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 昔からの港町で、船と鉄道の乗り継ぎ拠点として栄華を極めた街。ヨーロッパ調の立派な駅舎はその名残。頭端式のホームには、壮大な空間を持て余すように、1時間に2本の普通電車が発着する。<br /> ジャカルタの門司港とも言えるのが、タンジュンプリオク駅だ。門司港ならば、駅から街並み散策に嬉々として繰り出すところだが、タンジュンプリオクでは3歩踏み出しただけで引き返した。

タンジュンプリオク線に閉じこもる【205系で旅するジャカルタその6】

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2026/06/27 - 2026/06/27

781位(同エリア1169件中)

旅行記グループ 205系で旅するジャカルタ

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ちゃん

ちゃんさん

 昔からの港町で、船と鉄道の乗り継ぎ拠点として栄華を極めた街。ヨーロッパ調の立派な駅舎はその名残。頭端式のホームには、壮大な空間を持て余すように、1時間に2本の普通電車が発着する。
 ジャカルタの門司港とも言えるのが、タンジュンプリオク駅だ。門司港ならば、駅から街並み散策に嬉々として繰り出すところだが、タンジュンプリオクでは3歩踏み出しただけで引き返した。

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
交通
5.0
同行者
一人旅
一人あたり費用
10万円 - 15万円
交通手段
鉄道
旅行の手配内容
個別手配
  •  天井の高い鉄骨造のコンコースが印象的なジャカルタ・コタ駅。改札内にチャージ機を見つけ、思い切って10万IDR(1,060円)を投入したら、無事にチャージできた。<br /> 初乗り運賃は3千IDRなのでまず使い残すと思うが、トラブル防止のための投資である。

     天井の高い鉄骨造のコンコースが印象的なジャカルタ・コタ駅。改札内にチャージ機を見つけ、思い切って10万IDR(1,060円)を投入したら、無事にチャージできた。
     初乗り運賃は3千IDRなのでまず使い残すと思うが、トラブル防止のための投資である。

    ジャカルタ コタ駅

  •  ちょうどタンジュンプリオク行きの電車が出るところだったので、飛び乗った。すっかりお馴染みの205系で、少し短めの8両編成だ。<br /> 頭端式駅舎なので、駅舎から遠い車両に行くほど車内は空いていく。<br /><br /> コタ駅周辺は長距離列車の車両基地にもなっていて、ステンレス製の優等車両が留置されていた。電車は日本の中古車が中心だが、優等列車の客車は国産車ばかりだ。<br /> 銀色に輝く車体がきれいで、いつかのんびりと長距離列車の旅も楽しんでみたい。

     ちょうどタンジュンプリオク行きの電車が出るところだったので、飛び乗った。すっかりお馴染みの205系で、少し短めの8両編成だ。
     頭端式駅舎なので、駅舎から遠い車両に行くほど車内は空いていく。

     コタ駅周辺は長距離列車の車両基地にもなっていて、ステンレス製の優等車両が留置されていた。電車は日本の中古車が中心だが、優等列車の客車は国産車ばかりだ。
     銀色に輝く車体がきれいで、いつかのんびりと長距離列車の旅も楽しんでみたい。

  •  1駅目のカンプンバンダン駅で、環状線と接続する。立体交差の乗り換え駅は、高架化以前の折尾駅を思い出す構造だ。

     1駅目のカンプンバンダン駅で、環状線と接続する。立体交差の乗り換え駅は、高架化以前の折尾駅を思い出す構造だ。

  •  環状線からの乗り換え客を受けて一気に車内は混み合い、僕の隣にも男性客が体をねじ込んできた。かなりの密着度で、韓国以上に人との距離が近い。<br /> 205系の端の座席には日本時代にはなかった袖壁が設けられていたので、人の触れ合いを好まない国柄だと思っていた。

     環状線からの乗り換え客を受けて一気に車内は混み合い、僕の隣にも男性客が体をねじ込んできた。かなりの密着度で、韓国以上に人との距離が近い。
     205系の端の座席には日本時代にはなかった袖壁が設けられていたので、人の触れ合いを好まない国柄だと思っていた。

  •  タンジュンプリオク線も205系が行き交う複線電化路線なので、他線とそん色なく感じられるのだが、保線のレベルは1段階低い。電車のスピードが上がらないことから、以前は調子が良くない車両が集められていたそうだ。<br /><br /> 今は205系が走っていることからも分かる通り、日本の中古車は順次退役が進んでいる。昨年(2025年)だけでも203系や東急8500系、東京メトロ東西線の05系が引退した。<br /> 205系に乗れたのはよかったが、もう少し早く来たかったとも思う。

     タンジュンプリオク線も205系が行き交う複線電化路線なので、他線とそん色なく感じられるのだが、保線のレベルは1段階低い。電車のスピードが上がらないことから、以前は調子が良くない車両が集められていたそうだ。

