2019/01/13 - 2019/01/13
120位(同エリア911件中)
万歩計さん
この旅行記スケジュールを元に
奈良盆地の東に連なる美しい青垣の山裾を縫うように、桜井から奈良に通じる古代の道があります。これが「日本書紀」にも記録がある「山の辺の道」です。道沿いには今でも多くの史跡や古墳があり、「記紀・万葉集」ゆかりの地名や伝説が残っている、まさに「古代ロマンの道」です。
「山の辺の道」は、ほぼ中間点の石上神宮(いそのかみじんぐう 天理市)を境に、北と南に別れています。一般に「山の辺の道」は桜井から天理までの「南コース」を指し、見どころの多くはこの範囲に集中しているので、歩く人も圧倒的にこちらが多いです。一方「北コース」は見どころが点在していて、車道を歩くことも多いので「南コース」に比べやや人気薄のようです。
万歩計は奈良に住んで35年余り、この間「山の辺の道」を70回近く歩いています。やはり「南コース」が多いですが、「北コース」も渋い魅力があります。70回中15回程度は南北全コースを通して歩いていますが、この場合35kmの長距離になり丸1日を要します。
今回は6年ぶりに南北全コース踏破にチャレンジしました。この道は真夏を除き季節ごとに魅力がありますが、万歩計は柿や蜜柑が色づく秋と冬枯れのこの時期を好みます。4トラベルにも「山の辺の道」の旅行記が多数アップされていますが、ここでは地元の道案内のつもりで少し詳しく書きました。
前半は桜井駅から石上神宮までの14.5kmです。
では、出発しましょう!
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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6年ぶりに山の辺の道南北コースを踏破します。天理駅には立ち寄らないので全行程は35kmです(地図はネットから拝借)。
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8:55 スタート地点の近鉄大阪線桜井駅に到着。急行停車駅です。
桜井駅 (奈良県) 駅
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駅には近鉄が作成している桜井~天理間16kmの地図が置いてあります。北コースも合わせて歩く場合は、駅員さんにお願いすると天理~奈良間のマップをプリントアウトしてもらえます。
事前に準備する場合は近鉄のHPから入手可能です。
https://www.kintetsu.co.jp/zigyou/teku2/#tab2 -
北コース②.天理駅~山村町バス停間12km。
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北コース①.山村町バス停~近鉄奈良駅間10km。
今回の桜井駅~石上神宮~円照寺~近鉄奈良駅の南北踏破コースは35kmになります。 -
9:05 スタート。ゴールの近鉄奈良駅の到着予定時刻は17:00です。現在気温4℃、最高気温12℃で晴れの予報。絶好のハイキング日和です。
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駅前をまっすぐ北に。交差点で右折して国道を歩くとスーパーがあります。ここでおにぎりと菓子を仕入れました。
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しばらく歩道にこんな道案内のタイルが埋め込んであります。
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国道から狭い道に左折すると「三輪そうめん」の工場。
「三輪そうめん」はここ桜井の特産です。かっては寒風の中の素麺の天日干しが見られたそうですが、今は工場内での機械生産のためかっての冬の風物詩を見ることが出来ません(万歩計も見たことなし)。
三輪素麺造りに興味のある方はここを参照
→ https://www.shakaika.jp/blog/14448/kameyaueda_sakurai/ -
程なく大和川。対岸に見える小さな山は三輪山です。
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橋を渡った堤に「万葉歌碑」。歌碑を巡るスタンプラリー用なのか、至る所でこんな歌碑を見ました。
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歌碑の少し先には「仏教伝来地」を示す碑。
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古代、大和朝廷と関係を持つ各国の使節は、難波津(今の大阪湾)から大和川を舟で遡り終着地であるこの場所で下船しました。
仏教を日本に伝えた百済の使節もここで上陸し、すぐ南にあった当時の都に赴いた事が日本書紀に記されているそうです。 -
このまま川に沿って東へ向かうと、牡丹で有名な長谷寺に行きます。今日はここからほぼ真北に奈良まで歩きます。
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すこし歩くと「海柘榴市(つばいち)」の案内板。
海柘榴市は日本最古の市場で、大和川を遡ってくる交易船の終着点だったこの場所で市が立っていました。また、若い男女が集まって歌を詠み交わした「歌垣」は有名だそうです。 -
右の小道を奥に行くと海柘榴市観音堂があります。トイレ工事でごちゃごちゃしていました。
海柘榴市 名所・史跡
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右側の新しい趣に欠ける建物に、2体の観音像が安置されています。
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平安時代になるとここは長谷寺詣での宿場町として栄え、「枕草子」「源氏物語」「蜻蛉日記」にも記述があるそうです。
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更に歩くと金屋の集落。古い建物が残った通りで片側が水路になっています。
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玄関の上にしゃもじが掲げた古い民家。そこには「八十八才」と書かれています。長寿祈願か長寿お礼で掲げられたと思われます。
この一帯には35年前は同様にしゃもじを掲げた古い家が何軒もありましたが、今は建替え等で殆どなくなっています。 -
ここから小さな道に右折します。「山の辺の道」は多くの部分で東海自然歩道や近畿自然歩道と重複しています。
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金谷の石仏
金屋の石仏 寺・神社・教会
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古くは貞観時代、新しくても鎌倉時代のものです。
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日本でも指折りの名石仏とされています。
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先に進みます。冬枯れのこの風景が好きです。
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石畳から地道に変わった先を歩いていくと
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右手に平等寺への階段があります。
平等寺 (桜井市) 寺・神社・教会
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平等寺は聖徳太子の建立と伝えられ、かつては東西500m、南北330mの大寺院で、境内に多くの伽藍、塔頭があったそうです。
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しかし明治初期の廃仏毀釈で寺は荒れ、昭和50年代に現在に形になりました。「金谷の石仏」もかってはこの寺のものだったそうです。
広くはありませんが伽藍と塔が程よくバランスして、禅寺らしい落ち着いた雰囲気でした。 -
平等寺の山門を出て前の道を右に進むと大神神社の神域に入ります。
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杉の大木の前に人盛り
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お酒と卵がお供えされています。
