2014/08/08 - 2014/08/24
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ぱんスキュさん
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2014年夏 8月8日~24日
今年の夏旅は、ルーマニア・モルドバ・沿ドニ経由でウクライナからアウシュビッツを目指そうと思ってたのが、まさかのウクライナ政変で変更を余儀なくされ…。
ヘルシンキin・クラコフoutの北からルートを採用し、カリーニングラードを含むバルト4国を北から流してポーランドへむかうルートはまた、WWⅡの東方戦線とユダヤ人問題、そして冷戦後の独立の軌跡を巡る旅となりました。
ヘルシンキin→タリン→リガ→シャウレイ→ヴィリニュス→カウナス→クライペダ→ニダ→カリーニングラード→グダンスク→ワルシャワ→クラクフout
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今回も我らがアエロフロート・ロシア航空様のお世話になりました。旧共産圏の旅には欠かせなく、本当に頼りになります!
そして初めて公式HPから予約して知りましたが、機内食リクエストの種類っていろいろあるんだ!ベジタリアンミール、イスラムミール(ハラル)あたりは知っていましたが、低グルテン食、低カロリー食なんていうのもあるんだー!他の航空会社のもを含めて眺めてるだけでも面白い。
https://www.aeroflot.ru/cms/ja/before_and_after_fly/spec_food
今回の旅、表のテーマがWW2及び旧ソ連なのですが、裏のテーマはユダヤ教及びユダヤ文化なのだ。思い切って機内食にユダヤ教の教えに則った食=コッシャーミール(カーシェール)にトライしてみることに。
たまたまこの4月から、日本在住のユダヤ教ラビおよびKosher Japanの方と知り合い、コッシャーとユダヤ教について勉強する機会があったため、コッシャーの定義や実情などを確認しつつ、コーシャミールを頂きながらこの旅の始まりと終わりに思いをはせるのでした。
(ちなみにロシアってユダヤ人多いんだよね。行き帰りの便ともに、自分以外にもコーシャフードを召しあがっている方が何人もいらっしゃいました。)
なかなか実態の知られていないkosher foodですが、2020年オリンピックを前に、イスラム教食ハラルと並んでますます重要視されていくのではないか、と個人的に思っています。
ここではコーシャ機内食の紹介をしながら、ざっくりした解説等交えてコッシャー(コシェル)についてまとめてみました。
- 旅行の満足度
- 4.5
- グルメ
- 5.0
- 交通
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- 飛行機
- 航空会社
- フィンランド航空 アエロフロート・ロシア航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
アエロフロート公式HPより予約する際に、"kosher meal"をリクエスト。
予約後に送られてきたEチケットには、はっきりとkosherと記載が。
おお、嫌がおうにも期待が高まる! -
行き…SU261便 成田発モスクワ経由パリ行
搭乗時間約10時間。機内食は2回出されます。
SUのカウンターの従業員さんは皆さんとても親切で、帰りにカメラを忘れてしまい相談に行ったのですが、快く対応して頂き感謝です!!!ありがとごじゃますた! -
SU機内。スリッパとアイマスクはもらえます。割とこの先の旅で重宝しました。
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枕と毛布セット。2014年ソチ冬季オリンピック仕様です。
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機内エンターテインメント。
インドで見損ねた『Bhaag Milkha Bhaag』を発見!喜んで見るもオールロシア語吹き替えにつき途中で爆睡…。ああ。 -
アエロ機内では有料ですがwifiも使えるように。これは有難い!
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さて、本題のコッシャー機内食の紹介。最初の夕食セット"Hot Lunch Fish"
コーシャ以外の食物が混在しないよう、箱に封がなされています。封を切れるのは食べる本人のみ。中に温めなくてはいけないものが入っている場合、添乗員がわざわざ封を切るようにと持ってくる。この厳重さったら!
