雲南省之旅(15)李さんの運転で寄り道しながら「虎跳峡」へ行き、展望台で泥水を頭から被り、「拉市海」で竹竿で船を漕ぐ。

2007/08/18 - 2007/09/01

この日は1日かけて虎跳峡に行くことにしました。今日も李さんの車でドライブです。現地ツアーもあるけれど、李さんとの3人旅が楽しくなってきました。香格里拉へ行く道と同じルートを２時間ほど進み、長江第一湾（長江の川が最初にカーブする所）を越えて橋のたもとの分岐道に入って更に進むと「虎跳峡」の入口です。川の対岸にも道路があり観光バスも入っていますが、こちらは人も少なく遊歩道も長くついているので楽しかったです。途中には岩山を刳り抜いたトンネルなどもあり、係員が川沿い側を歩くと「落石に注意！山側を歩いて！」と注意されます。人力車も屋根が鋼板で出来ていたので事故もあるのでしょう。「虎跳峡」の一番奥の展望台では突発の大波を被って全身泥水だらけになりましたが良い記念になりました。帰りは時間があったので李さんの提案で「拉市海」（ラーシーハイ）という湖で舟遊びをしました。これがガイドブックにも紹介されていない所だったのですが、とても印象に残る美しい所でした。

エリア 麗江(中国)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 4.5
• グルメ: 4.5
• ショッピング: 4.0
• 交通: 4.0

• 同行者: カップル・夫婦
• 一人あたり費用: 15万円 - 20万円
• 交通手段: 高速・路線バス 船 タクシー 徒歩
• 航空会社: ANA
• 旅行の手配内容: 個別手配

「虎跳峡」までは遠いので早朝の出発です。麗江市街からは北へ60キロ離れてい香格里拉市との間に位置しており、金沙江とその支流の碩多崗河が合流する付近から始まって、玉竜ナシ族自治県の大具郷の一帯で終わるまでの約16キロにわたって続いています。

途中の峠で李さんは車を停め、車を降りて指さします。「あそこは景色が良いから写真撮ってきたら。」らしい事を言っています。「雄谷景区」と呼ばれる展望台です。

駐車場からは結構離れていたけど行ってみて正解でした。素晴らしい景色が広がっています。チベット仏教寺院がありました。

緑の濃い渓谷を長江がゆっくりと流れていきます。

この辺りはチベット文化圏に入っているようです。

香格里拉に行く時も路線バスで通っている道ではありますが、記憶に残っていません。ただどこまでも美しい風景が広がっています。

谷間から吹き上げる風がタルチョをたなびかせています。

お寺には菩薩像が安置され、その後ろには蛇を咥えたガルーダが憤怒の姿で描かれていました。仏教では迦楼羅天と呼ばれ、食吐悲苦鳥（じきとひくちょう）と漢訳されます｡

日本と同じように瓦を寄進する風習があるようですが、墨文字では無くて赤いペンキというのが中国風です。

「雄谷景区」からは九十九折と呼ぶのがふさわしい曲がりくねった道を下りました。

そして玉蜀黍畑をしばらく走ります。

「長江第一湾観景台」という有料の展望台があるのですが、李さんは「お金がもったいない。」といって似たような景色の場所に車を停めてくれました。

長江はここから東シナ海までながれますが、我々世代だと揚子江と呼んだ方が馴染みがあります。「長江哀歌（三峽好人）」という映画がヴェネツィアの金獅子賞を取った数年後だったので、ここでこの川を眺めると感慨深いものがありました。

ここでヒマワリの種を買ったのですが、今までで食べたものの中で一番おいしかったです。これ以降「洽洽香瓜子」がマイブームになって数年間食べ続けていました。

ヒマワリ以外にもカボチャやピーナッツなどいろいろな種子が売っています。

この辺りは数日前に香格里拉から戻ってきたときに通りがかった記憶があります。

古い中国映画の一場面のような集落を通り抜けました。香格里拉に行く途中はイ族の四角い頭飾りを被った女性を見掛けました。

長江を一度渡りました。この辺りも香格里拉に行くときに通ったのを覚えています。

対岸には岩に穿った歩道が見えてきます。

川幅が狭くなってくると急に流れがきつくなって来たり。

「虎跳峡」に到着しました。対岸には大きな駐車場があり、たくさんのバスが停まっていました。

「虎跳峡」についての案内が落石のような巨大な岩に彫られていました。

ここから岩に穿った道を延々と歩くようです。

記念写真を撮って気合を入れて歩くことにします。

妻はテンションが下がっていて歩きたくなさそうです。

こんな道を片道１時間程ハイキングします。地面はきれいに舗装されているのである安いのですが、岩は今にでも崩れてきそうです。係員さんが所どころにいて、壁際を歩くように注意されます。

