2010/09/12 - 2010/09/13
5位(同エリア420件中)
旅猫さん
※2020.9.21 再編集(表題及び表紙写真の変更、写真の差し替え、文章の見直し)の上、改めて投稿しました。
津軽鉄道と金木の街を堪能した後、青森駅から津軽線に乗り、龍飛崎を目指して北上した。
10年ほど前、陸奥湾を隔てて向かい側にある下北半島を旅した時、いつかは龍飛崎へと思っていたので、とても感慨深いものがある。
龍飛崎と聞いて思い出すのは、やはり『津軽海峡冬景色』。
青函連絡船から眺めることはできなかったが、ついに津軽半島の先端を制覇した。
- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 3.5
- ホテル
- 3.5
- グルメ
- 3.5
- 交通
- 3.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 新幹線 JR特急 JRローカル 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
青森駅を13時01分に出る津軽線の蟹田行に乗車。
津軽線は、途中から津軽海峡線が分かれるので、北海道へ渡る時は必ず通る馴染みの路線である。
そして、終点の蟹田駅に近づくと、右手に陸奥湾が寄り添ってくる。
遠くには、薄っすらと下北半島が見えていた。 -
蟹田駅には、13時41分に到着した。
三厩行の発車まで20分ほどあるので、ホームを散策する。
そこには、『蟹田ってのは風の街だね』と刻まれた大きな木の看板があった。
太宰治の『津軽』の中にある一説だ。
この時も、風が吹いていた。蟹田駅 駅
-
三厩行は、14時ちょうどに蟹田駅を出発。
ここからは、白地に赤い帯を纏った二両編成の気動車だ。
味気ないステンレスの電車より、こちらのほうが旅情を感じる。 -
途中の中小国で立派な津軽海峡線と別れ、単線の細道をのんびりと走って行く。
内陸を走るので、車窓は思ったよりも単調だ。
そして、14時39分に津軽半島最北端の駅、三厩駅に到着した。
その駅は、思いのほか大きな駅だったので驚いた。三厩駅 駅
-
構内は、広々としていて、北端の駅とは思えないほど明るい雰囲気だった。
この先に線路は無いが、かつては、小泊まで伸ばし、そこから南下して津軽中里から五所川原(現在の津軽鉄道)へと繋げる計画だったらしい。
完成していれば、一度青森駅へ出る必要は無く、ぐるりと津軽半島を巡ることが出来たので残念である。 -
小奇麗な駅舎を出ると、駅前には何も無い。
片隅にちょこんと停まっていたバスが、龍飛崎へと向かう外ヶ浜町営バスだった。 -
三厩駅前を14時50分に出たバスは、津軽海峡を右手に見ながら龍飛崎を目指す。
潮風に晒されて白茶けた古い木造家屋が軒を連ねる小さな集落をいくつか過ぎ、バスは津軽半島の北側をなぞるように走って行く。
海峡の向こうには、北海道の渡島半島が見えている。 -
25分揺られると、龍飛漁港バス停に着いた。
バスは龍飛崎灯台まで行くが、とりあえず、ここで途中下車。
漁港の向かいには帯島と呼ばれる島があり、小さな港ながら風情のある場所だった。
港には、網の手入れをしている漁師の方がひとりいるだけ。
静かである。 -
その港の片隅には、浜茄子の花が咲いていた。
この花を見ると北海道の海辺を思い出す。 -
港から、バスで来た道を少し戻る。
歩む先の高台には、今宵泊まる宿の建物が見えていた。 -
低い防波堤の上には、海を見つめるカモメが一羽。
邪魔をしてはいけないので、こちらは車道に降りてやり過ごす。 -
その先で、民家の間の細い路地に入って行くと、裏手に階段が続いている。
これが有名な階段国道だ。
それを示すように、国道339号線の立派な標識も立っていた。
階段国道は、車両通行不可の珍しい国道で、362段あるそうだ。階段国道339号 名所・史跡
-
登り始めて途中で振り返ると、三厩漁港がよく見えた。
景色を眺めていると、上から観光客らしき二人連れが降りて来た。
荷物を持っていないので車で来たのだろう、下まで降りて戻ってくるのだろうか。
海から吹き上げてくる風が、どこか寂しげだった。 -
階段の脇では、小さなフウロの花が咲いている。
風に揺れて、やはり少し寂し気だ。 -
階段国道を登り切ると、さらに階段が続いている。
祖の階段は、階段村道と呼ばれている。
