今回はラホールを離れハラッパー遺跡を訪れます。名前の通り、現在となってはまるで発掘現場の様な有様で、映える遺跡ではありませんが、四大文明のひとつインダス文明の遺跡として重要な遺跡です。そんな遺跡で歴史ロマンに浸りました。

パキスタン3ハラッパー遺跡

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2015/11/12 - 2015/11/12

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その他の都市(パキスタン)

本日はラホールを一端離れ、ハラッパー遺跡へ向かいます。原ッバではありません。
サービスエリアにはパキスタン名物デコトラが停まっていました。
自慢の愛車です。
車ばっかり撮ってないでドライバーも撮るのがパキスタンの作法です。そうしないと拗ねられます。いや断っても入ってきます(笑)
何やら大勢の人々が集まっています。何が始まるのでしょう？

どうやらこの様子は家畜市です。
続々と家畜さん達が集まって来ます。
各々自慢の家畜を持ち寄ります。
指の数は値段でしょうか？
ご満足の結果でしたかな？
朝御飯です。
フルーツの屋台です。
ハラッパー遺跡に到着しました。モヘンジョダロと並ぶインダス文明の遺跡です。
何しろ紀元前3300年頃から始まる古い古い遺跡なので、発掘現場の様な様相です。
遺跡の建築は煉瓦で作られていた為、その後の住宅の建材に流用されたり、侵略者のイギリスが鉄道建設に使ってしまった為、遺跡は壊滅的被害を受けました。

なので保存状態は悪いものの、四大文明の一つであるインダス文明の遺跡である事から学術的な価値は非常に高い遺跡です。
また文明も当時として非常に高度な文明だった事が知られています。当時としては他の文明では見られない整然とした都市計画の下に都市が建設されていた事です。
また、インダス文明の遺跡では王墓や神殿等の権力を象徴する遺跡は発見されていないのも特徴です。
この様な事から、インダス文明の人々がどの様な政治体系でこれだけ計画的な都市を築けたかが、最大の謎でもあります。
ラホール博物館所蔵のインダス文明遺跡関連の発掘品を紹介します。
馬車。造形のセンスに惚れます。
とても癒される造形です。
インダス文明の人々のセンス、素敵だなぁ。
とっても可愛い造形です。今でも売れますよ。これ！
古代のゲームです。
壺のミニチュアもあったって事でしょうか？インダス文明の子供の御飯事用かな？
貝細工です。
土偶的なものとしては小さ過ぎるんです。インダス文明版シルバニアン・ファミリー的なものだったのでしょうか？
首飾り。これはどの文明でも定番中の定番ですね。
印鑑だったと思います。
遺跡近隣は結構人を見かけます。村が近くにあるのでしょう。遺跡の煉瓦の多くは彼等の家になってしまったのでしょう。
細く掘られているのは排水坑で街区外で排水溝に集約される現代の下水道に近いシステムが成立しています。
此方がその下水溝でしょう。
長閑だなぁ…。
労働者居住区に残る作業場。
発掘チームの監督さんです。
図面を見せて頂きました。でもサッパリ解りません。
基礎もしっかり出来ています。
穀物倉があったとされる場所。
今も地道な発掘作業が続いています。

同じくインダス文明の遺跡であるモヘンジョダロからは緑色のガラス状の物質が多く発掘されました。それは核爆発など異常な高温でしか生成されない物質なのだそうです。更にインドのマハーバーラタ等の文献に、当時核戦争が起きたかの様な記述がある事から、古代核戦争があったとの説が産まれました。因みにカッパドキアに残る地底都市は核シェルターだったとか…。

その噂の審議は兎も角、まだまだ不明な部分も多く、今後の研究が楽しみな遺跡でした。
夜はお買い物の時間です。
男性用パンジャピーを探しに洋品店を物色します。
さてお気に召すものはあるでしょうか？
男物のパンジャピー。何処で着るの？と良く聞かれますが、ゆったりしているので部屋着にも良いですし、イスラーム圏を旅する時毎度お世話になっています。
パンジャピー・ドレスです。
紳士服店を発見。男物のパンジャピー購入。どうやら値札が間違っていた様で店員さん大慌て。
男に二言は無いでしょ？と押し通す私。良い買い物でした。
物欲を満たしたら、今度は食欲を満たす時です。
夜の街歩きもワクワクして楽しいです。
誘蛾灯に集まる蛾の様に光に吸い込まれる様に食堂を求めて夜の街を彷徨います。
食堂が集まる界隈にやって来ました。さて夕食は何にしましょうか？
レストランのテーブルにつき夕食を楽しんでいると、物乞いのお婆さんが近づいてきました。ガイドさんがやんわりと断るとお婆さんは隣の席へと歩いていきました。その席の男性が店員を呼びました。私はその後の展開を想像すると胸が苦しくなりました。

日本人の常識で今の現状を捉えると、その男性は店員を呼び、店員は物乞いを追い払う。そんな展開しか想像できませんでした。しかし私の想像は良い意味で裏切られました。店員は男性から料理の皿を受け取ると一旦バックヤードへと戻ると、慣れた手つきでテイクアウトを作るとお婆さんに渡したのです。その手際の良さから想像するに、そんなケースは日々行われている事なのでしょう。
私は正直完敗したと思いました。資本主義の毒に浸りきった私はこう考えたのかもしれません。これは私が稼いだ金で手に入れた私の食事。他人に施す義務は無いと。嗚呼、私はなんて狭量な男でしょう。
私はガイドさんにこう言いました。
「私にとってパキスタンの料理は少々ボリュームがあり過ぎます。今度この様なケースがあったらシェアしても宜しいでしょうか？」
ガイドさんも快諾してくれました。
資本主義の社会は弱肉強食の社会です。客は物乞いを蔑み、店は客を気にして物乞いを追い払います。マッチ売りの少女に涙を流すのは子供の時だけです。マッチ売りの少女が綺麗な服装をしているのは物語の中だけです。
ラホールの屋台の大将を思い出しました。大将は旅人の私から決して代金を受け取ろうとはしませんでした。職人街でも飲み物をご馳走になりました。私もイスラームの方々に助けられて旅をしていたのに…。私はなんて思い上っていたのでしょう。
色々な国を旅しました。多くの物乞いを見てきました。多分一番不幸な物乞いは資本主義の国々の物乞いでしょう。ニューヨークの五番街、煌びやかな人々が歩く中、マンホールから立ち上がる蒸気で暖を取り、人々が通り過ぎると紙コップを差し出します。何気無く覗けば使える筈も無い5円玉が…。あの時の物乞いの恨めしそうな目つきは忘れられません。
闇雲にお金やモノを与える事が正解だ等とは思いません。只、蔑視する様な人間にはなりたくありません。何が正解か等私ゴトキには解りませんが、目の前に困っている人がいたなら、助けてあげられる人間でいたいと思っています。人はお互い様なのですから。

私はイスラームの国々で何度も何度も助けられてきました。あれはコソボのプリシュティナ。ホテルが見つからず右往左往、悪ガキと騒動していると、騒ぎで起こしてしまったお兄さんが、寝起きであるにも関わらず飛び起きてくれて、ホテルを探し当ててくれました。私がお礼を言うと

「困っている人がいたら助けるのは当然の事だ。」

と笑顔を残し去っていきました。もし見知らぬ外国人が外で騒動を起こしていたら、寝起きに関わらずその外国人を助けようとするでしょうか？自問自答し、やっぱ完敗だと思うのです。

いつかムスリムに恩返し出来る自分であります様に…。
此方が今晩のお献立。お魚さんと。
勿論、カレーです。
最後までご覧になってくださり、ありがとうございました。