2024/01/31 - 2024/01/31
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kojikojiさん
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この旅行記のスケジュール
2024/01/31
この旅行記スケジュールを元に
「ブー・イナニア・マドラサ ( Madrasa Bou Inania)」に見学を終えた後はさらにフェズのメディナの奥へと進んでいきます。ここがどこだかどの方向へ向かって歩いているのか東西南北すらわからなくなります。ただただ前を歩く妻のペパーミントグリーンの帽子を見失わないようにするしかありません。こんなことならもっとカラフルな帽子を被せておけば良かったと思います。写真を撮りながらなので最後尾を歩くことになり、フェズのガイドさんが英語でいろいろ説明をしてくれます。歩くルートを彼は把握しているので一緒にいれば迷子になることはありません。途中マラケシュでミニチュアのタジン鍋を買おうかどうか迷っていたおじさんが店に入ってしまい買い物を始めているのを見つけました。よくそんな勝手なことができるなと思いましたが、置いて行けば迷子になってツアー全体が時間ロスになるのでガイドさんと待つことにします。フェズのガイドさんとは話が弾んで、この後もいろいろなことをしえてもらい楽しい時間が過ごせました。旧市内では「Palais D'Art」という高級なインテリアのショップに入り、叩き出しの銅製品の実演を見学した後は店内のインテリア製品を品定めします。ラクダの骨と銀細工の美しい箱があり、とても気に入ったのですが最初の言い値が2200ドルでした。梱包して日本までの送料込みだということでした。少し大きいので考え込んでいると1500ドルまで値段が下がってきます。日本円でもカードの支払いでもいいですよと悪魔のささやきが聞こえてきます。結局時間が無くて値段交渉もしなかったのですが、持ち帰るということでポケットにあった500ドルで交渉しても良かったなとちょっと後悔もしました。でも他の人を待たせる訳には行きません。表に出ると目の前を荷物を積んだロバが通り過ぎていきます。なるほど車が通れない迷路のような街では今でも必要な運送手段なのだと感じます。それ以外には荷車ほどの台車が通り過ぎるだけでした。さらに散策が続き美しいリアド(Riad )に差し掛かると現地ガイドさんが「ここはルレ・エ・シャトーに登録されているリヤドだよ。」と教えてくれました。ルレ・エ・シャトー(Relais & Châteaux)に登録されたホテルなんて修善寺の「あさば」くらいしか泊まったことありませんが、あこがれの宿泊施設です。門を潜ると係りの人がいたので「少し中を見せて。」と話すと快く「どうぞ。」と行ってくれました。本当は建物の中まで行きたいくらいですが、ここは我慢して中庭の写真だけ撮らせてもらいました。ガイドのおじさんと早足で皆に追いつきますが、1本道なので迷子になることはありませんでした。「ネジャーリンの泉(Fontaine Nejjarine)」から「(El Bellagine)」という古い町並みを抜けて「(Dar al Mouaqqit)」の外観を見学します。そして「タンネリ(Tannerie Chouara)」の見学に移ります。小さな革製品の店の奥に進むと階段があり、2階から3階と登っていくとテラスがあり、そこから眼下になめし皮の作業場が見えました。入り口でミントの葉を貰いましたが、冬場だったこともあり臭いがひどいことはありませんでした。見学後はフロアを降りながら買い物ができますが特に欲しいようなものも無く、バブーシュもマラケシュの「マジョレル庭園(Jardin Majorelle)」のショップで見たものが素晴らしかったので買いたい気持ちにはなりません。思っていた買い物も出来ませんが町自体が興味深く楽しめました。旧市街の迷路歩きはまだまだ続きます。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 4.0
- 交通
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- 観光バス 徒歩
- 航空会社
- カタール航空
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
- 利用旅行会社
- JTB
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「ブー・イナニア・マドラサ ( Madrasa Bou Inania)」に見学を終えた後はさらにフェズのメディナの奥へと進んでいきます。この頃にはフェズのガイドさんとすっかり仲良くなっていました。彼はツアーの参加者の顔を知らないので「あなたは必ず一番後ろを歩いて。」とお願いされます。途中で店に入ってしまうおじさんとか見つけていたりしたので信頼されたようです。
ブー イナニア マドラサ 史跡・遺跡
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ウランバートルで買った妻のペパーミントグリーンの帽子だけが目印です。もっとカラフルなものを買ってあげればよかったと思います。
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カラフルな香辛料がとてもきれいです。左奥からクミンシトロン、辛くないピメント、コーヒースパイス、辛いピメント、中段左からRas el Hanout(ラス・エル・ハヌート) という45種類のミックススパイスで、店の看板スパイスです。続いてジンジャー、シナモン、コリアンダー、下段左からモロッコカレー、胡椒、黄色いのがクミン、ヘンナです。
