2019.8 特別展「三国志」【2】魏・蜀・呉―三国歴訪

2019/08/24 - 2019/08/24

東京国立博物館で開催されている「三国志展」の第2弾です。
184年の黄巾の乱から280年の西晋日本よる統一までの100年間、群雄割拠に始まり魏・蜀・呉の三国が争う時代は、のちに芸能や文学の題材となり、1800年以上たった日本でも漫画、ゲームをはじめとする様々な分野で人気を得ています。日中文化交流協定締結40周年記念をして開催された展覧会でリアルな三国志の世界に触れられる素晴らしい展覧会でした。
※展示品名、詳細等は東京国立博物館HPを参照しました。

エリア 上野・御徒町(東京)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 新幹線

第三章　魏・蜀・呉―三国の鼎立
三国志の中でも、赤壁の戦い（映画・レッドクリフでも有名）で、諸葛孔明が3日間で10万本もの矢を集めたというエピソードが有名ですが、そんな戦のシーンを思い起こさせる展示です。

東京国立博物館 美術館・博物館

本物の矢はド迫力！！

漢から三国の武器が続きます、これは魏の武器。
弩機 (三国時代・魏・241年） 2003年、山東省臨沂市王羲之故居洗硯池1号墓出土 臨沂市博物館 所蔵

矛 2本 （後漢時代・2世紀） 1969年、河北省定州市中山穆王劉暢墓出土 定州市博物館所蔵

剣 （後漢時代・2～3世紀） 1989年、河北省たく州市岐溝村出土 たく州市博物館

戟 （後漢時代・2世紀）1969年、河北省定州市中山穆王劉暢墓出土 定州市博物館所蔵
戟は、古くから中国に存在する武器で戈や矛の機能を備えたもの。

環頭大刀 3口（ 後漢～三国時代・蜀・3世紀）綿陽市博物館所蔵
奥から（1）1990年、四川省綿陽市何家山出土
（2）1987年、四川省綿陽市楊家店出土
（3）1990年、四川省綿陽市出土

鉤?纎 （後漢～三国時代・蜀・3世紀） 1998年、四川省綿陽市白虎嘴崖墓出土 綿陽市博物館所蔵
盾の1種で裏面に持ち手がつきます。

鏃 12個 （後漢～三国時代・呉・3世紀） 湖北省赤壁市赤壁古戦場跡出土 赤壁市博物館所蔵

環頭大刀 （三国時代・呉・3世紀） 1987年、湖北省鄂州市鄂鋼綜合原料廠1号墓出土 鄂州博物館所蔵

武士俑 （三国時代・呉・3世紀） 1999年、湖北省赤壁市蘆林?由1号墓出土 赤壁市博物館所蔵
ユニークな顔立ちの武士俑

軍船模型 2015年 鄂州博物館
長江周辺で戦うことの多かった魏と呉は大型の楼船を作ったことが三国志に記されています。この模型は宋時代以降に編纂された軍学書の図を参考に制作されたもの。

撒菱 （後漢～三国時代・3世紀） 1985年、陝西省漢中市勉県定軍山出土 勉県博物館所蔵

「袞雪」拓本 1幅 20世紀（原本＝後漢時代・3世紀） 原本＝陝西省漢中市石門隧道 漢中市博物館所蔵
漢中攻め（定軍山の戦い）の際、曹操が川の水しぶきを見て雪のようにおもい、「袞雪」と彫らせたという伝説がのこります。 いまも漢中市博物館にその石がありますが、本品はその拓本。

ゲーム『真・三國無双』シリーズの張飛の蛇矛を『三国志演義』に記された長さで再現したものも展示されていました。

蛇矛 （石寨山文化期・前2世紀） 1956年、雲南省昆明市石寨山3号墓出土 雲南省博物館所蔵
こちらは本物の 蛇矛の矛先。張飛が生きた時代の蛇矛はまだ発見されていませんが、本品のように紀元前2世紀頃の実例は存在し、文献記録では4世紀頃の蛇矛の記述があります。

