2016/04/05 - 2016/04/05
3位(同エリア93件中)
キートンさん
長年の夢でもあった憧れの地、南米パタゴニア。
いよいよその夢を実現する時がやってきました。
地球の裏側にやってきて7日目、エル・チャルテン滞在2日目。
この旅の最重要ミッションといえるフィッツロイを見るためのトレッキングを前日に達成できたので、今日はエル・チャルテンでフィッツロイに次ぐ人気の山セロ・トーレを見渡すトーレ湖へのトレッキングに出かけます。
しかし、前日の午後から強風が吹きだし、やがて嵐の夜へ・・・
風は治まり、2日連続の絶景トレッキングとなるのでしょうか・・・
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.0
- ショッピング
- 2.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 航空会社
- KLMオランダ航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
夜通し風の音が響いていたが、パイネの1泊の時のような眠れぬ夜ではなかった。
前日に最重要ミッションをクリアしていた安堵感と、20km以上歩いた心地良い疲労ですんなり眠りへと就いた。
今朝は昨日取れなかったオステリア・エル・パライソの朝食をいただく。 -
オステリア・エル・パライソの朝食は、パンの種類は多かったが(スイーツっぽいものもあった)、ハムやエッグがないのが寂しい。
-
朝食を終えると外の様子を見てみた。
8:00過ぎ、まだ明けきらない街から見たフィッツロイはわたがしのような雲に隠れ気味だった。
風は吹いているものの、夜中よりはましになっていて、青空も見えていた。 -
8:30前に宿を出てトーレ湖へのトレイルを探すも、なかなか入口が見つからなかった。
メイン通りならまだしも、街の端っこ沿いを歩いていても犬には出くわすが人には出会わないので聞くに聞けない。
ようやく家の補修工事をしていた人を見つけて聞いてみたら、トレイルの入口はすぐそこだった。 -
こういうのニュージーランドでも見たことがある。
気象によるトレイルのコンディションを示していると推測するが、、道路の信号の色を基準にすると、少なくとも「悪い」ではないようだ。 -
最初の上りを上りきると「トーレ湖への道」の標識があった。
-
そこから見たエル・チャルテンの街。
ただ今9:00過ぎ。
宿からそれほど遠くないのに、ここに至るまで随分歩き回った。 -
入口さえ見つかればわかりやすいトレイルだが、このあたりは時折突風が吹き抜ける。
-
10分も歩かないうちに、またトーレ湖へのトレイルに関する標識がある。
このあたりから樹林帯の中を歩く。 -
進行方向の左側が開け、眼下に川が見えた。
「フィッツロイ川」というらしいが、トーレ湖から流れる川である。 -
イチオシ
10:00過ぎ、見晴らしの良いビューポイントに出た。
上空は気持ちのいい青空が広がっていた。
「絶景」と言いたいところだが、セロ・トーレほか山頂付近は雲に覆われ稜線が見えない。 -
ここは「ミラドール・セロ・トーレ」という展望台らしい。
昨日はフィッツロイがよく見えたが、空はどんよりと曇っていた。
なかなか山と青空との共演はかなわないものである。 -
昨日はよく見えていたそのフィッツロイは、薄い雲に見え隠れしながら山頂付近だけ顔を出している。
そういえば昨日会った韓国人カップルは早朝カプリ湖へ行ったのだろうか。
今朝街から見た感じでは、昨日のようなモルゲンロートは見られなかったと思われるが。
ただ、薄い雲をまとったフィッツロイも神々しさを失ってはいない。 -
ミラドール・セロ・トーレまでは結構アップダウンがあったが、その後はフラットで快適なトレイルとなった。
昨日痛めた右ひざの後遺症は幸いほとんどなく、今のところ問題なくこなせている。 -
谷のやや左にそびえる山はセロ・ソロ(2121m)。
あまり高い山ではないが、山頂付近に雪をいただき、エル・チャルテンの街からもよく見えるので、なかなか存在感がある。 -
10:50頃、トーレ湖へとロス・トレス湖への分岐点にさしかかった。
エル・チャルテン日帰りのトレッカーはほとんど左のトーレ湖を目指す。
なお、この分岐点付近に簡易のトイレがある。 -
ちょっとした樹林帯を抜けて視界が開けると、小さな池の向こうに異様に白い一帯が目に入る。
-
