冬服が手放せないハノイ・フエ・ホイアン・ダナン（その７） 王宮を歩き、ホテルに感激し

2018/01/07 - 2018/01/07

　堀の先にある王宮の門を目の前にして、シクロ（人力三輪車）がうるさくつきまとってきます。
　「遠い、遠い、歩けないぞ・・」
　「1時間、10ドル、10ドル・・」
　「チケットがないと、入れない・・」
　「チケット売り場は、遠い、遠い・・」
　だまされるものか！
　今のオレ達には、時間はあり余るほどあるんだ！
　自分たちの力で歩きます。

エリア フエ(ベトナム)

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: 徒歩

　シクロを無視して外堀を渡り、狭い門をくぐって行くと、
　おおっ、
　大砲です。

　４門の大砲がガイドブックどおりに、堂々と陣取っています。
　春、夏、秋、冬を表わす大砲だと言いますが、どれが春で、どれが夏なのか分かりません。

　もっと分らないのは、どのように弾丸を詰めて、どう点火したかです。
　ゴーレムのような巨人が、底のふたを開けて弾丸を詰め、火縄銃のように点火したのか？
　そんな馬鹿な・・

　近くで遊んでいるのは、お坊ちゃんとお嬢ちゃんたちで、
　保育園の幼児たちと見えます。
　遠足かな？
　野外保育かな？
　幼い子供は見ていて飽きません。

　チケット売り場がありました。
　シクロにだまされなくて良かった・・・
　入場料は１人750円とちょっと高いが、王宮の修復費なんでしょう。

　目指す第一目標は、王宮門です。
　午門とも言うらしい。
　「午」は「正午」の意味で、南門という意味です。

　５つの入口があって、中央は皇帝専用なので閉まっています。
　その右側の入口が文官用、左は武官用だというので、私たちは右の入口から入ります。
　兵士や馬や像の入口はその外側と、厳しい階級社会、格差社会です。
　「門の上に登ると素晴らしい景色が・・」とガイドブックにありますが、閉鎖されていて登れません。

王宮門 (午門) 建造物

　王宮門をくぐると正面は大和殿。
　即位式などの朝議が行われた神聖な場所だと、ガイドブックに頼りきりです。

太和殿 城・宮殿

　フエはベトナム戦争の激戦地で、王宮はほとんど破壊され、この大和殿は再建されたものです。
　復元されている屋根の装飾などを見ると、

　ハノイで見てきた寺院と似ています。
　仏教国なのに、タイやラオスの寺院とは違っています。

　大和殿の中は撮影禁止。
　見どころは王座と８０本の柱で、柱には皇帝を象徴する龍の装飾・・とガイドブックにあります。
　外の白い柱にも龍の装飾があり、これも80本のうちに入るのかな、と思いましたが、内部の柱は全くの別物でした。

　修復・復元された建物は、広大な敷地に点々と散らばっていて、

　順路案内もなく、地図とパンフレットと首っ引きで、あっちこっちと歩き回るが、

　中をのぞくと資料館となっていたり、

　土産物屋となっていて、

　当時の面影は感じられず、どうも一つ、ピンときません。
　ジオラマを見ると、昔の王宮にはたくさんの建物が建っていたことが分かります。
　戦争がこれらの重要な文化財を破壊してしまったのです。

　ある建物に入ると、
　おっ！
　かっこいい兜がありました。

　綺麗な衣装もたくさんあります。
　どれも新しく見え、触ろうとしたら、お姉さんがやって来て、追い出されてしまいました。
　観光客の写真撮影用のもので、ここはレンタル衣装屋だったようです。

　別の建物の中には、皇帝が実際に使っていたという家具や調度品、

　皇帝の椅子もあって、

　皇帝の写真まであります。
　写真があるということは、大昔ではなかったということで、
　この王宮も、歴史の中ではつい最近のことだと、見方が少し変わりました。

　紫禁城があった場所です。
　ここに執務を執った勤政殿、寝所であった乾成殿、中心となる坤泰宮が並んでいたのですが、フランス軍との交戦で壊滅してしまい、今は何もありません。

　今は回廊しか残っていませんが、

　見上げれば圧倒される造形で、気持ちが引き締まります。

　金色の龍（麒麟？）が紫禁城跡を眺めています。
　まるでその歴史を振り返っているかのようです。
　何もない広場ですが、ここに建っていた宮殿や、皇帝に仕える人々の姿を想像してみます。

