ヤンゴン

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2014/12/24 - 2014/12/25

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ヤンゴン(ミャンマー)

大感動のバガンを後にしてヤンゴン迄のバス旅です。
ミャンマーも民主化しバス会社もサービスエリアも競争社会に組み込まれます。バスに乗車時、サービスエリアで下車時、それぞれの会社の人が並んで歓迎。アメニティグッズを頂きました。日本に比べサービスは未々素朴なものですが、頑張ります！って意気込みが犇々と伝わってきました。
サービスエリアは学生さんにとって格好のバイト先です。軍事政権時代は鎖国の様なものでしたから、サービス業自体が初々しいものですが、彼女達は更に初々しい。英語教育がどれだけ行き渡っているのか知りませんが、メニュー片手に世界各国からやって来る旅人相手に走り回って頑張っていました。
彼女のお勧めは汁無しのモヒンガー。
とっても美味しかったです。
ただこのブログを書くに当たって久し振りにミャンマーの旅を思い起こしていますが、特に人物の写真を振り返る時、胸が締め付けられる様な感覚に陥ります。
もう8年も経っているのでミャンマーなら、もう彼女も結婚して幸せな家庭を作っていると思うのですが、今のミャンマーの情勢を想うと…。
YouTubeでミャンマーの動画を見ました。女子大生くらいの年頃の可愛らしい女性が戦場でインタビューを受けていました。ウクライナと違い全く支援が無いのは悔しいけど、自分達の子供や孫の世代に、こんな国の状態を残したくは無いから、私は白髪になっても戦い続けると語っていました。
ヤンゴンに到着したら、先ずは腹拵えです。
東南アジアで腹拵えと言えば、やっぱ屋台です。
首都だけあって目移りしてしまう屋台の数です。
そんな中、日本語を操る若い男女のビジネスマンに出逢いました。
彼等は目を輝かせて話します。
「どうですヤンゴン？どんどん発展してるんです。マックもあります。スタバも出来ました。ロッテリアもです。あ、韓国ルートじゃなくて日本を介したんです。嘘じゃありませんよ！弊社がお手伝いしたんですから。」
アジアのラスト・フロンティア等と聞こえの良い言葉を使って、ハイエナの様な資本主義各国がミャンマーの市場を漁ろうと涎を流していたこの頃、ミャンマーの若いビジネスマン達も怯む事無く、それどころかこのチャンスを逃すまいと目を輝かせていました。
「今、ヤンゴンの地価は大変な事になってます。大使館の集まる場所なんてシンガポールや田園調布並ですよ！」
田園調布の例えに噴きそうになりながらも
「嘘でしょ？今食べてる飯だって100円ちょっとだよ？」
ヤンゴンのバブルは私の想像の倍を行っているらしい、少なくともあの時は、軍事政権の事より急激な資本主義化による貧富の差の急激に進む事の方がよっぽど恐ろしく感じていました。
「それにしてもヤンゴンではロンジー(伝統的な腰巻き)巻いた人やタナカ(伝統的日除けの塗り薬)を塗った女性見ないですねぇ。」
「それは日本と同じですよ。着物同様ロンジーも下着を着用しません。今ヤンゴンのバスは超満員。もしロンジー(腰巻き)がズレたら大変でしょう？それに韓流ドラマや洋画を見て育った若い女性はやっぱりそれらに憧れを持つのも当然です。」
全く反論の余地無しなのですが、バガンの長閑な風景の中、ロンジーを巻き、頬にタナカを塗りたくった、はにかんだ笑顔の女性を思い出すと、勿体ないなぁと感じるのは旅人の浅ましさでしょうか？
でも彼等の気持ちも良く解ります。これまでブラウン管の向こうだけの世界と憧れ、諦めていた世界が、民主化と共に、頑張れば手に入れられるものに変わったのです。固定電話も覚束なかった社会に、ポケベルもガラケーも通り越してスマホがやって来たのです。
彼等は口を揃えて言いました。
「見ていてください。きっとヤンゴンをバンコクや、東京にだって負けない街にしてみせます！」
その時の彼等の口調や眼光は、自信と希望に満ち溢れていました。
一夜明けたら、最早私の足は歩ける状態にありませんでした。マンダレー、バガンと灼熱の寺院の上を裸足で歩き、登り、おまけに日の出前から夜景迄、二日間慣れない自転車を漕ぎまくった事で足の裏に無数の水脹れ状のマメが出来、両足ビッコ引く様な悲惨な状態に。
ロビーで針は無いか尋ねるも無いと言うので、仕方無くワインオープナーを借りてきて、ライターで炙り、ひとつひとつマメに刺して水を抜き、包帯でグルグル巻きにして完成です。これでトランジット含めて後二日は持つでしょう。では出発です。
モスクがありました！
おじいちゃんが売ってた大判焼きの様なお菓子、本当に美味しかったよ！
ボータタウン・パヤーに到着。
お宝が飾られている様ですが、全てキンキラキンで何が何だか解りません。
目が眩みます。
ボータタウン・パヤーの仏塔です。
ボータタウン・パヤーの境内です。
思った以上に広い境内でした。
ナッ神の像も飾られていました。
ボータタウン・パヤーの仏様です。
当時は、こんな情緒溢れる青空マーケットも次来る時には小綺麗なショッピング・センターに変わってしまうのかな？と考えていました。
