2018/04/22 - 2018/07/15
97位(同エリア499件中)
おくさん
ポルトガル人の道3の11 消防署全滅
6月8日 日本出発から48日目
早めの4時半に起床。今日は山越えを含む30キロのコースなので早めの行動開始だ。トマト、ヨーグルト2、パンにムースチーズとファティマのホテルで貰ってきたマーガリンを塗って食べる。トマトとパンをナイフで半分に切って挟む。節約旅でナイフは必需品。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
- 交通手段
- 徒歩
- 航空会社
- カタール航空
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6:15、早めの出発。空は雨模様だ。泊めて貰えなかった消防署わきを抜けるといきなり人気のない寂しい道になった。1時間ちょい歩いた村はずれにポツンと教会があった。消防署で紹介していた泊まれる教会ってこのことかな?だったらフィリップスはここに泊まったはずだ。でも泊まる必要がないんだから一歩離れた教会にわざわざ確認にはいかないで素通りする。
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1時間歩くと今度は山火事の跡になった。行けども行けども山火事の跡。こんなに広範囲に燃えたんじゃ消すのは大変だったろな。ポルトガルもスペインも山火事の跡に出っくわすのは珍しくない。なんでこんなにも山火事が多いんだろう。日本と違って乾燥してるからかな?こんだけ燃えてしまうってことは、スペインもポルトガルもお国柄で、自然に消えるまで放っとくんかな?偏見著しいかな?
Ribeira do Farrio 村を5キロ過ぎた所で矢印を見失う。どこで見失ったかさっぱり覚えが無い。ずっと山の一本道の気がしていたが、どっかで細い曲がり角があったのかも知れない。小さな集落に入って来たところでバケツをひっくり返したような雨が降ってきた。合羽を出すのが面倒なのでびしょ濡れで歩く。バカ犬がフェンスの向こうで激しくほえ続けている中で土砂降りの雨。パンツまでぐしょ濡れでなんか酷い状況だな。犬なんか鳴かせとけと立ち止まって行くべき方向を検討していたら、飼い主が2階からカミーノの方向を指し示してくれる。オブリガード。
歩き続けているとやがて舗装路に出て、大きな三叉路に差し掛かると目指しているAnsiao を示す大きな道路標識が現れた。もうカミーノなんかどこにあるのか皆目分からないからこの舗装路を行ってしまおう。別方向に目をやると天の助けのカフェがあった。雨の中をずっと歩き続けてきて体が冷えたのでカフェで温まりたい。周りに人家なんか見当たらない寂しいところなのでやってけるのかなと心配になるような寂れたカフェだったが、営業中だったので助かった。カフェコンレチェとパン1袋で1.8ユーロ。暖かい飲み物とパンを腹に入れたので大分回復した気になった。 -
休んでいる間に雨は上がったかに見えたが、歩き出すとまた降ってきた。くそ、旨くいかない。寒いのでずぶ濡れの上に今頃だけど合羽を着込む。でも、それだけで暖かくなった気になるので良かった。歩いていると、意外なほど早くAnsiao の表示が出てきた。え?こんなに早く着く!?タブレットを引っ張りだして確認するとGPSが機能して現在地が確認できる。まだAnsiao 手前7.8km地点だった。あと2時間てところだな。
Ansiao に近くなったところで本来のカミーノとやっと合流できる。町に入ったところの三叉路角地に青いホタテマークを付けたホステルがあった。ネットの紹介にもMaps.meの地図データにも記されていない宿だ。でもホタテマークが巡礼御用達ぽいな。ここには消防署があるので通過。さて、問題の消防署だが、ここには昨日の消防署とは違ってホタテマークがばっちり確認できるので期待が膨らむ。受付に行って泊まりたいと言ってみたところ、今日はメンテナンスなので泊められないと言われる。またかよ、消防署ってこんなに当てにならなかったんだ。じゃぁ安いホステルはない?と何となく尋ねると、確認はしてないけどあっちの方にホステルがあったようだ程度。何となくの方角だけ教えてくれたので歩き始めると、別の消防隊員が付いて来いと言っている。ホステルを教えてくれるのかと思ったので、付いて行くと、ここを行って左だと言い残して消防署に帰って行ってしまう。教えられた方に歩いていくと町から出てしまいそうになった。これはホステルじゃなくてカミーノを教えたんだなと気づく。やっぱり自力でホステルを探すしか無さそうだ。 -
えーと、消防が教えてくれた宿は当てにならないので、それよか途中で見た宿の方が巡礼マークがあったし安そうだなと勘を頼りに戻っていく。あったあった、さて入ろうとしてもドアには鍵が。隣にカフェがあったので、こっちが受付かと尋ねると、ここんちは同じ建物にあるのに経営が別らしく、閉まっているならブザーを押せとジェスチャーで言っている。じゃぁそうするか。中からセニョーラが出てきてくれ、肝心の料金を聞くとなんと15ユーロだそうだ。即決です。通された3階の部屋はシングルルームでベッドも大きいのがデーンとある。トイレ・シャワーは共同だがそんなの全然オッケーだ。これは当たりのホステルだと喜ぶ。
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このセニョーラ、しきりにポルトガル語で何か言うのだが何のことやらさっぱり分からない。タブレットを渡して翻訳させてみたところ、食事は下のカフェでしないでくれと言っているようだ。変なの、同じ建物にあるカフェで食事してくれと言うのなら理解できるが、その逆とは如何に?察するに、カフェの人とは仲が悪いんかなと想像する以外に思いつかない。食事はスーパーから買ってきて食べると伝えると安心したらしい。それにしても謎だ。
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シャワー、洗濯して小さなバルコニーに干しておく。ここからやって来た方向が良く見えて眺めは抜群だ。安いし良い部屋なので目っけもんだった。
セニョーラに教わった市場に行ってみるが今日は休みなのか閉まっていた。でも少し歩いた所にスーパー発見。1リットルビールにさくらんぼ、トマト2、青りんご、チョリソーにOIKOSヨーグルトで7.59ユーロ。今回もカードでお支払い。もう現金が50ユーロしかないので本気でキャッシングしなくてはだ。場合によってはアルベルゲもホステルもなく、仕方なくホテルなんかに泊まった日にゃ1泊50ユーロでは足りない可能性がある。まぁ、そんな高いホテルにはどう転んでも泊まらないけどね。 -
ホステルに戻って広めの憩いルームにあった丸テーブルに買って来た食料を広げる。小さいテーブルが食べ物でいっぱいになった。きっと今晩の泊り客は私一人だけだろうから、この部屋も貸切りのようだ。
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新しいクレデンシャルが欲しいので広場にあった小さなインフォメーションに行ってみる。こじんまりとした中には一人だけ愛想の良いお姉さんが待機していた。クレデンシャルはここでは扱ってなくて大きな街のコインブラでないと買えないとのこと。でも親切なお姉さんで、他にも何やら気遣いしてくれてる。こんな小さな町に観光客が来るとは思えないので、暇でしょうがないんかな?