そもそもkosher foodとは、ユダヤ教の教義カシュルートに適合している=kosherコーシャである状態、という意味です。ここのwikiの説明がわかりやすい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%88 -
この日提供されたのは"Glatt Kosher"という表示有り。
グラットコッシャーとは、ユダヤ教の中でも厳格な宗派である超正統派でも頂ける、とても厳格なユダヤ教の教えに則ったものです。作られたのはオランダのアントワープ。ダイヤモンドで有名なかの地はユダヤ人も多数住んでいるらしい。
あとで識者に聞くと、機内食では珍しいのではないかということだった。搭乗日が金曜日(安息日の前日)だったのが関係しているのでしょうか。それともアエロクオリティ? -
箱を開封してみると、すべてが封されている。長期保存のための密閉と、コッシャー以外の食が混ざらないようにと。
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コーシャについての勉強会の様子をまとめたものです。これを読めば、コッシャーフードの現状についてわかるかと思います。
http://togetter.com/li/659706
http://togetter.com/li/671946 -
中身…サーモンと魚の煮込み、ポテトサラダ、りんごのコンポート、ソイチョコプリン、クラッカー、ハルヴァ
炭水化物が若干少ない以外は、とてもピュアで美味!!!しかも体に負担が少なく感じる!大満足ーー。
※コッシャーであるための主な規定※
・水生動物はヒレとうろこの付いたものは○。甲殻類、タコ、イカなどは×
・肉は4つ足で蹄が分かれていて反芻する動物のみ。豚肉×。
・屠畜は特別なやり方でされたもの。(ハラルミートに近い)。野禽×。
・肉と乳製品を一緒にとってはいけない。そのため厳格なユダヤ教徒はキッチンや食器類を肉用と乳製品用の2つにわけている。
・昆虫は限られたものののみ→野菜に虫がつかないよう洗浄は丹念にされる。
ユダヤ教の宗派によって、どの程度まで厳密に考えるかはわかれるようですが、Glatt kosherはこのもっとも厳しい基準をも満たしており、どの宗派でも安心して頂ける、信頼度の一番高いグレードにあります。 -
コッシャーのお料理は、コッシャー以外の食品が混ざらないように徹底されている。そのため、料理の原材料と内容物が必ず記されています。原材料が不明な保存料や添加物は避けられ、長期保存用の処理がなされています。
-
この機内食を作った会社及びラビからのメッセージカードつき。
不備があったらすぐに知らせてほしいとのことと、このコーシャフードを認証したラビの名前とサインが入っている。
※
その食べ物がコーシャかどうかの判断は、ユダヤ教のお坊さんであるラビたちが行います。ラビたちをスーパーバイザーとして各コッシャー認証団体が、食品たちにコッシャーの認証を行います。認定を受けた食品はKとかPとかのマークが小さくつけられており、コストコなど外資系スーパーの食品をよく見るとマーク付きの食品を発見することもできます。 -
箱の注書き。ラビによる厳格な認証がなされていること、どんな化学的保存料も使っていないこと、トップクオリティであること、等々の能書き…。かなり気を使ってるぜ、という文章。
こういうの嫌いじゃない。
製作はベルギーのアントワープにあるSTOGEL KOSHER CATERING という会社です。アントワープと言えばダイヤモンド取引の中心地ですね。(ダイアモンド関連事業は代々ユダヤ人が主流となってきた商売)
http://www.stogel-catering.be/ -
続いて成田→モスクワ間 2度目の機内食(軽食)"Cold Snack Fish"
パッと見や箱の厳重さは先ほどと同じ。 -
中身…ツナサラダ、リンゴコンポート、ソイバニラプリン、クラッカー、ハルヴァ
普通の機内食(サンドイッチ)に「比べると、内容はいいけれどボリュームには劣る。でも味はこちらの勝ち!混じり気ないピュアなの。
ただ前回とメニューがかぶっているのがやや不満。美味しいからこそもっといろいろなバリエージョンのものを食べたいけれど、Glatt Kosherなので無理なのかなー。でも美味だから許せる。 -
続いてモスクワ→ヘルシンキ便は、フィンエアー運行のとの共同便 AY156/SU3662
やったー、初フィンエアーだ!機内食の種類は変わるのか、それとも同じメーカーさんなのかなー。興味津々。 -
フィンエアー内部。3×3席にはコーシャフードを頼んでいる人も何人かいた。
-
出てきたコーシャ機内食はなんとSU便と同じ。共同運航だからなのかな。
-
中身も前回同様、ツナサラダ、リンゴコンポート、ソイバニラプリン、クラッカー、ハルヴァ
美味ですがやっぱりバリエージョンが欲しいー。ハルヴァはお持ち帰りしました。 -
内容物一覧。余計なものが一切入っていないところがすばらしいーーー!
