2011/10/05 - 2011/10/13
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旅人のくまさんさん
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カザンラクにある世界遺産のリラの僧院、その外壁のフレスコ画の紹介です。伝承によれば、リラ修道院はブルガリア皇帝ペタル一世統治の時代(927〜968年)に、リラの聖イオアン(イヴァン・リルスキー)が設立したと考えられています。1833年に焼失しましたが、1834年から1862年の間にブルガリア全土からの援助を受け、建築家アレクシ・リレツの指導の下に修復が行われました。紹介する外壁の壁画も、その当時に修復されたものです。
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リラの僧院の外壁のフレスコ画の紹介です。敷地の中央に位置している本堂の聖母マリア教会に多くの壁画があります。室内の撮影は禁止ですが、外壁の撮影はOKでした。
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ドームの中央部分のアップです左手に本を持った上半身像です。イエス・キリストの像でしょうか。ところで、『イエス・キリスト』の呼び方は、ギリシャ語で主格を並べた同格表現であり、『キリストであるイエス』または『イエスはキリストである』の意味とされます。『イエス』は人名、『キリスト』は、『膏をつけられた者』という意味の救い主の称号です。
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中央の四桝分に聖母子像が、その周りには32人の聖人像が描かれている、イコンの壁画です。名前も全て記されています。東方教会と西方教会では、殊に後代での聖人に対する見解が異なるようですが、十二使徒に対する見解などは同じようです。
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正面入口の上の壁画だったようです。『イエス・キリスト』の呼び方の続きです。膏をつけられるのは、旧約聖書において王、預言者、祭司とされました。キリスト教の初期においては、イエスを『イエス・キリスト』と呼ぶことは、『イエスがキリストであることを信じる』という信仰告白と等価であったとされます。
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ドームの中央部分のアップです。ところで、『イコン』ですが、『キリスト教において神や天使や聖人を記念し象徴として模られた絵や像で、敬拝の対象とされるもの』と解説されています。(ウィキペディア)リラの僧院の壁画は、まさにイコンの集合体と言った趣でした。
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聖母子像でしょうか。マリア様が若い姿に描かれ、イエス・キリストは大人びた顔です。お二人とも、冠を頭にした図です。周りには聖人達が描かれています。
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中央の円の中は聖母子像のようです。その外の円には白い羽を持った8人の天使が、次の外円には12使徒が描かれているようです。それぞれにブルガリア語らしい文字がありますが、読み取れません。
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『聖イヴァン・リルシクーの就寝』の図です。1842年完成の壁画です。聖イオアン(876年頃〜946年頃)とも呼ばれます。東方教会の正教会では聖人ですが、キリスト教などの西方教会では聖人扱いされていません。
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『聖イヴァン・リルシクー』の像のようです。『聖イオアン』は、『リラのイオアン』とも呼ばれます。『イオアン』は、スラヴ語からの転写した日本正教会で用いられる表記とされ、ブルガリア語からの転写は、『イヴァン』となるようです。
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合計20枚の絵が描かれています。同じ題材と思われるものが、少しずつ違った表現になっているようです。共通したテーマは、天使と悪魔のやり取りのように見えます。キリスト教には多くの天使と同時に、多くの悪魔もいますが、その代表的なものを紹介します。
<四大天使>
☆ミカエル:直訳では、『神に似たるものは誰か』と言う意味。
☆ガブリエル:神の言葉を伝える天使。
☆ラファエル:癒しを司る天使。
☆ウリエル:神の光、神の炎という意味。
<序列4位までの悪魔(ソロモン72柱)>
☆バアル:カナン人の高位の神とされる異教徒の神。
☆アガレス:クロコダイルに乗った青褪めた老人の姿。序列2番の大公爵。
☆ウァサゴ:26の軍勢を率いる序列3番の地獄の君主。
☆ガミジン:小さなウマかロバの姿で現れる序列4番の地獄の大侯爵。 -
上から2段目に描かれた5枚の絵の紹介です。右が二人の悪魔、左が大人と子供の天使です。それぞれに契約書かしいものを手にしています。説明文がありますが、ブルガリア語のようですから、読めません。悪魔には、蝙蝠のような羽があります。
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左から2枚目の絵です。右が二人の悪魔、左が大人と子供の天使の構図はこの後も変わりませんが、悪魔は入れ替わっています。今度は悪魔の方は天使側に手渡す財宝のようなものを手にしています。契約書の文字が先程とは変わっています。
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左から3枚目の絵です。手前側の悪魔は、手にした契約書以外に色々の契約書を背負っているようです。杖をついて少し情けない姿勢と顔付です。
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左から4枚目の絵です。悪魔の一人は、鎖で手足が縛られています。後ろの悪魔も満身創痍風の姿です。悪魔が懲らしめられたようですが、客所との関係は、よく分かりません。