ホステルのコンセントに差し込もうとしたら充電器の変換コネクタのピンがとうとう折れてしまった。このコネクタは使用するときにC型コンセントの穴の位置が深いのでいちいちネジを回してピンを伸ばさなければならない物。数年前からそのピンが曲がっていたのをダマシだまし使っていたので限界が来たってことらしい。すぐに別のを手に入れないと困る。何が困るって右も左も分からない土地で迷ったときに頼りになるのは地図アプリだけだからだ。タブレットがバッテリー切れで使えなくなるほど困ることは無い。町の規模からいったら電気屋がないのは容易に想像がつくが、ダメもとでさっきのインフォメーションに行ってお姉さんに電気屋を教えてもらう。こういうのが欲しいんだよとピンが折れたコネクタを見せると、電気屋はないがこういうのを取り扱っていると言う店を教えてくれる。行ってみたらちゃんとあったあったありました!!ポルトガル、バカにしたもんじゃありませんぜ。1口のみのCタイプで1.5ユーロと安かった。今までのは日本のコンセントが2つ挿せてタブレットとカメラの二つが同時に充電できたが、取りあえずこれでも十分だ。ホステルに戻って早速試してみると、ちゃんと充電できる。ふー、命拾いした(おおげさ)。
町をふらついていたら買い物帰りのフィリップスに遭遇。まったく良く会う男だ。カフェに行こうと誘われるが、その前にキャッシングしたいので一緒に銀行前のATMに。今回は200ユーロが限度だった。カフェでは二人してビールではなくワインを飲む。テレビではフットボールの試合中継をしているが日本戦ででもなければ興味はないな。フィリップスは良く英語とフランス語をごちゃ混ぜにして喋る。「それフランス語か?」と尋ねると当然のように「そうだよ」と答える。自分が理解してれば相手の理解はどうでもいいらしい。こっちも日本語を挟んで喋ったろか。明日は10kmだけ歩いてドナティーボのアルベルゲに泊まるそうだ。10kmは短いな、私はもっと歩きたい。 -
フィリップスも倹約しているので、きっとこの町ではまず消防署に行っただろう。今日は20ユーロのホステル泊まりで、とてもいいホステルと喜んでいる。でも私んところも15ユーロでとても気に入ったホステルなのでお互いに満足できて良かったね。帰りに広場にあるインフォメーション前を通ったらシエスタなのかクローズされていた。ここはベリー親切だったよと言って通り過ぎたら、話し声が聞こえたのか後ろからドアが開いて「何か御用ですか?」と言いながらお姉さんが出てきてくれる。ありがとう、でも今回は用はないんだよ。本当に親切なお姉さんだ。写真撮らせてもらえば良かったな。
ファティマを後にしてからの2日間は野を越え山越えひたすら歩くだけ。この行程にアルベルゲはない。消防署が泊めてくれるという話なので2回行って2回共撃沈。ホステルに2晩連続で泊まらざるを得なかった。でも昨日は20、今日は15ユーロと安い所が見つかって良かった。今日からはサンチャゴ巡礼路に復帰したので、明日から数日はアルベルゲがあるようだ。
ポルトガルの道12 アルベルゲ Bonito
6月9日 日本出発から49日目
Ansiao の格安ホステル。来る前は小さな村かと思っていたが、町レベルで店もインフォメーションもあるし懸案のキャッシングまで出来た。おまけに無理だと思われた充電プラグまで買えてしまったし、この町でプラグが壊れたのは不幸中の幸いだったのだ。 -
7:40スタート。昨日、町を出てしまいそうになった橋を渡って郊外へ。ブログで知り合いになったハックさんが泊まったと言うピンクのホステルが道沿いに登場した。とても良いホステルと言うことだったが、見るからに高そうなんですけどー。一泊いくらなのか聞いてみたいようだが、どう転んでも昨日泊まった15ユーロより高いだろう。同じ建物に家族も一緒に住んでいるようで、空いた部屋をホステルとして貸し出しているようだったが、それだけに安くて良いホステルに泊まれた幸運に感謝だ。
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2時間歩いて途中のAlvorge 村に到着。フィリップスはこの村に泊まると言っていたが、さすがにここじゃ近すぎるんじゃないのかな。広場に面して雑貨屋があったので買い物をしよう。珍しいパパイヤの缶詰があったので、それとチョコパン1袋を購入。目の前にある広場のベンチ脇にゴミ箱があるのを確認して缶詰をぱっかん。昨年のスペインで缶切りが必要な缶詰を買って懲りたことがあったので、缶詰を買うときは必ずパッカンかどうかを確認して買っている。缶の中身はたまに買う桃缶スタイルを想像していたのだが、予想に呆れるほど反して固形ではなくドロンドロンのペースト状だった。えー、これどうやって食べるの!?料理にでも使うための缶詰なんかなとも思ったが、仕方ないのでバックパックからプラスプーンを取り出してすくって飲むことにする。あ、甘い。脅威の甘さ。腹を壊すんじゃないかと心配になるが欲で完食。やっぱり知らない物を買うのは少しの冒険が伴う。もう絶対に買わないと心に誓う。チョコパンは普通だった。
村はずれに教会があって、この近くには教会運営のドナティーボのアルベルゲがある筈だ。ここには泊まらないが、フィリップスが泊まると言ってたのでどこかなーと見回していると教会の庭にいたおばちゃんが「アルベルゲはあっちだよ」と声を掛けてくれる。まぁ泊まらないんだから見に行くこともないや。 -
教会を過ぎると早速の山道に突入する。ちょっとうんざりするような、鬱蒼とした暗い谷の底に心細い巡礼路が続いているので若干びびる。まぁいつものことなので入って行くしかない。少し歩いたら天井が開けて明るくなったので気持ちも上向く。この辺りで大きな水溜りを越えようと夫婦の巡礼が健闘していた。ファティマへ行く逆歩きの二人だ。少し言葉を交わしてブエンカミーノ。
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結構な山道を歩き続けると、ファティマへ向かっている時に目にしたことのあるエバンゲリオンもどきが出現する。あー、これって風車だったのか。前に見た時は風車の部分がなく、ミサイルか巨大な槍に見えたので正体が全然分からなかったよ。でもあんな紐みたいなのが風車になるのかな?