ちなみに『Pass overには使用不可』と書いてありますが、Pass overとはユダヤ教のお祭りで『過ぎ越しの祭』と言われるもので、特別な食事を食べるそうです。あとこの期間は経済活動などもしないそうです。そのあたりは前述のまとめに詳しく載せてあります。 -
パスオーバーの際には発酵した食べ物(パン)は避け、このマッツァと呼ばれる丸い種無しパンを食べるらしい。一口頂きましたが、普通のパンとは違う独特の風味でした。
ちなみにこの方は日本の東京在住の超正統派のラビです。とてもよい方で、コッシャーフードやユダヤ教についていろいろな質問にも丁寧に答えて頂きました。 -
普通の機内食はやはりサンドイッチ。お腹がすいていたのでこっちの方が良かったなーなんて思いながら食事してました。
-
食前食後の飲物提供は通常と同じです。コッシャーフードを食べる人はブラックコーヒー推奨らしい。確かに無難である。
ナプキンがマリメッコ仕様なのがフィンエアークオリティ。すてきだー! -
ラビの認証カードなどが入っているのも同じです。ちなみにヘブライ語、イディッシュ語、オランダ語、英語の4か国語表示でした。
以上、行きのSU便(&AY便)のコッシャー機内食でした。 -
次は帰国便。もちろんSU利用です。
まずはクラクフ→モスクワ SU1854便 共同運航便ではなく純粋なSU便です。 -
機内食(軽食)
おお、なんか行きと違って茶色い東欧的ルックス。pinhasというロシアの会社が作っているみたい。
www.pinhas.ru -
箱をあけてみたよ。中の容器がすべて封されているところは同じ。あと表記がロシア語(キリル文字)になりました。ザクスカ(前菜)とかサラダとかソテーなどの文字が見えますね。
そしてパンがついている!これは嬉しい。 -
中身…チキンのトマト煮込み、キャベツのマリネ、トマトソースみたいなもの、アップルゼリー、チョコウエハース、パン。
行きの便よりボリューム有!でも味とピュアさは落ちる印象。まあまあな印象だ。 -
ラビからのサイン入りメッセージカードが封入されてるのは行きの便と同じ。表記はロシア語、イディッシュ語、ヘブライ語、英語。
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入っていたウエハースの成分表示。トランス脂肪酸、コレステロール、人口着色料、保存料はなしとの表示が頼もしい。これだけイスラエル産でした。
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デザートのウエハースバーの裏には『PARVE(パルベ)』の文字が。これはコッシャーのカテゴリーで『中立的』だという意味で、『肉でも乳製品でもどちらでもないカテゴリーの食べ物』だそうです。
肉と乳製品を同時にとってはいけないユダヤ教徒にとっては、どの食品がどのカテゴリに入るかは重要なんですね。 -
最後はモスクワ→成田便。最後のコーシャ機内食です。
-
モスクワ・シェレメチェボで見かけたモスクワ→テルアビブ便の表示。
ロシアもイスラエルも情勢があまり芳しくなかった時期なのですが、ちょっとオドロキつつ超納得。ロシアにもユダヤ人がたくさんいるからなあ。 -
モスクワ→成田便、1回目の機内食(夕食)
あ、さっきのクラカウ→モスクワ便と同じメーカーさんの機内食だ!あたたかい主菜は別にやってきました。
行きの便とメーカーが違うのはなにか理由があるのかな。積み込み地の問題なのかも。 -
中身…鶏肉のトマトソースペンネ、サーモンと白身魚のマリネ、キャベツのマリネ、ホムス、ゼリー、チョコウエハース
行き便よりもやはり味が落ちるが、肉に魚にとバリエージョン豊かなのがありがたい!そしてやはりパン付きでボリュームもあり。
あとここで初ホンモス!どうして今まで出てなかったのか不思議に思うほどの定番のおかずです。 -
パンのラベルにあったpinhas(ピンハス)の会社表示。ロシアのモスクワにあるとのこと。
帰国後に知ったのですが、ここの機内食はあまり評判がよろしくないそうで…。味とか格とかを含め、確かに行きの便の機内食の方が上だと思いました。 -
2回目の機内食(軽食)。これが最後のコーシャ機内食。