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最後になる左から5枚目の絵です。悪魔は天使から槍で突かれて、逃げ腰のポーズです。4枚目の絵と同様、契約書などはありません。
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合計20枚のイコンが描かれていた場所の上部の光景です。ドーム風の屋根の部分には、90度向きが異なるイコンがありました。
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ドームの中央に描かれたイコンのアップです。ブルガリアの王か、地方の領主のイメージがします。14世紀、この場所にリラの僧院を再建したフレリョ・ドラゴヴォラ王かと推測し、肖像を探してみましたが、確かなことは分かりませんでした。
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中央上部に描かれた白い服の方が、イエス・キリストでしょうか。イメージ的には『キリストの昇天』の図のようです。キリストの下に傘のように黒く見える部分は、人々の頭です。
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少しだけ視線を下げて、同じ場所の壁画の撮影です。少し中途半端な構図になりました。『聖母マリアの被昇天図』の上部が見えてきました。
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『聖母マリアの被昇天図』のアップです。聖母の被昇天とは、カトリック用語で、聖母マリアがその人生の終わりに、肉体と霊魂を伴って天国にあげられたという信仰です。もともとは、正教会の生神女就寝が、6世紀頃に西方に伝わったものとされます。
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丹念に探せば、キリストの生涯の中で、重要な出来事の壁画もあるはずですが、十分には紹介でいませんでした。東方正教会では、次の12の出来事を祝祭日としています。繰り返し絵画などの題材に使われた場面です。
主の洗礼祭(公現祭):幼子イエスへの東方の三博士の訪問と礼拝
主の迎接祭:聖母マリアが幼子イエスを神殿に捧げた日
生神女福音祭(受胎告知):大天使ガブリエルによる受胎告知
聖枝祭☆:イエスのエルサレム入城
主の昇天祭☆(復活祭):復活したイエスが天にあげられた日
五旬祭☆(聖霊降臨祭):復活・昇天の後、神からの聖霊が降った出来事
主の顕栄祭(主の変容祭):2人の預言者と語らい、イエスが白く輝いた出来事
生神女就寝祭:聖母マリアの永眠の日
生神女誕生祭:聖母マリアの誕生の日
十字架挙栄祭:4世紀にイエス磔刑の十字架が発見された日
生神女進堂祭:聖母マリアが3歳頃、エルサレム神殿に入った日
主の降誕祭(クリスマス):イエス・キリストの降誕(誕生)の日
(注)☆印は移動祭日です。固定祭日に対し、復活大祭の日付を基準として決められます。 -
カトリック教会などの西方教会と比べ、東方教会ではイコンを大切に扱っているようです。その理由は、彫像は偶像崇拝に陥る危険があるとして、極力用いられなかったためとされます。前にも紹介したように、まさにイコンの集合体と言った壁画でした。
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現地ガイドさんは、『最後の審判』と『三位一体』をキーワードに幾つかの壁画を解説されていました。ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂のミケランジェロの傑作、『最後の審判』等とは、かなりイメージが違いました。この壁画の左端に、『最後の審判』の口を開けた龍の姿が微かに見えます。
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前の壁画の左下の部分です。3枚の内の下の絵は、地元で悪魔が跋扈する時代を描いた壁画のようです。その上の2枚の絵は、悪魔から住民を救う聖職者と天使が描かれているようです。
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中央上部に描かれた白い服の方が、イエス・キリストでしょうか。イメージ的には『キリストの昇天』の図のようです。キリストの下に傘のように黒く見える部分は、人々の頭です。
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最後の審判の部分のようです。キリスト教の教えでは、この世の終わりが近づくとイエスが再臨し、蘇った死者を含む全人類が最後の審判を受けるとされています。善人は天国に入り永遠の命が、そして悪人は地獄に入り永遠の罰を受けるとされます。
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大天使ミカエルの像のようです。ミカエルは、旧約聖書『ダニエル書』や、旧約聖書外典『エノク書』等に記された天使です。また、新約聖書外典の『モーセの黙示録』では、モーセがシナイ山で十戒の啓示を受けた時、十戒を記した石板をモーセに渡したのはミカエルとされます。
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同じく、本堂の外壁と回廊の天井などに描かれた壁画の光景です。写真の左側に見える白と黒の縞模様は、何となく椅子ら句寺院を連想してしまいます。トルコの支配による影響でしょうか。
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フレスコ画紹介の最後の写真です。本堂の正面出入口に向かって、左奥の部分です。突き当たりのドアの上の絵は、『聖イヴァン・リルシクーの就寝』の図です。他の場所でも撮影しました。
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フレスコ画紹介の最後の写真です。本堂の正面出入口に向かって、左奥の部分です。突き当たりのドアの上の絵は、『聖イヴァン・リルシクーの就寝』の図です。他の場所でも撮影しました。
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