雲南省之旅(1)広州から昆明郊外の真池温泉花園酒店でくつろぎ、「雲南民族村」で少数民族の伝統文化に触れる。

2007/08/18 - 2007/09/01

広州から桂林と陽朔の旅の次の中国旅行は同じ広州を経由して雲南省の昆明と麗江と香格里拉を15日間というビサ免除ギリギリのスケジュールでした。日数が足りなくて、行きたかった大理は次の機会となりました。成田から杭州往復はＡＮＡの特典航空券だったので、費用も節約できました。昆明での滞在は「昆明真池温泉花園酒店」というリゾートホテルでした。広州からの便のディレイのせいで、ホテルに着いたのは深夜だったので翌朝になって驚きました。部屋は池に浮かび、広大な敷地と雲南民族園との間にある真池の美しさだけでも昆明に来た甲斐がありました。市内からはかなり離れていますが、真池と少数民族園は共に徒歩15分くらいですし、昆明の喧騒から離れたい方にはお勧めのリゾートです。雲南民族園は思っていたよりも良く出来ていて、麗江と香格里拉を旅する前に立ち寄れてよかったです。

エリア 昆明(中国)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 5.0
• グルメ: 4.5
• ショッピング: 3.5
• 交通: 4.0

• 同行者: カップル・夫婦
• 一人あたり費用: 15万円 - 20万円
• 交通手段: 高速・路線バス 船 タクシー 徒歩
• 航空会社: ANA
• 旅行の手配内容: 個別手配

広州往復は全日空マイレージの特典航空券を利用しました。燃油サーチャージが別途10,000円ほどかかりましたが、格安な旅行が出来ました。

前の年の広州と桂林と陽朔の旅に引き続きの広州白雲空港経由の旅になります。

成田からは予定通りに広州空港に到着しました。

夕方の中国東方航空の便で昆明へ移動です。17：10発の昆明行は19：25に到着予定でした。

昆明からの折り返し便だったので、到着が遅れたために出発も遅延になりました。2時間後に再度案内をするとの事でした。そして間も無くお弁当が配られました。

これがまた美味しいこと。アヒルの塩卵もチキンも野菜炒めも絶品で完食しました。

1時間30分遅れで搭乗する便が現れました。結局2時間遅れで登場が始まりました。

昆明の空港に着いたのは午後9時を過ぎていました。空港からはホテルまではバスルートが無いのでタクシーで移動しました。約30分で45元でした。チェックインしてからベルボーイのお兄さんについて行きますが、延々と建物をいくつも抜けて行きます。広大な敷地なのはなんとなく分かりましたが周囲は暗いので景色は分かりません。部屋も広く快適でしたが、これで朝食付で1室7,600円とは驚きでした。

朝になって周りが明るくなるとビックリしました。夜は気が付きませんでしたが、部屋の外には６畳ほどのベランダがあって下は池になっています。遠くにフロント棟が見えます。朝食はオープンテラスのパラソルの下でいただきましたが、ここは中国？と思ってしまうほどヨーロッパのリゾートのような雰囲気です。

部屋に戻る途中に湖畔を散歩してみると、対岸にこれから行く「雲南民族村」が見えました。

昨晩は暗くて分かりませんでしたがホテルの正面側も車寄せまである瀟洒なデザインのホテルです。ここから民族村まで５分くらいなので歩いてみましょう。

のんびり出発したので開園時の歓迎式には間に合いませんでしたが、入り口は賑わっていました。ただ敷地は広大なので入口辺りで混んでいても直ぐに人影はまばらになりました。

今日はこの「雲南民族村」で１日過ごす予定です。雲南民族村は雲南省に住む25の少数民族の生活と文化を紹介しているテーマパークで1992年に開園しました。

この人たちは観光客なのですが、納西族の方みたいです。雲南省のどこからか昆明に出てきて観光しているのだと思います。

この遊具は日本では琵琶湖が最初だったでしょうか。ニュースで見たことがありましたが、中国では既にポピュラーになっていました。

昆明は1995年に「昆明世界園芸博覧会」が開かれたほど、温暖で気候が良いので南国の花が咲き乱れています。

ブーゲンビリアの色も鮮やかでした。

この頃はまだ東南アジアの旅に出る前なので、ブーゲンビリアも珍しく思えました。

バナナの実と花を見たのも初めてでした。

タイ族のエリアから観光を始めました。タイでは昔から白い象は神聖視されており、王はこれを発見すると大切に飼い、官位と欽錫名が与えられ一般のゾウと区別したといわれます。アユタヤ王朝のチャックラパットが白象を集めたために白象王と呼ばれたほどです。