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12時半、Rabacal 村に到着。村に入ってすぐ私営のアルベルゲ Bonito が目に入る。ここを通り越したら次にアルベルゲがあるのは10数キロ先になるのでここに泊まろうかな。庭先のテーブルには自転車グループが楽しそうにやっていた。巡礼ではないがポルトガルのおっさん達でフレンドリーなのでしばし交流する。1階はカフェで2階がアルベルゲになっているのかな?カフェの中に入って行くと薄暗くて余りいい感じはしないな。娘らしいのがいたので泊まりたいと告げるとママがいないので分からないようだ。この村にはもう一軒大きなレジデンシャルがあるのを知っているので、薄暗くて雰囲気がいまいちのここはどうでも良くなって、娘がママを探しに行ってる間に次の宿まで行って見る。
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この大きなレジデンシャルも通りにあったのですぐ見つかる。扉は開いているので中には入れるが、呼びかけても誰も出てこない。うーん、こんな小さな村なので店番がいなくても物騒でないんか。この隣には同じ系列の小さなローマ博物館があるので、そっちへ行って問い合わせてみる。男性が一緒に付いてってくれて呼びかけるも、やっぱり誰も出てこない。男が電話してくれるが、それでも反応がなく、さっきのアルベルゲを勧めだす。うーん、またあそこに戻るのも気が進まないが、次に宿があるのは13km先なので3時間掛かるだろう。4時到着は辛いし、そこで必ず泊まれるという保障はない。やっぱりさっきのアルベルゲに戻ってみようか。
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ちょうどママが外から戻ってきた所なので泊まりたいと伝えたら快くオーケーを出してくれる。アルベルゲは想像していた2階ではなく、いったん店から出て専用の入り口から入るものだった。こっちは外からは想像もできないほどベッドルームもシャワールームも新しくて清潔。看板に偽りなしだ( Bonito = 可愛い、綺麗)。ベッド脇には専用の小さな籠が取り付けてあって時計とか小物を入れられるようだ。女性の細やかな心遣いを感じられる。ここは私営なので10ユーロだった。オスタル泊まりが2日続いたので10ユーロは安く感じる。おかみさんは今まで泊まった巡礼が書き残していった旅のノートを盛んに見せてくれ、日本人の書いたのを拾って読むと、みんな褒め言葉だった。まぁそれも頷けるアルベルゲだ。結果的に良いアルベルゲに泊まれて良かった。レジデンシャルも留守で逆に良かった。
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このアルベルゲで食事したかったが、おかみさんに伝えると別のレストランを紹介される。へー、変なの。行ってみると同じ名前のレストランで親戚経営のレストランのようだ。納得。ここの定食は7ユーロと安目だった。スープ、メインには豚のソテー、ビールにコーヒー。勿論、パンは必ず付く。豚肉にはまだ毛が残っていたな。こういうのは初体験だ。まんが「おいしんぼ」では山岡が豚肉を料理するときに表面の毛をバーナーで焼いていたのを思い出した。でもこれがポルトガルスタイルか?最後にコーヒーが出てきたが、こぼれて受け皿がびちゃびちゃだった。これもポルトガルスタイル?カメラを持っていかなかったので写真がないのが残念。
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帰りに近くの雑貨屋でビンビール1本とセブンアップ缶にビンのジュースで2.5ユーロ。アルベルゲに戻ったら隣のベッドにジャンピエールがいた!ジャンはファティマの後、私とは別コースのトマールを回ったので3日振りの再会だ。同じイタリアの青年と今日は一緒だった。青年は背が高いし若いので、歩くのが鈍いジャンとはペースが合わないんじゃないのかな?でも同国人と一緒なんて羨ます。
買ってきたビールはスタウトだったので醤油を飲んでるようだった。何が悲しうてポルトガルくんだりまで来て醤油を飲まなあかんねん。これは失敗した。ビンのジュースはレジ袋の底に切れ目があったので、そこから落ちて勢い良くボシャッと破裂してしまった。くそーっ。せっせと雑巾で床掃除をする羽目になってしまった。もう瓶ジュースなんか絶対に買わない。 -
今日は久しぶりに20キロ以内だったので途中で写真を撮る気にもなった。でもファティマの前後はご覧のように山だらけなので平地を歩くよりは疲れる。もっとも私が住んでいる関東平野みたいな平らなとこって滅多にないんだよね。明日は13キロ先のCernacheまでのショートコースにするか、或いは24キロ歩いてコインブラまで行ってしまおうか、明日歩きながら考えよう。
ポルトガルの道13 パベルこれ食べる? Cernache