トレイルはその白い一帯へと続いていた。
パイネ国立公園でもこんな白骨化したような樹林帯があったが、4年ちょっと前の大規模な山火事が原因とわかっている。
しかしエル・チャルテンで山火事があったという話は聞いたことがない。
害虫か何かの仕業か? -
再び樹林帯に入ると、やがてトレイルはトーレ湖から流れてくるフィッツロイ川に沿うように歩く。
せっかくなので河原に下りてみた。
あとから考えると本流はもっと左側だった。 -
わざわざ河原に下りなくても、トレイルは本流のすぐきわに続いていた。
このコースはミラドール・セロ・トーレまで最初の4km弱で標高差約200mを上ったあとは、ほとんど平坦で快適なトレイルが続く。 -
心配された風もほとんど治まり、昨日以上のトレッキング日和となった。
-
イチオシ
11:45頃、トーレ湖に到着。
最後に正念場が待っていたロス・トレス湖に比べると、あまりにもあっけなく着いてしまった感じ。
イージーなトレッキングだった割には、得られる眺めはロス・トレス湖にも劣らない。 -
トーレ湖の南(左)にそびえるセロ・ソロ(2121m)の山頂付近の雪はほとんど隠れてしまい、その奥の山々から流れてくる氷河と雲の白、空の青とがコントラストの強い景色を作っている。
-
トーレ湖には氷河が直接流れ込んでいるので、氷山も浮かんでいる。
雲がなければその向こうにセロ・トーレの鋭鋒が見られるはずだが、風がやんだこともあって雲は動こうとしない。 -
氷河が流れ込む付近に防波堤のような岩が付き出ていて、ここからは氷河の末端がよく見えない。
-
今日のトレッキングの折り返し地点はここではなく、さらにトーレ湖を反時計回りに2kmほど進んだ「ミラドール・マエストリ」まで行く予定にしている。
そこは南米1日目に泊まったFUJI旅館で日本人のサイクリストが教えてくれたお勧めのポイントだった。
そこまではトーレ湖を堰き止めているモレーンの尾根沿いを行くコースのようだ。 -
モレーン上のコースは大小の石がゴロゴロしているガレ場が続き、歩きにくいトレイルである。
しかし、徐々に高度を上げながら氷河が近づいてくる光景に、自然と力がわいてくる。 -
トーレ湖に流れ込んでいる氷河は「グランデ氷河」で、昨日ロス・トレス湖から見た氷河に比べて規模も大きく、氷の「河」というイメージにより近い。
-
トーレ湖に流れ込む氷河の末端。
氷河の上面の一部は茶色の土砂が被っているようだ。
その土砂の偏りから推測すると、北側(右)から吹き下ろす強風によって吹き飛ばされた土砂が降り積もったのではないだろうか。
今はたまたま無風に近いが、パタゴニアの風は吹きだすとその荒れ方は尋常ではない。 -
モレーン上のコースは2つあるいは3つに分かれたり合流したりで、不明瞭な部分が多い。
コースをはずれたとしても、コース上に戻るのはそれほど難しいわけではないが。 -
岩と樹木で構成される風景がどことなく庭園を思わせる。
背景とのコントラストが強かったので、「ハイダイナミック」のモードで撮影。 -
イチオシ
0:30頃、眺めが良いポイントでランチタイムとすることにした。
「ミラドール・マエストリ」と呼ばれる地点がどこなのかわからなかった。
まだ先にも上にも行けそうな感じではあるが、このあたりからのアングルで十分素晴らしい風景である。 -
持参した食料でランチをしながらこの風景を楽しむ。
夜中の暴風が嘘のような穏やかな天候だ。
昨日に引き続き、あの日本人のサイクリストから情報がこの絶景へと導いてくれた。 -
氷河を見下ろすダイナミックな風景。
北米やヨーロッパでいくつかの氷河を見たことがあるが、末端が湖に流れ込む氷河を見下ろすのは初めてだ。
末端が湖に流れ込む氷河といえば、ニュージーランドのマウントクックの近くのタスマン湖で見たが、その時はボートから見るものだった。 -
氷河の表面に無数のクレバス。
-
標高3102mのセロ・トーレがそこにあるはずだが、雲は頑としてその場を動かない。
セロ・トーレは、1959年イタリアのチェザーレ・マエストリとオーストリアのトニーエッガーによって初登頂され、下山中にトニーエッガーが転落死し証拠写真も失われたとされ、マエストリの証言だけの疑惑の初登頂となった。
1970年にマエストリは再挑戦したが、このとき岩壁にコンプレッサーで360本ものボルトを打って足がかりとしたことが非難の的となり、しかも登頂も失敗したという。
疑う余地のない最初の登頂は1974年、イタリアのカジミーロ・フェラーリよってなされた。 -