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御祭神が蛇神に姿を変えこの杉の祠から白蛇が出入りしたという言い伝えがあります。お酒と卵は蛇の好物なので、この神杉の前に供えられるようになりました。
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イチオシ
大神神社拝殿。大物主大神を祀る日本最古の神社と言われています。日本書紀や古事記にも記述があります。
大神神社 寺・神社・教会
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今日は3連休の中日。多くの人が参拝に訪れていました。
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ここでお参りします。
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神社の背後がご神体の三輪山。
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先に進みます。
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この道は「くすり道」と呼ばれ薬草が栽培されていたそうです。
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狭井(さい)神社にちょっとだけ寄り道。
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狭井神社は大神神社の摂社で、ご神体の三輪山にはここから入山料を払って登ります。万歩計も35年ほど前に登ったことがあります。
狭井神社 寺・神社・教会
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神殿の横に神水が湧いており、飲むことが出来ます。
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神池のほとりにある市杵島姫(いちきしまひめ)神社。鮮やかな朱塗りの小さな神社。
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山の辺の道に戻りました。ここから奈良市街の東端にあたる百毫寺まで26km、先は長い。
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無人スタンド
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懐かしいポンプ井戸
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大神神社から1kmほど行くと小さなお寺が見えてきます。
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玄賓庵。平安時代に玄賓僧都が隠棲した寺です。
玄賓庵 寺・神社・教会
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周囲に民家はなく山中にひっそり立っています。寺は非公開ですが重文の不動明王が安置されているそうです。
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謡曲「三輪」の舞台。
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寺の裏道のせせらぎでスタンプラリーの「万葉歌碑」を発見。
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寒いこの時期は歩いている人も疎ら。
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10:23 桧原神社に到着。境内には白砂が敷かれ箒の跡が残っています。ここまで6861歩。
檜原神社 寺・神社・教会
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天照大御神とその父母である「いななぎのみこと」と「いざなみのみこと」が祀られています。本殿や拝殿がなくシンプルですが凛とした空気があります。
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ここから西の方向に二上山が美しく見えます。
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古歌にも歌われているようです。
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桜井駅からここまで6861歩。ウォーミングアップを終え、ここからは少しスピードアップします。
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奈良歴史街道の案内板
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イチオシ
冬枯れの大和盆地
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一帯はミカン畑。この時期は八朔が実をつけています。
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「巻向の 山邊とよみて 行く水の みなあわの如し 世の人われは」 柿本人麻呂
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穴師集落の古い民家
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ここを右折
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景行天皇陵に向かいます。
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ここは間違いやすい場所。右の坂を上ります。
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蜜柑の直売所。この一帯ではミカン狩りのできる観光農園がいくつかあります。
山の辺みかん狩り フルーツ狩り・農業体験
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行く手に景行天皇陵が見えてきました。景行天皇は第12代天皇で日本武尊の父とされています。
景行天皇陵 名所・史跡
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ここから道を外れ少し上った場所に大和三山を望むポイントがあります。
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イチオシ
ズームアップ。お椀を伏せたような手前の山は耳成山、その奥は畝傍山。
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もう一つの香具山は左のほうにありますが、他の2つに比べ山容がはっきりせずわかりにくい。
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景行天皇陵の正面は左(西)に行きますがパスして先に進みます。
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25年くらい前まで、この辺りの畑の傍におばあちゃんがちょこんと座って採れたての野菜や果物を売っていました。いつもニコニコして山の辺の道のアイドルのような存在でしたがもう亡くなられたかなぁ。
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この先で小さなせせらぎを渡ります。ほとりにどっしりした民家が建っています。
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この民家の横には30年前くらいまで水車の跡があったように記憶しています。今は影も形もありませんが往時を偲ばせる句が書かれています。
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崇神天皇陵が見えてきました。崇神天皇は第10代天皇ですがこの時期の天皇は実存したかは不明だそうです。
崇神天皇陵 名所・史跡