6月10日 日本出発から50日 -
ベッドルームの隅にご覧のような骨董品レベルの面白い椅子があった。高さの調節を中央の大きなネジでやる。こんなん見たの初めてだ。何でも鑑定団に出したら1万円位の値段が付きそう。
小雨なので少々気が重い。隣のキッチンへ移動してインスタントスープをチンして温める。チョコパン2個に果物の桃。こっちの桃は皮をむく必要なくてそのまま食べられるので手軽。意外と食べやすかったな、買い物レパートリーに入れとこう。 -
7時20、でっぱつ。ジャンピエールとイタリア青年はコインブラまで行くそうだ。私は歩いた調子で決めよう。最初からずっと小雨が続く。巡礼路は時々川沿いでビチョビチョの酷い山道に導かれるので靴の中に水が染みてきてしまった。ゴアテックスの新品だがメーカーの売れ残りなので防水が弱くなっているのかな。靴も車も型遅れで値下げされた物が好き。
巡礼路はCondeixa a Velha 村には入らなかったので雨の日なのにカフェに入り損ねてしまった。町を外れた処にカフェみたいのがあるが、なんかハイソな人たちが出入してそうなので我と我が身を振り返りビビッて通過。ここは巡礼路が分かりづらかったので、やって来た男性に教えてもらう。町を出て暫く行くと、屋根つきの分相応のバス停があったので、ここでやっと小休止とする。エネルギー補充にバナナチップを食べておく。前の道路を勢いよく水を跳ね上げながら車が走り抜けて行く。雨の歩きは気が沈みがち。 -
人里離れたところで大音量で音楽をかけている一軒屋があった。人が集まっている風でもないからフィエスタと言うのでもなさそうだな。やばい人が住んでいるのかな。ここで反対方向からやって来た巡礼と出会ったので雨の中、立ち話をして気を紛らわすことができる。ソロのブラジル人男性で、今朝はコインブラを出発してきたそうだ。目指すは勿論ファティマ。逆ルートを歩く人の殆どは二人連れなので、ソロは非常に珍しい。お互いにずっと雨の中を歩いている同士なので普段より親近感が5割増しで、男性のテンションも私と出会ったことで爆上がりしているようで満面の笑顔をしている。ブエンカミーノと言いあって別れる。
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雨の中を5時間弱歩き、もううんざりなのでセルナーシェのショートコースに決定する。アルベルゲは情報どおり巡礼路の道筋にあったが、扉には電卓みたいなボタンが並んでいて秘密の番号を押さないと開かないらしい。上の表示板には電話番号も書かれているが携帯は不携帯。ま、ここにいれば誰か助け舟がやってくるだろうと軒下で気長に待つことにする。
すぐ近くにはスーパーがあることに気付いたので、ちょっと下見に行ってからアルベルゲに戻ると通りの反対側から男がやって来た。この人が管理人で、どうやら私が待っているのを見つけたので来てくれたようだ。最初からとてもフレンドリーで笑顔を絶やさない。ファティマの管理人に見せてやりたいよ。謎の番号はボタンの端っこを5つ辿って押せばいい覚えやすいものだったのでメモは不要だ36987。すぐ中を案内してくれ、ベッドルームは小さいのが3つ。どれにしてもいいそうだ。キッチンは電子レンジもコンロもばっちり使えて完璧。アルベルゲの多くは安全な電気コンロだが、ここのはガスの元栓を捻ってマッチで点火する旧式だった。洗濯機はないが、手洗いしたら乾燥機は自由に使っていいそうだ。手で絞るのがすっごい大変なので、これはとても有難い。スーパーは1時にクローズされるから、先に買い物に行った方がいいと助言される。 -
今日も1リットルビールは外せない。オレンジ色のジャガイモ、玉ねぎ、人参にヨーグルト4と非常食用に干しぶどう。スープの味付け用にトマト味の豆の缶詰を買ってみる。合計で8.82ユーロ。干しぶどうはどこでも高目なので合計を押し上げられた。アルベルゲに戻って中鍋にスープを山盛り作る。缶詰だけじゃ味が薄いので、キッチンに備わっていた塩と持ち歩いているスープの素も足してみる。完成したら隣のしゃれた談話室に移動して一人だけの宴会。とても充実した気分だ。いっぱい作ったスープの残りは明日の朝食用として取っておくので朝飯の心配はない。
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午後、チェコのパベルが到着してきて私と同じ部屋に落ち着いた。フルネームは Karnik pavel と言うそうだが、チェコでは日本と同じく後ろがファーストネームだそうなのでパベルと呼んでいる。パベルも倹約旅をしているが、午後に到着したからスーパーがクローズしてしまったので買い物ができなかった。食べるものが無いと沈みがちだったので、取って置いたスープを鍋ごと提供してあげる。恐縮して「これはあなたが朝に食べるのでは?」と言ってきたが、ノープロブレムだ。喜んで食べ始めたが、味が薄かったのか塩を追加してるな。チェコ人はショッパイもの好きなのか?