タイ族村は民族村の東門から最も近い村です。村内は高床式の竹楼や仏教寺院、水神を祭る聖水亭などがあり、村中に南国の開放的な雰囲気が漂っています。ここにある白塔は?族村で最も立派な建築と言われ、徳宏自治州の允燕塔を10分の9のサイズで再現しています。

中央には高さ23メートルの大塔が立ち、その周りを40の小塔が囲い、365の風鐸が風に鳴り、涼しげな音色を奏でます。

貸衣装を着ていたこどもが可愛らしいですが、タイ族の衣装ではないですね。

各民族の村では伝統音楽や舞踏の実演があります。細かいスケジュールがあるので、それに沿えば数多くの踊りや音楽が楽しめます。こちらはワ族の練習風景です。

ワ族は中国の少数民族の中でもワイルドな人達です。女性はストレートの長髪が美しいです。

中国南部から東南アジア北部の山間部、メコン川以西サルウィン川以東の中国雲南省南部とミャンマー北部シャン州からラオス北部に住んでいる部族です。

雲南省各地から昆明に出てきて、町中の暮らしに慣れたら田舎に戻るのは難しいような気がします。

どの民族も共通なのは赤い靴です。この民族村に限らず各地のショーではほとんどこの赤い靴を見ることが多いです。

ワ族の村の入口には必ず水牛の頭蓋骨があるそうです。陽朔の「世外桃源」でも同じようなものが置かれてありました。村に邪悪なものが入らないようにする魔除けの意味があるのでしょう。

チベット族では羊の頭蓋骨に金や銀で装飾したものがあります。これは後の香各里拉で見つけて、どうしても欲しくなって買ってしまいました。

モンゴル族（蒙古族）の村です。初めて本物のゲルを見ました。日本だと中国の呼び方のパオ（包）の方が一般的ですね。ドアがある正面を南向きにして立てられ、入って向かって左手の西側が男性の居住空間、向かって右手の東側が女性の居住空間です。

モンゴル族は主に内モンゴル自治区及び新疆ウイグル自治区の主な居住地域ですが、元朝以降には四川省や雲南省に移り住んでいます。

通常中心を支える柱は2本ですが、このゲルは8本の美しい装飾が施された柱で支えられています。

白族の村は民族村の西エリアにあり、入口の広場からは雲南最古の建築物で有名な「大理崇聖寺三塔」の4分の1の模型を見ることができます。また大理街が村の南北を貫き、両側に大理石や絞り染などの工芸品の店が続いています。

お土産物の傘ですが綺麗です。

お土産物屋さんの中を風が通り抜けると、えも言われぬ鈴の音が流れます。

大理辺りに住む白族の村は商売上手な民族らしく、建物にもお金がかかっています。

村内にある白族の民族建築は白壁と灰色瓦屋根が特徴で「三坊一照壁」と「四合五天井」の構造を持ち、軒下や扉や窓には精巧な石彫と木彫が施されています。大理街の突き当りには白族大劇台があり、劇台の先には白族の「本主廟」が建造され、白族の英雄が守護神「本主」として祭られています。

働いている女の子たちも民族が違っても仲良しになるのでしょうね。お客もほとんどいないので記念写真を撮っていました。

白族と納西族の木造技術は反り返った軒や木組などが似ているような気がします。

刺繍の実演販売もされています。これらの文化を見ていると本物の村に行きたくなってしまいます。今回は納西族の励行や周辺の村々と香格里拉安右辺の蔵族の村を訪ね、最後には濾古湖の摩梭人の村も訪ねました。そして翌年は貴州省のいろいろな苗族やトン族や水族の村を訪ね歩きます。

水を運ぶ人もちゃんと民族衣装です。中国の偽物遊園地が日本でも報道されていますが、ちゃんとしたコンセプトに基づいた施設もたくさんあります。

納西族のエリアに入ります。この後に行く麗江（リージャン）は納西族の村ですから楽しみです。納西族村は白族村の西にあり、入口の広場には納西族の守護神「三朶」の彫刻が見え、その両側にはトンパ教の創世神話が彫り込まれた巨大な赤砂岩の壁が立っています。

また「三坊一照壁」や「民居楼」や「花馬坊」などの納西族の建物は水路に沿って建てられています。村の各所でトンパ象形文字や極色彩のトンパ壁画などのトンパ文化に触れることができ、納西古楽も鑑賞することができます。