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こちらは奥からカモミール、中段がロイヤルと名付けられたお茶、乾燥させたミントの葉、手前にはムスクとアンバーの塊が売っています。アラブ人に一番人気ともいえる香りが麝香(ムスク)ですが、ジャコウジカは希少動物でもあり、現在は天然の物を手に入れるのはほとんど不可能です。代用品としてよく使われているのがアンブレット・ムスクシードというもので、女性も男性もこの固形のムスクをそのまま身体や洋服にこすりつけます。
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麝香(ムスク)と並んでアラブ人に好まれている香りが、龍涎香(アンバーグリス)です。マッコウクジラの分泌物から抽出されたアンバーグリスはアラビア語でアンバルと呼ばれ、7世紀初めにアラブ人に使われはじめて世界に広まっていきました。天然のアンバーグリスは超高価なので現在はほとんど手に入りません。
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魅力のある路地の誘惑に負けそうになりますが、入り込んだら日本に帰れなくなりそうです。個人出来たら絶対に彷徨い歩きたい町です。
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道端に段ボール箱が置いてあって、行き交う人が覗いていくので見てみると生まれたばかりの子猫が入っていました。インドでは猫は嫌われているので見掛けることはほとんどありませんでしたら、モロッコでは猫を見る機会が多いです。
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「Palais D'Art」という名前の宮殿のようなショップに入りました。ここはツアーの立ち寄り先になっているようです。
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入口の扉を見ただけでもセンスの良さを感じます。説明では銅製品の加工の実演を見るということです。
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個人で来ていても絶対に入るであろう店構えです。
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階段を上がって2階のギャラリーに入ります。これまで宿泊してきたホテルのロビーなどにさりげなく飾られていた照明や色ガラスなどが並んでいます。
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銅製のプレートに熟練した職人さんが鏨(たがね)とハンマーで唐草模様を彫り込んでいきます。この実演を数分見た後はお買い物タイムです。
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マラケシュで買った絵本にもメタルワークについて説明がありました。モロッコの金属工芸は15世紀から17世紀にかけて発展しました。
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スペインのアンダルシアやヨーロッパから17世紀に技術が伝わり、主にキッチン用品やバス用品が作られまs田。材料となる銅はモロッコではアトラス山脈で産出されますが、それ以外の素材はヨーロッパから輸入されています。ティーポットやトレイは胴と亜鉛の合金である真鍮で造られていて、パンチングする鏨や筋彫りする鏨で加工されます。
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フェズの王宮やモスクの扉に見られるようなプレートやドアノッカー、調理なべやサモワール、蒸留器や照明カバーは銅を加工して造られています。フェズの金属加工では精錬所や彫刻家や細工師などがそれぞれ分業で行われています。
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お買い物タイムは15分ほどしかなかったのですが、見つけたのがこの大きな蓋つきの箱でした。幅50センチほどの大きさで、ラクダの骨を加工したものと洋銀を打ち出した飾りに貴石が嵌め込まれていてとてもきれいです。言い値で2200ドルで日本までのシッピング費用も含まれるということです。
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考え込んでいるだけで1500ドルまで値段が下がりましたが、自由時間も終わりそうになったので諦めましたが、ポケットにあった500ドルで送料なしで交渉してみても良かったかなと後悔しました。以前ベトナムで家具を買って船便で送ったら乙仲の業者から電話が来て、かなりの手数料を支払って通関手続きをした記憶が蘇ったのが邪魔したと思います。
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表に出て涼しいところでクールダウンしますが、はこの事が頭から離れません。ツアーでの団体行動なので何ともなりませんが、改めて個人で来なければモロッコを堪能できないなと感じました。
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1949年に認可されたと書かれた学校の建物のファサードも美しいフェズタイルで覆われています。
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バス移動の街道沿いでは赤茶色い実用的なタジン鍋が売られていましたが、観光客の多いフェズ旧市街の中では美しく装飾されたタジン鍋が並んでいます。皿の底を見ると直接火にかけらる構造にはなっていなさそうです。
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前の方が騒がしいと思ったら荷物を運ぶロバがやってきました。重たいプロパンガスのボンベを7本から10本運んでいます。モロッコでは家庭までガス管が敷かれていないのでプロパンガスが一般的のようです。