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嬉しかったようでスープの写真まで撮っている。面白いのでその模様を私からもパチリ。お礼の積もりなのか、持ち歩いている1リットルビールを半分飲ませてくれる。これは栓がすでに開いていたので、栓抜いたビールを持ち歩いてるのかパベルは?まぁキャップ式の栓なので問題ないけど1リットルビールは重たいだろう。パベルとはこれで3回一緒のアルベルゲになった。
※ここで一年後の話を挟ませてください。パベルは次ぐ年にチェコでこのサンチャゴ巡礼の講演会をしたそうです。その発表用に作ったパワポのファイルをメールで送ってくれました。チェコ語なので読めませんが写真は見られます。その中に私の提供したスープが紹介されていました。きっと「日本人が自分の朝ごはんを食べ物がない私に提供してくれた」とでも言ったのではと想像しました。次の写真はパベルの発表用パワポから頂いたもので、パベルが上から撮ったスープの写真が使われていました。その他にも私たちとの楽しい交流の写真が沢山使われていました。 -
ポルトガル第二の都市ポルトから巡礼路は3本に分かれる。私は2年前に真ん中のセントラル・ルートを歩いたので今回は海沿いのコスタ・ルートを歩く予定だ。パベルはセントラルを歩くと言うのでアルベルゲ情報を教えて上げる。ポルト到達はまだ1週間も先になるが、不安なのか一生懸命にメモをしている。最初に一緒の宿になったアザンブジャでも翌日の巡礼路をとても心配してたので連れって上げたし、結構慎重派のようだ。
明日は大都市コインブラ。歩く距離が短く早く到着するので観光みたいなことが出来そうだ。ちょっと楽しみ。
ポルトガルの道14 コインブラ到着 Coimbra
6月11日 日本出発から51日目 -
厚い雲が立ち込めているが、今のところ降ってない。このまま持ち続けてくだせえ。朝飯には最初からカットされているバーガー用パンにサラミとムースチーズを挟んで食べる。持ち歩いていたケチャップの小袋がやっと役に立った。カップにスープの素を入れてレンジでチン。朝なのでコーヒーを飲みたいが、昨日のスーパーにはインスタントの小袋が置いてなかったので、どっかで仕入れたい。
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8:15、出発。途中で逆方向に歩く夫婦の巡礼と会ってエールの交換。奥さんの持ってるスティックは又もや細い紐がぶら下がった柄の青い奴を持っていた。これあちこちで目にするのでよっぽど売れているようだ。ベルトじゃないとスティックは100%の実力を発揮できないんだけどな。最初からこのタイプを使ってると気にもならないだろけど。
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今日は降られずに済みそうだ。11時半、高台からコインブラの街並みが見下ろせるところに到達する。やっと大都市コインブラまで来ることができた。半年の内にコインブラ二度来てしまったよ。最初はツアーだったのでバスだったけど、今回はリスボンから歩いて来てしまったなんて嘘みたい。歩きだけだとどこへ行ってもそれが当たり前なので驚きもしないが、5ヶ月前にツアーでやって来た所に歩いてくると何故か歩いて来たことが際立つので妙な気分だ。高台からは下りになり町の中に入っていく。大きな町は迷い易いので矢印が見つからない交差点などでは慎重に遠くまで目を光らせて緊張のしっぱなしで進んで行く。
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大きな修道院が道筋に現れて、これが今晩の宿「Igreja da Reinha Santa Isabel」だ。ここは聖人サンタ・イザベルの棺が祀られている有名な場所。大きな修道院の棟続きにアルベルゲの入り口もあったので、有名な施設に泊まれると、ちょっとワクワクする。でもまだオープン前なので、入口に「 Arbergue 」の文字を確認して素通りし、コインブラ見物のために街中を目指す。久しぶりに観光だ観光。
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大きな川の手前に旧修道院というのが現れて、この修道院は川端にあることから、幾度となく水害に遭ったために現在の高台に新しいのを建てたと言うことだ。外から見ると廃墟そのもので中を見学できるような雰囲気はなさそうだが、中庭辺りにガラス張りのエレベーターらしいのが見えるので、中は開放しているのかな?こんなとこに足を踏み入れたら床や壁が崩れて大怪我しそうだが。そんなことで、取り壊されることなく今に至っているようだが本当の所は分からない。
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長い橋を渡るとこっからは本来のコインブラの街だ。渡り切った処に三角公園があって、1月にトラピックスツアーでコインブラに寄ったときに、自由時間の集合場所にしていた公園だ。公園沿いにはツアーの時にお土産として金平糖を買ったお菓子屋もある。ツアーの時に案内された道を逆に辿りファド博物館。ここは自由に入って見物してもいいらしく、観光客が群れている。石段に座ってた男が手のひらを向けて来たが、これが物乞いかと思わせるほど普通の男だった。働け。
坂の途中にはツアーの時は外から見ただけで入らなかった旧カテドラルがある。ツアー時の説明ではコインブラ大学の卒業式後に、この教会前で学生が帽子を放り投げる伝統があるとの説明があったが、カテドラルはそんな俗っぽい説明で済ませる処じゃなかった。国王の戴冠式が行われたり、聖堂の中にはイザベル妃ともう一人従者の墓があった。その前で熱心に祈る人の姿もあったので、イザベル妃って聖人なのかな?ちゃんとした説明版が設置してあるが恥ずかしながらここでは文盲なのでまるで分からない。泣 -
自分の日記には「サンタクララの遺骨がある場所と肖像画を写真に撮る」と書いてあった。それで思い出した、これは確かに聖人だ。じゃぁ妃は???何だか良く分からんね。肖像画の優しい妃は貧しい民衆に食べ物を施し続け、それを見咎めた王がエプロンに隠した食べ物をチェックしようとしたときに、食べ物がバラの花に変わったという奇跡があったとかなんとか。ホントかなぁ?私は現実主義的天の邪鬼カトリックなので、そんなしょーもないことに奇跡を起こさせる訳あるかいと信じる気にならないが、ここで言ったら袋叩きに遭うだろう。