この辺りはまだ川の流れは静かです。

落石の無さそうなところで記念写真を撮りました。

またこんな崖の近くを歩きますが、川に近い方を歩くと迷彩服を着たおじさんに拡声器で思いっきり中国語で怒られます。

対岸も凄い景色になってきました。

岩を刳り貫いたトンネルまでありました。ここなら落石もないし涼しいので気持ち良いです。

層はいっても落盤事故があれば絶対に助からないでしょう。

30分ほどしか歩いていないのですが、すでにお疲れ気味です。昨晩の2時間の按摩の効果は無くなってしまったようです。

「虎口桟道」なんてうまい名前を付けたものです。虎の口を横切っているような気分です。昔アニメで観たタイガーマスクの「虎の穴」も思い出しました。

ここには岩の脇を通って歩くよう書かれています。確かに落石があったら岩に沿った方が良さそうな地形です。

こんな穏やかな川面はここで終わりです。

突然に川の高さが変わり、滝のような流れに変わります。さらに川幅も狭くなるので激流に変わります。

峡谷の両岸には高山がそそり立ち、世界でも有数の深い峡谷となっています。左岸（西側）には哈巴雪山が、右岸（東側）には玉龍雪山があり、谷底から山頂までの高低差は3790メートルに達しますが、周りを見渡しても山の存在さえ感じません。

「虎跳峡」の両側の岩石は片岩と大理石からなり、川幅は60メートルから80メートルほどですが、この辺りは約30メートルほどしかないように感じます。

濁流の中から岩が現れては消えていきます。

突然それまでの流れとは違った大波が水面を盛り上げるので恐ろしささえ感じます。

周囲の木々はあくまでも静けさを装いますが、濁流の音は延々と続きます。

三角波のような恐ろしさを感じます。

急に水量が増える様は恐ろしいです。鉄砲水とか土石流とか言葉では聞いたことがあっても見たことがありませんでしたが、こんな感じなのかもしれません。

対岸の遊歩道を歩くのも怖そうです。

人の心配などしている場合ではなく、コンクリートに鉄製の柵の展望台の中ほどにいましたが、立っていられないほどの泥水を頭から被りました。

妻は怖がって一番下の展望台までは降りてきませんでした。正解です。

日本では絶対に見ることの出来ない観光地だと思いました。

虎跳峡という名の由来には、金沙江の渇水の時に山から下りてきた猛虎が、峡谷の中の岩に飛び移り、そのまま対岸に跳んで渡ったとの言い伝えがあるからだそうです。川の中には虎が跳ぶときに踏み台にしたとされる「虎跳石」という岩もありますが絶対に跳べないと思います。

こんな危険な所に展望台を作ってはいけません。

大波のせいで対岸の遊歩道が見えなくなるのが気持ち悪いです。

どれが「虎跳石」なのだろうか…。

暫らく呆然として流れを眺めていました。

妻が人力車の前で動かなくなりました。双人料金を尋ねると（1人でも2人でも同じでした。）10元だというので入口まで送ってもらいました。

こんなことなら往路も乗ればよかったと妻は思っていることでしょう。でも片道は歩かないと景色は楽しめません。

可愛らしい屋根飾りですが、屋根本体は鋼鉄製なので、多少の落石では大丈夫なのでしょう。しかしそう考えるとかなり重たいので、人間も含めると300キロくらいのものを曳いていることになります。

すごい早いのでこれで10元なら安いものです。チョットガタガタしますが快適です。

お兄さんにお礼を言ってちょっとチップをあげたら喜んでくれました。すごい重労働だと思います。

泥で濁った川ですがこんなきれいなマス科の魚がいるそうです。離散を待たせていなければ食べていきたいところでした。

李さんと合流して麗江へ向かって戻ります。麗江と香格里拉を結ぶ国道の分岐点まではこんな景色が続きます。

国道に出て麗江へ向かうと長江沿いに田園風景が広がります。

川の脇の棚田は広がり、この辺りは米も収穫できるのだと驚きました。

段々によって植えられている野菜が違うようです

田んぼの中で農作業している人の姿がありました。

「長江第一湾」の入り口で一休みしました。李さんは「高いお金払っても川がカーブしているのを正面でみるだけだから止めなさい。」とのことです。虎跳峡に行く途中でヒマワリの種を買った辺りで見たのと変わらないそうです。
ここで李さんが買ってくれた山桃は最高に美味しかったです。日本の物みたいに甘くはありませんが香りは最高でした。

