2014/07/18 - 2014/07/22
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binchanさん
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苑裡は台鉄海線の苗栗県内最南の駅。ここまでくると台中市の市公車(市バス)まで走って、台中の都市圏に入ったなという感じが強いです。また、台鉄海線もこの辺りからは海岸を離れかなり内陸を走ります。
苑裡駅周辺の観光場所を探したところ、駅から徒歩15分程度の房裡という場所に「古城」を見つけました。通霄からバスで行くと便利そうだったので、乗り継ぎ時間の関係もあり、ここへはバスでやって来たのです。
苑裡を含む台湾南西部海岸沿いは、古くは鄭成功の時代から漢民族の歴史が続いています。もちろんそれ以前には台湾原住民族(平埔族の道?柑斯族とされています)が住んでいました。台湾海峡を介して大陸と行き来があった地域らしく、古くから商人が活躍していたようです。今回訪問した房裡古城の蔡泉盛號もそんな商人の邸宅です。
苑裡付近には他も「東里家風」などの古い邸宅があります(徒歩では少し遠いですが)。東里家風は民宿でもあり、また歴史ドラマなどのロケ地としても有名らしく、苑裡付近の観光情報を検索するとこちらの方がよくヒットします。他にも清代から続く邸宅が保存されており、この地域が農・工・商ともに豊かで、いくつもの名家が富を誇っていた証となっています。
房裡では日本語教育世代のおじいさんにお話を伺うことができました。それを裏付けるような論文(台灣傳統建築空間變化之研究:以苗栗縣苑裡鎮?史建築蔡泉盛號為研究對象、旅行記中では「論文」と表記)を見つけたので、それも参照しつつ旅行記を書いていきたいと思います。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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<房裡バス停>
通霄を9:28発で9:40房裡着。
またまた林さんのお出迎え。あなたの選挙区はどの範囲なんでしょう? -
バス停は中山路沿いにあります。苑裡駅から南へ1キロほど。海線の線路を陸橋で越えてすぐです。
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南行きのバス停から一番近い路地を入ります。
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すると路地の突き当たりに案内看板。苑裡一帯は藺草(イグサ)の産地でその博物館もあるのですが、今日は月曜日なのでお休みです。
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<房裡古城>
先ほどの案内看板の「房裡老街」方面へ進んできました。マンホールの蓋もこの通り。 -
吉祥楼と書いてありますがどのような建物だったのでしょう?
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<房裡蔡泉盛號>
吉祥楼と書いてある建物のちょうど向かいあたりに「蔡泉盛號」がありました。
蔡泉盛號は蔡氏が1897年(明治30年)に建てた邸宅です。「帽蓆」商として成功したそうですが、「帽蓆」とは何か詳しくはわかりません。特産のイグサで帽子や蓆を作っていた?他にも政治、商業、医学の分野で広く活躍された御一族のようです。
論文によると「苑裡鎮志」という文献に「清雍正末年,有蔡、游、李、陳、毛、郭六姓墾民向當地平埔人購得房裡溪北岸土地耕作」という記述があり、雍正末年(1734年)に蔡氏が渡台していたとも考えられます。しかし、蔡家の記録では一代目の渡台は乾隆53年(1788年)とされており、蔡泉盛號を建てたのはその三代目です。 -
苗栗県の歴史建築に指定されています。
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蔡泉盛號前に自販機発見。朝買った水がもうなくなってしまったので飲み物を購入。台湾はコンビニも自販機もいたるところにあってとても便利です。
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塩入り黒松コーラ。毎日暑くて滝のような汗。飲み物は必携です。
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入口を見つけたので中に入ってみました。
中では人が普通に寛いでいて、民家に迷い込んでしまったような感じ。「中を参観できますか?」と聞くと、「どうぞどうぞ」とのこと。あまりに普通の家だったので戸惑いつつも奥へと進ませてもらいました。 -
門廰にあたる部屋。正面の門を入ったすぐの場所にあたります。現在正面の門は使用されていないようで、ちょっと物置っぽい感じ。
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正門内側。大いに繁盛した商家らしく、門の敷石が大きくすり減っていました。外側から見るとそれがよくわかるのですが、写真に収めてくるのを忘れました。論文には写真も多く掲載されていますので、興味のある方は探してみてください。