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ここからコインブラ大学に行こうとしたが、ちょっと迷う。でもタブレットのGPSがうまい具合に機能したので軌道修正。無事にコインブラ大学の門をくぐれる。広い庭には今日も観光客がぱらぱら居たが大学の黒づくめの制服を着た学生の姿はなかったのでちょっと残念かな。観光客ばかりで華やかな空間にホームレス一歩手前姿の私はかなり浮いている気がするな。巡礼だよ巡礼、サンチャゴ巡礼だよ。ホームレスじゃないからね。
ここは有名な図書館があるが、これかなと思った部屋は大学内の聖堂だった。どこなのか今回も分からないまま。まぁ事前情報では図書館に一度に入場できるのが60人迄なので数時間待つそうだ。おまけに10ユーロじゃ入る気がしない。と言うことで最初から諦めてたけどね。戻る途中に新カテドラルがあった。立派だけど新しいのは興味が薄れるので外から見るだけにしておく。 -
帰りはツアーで歩いた道順のとおりに戻ってメインストリートらしき通りに出る。ここを三角公園と逆に行けばサンタクルス教会だ。教会は無料で入れた。中は大きなアズレージョが一面に施されてあり、これだけでも見ごたえがある教会だ。中央の祭壇には上へと続く不思議な階段があって、一風変わったデザインだな。いわれを知りたい処だが想像するしかない。まぁ見た目からしたら天国への階段がどうとかなんだろう。ネットで調べても日本語のサイトでは階段に言及しているところは皆無だった。これより奥へ入るには料金が掛かるらしいので入らない。
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三角広場へ戻って、近くのToledo と言うカフェに入ってツナのボカディージョと飲み物のセットで4.9ユーロ。もちろん、飲み物にはビールを選択だ。観光地でこれなら安いほうだわ(想い出の九十九里浜風)。
アルベルゲのオープンが2時なので、そろそろ移動を始めよう。長い橋を渡って反対側の高台へ向かう。ごつごつ石畳のすごい急坂。1:45だけど、門が開いているので入ってもいいのかな。ここは建物の中にカフェがあって、そこがアルベルゲの受付もしていた。ベッドルームはカフェを通り越した先にあった。ここで念願の新しいクレデンシャルをゲットできる。2ユーロ。一発目のスタンプはもちろんコインブラだ。ベッド代は公営にしては少し高めの10ユーロだった。イタリア人の4・50代と思われる二人のご婦人が一緒にチェックインした。ここは一応、男女別の寝室になるようだ。女子が1階で男は2階。男は女子のベッドルームを通り越してキッチンや出口に向かう。男女別にするのなら逆の方がいいんじゃないのかね? -
シャワー・洗濯をしてベランダの物干しにかけていたらフィリップスが到着して来たのが見えたので2階から「フィーリップスーッ」と声を掛ける。同時にパベルも到着。また同じ部屋に3人が揃った。ホントに縁が深い。
フィリップスと一緒に買い物に出かけることにする。フランスに沢山あると言う LiDL と言うスーパーを来る途中に見たというので付いていく。手前に雑貨屋があって、フィリップスはタオルをどっかで無くしたと言って雑貨屋から小さめのタオルを1つ買っていた。幾ら注意してても無くす時には無くしてしまう。
スーパーで1リットルビールを今回は2本買ってみる。フィリップスとパベルがいるので二人にも飲ませてやろう。節約巡礼の私だが、1リットル130円程度で買えるならご馳走するのも気軽にできる。トマト2、大き目のヨーグルト2、黒パンと念願のインスタントコーヒー10本入りで合計7.33ユーロ。今回もカードでお支払い。 -
アルベルゲに戻って早速飲み食いを始める。隣のテーブルでフィリップスも始めたのでビールを何杯も勧める。イタリア女性もやって来たので若い方にまずビールを勧めてみるが、この人はいらないそうだ。遅れてやって来た年配の方に勧めたら、この人は1杯飲んでくれたな。フィリップスは今晩ファドを聞きに行くと言ってる。そんな趣味があったんだ。
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サンタ・イザベルの棺があると言う博物館を訪問しにいって来よう。カフェのおかみさんにそう言ったら、アルベルゲの横っちょから直接行くことができると言う。へーっと驚いていると「ここも修道院の中だよ」と言ってるようだ。秘密の通路みたいな穴倉を通って博物館のレセプションまで行くことができる。こりゃ無料で入れるのかなと期待したが、そんな甘いことはなくて2ユーロを支払うことに。レセプションには受付の女性の他にアルベルゲの中をうろちょろしていた身なりの良い男性がいたので、ここの職員だったのか。当然、私のことを覚えていて「お、来たね」みたいな顔をしてくれる。2ユーロで入れる空間は聖堂のみだったが、祭壇の上にはサンタ・イザベルの棺があって、荘厳な空気で満たされているようだった。その前で熱心に祈っている人も二人いる。でも写真は撮る。
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レセプションに戻ると、さっきの男性が「庭も見てって」と案内してくれる。いかにもな細い通路を行くと中庭があった。ここもちゃんと整備されていたが、ここまでやって来る観光客は少ないのか、庭師のほか2人しかいなかった。コインブラは大学が超有名なので、ここはその影に隠れてしまうのかな。コインブラの有名どころはこの他に「悲しみの泉・愛の泉」と言うのがあるそうだ。王子と次女の悲恋物語の舞台となったと言うことだが、実際は色ぼけのろくでなし王子のために周りが不幸になった話だろう。歩いて行ける距離だが行くほどの所でもないので止めておく。
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8時から飲み会しようぜと約束していたので、時間になったらキッチンに集合。私とパベルの1リットルビールが2本並び、フィリップスはワインを仕入れてあった。フィリップスはフランス人なのでチーズとワインにはうるさそうだ。何か講釈を垂れているがそんなの聞いちゃいない。興味があるのは値段だ。幾らのワインかと聞いたら3ユーロらしい。3ユーロって400円未満だよな。それでもワインにうるさいフランス人のお眼鏡には適うようだ。