紫禁城 城・宮殿

　「夏草や、つわものどもの夢の跡」
　ふと芭蕉の句が浮かんできて、フエに来て良かったと思うのでした。

　ガイドブックを見れば、この近くに「閲是堂」というベトナム最古の劇場があります。　遠くに見えるあれがそうかな？
　と草っ原を迂回する回廊を進んでいくと、

　大きな堀があって、

　かなり遠回りになってしまいました。

　それでも何とか劇場らしきものを探し出し、

閲是堂 劇場・ホール・ショー

　中に入ると、目を見張ります。
　これは凄い！
　客席は少ないけど、当時は選ばれた貴人だけの観劇なので、これで良いのです。

　あらためて天井や壁を眺めれば、金に糸目をかけない装飾ばかりです。
　皇族の力は偉大です。
　当時なら、私などは近寄ることもできなかった劇場です。

　２時近くになっていて、このあたりでホテルに帰ることにします。
　出口は王宮東にある「顕仁門」となっています。
　電動カーがやって来ました。
　無料て送ってくれる車のはずなのに、合図しても止まりません。
　ムッとしていると、車は別の方向に曲がってしまいました。

　仕方なく「顕仁門」まで歩いてきましたが、
　

顕仁門 建造物

　ホテルまではまだまだ距離があります。
　その途中、戦車が並ぶ「歴史革命博物館」がありました。

歴史革命博物館 博物館・美術館・ギャラリー

　大好きなスリムなミグ戦闘機がありますが、疲れているので柵越しに眺めるだけにして、

　写真だけは真剣に撮り、

　ふと見つけた食堂で、昼食としました。
　思えば、昨日の昼から食事らしい食事はとっていません。
　野菜炒めとフライドライスをガツガツと平らげ、

　ホテルに戻ると3時でした。
　笑顔のお姉さんが、丁寧にお茶のサービスをしてくれて、
　部屋に案内してくれますが、

　ドアを開けると、これは間違いではないかと驚くような、これまで見たこともないような綺麗な部屋で、たじろいでしまいます。
　貧乏旅行を続ける私にとって、こんな立派な部屋は初めてで、嬉しいけれど恐ろしい。

　大きなベッドがドデンとあって、

　お洒落な化粧台やクローゼットやテレビ台には、収納場所がたくさんあります。
　いつものようにベッドの上を散らかさす必要がありません。

　TVあり、冷蔵庫あり、ドライヤーあり、ケトルあり・・・
　何でもあって、そして大きな窓。
　これが朝食付きで１４ドルなのです。
　ケトルの脇にはお茶パックとインスタントコーヒーが置いてあります。

　全てが清潔でピカピカしていて、統一されたデザインとなっています。
　チェックインは2時だと待たされた時には、何と不親切なホテルだと悲しくなったのに、お姉さんやお兄さんは親切で、部屋もこんなに素晴らしく、フエが大好きになってしまいました。

この旅行記へのコメント （2）

• trat baldさん 2018/02/11 10:33:09

  楽有れば苦有り、逆もまた楽しからずや！

  良いことと悪いことは表裏一体なのね、事の真理が解ると結構納得できるみたい、、、、
  四季の大砲、、、時代から鑑みて砲身の先から火薬、弾の順に入れて砲の上部にチラッと見えてる火付け口と思しき所から着火したしたんじゃあないかしら。
  王宮は道教の影響を受けているのかしら？フランスとの戦いに敗れた後も皇帝は暫く存在したと思うから写真が有るんだねぇ～、むしろベトナム戦争時の解放戦線の虐殺に対してアメリカ軍が十数万トン(ベトナム戦総量)と噂される絨毯爆撃で北ベトナム軍を放遂した際の被害の大きさが現代に繋がっているかも。
  Ps.フエと云えばリゾート旅行記が多い中でmotogenさんの記事は切り口が違ってとっても魅力的！

  motogenさん からの返信 2018/02/11 15:13:34

  RE: 楽有れば苦有り、逆もまた楽しからずや！

  ありがとうございます。
  私たちがこんな旅ができるのは、金はないのに時間と暇だけはあるからでしょう。
  もう一つあるとすれば、今もって天邪鬼精神旺盛で、みんなのやることと反対のことをしてみたい、常識に反したことが好きであることでしょうか。
  危険もありますが、人生はそれで良いと覚悟しています。
  長生きするだけが豊かな人生ではないのかと・・・