1時間近くこの風景を眺めながら雲が消えるのを待ったが、劇的な好転はなさそうだ。
グランデ氷河を見下ろす絶景は堪能したので、あとはセロ・トーレの全容が見たいところだが、それは復路でもしばらくは見るチャンスがある。
なので13:25頃、ぼちぼち引き返すことにした。 -
トーレ湖の湖面の標高は634m、この地点で約800m。
これくらいの標高でも紅葉が始まっている。 -
イチオシ
トーレ湖の南にそびえるセロ・ソロは往路のトレイルから見た山容とは異なり、北側から見ると意外と鋭峰である。
-
トーレ湖に到着した3時間近く前と比べると、いくらか雲が減ってきた気もする。
トーレ湖に到着してから、昨日再会を誓った韓国人カップルを時折探したが見当たらなかった。 -
イチオシ
トーレ湖に浮かぶ氷山の向こうに、あと少しで山頂が見えそうなセロ・トーレがそびえている。
14:30過ぎ、少し後ろ髪を引かれながらトーレ湖をあとにした。 -
帰路についてからもやはりセロ・トーレが気になって何度も振り返った。
雲が去りそうな時に立ち止まったり、少し戻ったりして写真を撮ったが、最も良く見えた写真でここまでだった。
山頂まで標高差にしてあと100mもないのではないかと思うのだが、残念だ。 -
帰路の木道から見たセロ・トーレ。
やはり今日は山頂を見るのは無理のようだ。 -
往路と同じ場所から撮った写真でも、午前と午後の太陽の位置の違いから、やや色合いが異なって見える。
フィッツロイにしてもセロ・トーレにしても、午前の方が順光になるようだ。 -
エル・チャルテンの街の方向の空には、日常ではあまり見かけないレンズ雲が漂っている。
-
氷河湖から流れるフィッツロイ川の水は青みがかった乳白色をしているが、山の谷筋から流れてくる小川は透明度の高いきれいな水である。
-
白い樹木をオブジェに。
-
17:00過ぎ、南側が開けたポイントに着いた。
立札に「ミラドール・カスケード・マルガリータ」となっている。
ちょっと酔いそうな展望台だ。 -
上流では川幅が広くゆったりと流れていたフィッツロイ川が、エル・チャルテンに近づくにつれてV字谷の急流となっていた。
-
17:20頃、エル・チャルテンの街を見下ろす丘まで戻って来た。
今日のトレッキングは往復約20km、トータル8時間20分ほど。
距離的には昨日と大差ないが、標高差が昨日の半分程度だったので、距離の割にはイージーだった。
山は雲に隠れていたが、爽やかな晴天でトレッキング日和で良かった。 -
エル・チャルテンの街は中心地と北西部の住宅地の間に高低差があって、階段とスロープで接続されている。
車道は高低差の少ない街の北東側(左)を通っている。 -
その階段を下って、「パタゴニア・アヴェンチュラ」というツアー会社に向かった。
明日はエル・チャルテン18:00発のバスでエル・カラファテに向かうが、夕方まで1日近くの時間がある。
エル・チャルテンで予定していた2つのトレッキングを消化したので、最終日はツアーに参加しようというわけである。
考えていたエル・チャルテンからの日帰りツアーはビエドマ氷河ツアー。
クルーズのみと氷河も歩くアイストレックがあり、どちらにするか迷った。
普通ならその次の日にペリト・モレノ氷河のミニトレッキングツアーを予約してるので、明日はクルーズのみで良さそうなものだが、問題は明後日から天気が下り坂の可能性が高いことだ。
結局、1720ペソと高額だが、ビエドマ氷河アイストレックを予約した。
氷河トレッキングができる機会などそうあるものではない。
ペリト・モレノ氷河が雨で氷河トレッキングが楽しめない可能性があるので、保険の意味合いが強い。
2日連続で雨の可能性がないとはいえないが、リスクはかなり抑えられるし、似たようなツアーでもそれぞれ良いところ悪いところがあるだろう。
出費は大きいが、決して無駄な出費ではないと判断した。
というわけで、明日はビエドマ氷河トレッキングツアーの参加が決定した。
街は昨日と同じように強風が吹き始めていた。
はたしてこのツアー参加は吉と出るのか、凶と出るのか・・・
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この旅行記へのコメント (4)
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- ショコラさん 2016/05/15 22:57:02
- パタゴニアの絶景!
