Kia ora! 秋のニュージランド南島ドライブ旅行（５） 　Mount Cook国立公園一番人気のHooker Valley Trackを2度歩く

2018/04/11 - 2018/04/13

　4月11日午前にTasman Valley Walkを歩いた後、少し晴れ間が出てきたので、午後はHooker Valley trackへ。やや、雲が多かったが、Mt.Cookの雄姿を間近でみることができた。このトレッキングコースは、Mount Cook Village一番人気のコースだけあって、すばらしい絶景続きのコースである。2日後に、天気が良くなってから、2回目のトレッキング。午前と午後の違い、天気の違いによって、見える景色も変わるのではないかという期待を込めての再訪である。
　期待に違わず、2回目では、Hooker湖に崩壊した氷河から流れ出た氷塊が浮かんでいるという、Tasman湖で期待していた光景を見ることができた。

エリア アオラキ/マウントクック国立公園周辺(ニュージーランド)

• 旅行の満足度: 5.0

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: レンタカー
• 旅行の手配内容: 個別手配

Tasman valley walk駐車場からHooker Valley trackのスタート地点であるWhite Horse Hill駐車場へ移動。20分ほどのドライブである。ここはオートキャンプ場も併設されている。

駐車場からもMueller氷河がよく見える。

まずは、連れ合い手作りのハンバーガーと、Marmiteを使ったみそ汁もどきのスープで腹ごしらえ。

　Mount Cook Village周辺のTrackは、Sealy Tarns Track以外は、アップダウンは少なく、スニーカーでも歩ける優しいコースだ。Hooker Valley Trackも例外ではない。
　腹ごしらえして、トイレを済ませてから歩き始める。

間近に見上げるサザンアルプスの山並み。

　歩き始めてすぐに、こんな募金箱がおいてある。募金する人はあまりいないが、こんな素晴らしい景色のところを歩かせてもらうので、手持ちのコイン数枚を投入。

コースは、背の低い灌木とモレーンが散在する草原だがTrackの玄関のように、ここだけ高い木のアーチをくぐっていく。

雪解けの水たまりに映ったサザンアルプスの雪山。

昨日降った雪が残っている。

　サザンアルプスは、Mount Cook付近で緯度が北海道の大雪山とほぼ同じくらいで、亜寒帯というより温帯に属する。日本では、現存する氷河はないが、ニュージーランドには、温暖な海洋性温帯気候であるのも関わらずたくさんの氷河が残っている。何がこの違いをもたらしたのだろうか？　

15分ほどで、Hooker川に架かる吊り橋が見えてくる。折り返し点のHooker湖までに３つの吊り橋を渡ることになる。

　吊り橋の手前にMueller湖を見下ろす展望台があるので、立ち寄る。
　Mueller湖はMount Seftonの中腹から流れ出すMueller氷河が溶けた水が溜まった氷河湖である。

第１の吊り橋。

　定員は20名。けっこう揺れる。川面からの高さもそれなりにあるので、高所恐怖症の連れ合いは、怖がること、怖がること！　しっかりした柵がついていて、落ちることなんてありえないのに、それでも怖いらしい。

　Mueller湖から流れ出るHooker川の流れ。氷河融水独特の白濁した水である。吊り橋の上から撮影。

この辺りは、昨日の雪がかなり残っている。

Hooker Valleyの右手に連なる山並みの一部。

Mueller湖の北端付近まできた。

やがて第2の吊り橋が見えてきた。

第2の吊り橋。この橋はまだ昨日の雪が残っている。

この辺りまでは、谷の左側のMount Sefton, Footstoolなどは良く見えているが、Mount Cookはまだ見えない。

谷の右側のMount Cookに連なる山並みが見えてきた。

やがて、コースは正面にMount Cookを見ながら歩くように方角が変わる。だが、Mount Cookには雲がかかっていて頂上が見えない。

　雲の間からMount Cookの頂きが見えてきた。ニュージーランドを代表するシンボル的な山。いわばニュージーランドの富士山である。ただし、独立峰ではなく、サザンアルプスの中の一座である。標高は3724mで、富士山よりちょっとだけ低い。富士山は、大勢の登山客でにぎわうが、こちらは、高度な登山技術がないと登れない山である。エベレスト初登頂を果たしたエドモント・ヒラリーは、この山で登頂訓練をしたという。

第2の吊り橋を過ぎてしばらく行くと、木道が現れる。このときは雲がかかってしまっているが、正面にMount Cookが見える、このTrackの絶景ハイライトとも言えるところだ。Hooker Valley Trackを紹介するガイドブックやパンフレットの写真も、ここで撮影されたものが多い。

第3の吊り橋。

吊り橋の中ほどで下流の方を撮影。

氷河のように見えなくもないが、これは氷河ではない。

掛かっていた雲が取れて、間近にMount Cookの雄姿が現れた。

Trackの折り返し点、Hooker湖が見えてきた。奥に見えているHooker氷河が作り出した氷河湖である。

　Hooker氷河。午前中に見たTasman氷河より規模は小さく、長さ11kmで、Mount Cookの南西側斜面から流れ出ている。Tasman湖と同じく、Hooker湖も1970年代からでき始めた湖である。