「偏将軍印章」金印（後漢時代・1世紀） 1982年、重慶市江北区聚賢岩付近収集 重慶中国三峡博物館所蔵
200年関羽は劉備の妻子を守るため、やむなく曹操に降っていますが、曹操は関羽に偏将軍の地位を与え官渡の戦いに参加させています。本品は関羽に与えたものではありませんが、現存する唯一の偏将軍の金印。

童子図盤 （三国時代・呉・3世紀） 1984年、安徽省馬鞍山市雨山区朱然墓出土 馬鞍山市三国朱然家族墓地博物館所蔵
樊城の戦いで関羽を捕らえた呉の武将・朱然の墓の副葬品。銘文から蜀からの将来品であることがわかっています。

熨斗、炭炉 （三国時代・呉・3世紀） 1984年、安徽省馬鞍山市雨山区朱然墓出土 馬鞍山市三国朱然家族墓地博物館所蔵

釵 （三国時代・呉・3世紀） 1996年、安徽省馬鞍山市雨山区朱然家族墓地1号墓出土 馬鞍山市三国朱然家族墓地博物館所蔵
髪留めの道具。呉の武将・朱然の墓の前方に築かれた4基の墓のうちの1つから出土したもの。

諸葛亮の南征をテーマにした展示品が続きますが
写真は川本喜八郎の諸葛亮と孟獲の人形。孟獲は、南中の豪族で諸葛亮の前に何度にも亘り捕まるが、その度に放され、七度目に放された時、ついに諸葛亮に心服し蜀漢への帰順を誓ったという人物。

武士出征像 （後漢～三国時代・蜀・2～3世紀）雲南省博物館所蔵
諸葛亮を悩ませた西南夷を表す群像。

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「孟とう」印 （三国・蜀～西晋時代・3世紀） 1954年、雲南省昭通市二坪寨2号墓出土 雲南省博物館所蔵

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しょう （後漢時代・2世紀） 1960年、雲南省昭通市桂家院子1号墓出土 雲南省博物館所蔵
ここからの4品はすべて同じ墓に副葬されていたもの。

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提梁壺 （後漢時代・2世紀） 1960年、雲南省昭通市桂家院子1号墓出土 雲南省博物館所蔵
吊り手は双頭の龍、蓋の中央には鳳凰が飾られています。

げん （後漢時代・2世紀） 1960年、雲南省昭通市桂家院子1号墓出土 雲南省博物館所蔵

博山灯座 （後漢時代・2世紀） 1960年、雲南省昭通市桂家院子1号墓出土 雲南省博物館所蔵
灯りのための容器。

（右）帯鉤 （三国時代・魏・3世紀） 2009年、河南省洛陽市孟津県曹休墓出土 洛陽市文物考古研究院所蔵
（左） 帯鉤 （三国時代・呉・3世紀） 1993年、安徽省馬鞍山市慈湖電磁線廠出土 馬鞍山市博物館所蔵
2009年、曹操の甥で三国志にも登場する魏の武将曹休の墓が発見され、出土した帯鉤（右）です。類似のもの（左）は呉の地でも見つかっています。

石球 （三国時代・魏・3世紀） 2004年、安徽省合肥市合肥新城遺跡出土 合肥盧陽董鋪湿地公園管理処所蔵
魏と呉は合肥一帯で戦いを繰り広げていますが、魏の合肥新城で出土した石球。

撞車頭 （三国時代・魏・3世紀） 2004年、安徽省合肥市合肥新城遺跡出土 合肥盧陽董鋪湿地公園管理処所蔵
こちらも 合肥新城で出土した武器。戦闘用馬車の車輪に取り付けたと想定されます。

ここから第四章　三国歴訪に入ります。
まずは、魏。魏が支配したのは黄河流域とその北側という古くから文明が発達した地です。

（奥）「関内侯印」金印 （後漢～三国時代・魏・2～3世紀） 1976年、山東省新泰市東石萊出土 山東博物館所蔵
（手前）「魏帰義氐侯」金印 （三国時代・魏・3世紀） 甘粛省博物館

