スペイン巡礼１－④：スビリからパンプロナへ

2011/05/01 - 2011/05/02

僕らの選んだスペインの巡礼路は、パリからサンジャンピエドデポーを通ってサンチャゴデコンポステーラまでおよそ１６５０ｋｍの道が続いている。
その約半分、ピレネー山脈のフランス側のすそ野サンジャンピエドデポーからサンチャゴデコンポステーラ大聖堂まで８００ｋｍの巡礼路カミーノフランスを二人で歩く。
僕らの年齢、妻62歳、夫65歳、5回目の春が過ぎるころにはガリシア州にある大聖堂に着き巡礼を終える予定だ。
その後は　ア・コルーニャ、フィニステーレ岬、それからポルトガルへ渡って、ポルト、コインブラ、ファティマ、オビドス、リスボン、ロカ岬をゆっくり、のーんびり巡ろう。

＜初めてのヨーロッパ、英語もスペイン語も、ましてフランス語もまるで出来ない二人だ、身振り手振りでどのくらい意志が通じるのだろうか？＞
≪きっと何とかなるわ≫
＜？？？・・・・！　君に任せるよ＞

＜＊＊＊＊＊＞夫の言葉
≪＊＊＊＊＊≫妻の言葉
（＊＊＊＊＊）二人以外の言葉


イロツ村の小さなロマネスク風教会Iglesia de san pedro

エリア パンプローナ(スペイン)

• 同行者: カップル・夫婦
• 一人あたり費用: 25万円 - 30万円
• 交通手段: タクシー 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

スビリ→ララソアニョ→イロツ→巡礼路を離れて→ワルテ→パンプロナ

僕らはナバラ州の約半分を歩き終えた
あと７３０ｋｍあまりでサンチャゴデコンポステーラに着く

≪楽しみはとっておきましょ≫

■５月１日：スビリ→ララソアニョ→ワルテ

道の両側の大きな家を見ながらワルテへ進む。

≪牧場のオーナーなのかしら？≫

－こんな大きな工場もある－

巡礼路にはふさわしくない景色だが仕方ないね

＜朝早くから装置が動いているよ＞
≪スペイン人にも働き者が居るのね≫

－ウルダニス村を対岸に見ながらー

ズビリの巡礼宿を何も食べずに歩きだして１時間半
僕らの歩く路にはバルも何もない。

＜もう少しでララソアニョ村に着くよ、そこで何か食べよ＞

ー巡礼の途中で渡る橋、水面の水、川辺の緑、どれも美しいー
　
けれど僕らが心の余裕を持っていられたのはこの橋を渡るまでであった

＜ララソアニョ村のバルが閉っている！！？？＞
≪私たちのお食事は？≫

昨日、買い出しのできなかった僕らには食べ物がない
朝食はバルが頼みなのだ
左へ曲がった道の先にスペインで２台目になる自動販売機をみつけ
サンドイッチとゲータレードで恵みの朝食

≪Gracias≫

ーララソアニョは緑と水の綺麗な村だー

ーしばらく歩くときれいな藤を育てている家が道の脇にあったー

ーイロツ村に着いてー

＜少しやすもう＞

古びた教会の前で荷物を置かずに座り・・・・

ー心にしみわたる水をいただくー

Irotz村の小さなロマネスク風教会Iglesia de san pedroの脇の
古びた水道から流れ出る水を僕らは感謝して飲んだ

≪美味しいわね≫
＜ほんと＞

（＊＊＊＊＊！＋＋＋＋＋？）

村人が何か叫んでいる
飲み水ではない水を僕らは飲んでしまったようだ

その後二人には何事も起こらなかった

≪感謝しましょう≫
＜！！！！！！！＞

－僕らはここから巡礼路を離れてアルガ川沿いにワルテまで下る－

皆が歩いていると安心する妻
皆のなかを歩きたくない夫

明日はもうパンプロナだ。

―高速道路の下を右へ曲がるとワルテに入る－

－ここからワルテ－

ワルテも巡礼路の通っている表示が描いてあるが
巡礼路のいつもの標識はズット見ていない。

≪これがワルテのマークなのかしら？≫

－アルガ川を渡る－

－僕らはもう異邦人－

＜オラ、ブエン・ディア＞
（Hola？)