Hooker谷の西側に連なるサザンアルプス。

Hooker谷の西側に連なるサザンアルプス。左から順にMt.Sefton, The Footstool, La Perouseの峰が連なる。

Hooker湖畔でしばし休憩したあと、引き返す。再びMueller湖。

第1の吊り橋を渡って出発点に近づいたあたり、ルートから少し外れたところに石造りの尖ったピラミッドのようなモニュメントがある。

Alpine Memorialという。Mt.Cook 国立公園の山岳で遭難した登山家達の慰霊碑のようだ。

　さらに出発地のWhite Horse Hill Parkに近いところに「Fredaの岩」という巨岩がある。これもモレーンだろう。そばの説明パネルによると、「1910年12月3日に、女性として初めてMount Cook登頂に成功したFreda du Fourという女性登山家が、この岩の前で記念撮影した」と書いてある。Freda女史、なかなかの美人だ。

駐車場からも良く見えるHooker Valley東側に聳えるMount Wakefield。

翌々日の4月13日。
朝から快晴で、絶好のトレッキング日和。Village内で早朝のサザンアルプスのモルゲンロートを撮影し、朝食を摂ってから、再びHooker Valley trackへ。
ただ、White Horse Hill駐車場に到着したころには、ちょっと雲が出てきてしまった。山の天気は変わりやすい。

一昨日まで残っていた雪は、消えている。

ブッシュについた朝露が日の光を浴びて輝き、とてもきれいだが、写真ではうまく表現できない。

Wild Irishmanの茨についた雫。霜が溶けて水滴になっている。日の出前は寒かったが、日が昇ると暖かい日になった。

日陰では、シダについた霜が溶けずに残っている。

少しアングルは違うがタソックの群落付近の2日前と、この日の比較。中一日ですっかり雪は溶けてしまった。

再び、mueller湖展望台にて。

再び、第1の吊り橋

まだ朝早いので、歩いている人は少なく、気持ちよく周囲の風景を楽しみながら進んでいく。連れ合いも今日の足取りは軽い。

　ここに限らず、ニュージーランドの氷河は温帯地域にあるので、ヨーロッパやカナダなど違って、氷河と温帯樹林が一緒に見られるというのが面白い。

　振り返ってMount Cook Villageの方を遠望。彼方にターコイズブルーの水をたたえたPukaki湖が見える。サザンアルプスから離れた東の空は快晴が続いている。

河原に降りてみた。

雲が厚くなってきたが、幸いMount Cookを覆ってはいない。

谷の西側山塊の氷河

三番目の吊り橋とMount Cook。このアングルも観光パンフレットやガイドブックにはよく登場する。

木道があるところまできた。一昨日の雪は消え、雲に覆われていたMount Cookが、くっきりと見えている。2日前とこの日の風景の違い。

Mount Cook西側斜面の氷河をアップで。これがHooker氷河源流だろうか？

　Hooker湖に到着。ここで思いがけない光景が目に飛び込んできた。
オオッ！一昨日は何もない白濁した湖水だけのHooker湖に、この日は氷河が崩落した氷塊が浮かんでいる！

それほど風もなく湖面は静かなので、Hooker氷河の映り込みも見えている。

さっそく、湖岸に降りてみる。

　氷山とまでは言えないが、氷河が崩れて漂っている氷塊と、湖に映り込んだMount Cook。Tasman湖で見たかった光景をここで見ることができた。同じコースを２回も歩くのはどうかとも思わないでもなかったが、やはり来てよかった！

昨日は、風雨が強かったのでその影響か、氷河が崩落し氷塊が反対側の岸辺まで流れ着いている。

奥の方には、氷山もどきの大きな氷塊が浮かんでいる。

西側のFootstool山も湖面に映り込んでいる。

　一昨日は、こんな光景は見られなかったが、氷河が崩れて破片が湖に浮かんでいる光景は、そんなに珍しい光景ではないらしい。ということは、それだけ氷河の崩壊が頻繁に起きているということになる。世界中のどの氷河も後退しているが、ニュージーランドの氷河の後退は、他の地域の氷河より早いらしい。

鏡のように湖面が静かなので、上下対称の氷塊の形が面白い。

晴れていれば、もっとフォトジェニックな光景になっていたであろうが、早朝快晴だったのに、ここにきて曇ってしまったのが残念。

氷河と氷山を望遠にて。

岸辺に打ち上げられた氷塊。昨夜の風はかなり強かったようだ。

　氷が浮かんだ湖に裸で入り込んだ猛者がいた。さすがに水は冷たく、たまらず１分も経たないうちに上がって来た。

　岸辺に打ち上げられた氷。たくさんの気泡が含まれているが、とても透明度は高い。これでウィスキーをオンザロックで飲めたら美味いだろうな。
　宿に持って帰るわけにはいかないが・・・

氷の味を確かめる連れ合い。雑味がないミネラルウォーターの味だ。

Hooker湖を見下ろす展望台に戻り、ランチ。この日も手づくりハンバーガーだ。米を持ち込めたら、おにぎりということになるのだが、ニュージーランドでは、それはかなわない。

晴れるのを待ったが、雲はなくなりそうもないので戻ることにしよう。

ときどき、撮影しながら戻る。あちこちに巨大なモレーンが転がっている。

彼方にHermitage Hotelが見えるところもある。

薄いベールをかぶったような肉厚の葉を持った植物。

　戻る途中にAlpine Tarnという標識があったので、ちょっと寄り道。Tarnとは山のなかの小さな池のこと。Mount Cookを写す池には氷が張っていた。
　

モレーンと谷の西側のアルプスの山並み

またまたMueller湖

景色を眺めているドイツ人らしきカップル。

　White Horse Hill駐車場に戻った後、時間があるのでKea Point Trackを歩いたが、それは次の旅行記にて。