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門廰の(門に向って)左手にあった建物。かつては「帽蓆」の作業場だったようです。邸宅の手前(門に近い側)は主に仕事に、奥半分は生活につかわれていたようです。
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一人で中を見学していたら、先ほど部屋で寛いでいた男性がやってきて「香港の人?」と聞かれました。最初に中国語で質問したので中華圏からの観光客だと思われたようです。私が「日本人です」と答えると、「日本人か!ちょうどいい、日本語を話す歐吉桑(おじさん)がいるんだ。呼んでくるよ」と日本語教育世代のお爺さんを連れてきてくれました。台湾では日本語由来の「歐吉桑(おじさん)」「歐巴桑(おばさん)」という言葉が普通に使われています。
台湾が日本の植民地だった時代に教育を受けた世代は今でも美しい標準語を話されます。この方は中学3年の時に終戦を迎えた完全な日本語教育世代でした。「一生懸命勉強して、さあこれから社会に出てそれを役立てようという矢先に、勉強したことが全部役に立たなくなってしまった。本当に悔しかった」という言葉に辛い気持になりました。そしてお爺さんが「でも、それが運命というもの。それが運命だったんですよ」と私を慰めるように言ってくれたのが深く心に残ります。あと何年、こういった世代の方々のお話を伺うことができるでしょうか。お爺さんを呼びに行った方がなんだか嬉しそうだったのも、一人でも多く、一回でも多くこうした話を日本人に伝える機会があってほしいと思っていたからではないかと感じました。 -
さて、ここからはお爺さんの解説付きで見学です。
上の写真が前埕(前庭?)から奥を見たところ。一番奥にあるのがこの「正廰」です。中には商業の神様が祀られています。 -
お爺さんのお話では、正廰の軒を支えるこの丸い柱がこの建物の特徴の一つだそうです。レンガ製の丸い柱を作る技術は特殊で、現在ではこの建築技術は失われているそうです。
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丸柱の中は空洞で耐震性があり、地震の時も大丈夫だったとのこと。では1935年の地震の際はどうだったのかと論文を見てみたのですが、地震に関する部分を探して読んだ限りでは、確かに正廰は壊れていないようです。
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続いて現在寝室として使われている部屋に案内していただきました。写真の右に写っている方がお爺さん。この方が蔡家の方なのかどうかは不明です。
障子の内側は畳敷きの部屋になっています。見せていただきましたが、現在住んでいる方がまさに寝室にしていらっしゃる部屋だったので写真は撮りませんでした。お爺さんのお話では、こうやって和室を作り、生活を日本式にすることによって当時息子さんを日本人が通う小学校に入学させようとしたそうです。お爺さんのお話には出てきませんでしたが、他にも日本式の祭壇を設けたりと様々な「改善」をなさったようです。結果、当時息子さんは日本人の通う学校(お爺さんいわく「尋常小学校」、論文では「小学校」)に入学出来たそうですが、その後普通の学校(お爺さんいわく「国民学校」、論文では「公学校」)に戻られたようです(論文参)。お爺さんはニヤっと笑って、「和室を作っただけではダメでね、いろいろ取引もしたんですよ、いろいろね」とも。 -
天井も総檜だそうです。天井四隅に通気坑でもあり、屋根裏の配線にも使う四角いくぼみがあります。
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建築方式は土埆建築(土壁の家)。お爺さんの表現では「壁は全部ここの土地でできていますよ」とのこと。土を土地と言い間違えているだけだとは思いますが、古民家の壁が「ここの土地」で出来ているというのはなかなか素敵だとも思いました。
蔡家盛號が現在の四合院形式になったのは昭和初期のことですが、こうした伝統的な意匠が多く使われています。 -
応接間には古そうな額がいくつか掛けられていました。
お爺さんによると、これらはこの辺りの住民が表彰され贈られた額なのだそうです。誰に表彰されたのかは分かりませんが、「この額は裏取引ではもらえませんよ、正真正銘表彰されないとね」とのこと。 -
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この額がいくつもあるというのは本当に名誉なことだそうです。せっかくの額がピンボケですみません。
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壁の下に小さな穴が開いてます。これは「猫洞」。どの部屋にもあって、扉が閉まっていても猫は行き来できるようになってるんだそうです。過去の飼い猫も現在可愛がっている猫も、こんな大きさの穴では絶対に通れない。やっぱり台湾の猫はスマートだ!