     今は205系が走っていることからも分かる通り、日本の中古車は順次退役が進んでいる。昨年(2025年)だけでも203系や東急8500系、東京メトロ東西線の05系が引退した。
     205系に乗れたのはよかったが、もう少し早く来たかったとも思う。

  •  線路沿いには、質素な家が密集。線路の擁壁や壁を、壁に利用している家々も多い。<br /> 2004年に運行が休止された際は線路上にまで家々が進出して、2015年の再開時にあたって立ち退かせるのが大変だったとも聞く。

     線路沿いには、質素な家が密集。線路の擁壁や壁を、壁に利用している家々も多い。
     2004年に運行が休止された際は線路上にまで家々が進出して、2015年の再開時にあたって立ち退かせるのが大変だったとも聞く。

  •  8.1kmと短い路線ということもあり、わずか17分で終点・タンジュンプリオクに着いた。ホームを、鉄骨製の大屋根が覆う。<br /> ホームだけ見ればジャカルタ・コタ駅よりも立派で、港町へのアクセス路線として栄華を極めた時代の面影を残す。

     8.1kmと短い路線ということもあり、わずか17分で終点・タンジュンプリオクに着いた。ホームを、鉄骨製の大屋根が覆う。
     ホームだけ見ればジャカルタ・コタ駅よりも立派で、港町へのアクセス路線として栄華を極めた時代の面影を残す。

  •  コミューターラインだけではなく貨物列車も入ってくるようで、余裕があるホームには、機関車が留置されていた。<br /> バチッ、バチッという音が響いてきて、爆発でもしないか心配になる。

     コミューターラインだけではなく貨物列車も入ってくるようで、余裕があるホームには、機関車が留置されていた。
     バチッ、バチッという音が響いてきて、爆発でもしないか心配になる。

  •  終着駅らしいホームの車止めの上には、車輪のモニュメントが鎮座していた。ジャカルタの鉄道にとって、シンボルのような駅なのだろう。

     終着駅らしいホームの車止めの上には、車輪のモニュメントが鎮座していた。ジャカルタの鉄道にとって、シンボルのような駅なのだろう。

  •  駅舎も荘厳だ。

     駅舎も荘厳だ。

  •  天井が高く、天窓から入る自然光で、照明に頼らずとも明るい。今は使われることのない切符売り場が少し切なくなる。<br /> 10年間の休止期間は、もっと寂しい姿だっただろう。地域の足に変化したが、古い駅舎は喜んでいるのではないか。

     天井が高く、天窓から入る自然光で、照明に頼らずとも明るい。今は使われることのない切符売り場が少し切なくなる。
     10年間の休止期間は、もっと寂しい姿だっただろう。地域の足に変化したが、古い駅舎は喜んでいるのではないか。

  •  魅力的なタンジュンプリオク駅なのだが、周辺はジャカルタの中でも特に治安の悪い地域であり、安易に出歩くことは控えるべきと言われている。

     魅力的なタンジュンプリオク駅なのだが、周辺はジャカルタの中でも特に治安の悪い地域であり、安易に出歩くことは控えるべきと言われている。

  •  等間隔で来る電車の利用者は多い。普段着のジャカルタ市民が大勢街へ出ていくのに、みんながみんな悪人なのか。街には歓迎のゲートまで建っているではないか。

     等間隔で来る電車の利用者は多い。普段着のジャカルタ市民が大勢街へ出ていくのに、みんながみんな悪人なのか。街には歓迎のゲートまで建っているではないか。

  •  情報と自分の肌感覚が合わず戸惑うが、先達もいない、はじめての国である。「ネット上の情報」を信じ、外から駅舎の写真を撮ったら、すぐに引き返した。<br /> その一瞬でバイクタクシーの客引きが群がってきたので、思わず身構える。

     情報と自分の肌感覚が合わず戸惑うが、先達もいない、はじめての国である。「ネット上の情報」を信じ、外から駅舎の写真を撮ったら、すぐに引き返した。
     その一瞬でバイクタクシーの客引きが群がってきたので、思わず身構える。

  •  正面玄関だけでなく、駅舎の横には別に、車寄せがあった。

     正面玄関だけでなく、駅舎の横には別に、車寄せがあった。

  •  今は車が入れなくなっており、使われていないようだ。長距離列車の時代には、駅に車で乗り付ける人もいたのだろう。

     今は車が入れなくなっており、使われていないようだ。長距離列車の時代には、駅に車で乗り付ける人もいたのだろう。

  •  重厚な駅舎に置かれた自動改札機を抜け、ホームに戻る。

     重厚な駅舎に置かれた自動改札機を抜け、ホームに戻る。

  •  タンジュンプリオク駅のホームも低く、階段で段差を埋めているのはコタ駅と同様。

     タンジュンプリオク駅のホームも低く、階段で段差を埋めているのはコタ駅と同様。

  •  コタ側の扉1枚分には階段が達しておらず、しかも扉は遠慮なく開く。ぼんやり降りていたら痛い目に遭う。<br /> 階段とて、電車との隙間が大きい。日本人の感覚からすれば危なくて仕方がないように見え、鉄道会社側への苦情はないのだろうかと心配になる。