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プロパンガスボンベはハヌートと呼ばれる町のコンビニ的な店で売っています。バスで街道を走っていても店先にガスボンベを並べた店をよく見掛けました。家に着いた後はおじさんたちが運ぶので2階だったり3階だと大変なのだとTV番組で観たことを思い出しました。
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これは大理石の墓標の工房です。コーランの一節や墓の主への言葉が書かれてあります。同じような店をハノイの旧市街で見たことがあります。もう十数年前ですが、ベトナムの場合は顔写真を入れることができて、そのサンプルとしてマイケル・ジャクソンの墓標がありました。
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モロッコで見た一番美しい水飲み場です。ガス管は敷いてなくてもイスラム世界では水道の方が重要なのだと思います。ゼリージュ(Zelliges)と呼ばれる表面に釉薬を焼き付けたタイルを組み合わせたモザイクがとても美しいです。
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この草で編み上げたサボテンのオブジェはどこか東南アジアの国でも見掛けたのですが、どこだったか思い出せません。
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こういったお店の1軒にも入ることができませんでした。アテネのプラーカのサンダル屋では自分の足に合わせたグリークサンダルが注文できたし、ベトナムのホイアンでも自分でデザインしたサンダルを安い値段でオーダー出来ました。残りの人生を考えたらそんな旅をしなければならないと思うのですが、ついつい楽なツアーに乗ってしまうジレンマがあります。
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可愛らしいブラスのラクダの数匹でも買ってこれればと思います。ブラスのお盆はカイロのハンハリーリ市場で買い求めたものやトルコのスィワスで買ったチャイセットのお盆もあります。JTBのモロッコツアーは本当に買い物できません。
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ツアー3日目のマラケシュの「マジョレル庭園」のショップで見た美しいバブーシュを買っておけば良かったと後悔します。でも30ドルというかなり高い値段でした。1ドル100円の時代だったら絶対に迷わず買っていました。
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海外旅行をしているとコロナ禍の後の円安に悲しい思いをしますが、1ドル80円時代に払い込んだドル建ての年金保険が圧数年で支給が始まるので痛し痒しなのですが。
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小学校から帰って来る子供たちは下を向きながら歩いても家までの道のりを間違えることは無いのでしょうね。フェズの旧市街を1分でも下を向いて歩いたら二度と帰ってこれなくなる気がします。
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写真を撮りながら歩いていたら妻の姿も見えなくなりました。とりあえず1本道のようなのとフェズのガイドさんが一緒なので大丈夫でしょう。
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美しい「リアド (riad)」があったので見上げているとガイドさんが「ここはルレ・エ・シャトー(Relais & Châteaux)のホテルだよ。」と教えてくれました。
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確かに入口の横にはプレートが埋め込まれています。1954年にフランスで発足された一流のホテル、レストランで構成される世界的な非営利会員組織で、創業当時より5Cの基準による厳格な審査をクリアしたホテルとレストランのみに加盟を認めています。日本にも20軒ほどが登録されていますが、修善寺の「あさば」にしか行ったことありません。
リヤド フェス - ルレ & シャトー ホテル
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1、Courtesy(心のこもったおもてなし)
2、Character(特色や個性のあるスタイル)
3、Cuisine(質の高い料理)
4、Charm(洗練された魅力あるスペース)
5、Calm(落ち着きやリラックスできる場所)
という5つのCを満たさなければなりません。 -
門を潜ってみると門番のお兄さんがいたので「中を見てもいいですか?」と尋ねると快く「どうぞ。」と通してくれます。奥まで行きたいところですが中庭の池までで足を留めます。
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表から見ると窓も無く入り口のゲートが美しい程度ですが、門を入った中は全く違う世界が広がっています。本当はこんなホテルを泊まり歩きながらモロッコを旅したいと思っていました。
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自分でアレンジして車とガイドを手配して旅すればよかったかなと思います。少し焦ってモロッコに来てしまったのかもしれません。子に時点でいくつもの旅行の予定が組まれていたので仕方ないと思うしかありません。
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近い将来にマラケシュとフェズとカサブランカ、そしてタンジールからスペインへ渡るような旅を組んでみたいです。