つまみが無いので、売店に行ってポテチを買ってきて提供する。パベルはクラッカー、フィリップスは正体不明の酸っぱい物を出してきた。こういうしょぼい飲み会は大好きだ。わははわははと楽しんでいたら、パベルがキッチンのドアをそーっと閉めたので、寝ている人に気遣いすることを忘れていた。それからは小声でお喋りを続ける。最年長のパベルの英語だけは流暢だが、私とフィリップスは片言だ。それでも何とはなしに楽しいのが嬉しい。
ポルトガルの道15 雑魚寝のアルベルゲ Mealhada
6月12日 日本出発から52日目 -
コインブラの修道院付属アルベルゲ。キッチンでパンにトマト、ヨーグルトにインスタントコーヒーの朝飯を食べて7:10に出発。入ってきた逆コースで出ようとしたら通り道になっているカフェの入り口がロックされている。考えたらそうだよな、無人のカフェ店内を自由に入っていい筈がない。じゃぁ出口はどこだ?考えられるのはひとつしかない。昨日、教会博物館に行くために入って行った穴倉の通路だ。ジャンバルジャンが逃げたような石段を降りていくと(想像です)、博物館に至る前にも扉があって、そこが開いたので無事に脱出に成功。この扉はきっと外からは開かない筈だと考えて、出る前にもう一度持ち物をチェックする。昨日はこんな説明なかった気がするけど、言葉が分からないので私が気がつかなかっただけかな?沢山のユニークアルベルゲを泊まり歩いたお陰で私の適応力が向上しているんじゃない?(手前味噌)
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空は曇天。橋の手前には大型バスが停まっていて、フロントガラスには大きく「素敵なポルトガル8日間」の文字が!へー、阪急だよ。日本のツアーがコインブラに泊まったんだ。日本人と会ってお喋りしてみたいけど、こんな朝早くでは誰もいる訳がない。
橋を渡りきると、大きな通りは通勤ラッシュ本番。たくさんの人が歩いている。ちょっとヤバそうな男から「セニョール」と声が掛かったがそのまま歩き続けると後ろから同じ男が「ヘーイ」とまだ声を掛けて来るが知ったこっちゃない。こういうときは立ち止まらないように習慣付けている。何か用事でもあるかと相手をすると何が出てくるのかな?ちょっと興味があるけど君子危うきに近寄らずだ。 -
大きな川沿いを歩いているが黄色い矢印はまずまず出てくるので大丈夫。たまーに矢印が見当たらない場所も出てくるが注意深く遠くまで目をやると、だいたい見つけることができる。大事なのは、どっかに矢印がある筈だと信じて、時には50m先まで見渡すこと。ま、それでも見つからない時は仕方ないから勘を働かせるしかない。今は平らな川沿いをグイグイ歩けるので距離を稼げる。
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坂の町 Trouxemil に9:20に到着。2時間歩いたのでカフェで小休止とする。もう今日のノルマの5分の2くらい歩けた気がする。すぐフィリップスもやって来る。このカフェには果物を売っていたので、ぼたんきょみたいのを1個買ってその場で食べてみる。0.15ユーロと格安。パベルがこちらに気づかずに前を通り過ぎようとしたので声を掛けたら寄ってきた。このカフェは道の目立つ所にあるので、その後も5人の歩き巡礼が寄って来る。意外なほど巡礼がいるようだ。大きな町から歩きスタートする巡礼は多い。きっとコインブラを出発地点に選んだ人たちかな?
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メアリャーダ市内に入る。ここは子豚の丸焼きが有名らしく、道沿いには子豚の丸焼きを作っているアズレージョまで建っている。写真は、その子豚の丸焼きを売りにしているレストランらしいが、節約巡礼の私には無縁だ。暫く行くと、手作りの市内図と家並みが似ている所に出た。アルベルゲの近くに来たと錯覚して横道に逸れて駅まで行って探すが見つからない。じゃぁ GPS の出番だ。GPS 電波キャッチがいつも遅いので、こっちに来る前に GPS 関連のアプリを追加してきた。maps.meと連動して電波の捉え具合を知らせてくれるアプリ。キャッチ迄の時間はまちまちだが、宇宙に散らばっている沢山の衛星からの電波をキャッチした順に知らせてくれる。全ての衛星電波をキャッチし終わると、それが maps.me に反映されて現在地が示される仕組みだ。それまでは単に maps.me の画面だけ見て「遅いなー、止まってんのかな」と思うだけだったのが、このアプリで電波キャッチの進捗状況が見られるので遅くても待っていられる。ただ、余りに遅いとやっぱり途中で諦めてしまうが。
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アルベルゲはまだ暫く先なのが分かったので市内を通過する。Selnadelo 町入り口にネットで見ていたのと良く似た施設が現れたので、お、これがアルベルゲかと思ったが違った。でもすぐ目的のアルベルゲを発見。私営で大きくて奇麗な施設だがまだ準備中らしく数名の従業員が出たり入ったりして動き回っている。庭先に座って待っていると、昨日のアルベルゲで一緒だったイタリア婦人がスタンプ貰いに寄って来たけど、ここには泊まらないそうだ。従業員の人たちは私が待っているのを見てるのに、案内するどころか誰もが無視するのに腹が立って、そんならいいやと歩き出してしまう。ここはアルベルゲの他にデジデンシャルも同じ敷地内で経営しているので、安い料金で泊まらせてやってる巡礼なんか相手にしてない空気を感じる。
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町を通り越して森の中に入っていくと、さきほどのイタリア婦人が立ったまま盛んに携帯でお喋りしている。その横をオラと一声掛けて通り過ぎると、携帯で喋りながら付いてきた。ずーっと延々と喋り続けている。よくもまぁあんなに話すことがあるもんだと呆れる。
