全8室)に泊まり、ここを観光して帰ってきました。
写真は宰相の泉のブロンズ像
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- レンタカー
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
Lemgoレムゴーはノルトライン・ヴェストファーレン州リッペ郡(オストヴェストファーレン・リッペ地方)の大学都市であり、人口約 41千人の中都市である。
北にMindenミンデン(29km)、西にBielefeldビーレフェルト (25 km)、南にDetmoldデトモルトとPaderbornパーダーボルン (36 km) の各都市がある。
レムゴーは1190年頃にその北西方向の乾燥した土地にBernhard II. zur Lippeベルンハルト2世・リッペによってLippstadtリップシュタットと共に創設された。2本の重要な中世の交易路が交差する場所であった為に発展し、長い間Lippeリッペ伯領内最大で最も重要な都市であった。
写真はドイツ・民間伝説 -
レムゴーは様々な顔を持っているようだ。
現在ゾースト郡に属すリップシュタットと並んでリッペで最も古い計画都市の一つで、1245年から都市権を有しており、中世後期にはハンザ同盟に加盟した。
この事もあり、「Alte Hansestadt Lemgoアルテ・ハンゼシュタット・レムゴー」(古いハンザ都市レムゴー)を自称している。
また、ドイツで最も美しい10の木組み建築都市の一つにレムゴーは選ばれている。木組みの家並みを持つ町や村はドイツ中に限りなくあるようで、選ぶ人、組織によってはトップテンもいろいろのようですが(笑)。
さらに街中のHexenbuergermeisterhausヘクセンビュルガーマイスターハウス」(悪魔の市長の家)の建物は観光客も多い。魔女狩り・異端裁判を指揮した市長が住んでいたそうで、その裁判で 272人の男女が命を奪われた。
このことでレムゴーは「レムゴー、悪魔の巣」という渾名で知られたそうです。
写真はWappen_Lemgoレムゴーの紋章 -
さて、そんなオストヴェストファーレン・リッペ地方のレムゴーには2つの伝説がある。
一つは「要塞都市レムゴーの攻城戦で雄牛を贈った話」と、もう一つは以下の伝説だ。
ドイツは美味しい白ワインと共に、各地のビール醸造所が造る個性豊かなビールの数々があって、どの町で飲んでも美味しい。
そんなビールがらみの伝説は支配者と都市の争いでもあった。
・・・・・
写真はメルヘン街道、木組み建築街道、ヴェーザー川流域
レムゴーの町は地図の左の上に見える。 -
レムゴーの町のOstertor東門前の広場に、1977年にドイツ・アーヘン出身の彫刻家Bonifatius Stirnbergボニファティウス・シュティルンベルクが造形した「Kanzlerbrunnen宰相の泉」とBronzefigurenブロンズの5体がある。
この町の観光でも見逃せぬ場所だが、いわゆる宰相の泉と称された事由があり、17世紀の初頭(1605/06)にビールの「Tranksteuer酒税」導入によって引き起こされた「Streit um die Tonneビール樽の紛争」を表現したものだそうだ。
写真はLemgoレムゴー:東門前の広場に見られる木組みの家並みと、伝説の宰相の泉とブロンズの5体 -
泉の上部にビール樽が置かれ、その樽の二つの栓口から水(ビール!)が流れ出ている。ビール樽の柱には人間らしい顔がいくつかあり、それらの手が落ちる水を受けて、顔を近づけて飲んでいるように見えた。
泉の円形エッジにブロンズ5体(宰相、市長、市城門の門番、イルザバイン(女性)、山羊)が備え付けられ、5体の継手が動くので、遊び心を刺激された観光客は興味を持って反応するだろう。
写真はLemgoレムゴー:宰相の泉・5つのブロンズ像 -
この話の主人公Dr. Balthasar Knaustバルタザール・クナウスト博士はKanzler unter Graf Simon VI. zur Lippe.リッペ領主ジーモン6世伯(1554年~1613年)の下で宰相を務めていた。
「ビール樽の紛争」の背景は以下のようなものだったようです。
写真はLemgoレムゴー:1663年頃の絵 -
数世紀前、ウェストファリア地方にある他の多くの町や村はリッペ領のレムゴーの町と同様に、しばしば1~2リットルのビールを飲んでいました。
この需要を満たすために、1740年代にBrauereiビール醸造所が多くの町村に設置されました。1825年、レムゴーのブラーケ城にリッペ侯家の手本となるべきビール醸造所が設立され、そのビール製品には貯蔵所が必要でした。
写真はLemgoレムゴー:かつてのSchloss_Brakeブラーケ城 -
Holsterbergホルスターベルクの泥灰岩(Mergelsteinでいかいがん)が発見され、1831年ここに冷却用の地下室が設けられた。だが、数年後にこの岩の地下室を拡張せねばならなくなった。夏のビールだけでなく、アイスも次の十年でさらに冷蔵場所を必要とされた。
Gerstensaft大麦ジュースも、いわゆる「Bierwegビールの道」を経由して岩の地下室に入りました。今日でも「ビールの道」と「Felsenkellerフェルゼンケラー(岩壁内の地下室)」は当時の名前を公式に冠しています。
現在、レムゴーにはビール醸造所はありません。