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暑いときにはこれが一番、と言ってこのお茶をふるまっていただきました。甜茶のような、どくだみ茶のような、仙草茶のような味です。正体はわかりません。最後に「体にいいから持って行きなさい」と、このお茶を入れたペットボトルを一本持たせてくれました。
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<順天宮>
お爺さんは順天宮にも案内してくれました。 -
<順天宮>
お爺さんは順天宮にも案内してくれました。 -
お爺さんが特に強調して説明してくれたのはこの壁。普通の廟の壁よりずいぶんと厚いのだそうです。「○尺もある」と具体的な厚さを教えていただいたのに忘れてしまった(汗。確か3尺だったような…。銃弾が貫通しないように壁を厚くしたという言い伝えもあるとおっしゃってました。旅行記を書くために調べてみたら、昔(清代)この辺りは出身地の違いによる住民同士の抗争が続いていたようなので、本当にそんな理由で壁が厚いのかも。
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写真をとり忘れましたが、すぐ近くに「房裡溪義渡亭碑」があります。
昔(多分清代)、房裡溪を渡る船はよく海賊の被害に遭っていたそうです。住民や商人たちが困っていたので政府が安全な渡し場を作ってくれたとのこと。(お爺さん談)
貿易で栄えた房裡城の面影をしのびつつ、お爺さんとはここでお別れ。房裡で、まさか日本語で古いお話をうかがえるとは思ってもみませんでした。本当に素晴らしい体験でした。ありがとうございます。 -
下調べで何度も見たストリートビューの記憶を頼りに、苑裡駅の方面を目指すつもりで歩きます。
謎の宮。霊玄宮? -
古城の入口らしきもの発見。
房裡古城というのは、住民の抗争が続いていた時代、房裡の自衛のために集落を城塞化したものです。 -
こんな石碑があるのでこっちから来るのが正式のようです。中山路を文苑國小の角で曲がってくるとこれがあります。
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中山路にこの門があるからすぐわかります。
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<藺草の話>
文苑國小の塀に藺草製品の製作工程を描いた陶板が貼ってあったので撮影してみました。藺草文物館がお休みで行けなかった替わりです(笑。 -
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<苑裡駅へ>
中山路を北上して苑裡駅へ向かいます。 -
海線を陸橋で越えます。
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途中のバス停。
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<苑裡駅>
駅前に到着しました。房裡中山路の順天宮門を10:33に歩き始めて、10:50に駅前に到着しました。 -
駅前の様子。
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駅前のオブジェ。
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タクシーもいますしコンビニもあります。
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1922年開業。自強も停車する立派な駅です。
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自動改札!白沙屯も通霄も同じ3等站ですが有人改札でした。(白沙屯に至っては改札自体がなかった)
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しかも行李房があります。3等站だから行李房がない、とは一概に言えないのか…
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大雑把な蒸気機関車が…。どこかのお寺が寄贈しているみたいですが、何か謂れがあるのでしょうか。
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ホームへの移動は基本地下道ですが、バリアフリー化のためにエレベーター付きの跨線橋もあります。
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ホーム側から見た苑裡駅。
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ホームの電光表示あり。
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レンガ製のベンチ。苗栗では赤いレンガの伝統建築をよく見ます。レンガ産業は衰退してしまっているそうですが、やっぱりこの地域のシンボル的な色ですね。
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苑裡は海線の苗栗県内最南駅。今回の旅では台中市下の駅は訪問しないことにしているので、あとは北上するのみです。
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11:00苑裡発の区間車で新埔にやってきました。乗る前は龍港まで行くつもりでその切符を買ったのですが、電車の中で気が変わり途中下車です。
新埔でも下車後周辺を観光します。
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