- キートンさん、こんにちは。
たぶん初めましてですよね?
湯河原の旅行記を見てくださってありがとうございます。
足跡をたどってお邪魔しました。
南米へ行かれていたのですね。
わたしにとってパタゴニアは未知の世界ですが(というか南米自体、行ったことがない)、すごいところですね〜。いきなりモルゲンロートをご覧になれたなんて、なんてラッキーなんでしょう! 写真でも感動しましたので、実際にそれをご覧になったときの感動は言葉では表せないくらいでしょうね。
アウトドアメーカーのパタゴニアのロゴは見たことがありますが、そのシルエットがこの山だったことも初めて知りました。
南米、すごく遠いけど、いつかわたしも行ってみたいものです。
続きの旅行記にもまたお邪魔させてもらいますね。
わたしは当分、国内ちょこちょこの旅になりますが、よろしければまたお立ち寄りください。
これからもよろしくお願いします。
ショコラ
- キートンさん からの返信 2016/05/16 00:39:26
- RE: パタゴニアの絶景!
- こんばんは、ショコラさん。
書き込みありがとうございます。
ショコラさんのヨーロッパの旅行記にハイキング系のものが多いので、以前からよく拝見して旅の参考にさせていただいてますよ。
掲示板には書き込みはしたことなかったかな?
私も記憶があいまい。
南米パタゴニアは以前から最も行きたいところだったのですが、英語が通じにくいことと遠いことからあと回しにしていたところでした。
スペイン語の地域なので、2011年にスペイン、2014年にペルーとメキシコ(ペルーは現地合流ツアーを利用)とスペイン語圏に慣らして、ようやく行ってきました。
この旅の最大の目的がフィッツロイという山だったのですが、いくつもの幸運が重なって、フィッツロイが最も輝くといわれるモルゲンロートを見ることができました。
その時の感動を写真と思いつくあらん限りの言葉で表現したつもりですが、そのいくらかでも伝えることができたなら幸いです。
ヨーロッパのようなゴンドラやロープウェイは一切ないので、自分の足と現地ツアーが頼りですが、山や湖や氷河が好きな人には苦労して行く価値はあるかと思います。
また私も訪問させていただきますので、こちらこそよろしくお願いします。
キートン
-
- 天星さん 2016/05/07 22:17:05
- いいところに行ってますね.......
- 大自然のパタゴニア大氷河
まさに絶景、ツアーでも高いですよね.....
うらやましい、行きたいなぁ
暇と金と財布に相談.....
財布の中身が小銭、かなりヤバい(笑)
とても行けそうもない現実
キートンさんの撮ってきた画像で
満喫しました。
天
- キートンさん からの返信 2016/05/08 10:32:00
- RE: いいところに行ってますね.......
- こんにちは、天さん。
ご無沙汰してます。
まだ震災の影響で大変な毎日をお過ごしでしょうが、少しは落ち着いたでしょうか?
南米パタゴニアはずっと行きたくて温めていたところ。
それだけに期待も大きかったですが、期待を裏切らない素晴らしいところでした。
とくにパタゴニアの後半は氷河三昧で、もう南極でも行かない限り氷河で驚くことはなさそうです。
遠いし現地ツアーも高いし、日本からのパッケージツアーなら100万円近かったりしますが、なんとか倹約して50万円程度には抑えました。
それでも相当な思い入れがないと行けないところですよね。
世界の絶景の数々を見てきて目の肥えている天さんに、「行ってみたい」と思ってもらえるなら、改めて良い旅だったなと確信できます。
このあたりがちょうど旅の中間くらいで、これから後半戦。
引き続き見ていただければ幸いです。
では、また。
キートン
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