この人は今晩の宿をボンベイロなんて言ってるので、自分が目標にしているセミナリオの他にそんなのがあったのか!?消防署には一度泊まりたかったので、もし泊まれるならそこにしようと思った。この人は歩くのがすこぶる早いので、少し離れた所をストーカー宜しく離されないように付いていく。でもガイドブックを持っていないのか、時々道が分からなくて立ち止まっているな。向こうから逆方向に行く巡礼がやってきたので二人して尋ねるが、どうもはっきりしないし黄色い矢印も見かけなくなってしまった。このイタリア女性はとてもマイペースの人で、私にはお構いなしに居ないのと同じように振舞う。もう一人の年配女性はどこに行ったんだろう?あっちの人の方が社交的だったな。 -
次の町にはボンベイロを示す看板があったので、ここのことかなと思ったが、女性が目指すのはここではなかった。二人とももうすっかり迷子モードに入ってるので、家族連れにカミーノを尋ねたら親切にスマホで調べてくれる。教えて貰った坂を下ったところにやっとカミーノの道標を発見する。女性に「あったよ」と伝えたら「ドルミール(寝る)」と一声言って別方向にさっさと行ってしまった。どっかホステルでも予約してるんだろうと、自分は道標に従って歩き出す。(実はこの道標をまた見つけてしまうというポカに気づくのは明日だ)。
30分ほど歩いたところで、そろそろ目的のセミナリオが近づいたんじゃないかなと GPS で検索。ガーン、すっかり通り越していた!!まいったな、途中で GPS 出しゃ良かったよ。目的のアルベルゲは巡礼路から大分外れた村の中なので、その手前からの道順はシミュレーションしていた。しかし通り越してからの道順は予想外なので非常に分かりづらい。現在地から目的地までの道順をタブレットに検索させて、その通りに歩くことにする。こういう時にバッテリー切れになると困るが、まぁ今回は大丈夫そうだ。
通り過ぎた道を戻るのは気が滅入るがそんな事は言ってられない。タブレット片手にうんざりしながら歩いていくが、それでも20分で目的の村が見えてきた。maps.me は良くできていて、田舎道なのに地図どおりに進むと間違いなく到着できる(GPSさえキャッチしてれば)。 -
クリュニューのセミナリオ前に到着したが、広い施設なのでどこがアルベルゲ入り口なのか分からない。地元の人に教わりながらぐるっと脇に回って到着。幼稚園の入口があって、退園時間なのか、大勢が賑やかにお迎えに来ている。その晴れやかな門から脇に入った隙間にひっそりとアルベルゲ入り口はあって、無骨な鉄扉を開けて入り、更に薄暗い抜け道みたいな所を通過して行くのでテンションが下がる。
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受付ではパスポートなどのチェックはなくて、単純にスタンプだけ押してくれる。やっぱり修道院なので疑うことはしないのだろう。4時半と遅めの到着。ここはドナティーボだったので5ユーロを寄付する。受付してくれたシスターに、もう使う可能性がない「ほっかいろ」を2個上げたら、次にやって来た巡礼にすぐ上げようとしてた。そんなにいらないんか!でも私の居ない所でやってくれないかな。幸い(?)その巡礼もいらないと断っていた。
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ベッドルームはマットレスが敷かれただけの簡単なものだった。昨日のコインブラで一緒だった3人が既に入っていた。その中にあのイタリア姉ちゃんもいたので、別人がいたのかと本気で思った。だってこの姉ちゃんは私とは別方向に歩いて「ドルミール(眠りたい)」と言ってたよな。あれはホステルを予約してあるんじゃなくて、ここで眠りたいってことだったのか!だったら一言、こっちにアルベルゲがあるよと教えて貰いたかったよ。昨日から薄々感づいてはいたが、ちょっと普通の感覚ではない女性のようだ。
シャワー・洗濯を済ませて食堂探しに出かけていく。今日は久しぶりにまともな食事がしたかったが、教わった辺りにはそれらしいのが見当たらない。仕方ないのでイートインコーナーが広く充実しているパナデリアでビールと肉が挟まったパン、それにピザを一切れで3.5ユーロ。パンはロクなもんじゃなかったな。本当にパンの専門店か? -
この店は通りに面した壁一面がガラスになっていて外が見える。目の前の道路に乗用車が停まったかと思ったら5人の若者がバラバラと降りてきてトランクルームからバックパックをおろし出した。どうやら巡礼がキセルをしたらしい。食べかけのまま出て行ってアルベルゲの方向を教えたる。
帰り道、雑貨屋で500mlの缶ビールとヨーグルト2、塗るチーズに時々買っているクックテイルと言うつまみで6ユーロ。アルベルゲに戻ってビールを飲んでいたら、昨日一緒だったおばちゃんと若い娘の二人組みが到着してきた。19:40の到着とは恐れ入る。アルベルゲが万床だったらどうするんだよ。幸い、マットレスは二人分が残っていたので事なきを得る。ポーランドからの二人で、このあとポルトからは2年前に私が歩いたセントラル・ルートを歩くと言うのでセントラルのアルベルゲ情報を教えてあげると真剣に聞き入っていた。
寝る部屋はここひとつだけかと思っていたが、団体が到着したら別の部屋が開放された。へー、今頃団体の到着と言うことは、予約でもしてあったんかな?
車でキセルした若者達がベッドルームで遅くまでお喋りしているので腹が立った。特にメタボ男の低音が部屋に響き渡っている。こういうときは「びーくわいえっと」とか言うのかなと想像してみるが、それ言う勇気が出ないので我慢。連中は若者なのにキセルしての到着なので疲れてないんだろう。5人の大所帯なので今朝がたカフェで見かけたグループらしいと気が付いた。
静かになったと思ったら、今度は別室の団体がシャワールームでお喋りを始めた。それも中々終わらないので、あの変人のイタリア姉ちゃんがドシドシと足音を立てて文句を言いに行ったな。帰りしなに「シャラップ」と言って息巻いている。誰かが文句を言いに行ったことに拍手していたな。
今日は成り行きから少し冒険してしまい、予定のアルベルゲを通り越して9キロ以上余計に歩く羽目になった。おまけに道を間違えて40分遠回りして修道院付属のアルベルゲに到着。38キロ以上を歩いてしまった。歩数は55、000歩オーバー。今回の最長かな。
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