     コタ側の扉1枚分には階段が達しておらず、しかも扉は遠慮なく開く。ぼんやり降りていたら痛い目に遭う。
     階段とて、電車との隙間が大きい。日本人の感覚からすれば危なくて仕方がないように見え、鉄道会社側への苦情はないのだろうかと心配になる。

  •  ただ利用者が安全に求めるレベルも上がってきており、乗客の引きずり事故が発生した際には、車掌が気付かなかったことに対し、SNSで批判が殺到したそうだ。結果、日本流の「車掌が身を乗り出してのホーム監視」が取り入れられている。

     ただ利用者が安全に求めるレベルも上がってきており、乗客の引きずり事故が発生した際には、車掌が気付かなかったことに対し、SNSで批判が殺到したそうだ。結果、日本流の「車掌が身を乗り出してのホーム監視」が取り入れられている。

  •  また中古電車の輸入を政府が禁止し、車両不足が懸念された際には、「また屋根に乗客を載せる気か」との声が上がったという。次第に、乗客の意識も変わりつつあるということだろう。<br /><br /> 30分毎とはいえ、コタ駅もタンジュンプリオク駅も、毎時00分・30分発という覚えやすいダイヤ。どこからか乗客が集まり、ほぼ満員の状態で10時00分のコタ行きが発車した。

     また中古電車の輸入を政府が禁止し、車両不足が懸念された際には、「また屋根に乗客を載せる気か」との声が上がったという。次第に、乗客の意識も変わりつつあるということだろう。

     30分毎とはいえ、コタ駅もタンジュンプリオク駅も、毎時00分・30分発という覚えやすいダイヤ。どこからか乗客が集まり、ほぼ満員の状態で10時00分のコタ行きが発車した。

  •  スラム化しがちな鉄道沿線にあって、タンジュンプリオク駅周辺は、より荒れた印象だ。ゴミの量がすごい。

     スラム化しがちな鉄道沿線にあって、タンジュンプリオク駅周辺は、より荒れた印象だ。ゴミの量がすごい。

  •  そのゴミをヤギがあさる。205系から眺めるのも不思議な気分だ。

     そのゴミをヤギがあさる。205系から眺めるのも不思議な気分だ。

  •  片面ホームの駅に停車。現在はコタ方面のみのホームしかない、ジャカルタ国際スタジアム駅である。<br /> わずか3日前の、2026年6月24日に開業したばかりの新駅。地元の人が大勢乗ってきたが、新駅の「試し乗り」かもしれない。

     片面ホームの駅に停車。現在はコタ方面のみのホームしかない、ジャカルタ国際スタジアム駅である。
     わずか3日前の、2026年6月24日に開業したばかりの新駅。地元の人が大勢乗ってきたが、新駅の「試し乗り」かもしれない。

  •  電車から見えるスタジアムは、これまで見てきたタンジュンプリオク線の車窓とは異質な、先進的なものだった。国際試合にも対応できる、立派なものだという。<br /> 電車で球技の観戦に行くというのは、日本人の感覚に馴染むものではあるが、ジャカルタの地で定着するだろうか。

     電車から見えるスタジアムは、これまで見てきたタンジュンプリオク線の車窓とは異質な、先進的なものだった。国際試合にも対応できる、立派なものだという。
     電車で球技の観戦に行くというのは、日本人の感覚に馴染むものではあるが、ジャカルタの地で定着するだろうか。

  •  環状線との乗り換え駅、カンプン・バンダン駅まで戻ってきた。ドアが開いたら、ここでもホームがなくてびっくり。地元民専用の駅ならまだ分かるのだが、主要幹線との乗り換え駅である。<br /> スタジアムからの帰り道、降りれずにコタまで連れて行かれてしまう乗客もいそうだ。

     環状線との乗り換え駅、カンプン・バンダン駅まで戻ってきた。ドアが開いたら、ここでもホームがなくてびっくり。地元民専用の駅ならまだ分かるのだが、主要幹線との乗り換え駅である。
     スタジアムからの帰り道、降りれずにコタまで連れて行かれてしまう乗客もいそうだ。

  •  思うところは多い路線だったが、趣味的には大いに楽しんでコタ駅へ戻ってきた。205系を挟んで、中国製とインドネシア製の新型車が並ぶ。<br /> 205系の天国は、そう長くは続かないことを予感させる光景だった。

     思うところは多い路線だったが、趣味的には大いに楽しんでコタ駅へ戻ってきた。205系を挟んで、中国製とインドネシア製の新型車が並ぶ。
     205系の天国は、そう長くは続かないことを予感させる光景だった。

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