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モロッコを旅していてパステルカラーを使っているのはほとんどが教育し越で、ここもムハンマド・アル・カリ・スクールと書かれてありました。
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モロッコでは7世紀のイドリス朝の時代に木を扱う芸術が始まりました。13世紀から14世紀のマリーン朝の時代にはマサドラやモスクが建てられる中でこれらの彫刻が施された扉などが組み込まれていきます。
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フェズでは彫刻や透かし壕で装飾され、ズアック(Zouak)と呼ばれる装飾が咥えられました。ズアックの芸術は何世紀にもわたって世代から世代へと受け継がれてきました。これは工芸品の完成度だけでなく、見事なデザインの長い歴史も意味します。ズアックの職人は織り交ぜられたパターンや植物のような特徴など、あらゆる種類の伝統的なモチーフを描くことができます。
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木工には様々な種類の木材が使われますが、キッチン用品では檸檬ウッドやオリーブの木が使われます。オリーブの木は手工芸や装飾品にも使われます。独特の香りを持つシダー(杉)は家具やマシュラビアや天井装飾のズアックに最適な材料です。
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この工房ではズアック(Zouak)について学び、写真も撮れると書かれてあります。自由時間があればここに入って、ズアックや伝統的なモロッコの木工を見てみたかったです。
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木製のミラーフレームの花のペインティングは非常に精密で技術の高さを感じます。映画「シェルタリング・スカイ」の中で主役のポール(ジョン・マルコビッチ)がホテルのバーにいる時に背景に移っていた壁付けの棚に似たものも置いてありました。
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フェズブルーの陶器で作られた六角形の標識の意味は「その先行き止まり」ということです。ガイド付きのツアーで歩いているので必要ありませんが、個人で歩いていたらこれを知らないと無駄に歩くことになりそうです。
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迷路を歩いていると時たま空を見ることができますが、古い建物の多くは角材で支え合っているのをよく見かけます。
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店の無い壁には地球の上に人が描かれ「No Racism(人種差別の禁止)」と書かれています。モロッコはスペインやフランスに支配された過去があるので、欧米人から差別されていると感じることが多いのだろうかと思います。
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個人的にはイラストを見て次の海外旅行であるインドのムンバイからアジャンタとエローラへ行く旅でインドの先住民族の絵画である「ワルリー画」のことを考えていました。そのお陰なのかムンバイのレストランの中にあった書店で本物の「ワルリー画」を買うことができました。
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かと思うと「Every child of Adam is a sinner and the besut of sinners are those who repent(アダムの子供は皆罪人であり、罪人の中で最も優れた者は悔い改める者である)」なんて書かれていたりします。クルアーン(コーラン)では男アーダムと女は神のようになれるという誘惑ではなく、永生と衰えることのない王権という誘惑に負けたとされています。
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「フンドゥク・アル・ナジャリン(Fondouk el-Nejjarine)」という博物館のある広場までやってきました。この博物館は18世紀の歴史的なフンドゥク(キャラバンサライまたは伝統的な旅館)の建物が使われ、フェズの熟練した職人が手彫りした伝統的な木製のオブジェが展示されています。
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1916年に歴史的建造物として登録されたこの建物は、ユネスコの世界遺産に登録されていて、建物自体が芸術作品です。家具、楽器、さらには「ブー・イナニア・マドラサ」の扉などが3フロアに渡って展示されています。時間の無いツアーでは内部の見学はありません。
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その博物館の横には「ネジャーリンの泉(Fontaine Nejjarine)」があります。アル・ナジャリンは「大工」を意味し、このフンドゥク前の広場の周りに大工のスーク(市場)があったことに由来します。
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この噴水の建設は14世紀に遡り、スルタン・アブド・アルラフマンの命により行われ、メリニ朝時代の伝統的な建築と水力工学の見事な一例となっています。元々は旅行者が水を飲むことができる噴水として誕生しましたが、その長方形の形状は博物館になっているフンドーク(宿屋)に滞在していた商人の馬も水を飲むことができました。ネジャリンの噴水はゼリージュ技法で作られており、複雑でカラフルな装飾が特徴的です。
