京浜電気鉄道大森支線

2019/03/02 - 2019/03/02

大森駅と大森海岸駅間にチンチン電車がかつて走っていました。
京浜間を結ぶ路線を敷設することを目指して京浜電気鉄道と社名を改称し、東京方面への延伸を行った際に、暫定的に東海道本線大森駅との接続を図るべく開業させた路線である。
1937年（昭和12年）3月8日 大森停車場前 - 大森海岸間が廃止された路線です。
現在であればさよなら運転で多くの撮り鉄が押し寄せるのですが戦前に時期ではひっそりと廃止されたのだと察します。

エリア 大森・大井町(東京)

• 同行者: 一人旅
• 旅行の手配内容: 個別手配

大森駅
戦前の1937年（昭和12年）に廃止されたのでその線路痕跡は見つけられません。

駅周辺案内図をよく見るると

大森駅前に不自然な道路があります。
これが方向転換の際のポール付け替えの手間を省くため、ラケット形状のループ線なのです。

歩いて行くとラケット状になっている枝の部分が見つかります。

ラケット状になっているビルの反対側で、ビルの周囲を一周周っていたのです。

ビル（大森口ビルディング）には周囲の道路と共に平面図の案内が掲示されています。
ビルの中が電車の車庫だったそうです。

大森海岸までの道路には大森に関するタイル絵が植えこまれています。
大森と言えば大森貝塚

海苔取
昭和38年まで大田区大森を中心に海苔養殖産業が栄えていました。

これは大森海岸
駅の横には海水浴場が広がっていたのです。

これがチンチン電車のタイルです。
ポール式の単車の電車がかつて走っていたのです。

途中にはイトーヨーカドーの店舗がありその駐輪場に京浜電気鉄道大森支線が走っていたことを今に伝えている案内板が設置されています。

道路に面してないので見つけにくい場所に設置されていて自転車が停められていました。

案内板全体
解説文と共にチンチン電車の写真も見られます。

沿道の歴史と題してチンチン電車を紹介しています。
明治３４年（1901）六郷橋のたもとから蒲田、大森海岸を通って、大森停車場（現在の東海ビル）を結ぶ鉄道がしかれました。関東地方で最も古い歴史をもつ私鉄が走ったところです。
その後、大森海岸から新しく品川まで線路が伸びると、大森海岸～大森停車場は、大森支線として、かわいい一両だけの電車が走る、１㎞にも満たない鉄道となりました。当時は、線路際に野菜が干してあったり、とてものどかな鉄道だったそうです。
しかし、まちの発展に力のあった大森支線も、時の流れと共にその役割を道路にゆずり、昭和１２年（1937）早春、ついに廃止されることになりました。
現在、シンボル道路として整備され、新しい装いを見せるこの道路は、大森支線の夢が眠っているところなのです。

大森停車場とループ線
写真を提供した高松吉太郎氏は素晴らしい記録を残してくれました。
氏は鉄道友の会の発起人の一人として会の発展に尽力するなど、日本の鉄道趣味界の指導者的存在の一人として大きな役割を果たした人物です。

京濱電車海岸停車場と大森停車場東口
今でこそ、スマホで簡単に写真が撮れますが戦前に於いて建造物を撮ること自体がスパイ容疑になり得ることだったとおもいます。
カメラも現在の様に小型ではなくフィルム式だったのでそこそこの大きさだったのです。

「チンチン電車の敷石」の案内板と敷石

チンチン電車の敷石

敷石が唯一の遺構です。

イトーヨーカドーはアサヒビールの跡地だったのです。

アサヒビール東京工場跡
東京工場は当地で昭和３７年に操業を開始し平成１４年に神奈川県南足柄市へ移転しました。

さらに歩いて大森海岸駅へ向かいます。

大森海岸駅の横にある京急ＥＸイン
このホテルと手前公園が停車場の跡地だったそうです。

大森海岸駅
大森駅は大田区ですが大森海岸駅は品川区です。

大森海岸駅からは海は見えません。
マンションの裏側にはしながわ水族館あり、右側には平和島競艇場があるのです。
そして海は２Ｋｍ以上も先にあるのです。