この辺りの人とは顔見知りのようです。

観光客相手にいろいろな屋台が出ています。

ここでもヒマワリの種が売っていました。

アップで撮ると何だか分かりませんね。

笊の中で干されているのは花椒（ホアジャオ）かと思ったら違うものでした。

よく見ると小さなサクランボでした。雲南省や貴州省や四川省で笊に入った赤いものを見たら辛い物を想像してしまいます。

李さんに買ってもらった桃は酸っぱいけど美味しかったです。

延々と続く一本道を走ります。

ここだけ見たら南フランスのラングドック・ルシオンの田舎道のようにも見えます。

戻ってきた時間が早かったので、李さんの提案の「拉市海」（ラーシーハイ）に寄ってもらいました。国道をそれるといきなり舗装道路は終わり、湖に向かう一本道になります。

香格里拉の納パ海のような湿地と湖が目の前に現れました。

乗馬を楽しんだのがもう遠い昔のようです。

8月は湖の水が増えているようで、草地が水没しています。

水没した草地を抜けて桟橋に向かいます。ここではボート遊びが出来ます。

この当時の「地球の歩き方」にも一切紹介されていない湖です。正式には「拉市海湿地公園」というようです。

麗江拉市海自然保護区は雲南省第1の湿地として指定された省級の自然保護区で、11月から3月にかけて数十万を数える渡り鳥の群れが集まり、壮観な風景を見る事が出来るそうです。

手漕ぎ船に乗りましたが時間が止まったような気分になります。竹竿を水に刺す以外の音は全くしません。静寂の中を船はスルスル進んで行きます。

麗江の標高が2400メートルより高い湖なので紫外線は強いです。当然湖面からの照り返しも強いのだと思います。

何もしないでボッーとするには最高の場所でした。

船頭さんに竹竿を借りて舟を漕がせてもらいます。水深は２メートルもなさそうです。

竹筏は桂林郊外の陽朔で漕ぎ方を教わっているので手慣れたものです。

国籍は違っても同じ事を考える人は何％かはいるみたいです。

「天空海闊」という言葉が思い浮かぶような広大な景色です。

対岸には小さな仏塔とチベット仏教寺院があるようです。

湖には我々以外の観光用のボートが１艘と漁師さんの舟が数艘浮かんでいるだけです。

水中からは水草が頭を出しているので、エンジン付きの舟は役に立たないでしょうね。

お寺の手前では子供が遊んでいるようです。

漁師さんもいました。投網も使えないので竿で釣りをするしかないのだと思います。

子供が裸で泳いでいます。子供の笑い声だけが聞こえます。

360°見渡しても瓦屋根の建物が少しあるだけで、ビルや工場のようなものが見えないのが良いです。

住宅が湖畔から離れているのは季節によって水位が違うからなのだと思います。

だいぶチベット寺院に近づいてきました。

水中はかなりの密度で水草が茂っています。それだけ水がきれいなのだと思います。

麗江の市場では水草が売っていたので種類によっては食べられるのだと思います。スリランカでも食べられる水草があり、カレーに入れると聞いたことがあります。

１日漁をしてどれくらいの稼ぎになるのでしょうか？本業ではないような気もするので、単に晩ご飯のおかずを釣っているのかもしれません。

楽しい時間はあっという間に終わります。

残す予定は翌日から1泊2日の「濾古湖」(ルーグーフー）だけになりました。あまりに楽しい旅も終わりに差しかかり寂しい気分になります。

水位が上がっていて、香格里拉のように遠乗りは出来なさそうなので乗馬は諦めました。

「拉市海」から麗江までは10キロほどのドライブです。

麗江に戻って旧市街の入り口で李さんとお別れです。奥さんもお別れに来てくれました。その後に「東巴宮」に行きましたが、今日の公演はありませんでした。今晩観られないとなると、濾古湖の帰りに空港へ戻る前に見るしかありません。夜行バスに乗り遅れた陽朔の夜を思い出します。とりあえず東巴様と記念写真です。

楽しかった麗江の旅も残り少なくなりました。広州から昆明に滞在し、香格里拉へも行く事が出来ました。

日が暮れてくると少しづつライトアップが始まっていきます。

今日も四方街のレストランで食事です。

白菜と豚肉を砂鍋で煮込んだシンプルな料理などをいただきました。

美しい夜景を楽しめるのも残り2日だけです。

観光客が来ては去ってもここで暮らしていく人の生活は変わらない日常なのでしょうね。

ホテルの近くのお茶屋のお姉さんは顔見知りになると買わないと分かっていても「お茶飲んで行って。」と声を掛けてくれます。いつも上等のプーアール茶を入れてくれます。ここで買った数種類のお茶は、日本に持って帰っても美味しくて重宝しました。

やはりホテル近くの旅行代理店のお姉さん。とても心配症でチケットを受取りに行くのに遅れて行くと「小心！小心！」と自分の胸を指さしてホッとした顔をします。
ここで買うと「東巴宮」や「納西古楽」に「印象麗江」に「麗水金沙」も割引料金買う事が出来ました。衣装からすると蔵族か摩梭人の人だったのでしょう。