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生活で使う木工品の工房兼店舗もありました。ここでは木桶などがメインに造られているようです。枠を後から付けているので日本のように竹で編んだ枠を嵌めながら組み上げるのとは方法が違っているのが面白いです。
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なめし皮を積み上げた荷車が道の真ん中に置かれています。そろそろなめし革染色職人街「タンネリ・ショワラ」が近いことを感じさせます。
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旧市街を歩いているとこんな美しい建物に出会います。内部の見学は出来ませんし、立ち止まっている時間もありません。これまで学んできたモロッコの伝統工芸の粋を見た気がします。
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そのクオリティの高さには驚かされます。ほんの数時間でフェズの観光を終えようとする方が無理があると感じます。最低でも3日フルで彷徨い歩きたいと思います。
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壁面はゲブス(Gebs)と呼ばれる漆喰細工で覆われています。アラビア語で石膏を意味するゲブスは複雑に彫刻された石膏漆喰で、14世紀にスペインのグラナダでナスル朝の芸術として生まれました。
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ゲブス(Gebs)とモザイクタイルのゼリージュ(Zelliges)の組み合わせはこの世のものとは思えない美しさです。
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古代ローマ人は石膏を彫刻や壁の塗料として使っていました。ローマ帝国の滅亡後は漆喰や石膏の技術は衰退し、建築素材としては木材にとってかわられました。14世紀のマリーン朝時代のモロッコの職人たちはこの技術を復活させました。
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花矢幾何学的なモチーフやアラベスクが宮殿を飾り、モスクやマドラサにはさらに詳細な彫刻が施された石膏で詩やクルアーンの一節が描かれています。ゲブスは石灰石を加熱したものを細かく粉砕し手石膏を得ます。酢蝕する場所には漆喰の滑らかな層を塗り固め、熟練した職人によって彫刻されます。
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先を行くツアーのメンバーは立ち止まることも無く先へ進んでいきますが、もう少し立ち止まってほしいところです。
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フェズのガイドさんも先を行く人たちを見失ったようで、慌てて探しに走ってくれます。その間絶対に動かないのがルールのようです。多分ツアーで歩くルートは決まっていて、そのルート上にいれば必ず見つけてもらえます。そこから自分で動いてしまうと二度と出てこれないかもしれません。
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こんな路地に迷い込んでみたくなります。この先に何があるのだろうか。金子光晴と森三千代の「ニッパ椰子の唄」の一節の「かへらないことが最善だよ。」それが放浪の哲学という一節が思い出されます。久し振りに妻と1カ月ほど個人旅行しようと決めた瞬間でもありました。
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「(Dar al Mouaqqit)」は中欧にパティオを設けた1回と上層階からなる邸宅で、ミナレットに似た高い塔が設けられています。これはミナレットと区別するために尖塔が無いようで、この塔は天文台として使われました。
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真冬の2月初旬でもモロッコの陽射しは強く、光と影の明暗がとても美しかったです。谷崎潤一郎の説く「陰影礼賛」といった日本らしさは感じられないもっと強力なものを感じます。
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モロッコで見た中で一番美しいと思った扉です。調和した色彩の美しさとジオメトリックなデザインがたまりません。
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この扉はここに設置されて何年経ったのでしょう。そしてこの先何円ここに存在するのか…。細かい木片で枠の上部を曲面にしているのが面白いです。
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「(Terrasse Ali Baba 10)」というショップに入ってなめし皮の作業を見学します。迷路のような階段を上がっていくと小さなフロアにレザーショップが押し込められています。
皮なめし工場 (タンネリ) 文化・芸術・歴史
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動物の皮をなめすのは畜産が盛んなモロッコの伝統産業です。根飯に使われる植物は地元の植物から抽出された天然色素が使われます。