あ、ロンジーを着用している人発見しました。
スーレー・パヤーはヤンゴンの中心に鎮座する寺院です。
街の中心の大きなロータリーの中に鎮座します。
常にヤンゴンの中心で街の変遷を眺めてきただろう仏塔は今、どんな光景を眺めているのでしょう？
07年、アジアで活躍したジャーナリスト長井健司だんが銃撃された場所はスーレー・パヤー付近でした。御冥福をお祈りします。
ボーチョーアウンサン・マーケット
歴史あるマーケットではある様ですが、私は商店街や屋台街の方が風情があって好きです。
それでも、ショッピングモールの様に世界の何処にあっても変わらない没個性なものよりずっとマシではあります。
シェーダゴン・パヤー迄バスに乗りました。乗るのは簡単、賑やかな交差点で耳を澄ませば「シェーダゴン！」とバスの客引く車掌の叫び声が聞こえてくる事でしょう。
ヤンゴンいや、ミャンマーで一番重要な寺院とも言えるシェーダゴン・パヤーに向かいます。
巨大な狛犬がお出迎えです。
流石に堂内凄い広さです。
何もかもキンキラキンです。
シェーダゴン・パヤーの巨大なメイン仏塔です。
中央の仏塔の周囲も広大なスペースに大小様々な仏塔が建てられています。
ミャンマーでは誕生日よりも、誕生した曜日が重要なのだそうです。
で、各曜日毎に祈る場所があって、それぞれの曜日の場所でお祈りします。
寝仏様もいらっしゃいます。
曜日で思い出しました。ミャンマーのお祈りでは曜日は水曜日だけが午前午後で二分され、八曜日制となるんです。
此処は何曜日でしょう？
それぞれ方角やら星座、動物が割り振られていて、なんか占いみたいです。
私の誕生した日は金曜日、星は金星、方角は北、動物はモグラらしいです。モグラかよ…
これだけ信仰されているなら、ミャンマーの朝の番組の占いコーナーは盛り上がってそうですよね。
「今日の金曜日生まれの皆様の運勢は～」
なぁんてキャスターさんの声が聞こえてきそうです。
可愛らしい参拝者と出逢いました。
此方はインドのブッダガヤにある仏塔を模したものです。
ミャンマー最大の寺院を堪能出来ました。
立派な狛犬さん。起源はペルシャでかのスフィンクスも御親戚です。
シェーダゴン・パヤーの隣は広大な人民公園が広がります。
ベタだけど人気のデートスポットの様です。そう言えば今日はクリスマスでしたね。見せつけられる筈です。微笑ましいです。
噴水越しにシェーダゴン・パヤーの仏塔を拝みました。
表参道は参拝客でギッシリです。
最後にもう一回振り返りました。
此処で昼食です。
カンドージ湖は庶民の憩いの場です。
水上パヤーかなと思ったら
高級水上レストランでした。
散策途中、スラムっぽい所を通りました。明らかに此処周辺だけ周辺と浮いています。
大都会の中に突如田舎の通りが現れたかの様な…。しかも田園調布並みの地価だと言う大使館エリアからそう離れた場所ではありません。
店員さんがタナカを頬に塗っていたり…。此処だけ時間が止まったかの様な空間でした。
チャウッタージー・パヤーには巨大な仏様が寝そべってます。
仏様は寝ておられますが、ヤンゴンは当時激動の最中でした。余りに多くの人が車に乗る様になったので、免許証の交付が追い付きません。免許証が無くても、パスしていれば運転は出来るものの、免許証が無いとガソリンが買えません。なので闇ガソリンの出番となります。どんなに喉が渇いても、路上で売ってる毒々しい液体が入っている瓶を買ってはいけません。それは闇ガソリンです。火を吹く事になるでしょう。
ミャンマー最後の夕暮れを、スーレー・パヤーで過ごしました。当時のミャンマーは激流の様に流れ込む資本主義により、膨れ上がる貧富の差、日本で言うなら昭和の時代に平成の文化が流れ込んだかの様なアンバランスさに満ちていました。何処か不安で、祈らずにはいられなかったです。
そして今、時計の針を逆回ししてしまったかの様に軍事政権時代に後戻りしてしまったミャンマー。一日も早く、彼等の目に希望の輝きが戻る日が来る事を願っています。
最後の晩餐は勿論屋台です。
ミャンマーのカレー、ヒンです。
ミャンマーを発つ朝となりました。ミャンマーの仏様は何処もキンキラキンでした。それは「自分よりも他人を想う事で徳が積まれる。」と言う事から、ミャンマーの人は自分が貧しくとも金箔を仏様に奉納してしまうのだとか…。
そう言えば、先に述べた動画の中でも、若い女性は自分達の子や孫の世代に、現状の様な社会を残さない為に戦っていると答えていました。その動画を見た在日韓国人ミャンマー人は、私達がやり残した事で、次の世代に大きな宿題を残してしまったと嘆いていました。
彼等の発言は、どちらも自分の事を語らず、他人の、他世代の事を憂い、その為に行動しているのです。凄い事だと思いませんか？
ミャンマーよりずっと恵まれた環境にいる私は次世代の為に何かしているでしょうか？何か残せるでしょうか？他の人の事しっかり考えて行動できているでしょうか？ミャンマーを旅して、そんな彼等に接して、ハッとさせられました。
そして今、そんな彼等が窮地に立たされています。ミャンマーの民主主義が潰えようとしています。こんな時こそ、いつも自分より他の人の事を考える彼等を世界が支えてあげる時ではないでしょうか。

最後までご覧になってくださりありがとうございます。