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崇神天皇陵の横から竜王山に登る道が分かれています。
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陵の周囲は濠になっています。
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11:19 天理市トレイルセンターに到着。南山の辺の道のほぼ中間点です。ここまでスタートから12600歩。10分間小休止しました。
天理市トレイルセンター 名所・史跡
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トレイルセンターの奥に空海の開祖と伝えられる長岳寺があります。
長岳寺 寺・神社・教会
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多くの重要文化財があります。
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今回は写真だけで先を急ぎます。
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長岳寺近くの集落。屋根の重なりが美しい。
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中山廃寺。今は広場に遊具。
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ここを左に行くと三角縁神獣鏡が出土して話題になった「黒塚古墳」があります。
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念仏寺に突き当たったら右へ
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念仏寺の墓地の中の道を進みます。
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無人スタンドで野菜を買うハイカー
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どれも採れたてです。
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萱生集落の裏手の濠。水面に映った家がいい感じです。
萱生環濠集落 名所・史跡
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山の辺の道にはトイレが整備されています。
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自家菜園の野菜を売るお爺さん。写真に気安く応じてくれました。
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あちこちに小さな古墳
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この一帯は奈良県でも有数の前方後円墳が所在する地域です。
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やや広い道を歩いています。西は大和盆地ではるかに生駒山が見えます。
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東は低い山が屏風のように連なっています。
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随所に設けられた休憩所
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ハイカーたちが昼の弁当を食べていました。しかし当方は先が長い。中間点の石上神宮まで一気に歩きます。
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竹ノ内環濠集落。
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奈良盆地には室町時代に防衛のために周囲に濠をめぐらした「環濠集落」が造られました。ここ竹ノ内環濠集落はその代表的なものです。
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現在ではこれらの濠は殆ど埋められてしまいましたが、竹ノ内集落の西側にその一部が残っています。
竹之内環濠集落 名所・史跡
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イチオシ
竹ノ内集落
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乙木町集落。ここの通りにも古い民家が何軒か残っています。懐かしい日本の風景。
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12:10 夜都伎神社。スタートから17400歩。
夜都伎神社 寺・神社・教会
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奈良の春日神社と縁が深い神社ですがひっそりしています。
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東に向かって歩くと天理観光農園。
天理観光農園 フルーツ狩り・農業体験
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ここからの眺めはなかなかのものです。大和盆地の中央に低い矢田丘陵、その向こうに生駒信貴の山並みが連なります。
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ここからちょっと上り坂。
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山道にひっそりと歌碑。
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柿の果樹園。秋になると横に広がった枝に真っ赤な柿の実がたわわに実ります。
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池が見えてくるとそこは永久寺跡。
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12世紀初めの永久年間に建てられかっては大伽藍を誇ったそうです。しかし寺運が衰え明治の廃仏毀釈を経て現在は池を残すだけになっています。
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池の横に芭蕉の句碑。
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永久寺跡を過ぎると石上神宮のある布留の森が見えてきます。今では珍しくなった公衆電話ボックス。
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布留の森の入口
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神域を進むとニワトリの甲高い鳴き声が聞こえます。
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いろんな種類のニワトリが放されています。鶏は夜明けに鳴いて時を告げることから神聖視され、「神の使い」として敬われています。
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石上神宮は日本最古の神社の一つで、物部氏の総氏神として信仰されてきました。
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楼門。鎌倉時代末期の建築で重要文化財です。
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国宝の拝殿。
石上神宮 寺・神社・教会
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拝殿で参拝して楼門を出ます。
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12:45 今日のコースのほぼ42%地点です。スタートから約21000歩。スマホに充電しながら昼食です。
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