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皮は塩漬けにして15日後に塩抜きと石灰処理のために川に運ばれ、レバト(Lebat)と呼ばれる熟練した職人がこの作業を行います。ナイフを使って皮から毛や羊毛を取り除きます。次に井戸水と消石灰と硫酸ナトリウムを浸した洗面器に浸し、残った毛や細胞を取り除きます。その後皮を大きな桶の中で素足で踏みつけて柔らかくします。そして最初の段階は酸性溶液に皮を浸すことで終わります。
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乾燥させた後に駆っタッカ(Takkaout)と呼ばれる植物性タンニンでコーティングされ、井戸水に20日ほど浸されます。最後に皮は感想を経てなめしの段階に入ります。この段階は植物染料の溶液に浸して行われます。赤い色はあかねとコチニールという昆虫に混合物が使用されます。茶色には杉の木、オレンジにはヘナ、ベージュは小麦フスマの容器が使われます。なめしのプロセスは皮の件まで終わります。マロキン(Maroquin)と呼ばれるモロッコレザーはヤギの皮から作られ、バブーシュや財布に使われます。バジルレザーはバサン(Basane)とも呼ばれ、羊皮から作られ衣料品に使われます。牛革はバックや靴に使われ、ラクダの皮は伝統的な馬具に使われます。
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階段を上がり切ったところにテラスがあり、ここからなめし皮の作業を見ることができました。
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入口で貰ったフレッシュ・ミントの葉は臭い消しに使うそうですが、2月の気候では必要ありませんでした。真夏にここへ来ると強烈な獣臭がするそうです。
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奥の白い釜は石灰と鳩のフンが入った液体で、皮を漂白するときに使うそうです。鳩のフンに含まれるアンモニアが皮を柔らかくします。
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茶色の窯には皮を染める染色料がパレットのように入っています。緑色はミント、黄色はサフランなどの植物を使用して色を染めていきます。
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穴に入って皮を漬けて水分を含んだ重い皮を持ち上げる重労働です。自分も染まってしまわないのか気になるところです。
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そのあとは皮をなめらかにする作業ですが、傷つけないように刃物で余分な皮脂を削ります。約1000年も変わらずにこのような工程を踏んで皮から革を作っています。
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30年以上前に初めて買ったレザーのハーフコートがジャン・フランコ・フェレというイタリアのブランドのものでした。8割引きでも10万円くらいしたので迷いましたが、「いいレザーは一生使えるわよ。」と言われて買いましたが、60歳を過ぎても着られているので、考えれば安かったということになります。
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その後も中国東北部の哈爾濱の百貨店で買ったレザージャケット、サンクトペテルブルグの専門店で買ったダウンの入ったレザージャケット、イスタンブールで買ったハーフコートも健在ですが、コペンハーゲン空港のビアワークリステンセンのスウェードのジャンバーだけ小さくなって着れないのが残念です。
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今回のモロッコの旅でもよいレザーがあればと思いましたが、売っているのはバブーシュや小物などでジャケットなどは見当たりませんでした。
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今までなめし皮がどのように作られたかなど考えたこともありませんでしたが、今回のモロッコの旅はいろいろな職業について学ぶことになりました。
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チュアラ皮なめし工場とシディ・ムーサ皮なめし工場は9世紀初頭のイドリス2世によるフェズ市の設立にさかのぼるとされています。皮なめし工場はフェズ市の初期の歴史においても主要産業であり、経済の大部分と結びついていました。市内の皮なめし工場の製品は遠くバグダッドまで輸出されたと伝えられるほど有名でした。
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12世紀から13世紀初頭のアルモハド朝の時代には市内に合計86の皮なめし工房を数えたといわれ、13世紀後半から15世紀のマリーン朝時代には約100の工房があったとされます。
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見学が終わると階段を降りますが、迷路のような建物の中を降りる度にレザーショップが現れます。その数は膨大ですが、これと行って欲しいと思えるものはありませんでした。
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ヤギ革で作られたハンドメイドのプフ(Pouf)も並んでいます。クッションチェアや足置きに使います。
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いつもなら大騒ぎの妻もここでは大人しくしていました。どうやらお腹が空いているようです。この後は旧市街のリアドの中でランチになります。
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