納西族は固有の宗教である東巴（トンパ）教を中心に発達した文化です。東巴教は2000を超える神々を祀る自然崇拝に基づいた民間信仰で、チベット仏教の影響がみられますが、組織化された信徒集団や寺院はありません。

経典はシャーマンである東巴によって「東巴文字」で描かれます。トンパ文字は絵画のような約1400の象形文字からなりますが、経典の多くが文化大革命の時に法器と共に焼かれてしまいますが、なお約5000冊が現存しているそうです。
彼女たちの背中の丸飾りは北斗七星を表わし、納西族の女性の勤勉さをイメージするものだそうです。

数日後から始まる麗江の旅がさらに楽しみになってきました。

この東巴文字は「年々吉祥」で、妻にちょうど合っている気がしました。

私は「人生快楽」。そんな人生を送りたいものです。

東巴文字は納西族に伝わる象形文字の一種で、納西語の表記に用いて異体字を除くと約1400の単字からなり語彙は豊富です。現在では世界で唯一の「生きた象形文字」とされます。 司祭の東巴同士の間で代々継承されてきたため、社会全体での標準化がなされておらず、異体字も多いそうです。また口語をそのまま書き記すものではなく、内容も宗教や伝承に関するものが多いため、真の意味で理解するのはとても難しいそうです。

主に毛筆で描かれて世界の文字の中でも唯一色によって意味を変えうる文字であり、黄色はお金、黒は悪などの意味合いをつけて字の意味を広げていきます。

納西族の村の隣にある「摩梭之家」は納西族の支系摩梭人（モソレン）の生活と文化を紹介するところです。摩梭人は母系氏族社会と通い婚の習慣を守り続け、丸太を積み上げてできた四合院形式の「木楞房」に住んでいます。

摩梭人の青年はみんなとってもカッコ良いです。旅の終わりに濾古湖まで行きましたが、この皮の帽子が欲しかったのですが、何処にも売っていなくて手に入りませんでした。お土産物の似て非なる物はいくらでもありましたが…。

摩梭人は納西族に属する一派とされ、およそ4万人の部族で、父方の血統ではなく母方の血統を通して家系が伝えられる「母系社会」を形成しています。
最長老の女性が家長で、一族のさまざまな物事を取り決めるのも女性です。外での労働や農作業で男たちが稼いでくる金銭はすべて女性の手に渡り、家計費として女性たちに分配されます。また、摩梭人の社会には夫というものが存在しなく、女性が選んだ恋人がいるだけで、恋人とのあいだに生まれた子供は、女性たちの庇護のもと一族のなかで育てられます。

夏に収穫された玉蜀黍は乾燥させて、保存食とするようです。芯は資料にも燃料にもなるので捨てるところはありません。

この雲南民族村で農業が行われているとは思えないので、よそから持ち込んだものだと思います。

民族村のいくつかのエリアは水路や池で区分けされています。

日本で見掛ける浮草はホテイアオイくらいですが、この池には青梗菜みたいな浮草が育てられています。

休憩時間なのか白族（ペーズー）の女の子が木陰で休んでいました。

ちょうどカチン族の村で表演が始まりました。
カチン族はミャンマー北部のカチン州およびシャン州北部に居住するミャンマー有数の民族の1つです。雲南省徳宏タイ族チンポー族自治州に居住するジンポー族 や北東インドに居住するシンポー族も同一民族だそうです。

後にミャンマーを旅していて、インレー湖の水上生活の村のお土産物屋で美しい経典を手に入れました。それはシャン語で書かれた経文と裏側には釈迦の姿がいくつも描かれていました。

ちょっと章子怡（チャン・ツィイー）似ているような可愛らしい女の子でした。

中国では少数民族の方もかなり地位を向上させていますが、ミャンマーなどでは同じカチン族でも弾圧されています。タイを旅していてもミャンマーから逃げてきたカレン族の青年に出会ったことがありました。国教と彼らの住む地域が一致していないのがいろいろ問題を起こしているような気がしました。

新疆ウイグル自治区や西蔵の問題はありながらも、中国の少数民族に対する政策は上手くいってるのでしょうか。ただ旅をするだけでは詳しいことは分かりません。

タイトな黒い上着に縫い付けられた遠景の銀飾りがとてもきれいです。

20分ほどの表演でしたが楽しかったです。他の少数民族の踊りや歌も見たいのですが、敷地があまりに広くて辿り着く事が出来ません。事前に地図を手に入れて、表演の時間を確認してルートを決めないと無理だと思います。