中をあけたところを撮り忘れてしまいましたが、中身はパン、キャベツのマリネ、鶏肉のトマト煮込み、ゼリー、ウエハース
クラコウ→モスクワ便の軽食とほぼ同じ内容でした。
これでコッシャー機内食は終わりです。頼んでいた人がチラホラいたことから、意外に需要があることと、食事としてピュアでヘルシーなものを提供しようとする宗教的姿勢が垣間見れて、とても有意義な食事になったのでした。 -
おまけ1
こちらは日本でおよばれした際のコッシャーフードの一部です。とてもヘルシーかつピュアで、体に余分なものを入れていない感じが良い。
単に宗教食というだけでなく、オーガニックやベジタリアン・ビーガン食というくくりにおいても、注目されていくこと間違いなしの食だと思います。
チキンもありましたが、きちんとコッシャー処理されているもので美味でした。 -
おまけ2
ユダヤ教のパン・ハーラと呼ばれる編みパンです。乳製品(ミルク、バター)を使わずとも、コーシャの良質なイーストを使うためかとても風味豊かな味がしてGOOD!そしてやはり体への負担感が少なくてよいです。
今後ますます脚光を浴びていくコーシャフード、日本においても【コッシャージャパン】という団体によって、日本の食べ物や日本酒も認定の動きがあります。今後も注目していきたいと思います。
http://kosherjapan.com/ -
おまけその3
この旅で見かけたコッシャーフード。ポーランド・ワルシャワのシナゴークに隣接したアイス屋さん。
コッシャーのアイスは値段も100円弱、もの凄くヘルシーで美味しかったです!原産地はクラクフらしい。
http://lodziarnia.com/strona-glowna/ -
おまけその4
この旅で見かけたコッシャーワイン。クラコフのカジミエジェというユダヤ人居住地区のレストランで見かけた看板。ポーランドは昔からユダヤ人がたくさん居住していた歴史があり、その一角はコーシャフードも豊富にありました。
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この旅行記へのコメント (4)
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- きなこさん 2014/09/29 22:45:42
- ユダヤ教食
- はじめまして
機内のユダヤ教食とっても興味深く見入っていまいました
インドに行った時にノンベジとの区別は知りましたが「ユダヤ教食」がリクエストできるんですねぇ
今度チャンスがあったら試してみたいです
ほんと楽しい旅行記ですね〜
きなこ
- ぱんスキュさん からの返信 2014/10/02 00:54:19
- RE: ユダヤ教食
- きなこさま
はじめまして。
旅行記をご覧いただきありがとうございました。
ユダヤ教食について深く知ったのは今年に入ってからなのですが、いろいろと深い世界で驚きました。それからいろいろな航空会社の機内食でリクエストできることも初めて知り、お願いしてみた次第です。
機内にいながらいろいろ体験できて楽しかったです〜!
きなこさまも機会にあればお試しください。
またお邪魔させていただきますね。
ぱんスキュ
-
- ホワちゃんさん 2014/09/18 16:51:44
- ユダヤのパン
- ぱんスキュさん
こちらのユダヤのパン、やわらかそうですね。
ポーランドではユダヤ料理は頂きましたか?
面白い機内食で大変興味が出てきたアエロフロートです。
ホワちゃん
- ぱんスキュさん からの返信 2014/09/18 20:37:28
- RE: ユダヤのパン
- ホワちゃんさま
ユダヤパンですが、最後の編みパンはふっくらしつつ適度な弾力がありましたが、機内で出てきたものはやや硬めでした…。ベーグルのもっちり感がなくなったような感じです。勿論焼きたてな前者のほうが美味です!
ポーランドではワルシャワとクラコフでユダヤ人地区を回りました。
コーシャレストランは外観とメニューのみチェックしたのですが、アイス屋さんでコーシャアイスを食べました。美味かつヘルシーで安く、大満足!でした。
そのうち旅行記でも紹介したいです!
ぱんスキュ
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