挨拶は帰ってくるが少し怪訝な顔をされてしまう。

橋を渡ってワルテの市街に入ると
もう、巡礼路のような挨拶は必要がないのだ

ーお酒を飲めなくても今夜はワインで乾杯しよう　今夜の宿ドンカルロスにて－

明日からはもう長い道を歩かなくていい
食べ物の心配をしなくていい
地図読みの必要も無いし少しくらい道を間違えても妻は気にしないだろう
僕の役目はもう終わりだ

＜バンザーイ＞

ホテル ドン カルロス ホテル

－ワルテのドンカルロスホテルの二人だけのディナー－

いつもの通り
ワイン１本
水１本
がテーブルに最初に並ぶ

＜カンパイ＞
≪カンパーイ≫

－まずサラダ－

－僕の頼んだ肉料理－

繊細さはないけど美味しい

＜僕にはピッタリだよ＞

－妻の頼んだ魚料理－

これも繊細さはない

≪あっさりとして美味しいわ≫

－そしてデザート－

ここのシェフに繊細さを期待してはいけない。

■５月２日：ワルテ・ドンカルロスホテル⇒パンプロナ

朝のドンカルロスホテルの誰もいない静かな中庭

ーすべてが思い通りに進むわけではないー

この中庭で巡礼の数日を回想しながら珈琲を飲み
おしゃべりを楽しみたかった

≪ピレネー越えは苦しかったわ≫とか
＜あのドイツ人はどこら辺にいるのだろう＞とか

だが　その余裕も無く出発する時間が来てしまった

ーサンジャンピエドポーから８０ｋｍ歩いて今回の旅の終着地パンプロナに入るー

ナバーラ州の州都
牛追いの町
通りの中央に聳えるカテドラル
そして要塞シウダレーラ
チゴイネルワイゼンの作曲者サラサーテの故郷
長い歴史を持つ古都パンプローナ

ー立ち寄りたい場所がたくさんあるのに僕らはここも素通りしてしまうー

パンプロナから始まる来年の旅はもう少し長くなる予定だ

＜せめてパンプロナ駅までは周りを見ながら歩いていこうよ＞
≪賛成≫

まず、要塞シウダレーラ

―シウダレーラの中の金属のオブジェ－

－要塞の脇を通って進む－

－要塞を出て、タコネッラ公園を通り過ぎ－

ータコネッラ公園の出口で二人ずれのお婆さんにであうー

優しそうな二人に僕らは質問する。

＜RENFEのイル－ニャ（バスク語）駅はどこですか＞
（＊＊＊＊＊＊＊？？＊＊＊＊＊＊！）

かなり難しそうな道を何度も僕らに教えてくれる
良く分からなかったが・・・心から感謝して別れる。

ー二人のお婆さんは信号を渡って行ってしまったー

＜Ｇｒａｃｉａｓ　お婆さん＞

ー実際に歩いて分かったー

公園の途中から道ではない道が崖を下っている
僕らもその道を恐る恐る下る、２０分ほどでRenfeのパンプロナ駅だ

ーアルガ川の脇を通ってー

―川を越え－

ーＲＥＮＦＥ（スペイン国鉄）のパンプロナ駅にやって来るー

ここから特急に乗ってマドリッドを目指す
今夜から僕らは観光客だ
ブレザーを着て
タブラオでディナーを食べながらフラメンコを楽しみ
美術館を訪ね
荷物をホテルに置いてアッチコッチを歩き回る

－時間通りにやって来た特急に乗りこむ－

３時間ほどでマドリッドのアトーチャ駅だ

僕らの最初の巡礼の旅が終わる。

＜ごくろうさま＞