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定規 （三国時代・魏・3世紀） 1972年、甘粛省嘉峪関市新城2号墓出土 甘粛省博物館所蔵
動物の骨を薄く削って作った物差し。

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五龍硯 （後漢～三国時代・魏・2～3世紀） 1994年、山東省沂南県北寨2号墓出土 沂南県博物館所蔵
漢時代の石製の硯で蓋があります。

墨書紙 （後漢時代・2世紀） 1987年、甘粛省蘭州市伏龍坪墓出土 蘭州市博物館所蔵
後漢時代の墓から出土した紙。

獣文鏡 （後漢時代・1～2世紀） 1994年収集 洛陽博物館所蔵

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六博盤 （後漢時代・2世紀） 1988年、河南省洛陽市嵩県呉村出土 洛陽博物館所蔵
六博は古代中国で流行したすごろくの一種。

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厠圏 （後漢時代・2世紀） 陝西省宝鶏市出土 宝鶏青銅器博物院所蔵
便所小屋と豚を飼育するための囲い一体化した建物の模型。

方格規矩鳥文鏡 （後漢～三国時代・魏・2～3世紀） 1955年、遼寧省遼陽市三道壕1号壁画墓出土 遼寧省博物館所蔵
紐を通すための穴が長方形を呈し、名分には「同出余州」とあります。また文様の最も外側に突線がめぐるなど、中国出土鏡では例が少なく、日本列島で出土する三角縁神獣鏡に認められる特徴をそなえています。

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鼎 （後漢時代・2世紀） 1983年、遼寧省遼陽市東門里墓出土 遼陽博物館所蔵
本来は青銅でつくられる鼎が土器で代用されている品。

鐎 （後漢時代・2世紀） 1983年、遼寧省遼陽市東門里墓出土 遼陽博物館所蔵

把手付容器 （後漢～三国時代・魏・3世紀） 2008年、遼寧省遼陽市苗圃16号墓出土 遼陽博物館所蔵
中国東北部の遼寧省遼陽市で見られる容器。当地は公孫氏が半独立の立場をとった地域であり、日本列島とのつながりも示されます。

炉 （後漢～三国時代・魏・3世紀） 2008年、遼寧省遼陽市苗圃16号墓出土 遼陽博物館所蔵
公孫氏の炉。公孫氏は三国志の中では魏に組み込まれてますが、考古学的にみると強い独自色があります。

盒 （後漢～三国時代・魏・3世紀） 2008～12年、遼寧省遼陽市苗圃50号墓出土 遼寧省文物考古研究院所蔵
魚料理を入れて副葬された器。

刀魚文俎 （後漢～三国時代・魏・3世紀） 2014年、遼寧省遼陽市苗圃25号墓出土 遼寧省文物考古研究院
副葬に作られた俎板の模型。

井戸 （後漢～三国時代・魏・3世紀） 1943年、遼寧省遼陽市車騎壁画墓出土 遼陽博物館所蔵
副葬用につくられた井戸の模型。

毋丘倹紀功碑 （三国時代・魏・245年） 20世紀初頭、吉林省集安市板岔嶺出土 遼寧省博物館所蔵
清朝末期に発見された公孫氏滅亡後の史実を伝える貴重な資料。

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北園1号墓壁画模写「車馬行列図」20世紀（原本＝後漢～三国時代・魏・3世紀） 原本＝遼寧省遼陽市北園1号墓出土 遼寧省博物館所蔵

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北園1号墓壁画模写「車馬行列図」（部分拡大）

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北園1号墓壁画模写「騎馬行列図」

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北園1号墓壁画模写「車馬行列図」騎馬行列図、楼閣図

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北園1号墓壁画模写「楼閣図」（部分拡大）
旅行記　2019.8 特別展「三国志」【3】曹操高陵　に続く