竹ひごを水で柔らかくして竹細工を造っている青年がいました。

こんな風景も村と村の間で見る事が出来ました。

どこの少数民族化は分かりませんが、こんなオブジェが並んでいたり。

こちらは蔵族（チベット）の寺院です。

本当のチベット寺院では写真が撮り難かったり禁止されていますが、ここは写真撮影が出来ました。

建築や内装は全く本物の寺院と変わらないので厳かな雰囲気でした。実際にお参りしている人も僧侶の方もいらっしゃいました。

別棟でチベット族の表演がありましたが、現代的な音楽の伴奏なのでモーニング娘のようでした。

元々昆明で育った人なのかもしれません。他の少数民族の女の子たちとは違って都会慣れした雰囲気を感じます。

チベット仏教の寺院では毎年仮面をつけた「チャムの踊り」が行なわれます。踊りは教理を伝え仏陀や密教の諸尊の示現を描き、俗人による黙劇や踊りは聖人伝や人情物や善と悪との闘いや地獄の恐怖を表現します。 中国では「跳舞」と呼ばれ、動物面以外は三眼の忿怒相をしています。

踊りが終わってお疲れのところでしたが、一緒に写真を撮らせていただきました。

哈尼族（ハニ）の表演も見る事が出来ました。主に雲南省西南部の紅河西側の哀牢山区にある新平、鎮源、墨江、元江、紅河、元陽、緑春、金平、江城などの県に住むそうです。

雲南省紅河の元陽県に位置する「紅河哈尼棚田群」は、1,000年以上の長い歳月をかけて造り出した棚田の素晴らしい絶景が評価され2013年に世界文化遺産として登録されます。

ハニ族は4世紀以降に中国での戦火から逃れて南下したとされますが、遥か東の日本列島まで到達していた痕跡が見つかっているそうです。 弥生時代の遺跡等から見つかった人骨とDNA 骨格等が一致したり酷似しており、大豆を使った納豆や味噌さらに歌垣の文化等日本との共通点が多いと言われます。

2本の竹を演奏に合わせて閉じたり開いたりして、その上で踊るダンスは台湾のタイヤル族の文化にもありました。

頭飾りの銀細工が可愛らしい女の子でした。ちょっと一色紗英に似ている気がしました。

Ｔシャツの色だけ少数民族風です。

そろそろ夕方のなのでホテルに戻ることにします。対岸に見えますが歩くと結構あります。ここからボートで送ってくれれば部屋は見えているのですが。

ホテルに戻って一休みしました。6時間近く歩きっぱなしだったような気がします。とても1日では見る事が出来ない広大な村でした。

民族村で買ってきた葉巻を吸ってみましたが、美味しくありませんでした。雲南省はタバコの葉の栽培が盛んな場所で、翌日行った石林から九郷への道すがら畑を見る事が出来ました。

部屋のベランダから眺めた「雲南民族村」です。

真池の海浜公園まで散歩に行きました。公園も広大ですが池というにはあまりに巨大な湖です。明の永楽帝の大航海時代の鄭和はこの湖の南側で生まれたことを思い出しました。

鄭和は明代の武将で、12歳の時に永楽帝に宦官として仕えて軍功をあげて重用され、1405年から1433年までの南海への7度の大航海の指揮を委ねられました。鄭和の船団は東南アジアからインドからアラビア半島、そして最も遠い地点ではアフリカ東海岸のマリンディ（現ケニアのマリンディ）まで到達しています。

鄭和は馬哈只の子として雲南省昆陽鎮（雲南省昆明市晋寧区）でムスリムとして生まれます。姓の「馬」は預言者ムハンマドの子孫であることを示し、名の「哈只（ハッジ）」はイスラム教の聖地メッカへの巡礼者に与えられる尊称ハッジに由来します。

この景色は鄭和の生まれ育った頃と変わらない風景でしょう。

公園の入り口の売店でビールを大量に買ってホテルの冷蔵庫に入れました。公園の売店でも大瓶３元（45円）という安さでした。

雰囲気は良いのですが8月中旬でお客がこんなに少なくて良いの？と思いました。日本人のお客は全く見掛けませんでした。

フロント棟を抜けて真池側に出た所には池と噴水が設けられリゾートらしさを感じさせます。

対岸の民族村はまだまだ楽しそうです。本当にこの池を真っすぐ渡れれば、また戻って仲間になりたいくらいです。

雲南民族園の夜景も綺麗でした。最初は雷かと思いましたが、この後花火も上がりました。実際花火の途中でスコールも来ましたが。明日は昆明真池をロープウェイで渡り、西山竜門石窟景区を散策して大観園まで足を延ばします。