レムゴーのビール醸造所の中で、パペン通りにあったBrauerei Tahlerタラー醸造所が最も長く続いた。最後の樽は1908年、リッペ侯家のブラーケ城で満たされました。
しかし、醸造の技術でさえ、時に問題が無いわけではなかった。
「ビール樽の紛争」は、アーヘンの彫刻家ボニファティウス・シュティルンベルクが1977年に「宰相の泉」を作るきっかけとなったものです。
写真はLemgoレムゴー:Schloss_Brakeブラーケ城 -
17世紀の初めに、事件が起こった。それはレムゴー市民と支配者であるリッペ領主ジーモン6世伯との間にいくつかあった緊張(問題)の一つでした。
かつてのハンザ同盟都市レムゴーはリッペ領主ジーモン6世伯にとっては「目の中のとげ(邪魔者)」でした。ジーモン6世伯の信仰(旧教派)やリッペ領の(レムゴー以外)他地区の発展にも拘らず、レムゴー市民はルター派(新教)の信仰に固執していたからでした。
写真はLemgoレムゴー:Simon_VI__(Lippe)リッペ領主ジーモン6世伯 -
1587年になって、リッペ領デトモルト政府がレムゴーのブラーケ城に移転し、多くの役人たちが職を得ました。
それに伴い、宰相やお役人たちが入居できるように、急激に住居需要が高まり、多くの建物が建設されるようになったのです。
もちろん、宰相バルタザール・クナウスト博士や召使たちもブラーケ城ではなく、レムゴー市内に住居を持とうとした。
それ故、多くの者が現在の東門そばにある宰相の泉の場所からも、そう遠くない辺りに居を構えようとしました。
写真はLemgoレムゴー:Schloss_Brakeブラーケ城と石橋 -
写真はLemgoレムゴー:宰相の泉
ボニファティウス・シュティルンベルクが造形した泉とブロンズの5体
(Kanzler Knaust宰相クナウスト、Der Buergermeister市長、
Der Torpfoertner市城門の門番 、Ilsabeinイルザバイン(女性)、Ziege山羊) -
数年後、レムゴーの人々はリッペ領主ジーモン6世伯の不興をこうむり、それもあって、「ビール樽の紛争」が引き起こされたといえよう。
実際、レムゴーの町はジーモン6世伯が違法と見なしたビールの「酒税(Tranksteuer飲み物税)」を課したのです。
写真はLemgoレムゴー:宰相の泉・ビール樽 -
いやそればかりか、さらに公然の侮辱になったのは、レムゴーの町がジーモン6世伯から特権を与えられた役人たちの住居を占拠さえしたことだった。
多くの紛争の結果、ジーモン6世伯は次の年にレムゴーからデトモルトへと、ますます離れていきました。
さしあたり、年間の財政上の支払いは他と異なって配分されるようになり、最終的にリッペ領デトモルト政府の所在地とリッペ伯の居城が全て、デトモルトに移されました。
この事はレムゴーにとって、重要かつ巨大な損失を意味しました。
写真はLemgoレムゴー:宰相の泉・Ziege山羊) -
振り返ってみると、「ビール樽の紛争」は無害でユーモラスな紛争と言えるかもしれません。「宰相の泉」もまた、とりわけ子供たちや観光客には人気の遊びであり、写真の題材にもなっているのです。
写真はLemgoレムゴー:宰相の泉・Buergermeister市長(村長) -
したがって、「宰相の泉」の水は(泉の製作者によれば)贅沢なMindener Braeuhahn-Bierミンデンの醸造ビールで満たされている、上部のビール樽から流れ落ちる。泉の円形周辺に「ビール樽の紛争」に関与した当事者たち、つまり動く継手を備えたブロンズ5体が見られます。
写真はLemgoレムゴー:宰相の泉・Torpfoertner市城門の門番 -
ブロンズ像の表情豊かな独特の顔と、動きの柔軟性に、訪れた老若男女や子供たちも決まって彼らと握手をしたがります。
写真はLemgoレムゴー:宰相の泉・Ilsabeinイルザバイン(女性) -
宰相バルタザール・クナウスト博士は特に印象的です。一つに、他のブロンズ像と違って、宰相の体は特にお腹のあたりがはちきれそうです。
また、宰相の服装もズボンの脚の部分や高貴な衣服のスリットがあり、他と違い明らかに身分の差を示している。
この宰相の服装はリッペ領主ジーモン6世伯によって支払われたそうです。
宰相クナウストは彼の生前だけでなく、死後、こうしたブロンズ像となっても周囲から際立っています。
写真はLemgoレムゴー:宰相の泉・Kanzler 宰相バルタザール・クナウスト博士 -
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出典:(Westfaelischer Hansebund e.V.
Hansekontor Herford Postfach 2843 . 32046 Herford)
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写真はLemgoレムゴー:町の俯瞰 -
「ビール樽の紛争」・ビールの話もブロンズになった宰相と市長などがどう戦ったのか?調べてみてもよく分からなかったのです。
「ビール樽の紛争」もブロンズも象徴であり、実際は支配者の伯爵との都市権の争いですから、それはそれでよいのでしょうけど。
(2019年9月2日意訳・編集加筆)
写真はLemgoレムゴー:Rathaus庁舎 -
写真はLemgoレムゴー:Hexenbuergermeisterhaus01ヘクセンビュルガーマイスターハウス(悪魔の市長の家)
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