現在は外ヶ浜町だが、以前は三厩村だったので、その当時の標識が残ったままなのだ。 -
こちらの階段の脇にも花が咲いていた。
ナデシコだ。 -
その階段を登り切ると、龍飛埼灯台が目の前に現れた。
昭和7年(1932)に初点灯した灯台で、今は無人だそうだ。龍飛埼灯台 名所・史跡
-
灯台の先に、展望台があった。
ところが、岬の先端には海上自衛隊の施設があり、そのアンテナ類が邪魔で、景色はとても見づらかった。龍飛崎 自然・景勝地
-
それでも、景色は何とか眺められ、遠くに下北半島がぼんやりと見えた。
地形も岬らしく、断崖が海へと落ち込んでいる。 -
北側には、北海道の渡島半島がよく見えた。
それにしても、さすが竜飛崎だ、風がとても強い。
9月とは言え、吹いてくる風はすでに肌寒かった。 -
少し右のほうへ目を移すと、恵山岬も見えていた。
岬の付け根には活火山の恵山が聳え、麓には魅力的な温泉が点在している。
いつかは、恵山にも足を運びたいものだ。 -
灯台のある場所から少し離れたところに、旧日本軍の砲台跡があった。
丸く石で囲われた砲座の跡が、点在していた。 -
岬の西側の景色は、最果て感が色濃く漂っている。
遠くには、微かに小泊岬が見えている。
龍飛崎から小泊まで続く道も面白そうだが、残念ながら公共交通機関が無い。
以前は、観光タクシーが二千円ほどで連絡していたので、その頃に訪れたかったものだ。 -
竜飛崎から階段村道で降りると、風に乗って香ばしい匂いが漂ってきた。
その匂いの元は烏賊焼きだった。
駐車場にある茶店の店頭で焼いていて、体が冷えたし、ちょうど小腹も空いていたので買うことにした。
烏賊は好物のひとつで、特に旅先で食べる烏賊焼きは旨い。 -
烏賊焼きで満たされた後、宿へと向かう。
その途中に、立派な石碑が建っていた。
その石碑は、かの津軽海峡冬景色の歌碑だった。
惜しむらくは、その歌の旋律が、大きな音で流れていたこと。
龍飛崎の旅情に水を差すようだった。津軽海峡冬景色歌謡碑 (龍飛崎) 名所・史跡
-
この日の宿は。岬から歩いて数分のところにある龍飛崎温泉のホテル竜飛。
ツインベッドの部屋だったが、窓際に小上がりがあったのが嬉しい。龍飛崎温泉 ホテル竜飛 宿・ホテル
-
部屋の窓からは、津軽海峡と渡島半島が見渡せた。
眼下には、バスで降り立った三厩漁港も見えていた。 -
部屋で一休みした後、大浴場へと向かう。
龍飛崎温泉という正真正銘の温泉だが、宿の真下を通る青函トンネルの掘削中に湧き出たものだそうだ。
浴室からも海を眺めることができ、なかなか良かった。 -
露天風呂は無理やり作ったような極めて小さい湯船だったが、津軽海峡や北海道を見ながら湯に浸かることができた。
夕食の後、部屋に戻ってのんびりと寛ぐ。
そして、早めに寝ることにした。
夜中、海峡を渡る風の音がずっと聞こえていた。 -
翌朝、朝風呂に入ったが、露天風呂はとても寒かった。
9時前に宿を出て、歩いて10分ほどのところにある青函トンネル記念館へと向かう。
途中の道沿いでは、小さな花々がいくつも咲いていた。 -
青函トンネル記念館は、本州と北海道を結ぶ鉄道専用トンネルである青函トンネルの開通を記念して、本州側の掘削基地跡に建てられた施設だ。
青函トンネルを紹介する展示施設のほか、体験坑道を巡るツアーがあり、今回は、入館料に体験坑道乗車券が付いた切符(1,300円)を購入。
まずは、日本一短い私鉄と言う青函トンネル竜飛斜坑線に乗車した。青函トンネル記念館 美術館・博物館
-
その線はケーブルカーで、線路は厚い隔壁の向こう側に続いている。
海底駅の入口にも頑丈な扉があるのだが、これは、地底との気圧の差を調整するためのものだそうだ。
乗客は、この隔壁が降りていないと外へは出られない。 -
そのケーブルは、実際に青函トンネルの工事の際に使われていたもの。
思ったよりも勾配は急ではなかった。
8分ほどで、体験坑道駅に到着。
ケーブル自体は、もっと下まで伸びていた。 -
係員の誘導で坑道を見学。
坑内は思ったよりも広く、作業用の線路も残っていた。 -
途中には、なぜか水槽が置いてあった。
津軽海峡に生息する魚を展示しているそうだ。 -
トンネルの掘削時に使われていた工事用の車両も展示されていた。
当時は、坑道に敷かれた線路を走っていたものだ。 -
坑道の一角には、掘削作業を再現した場所もあった。
人形も置かれていたが、人力での掘削もあったということだ。 -
見学していると、柵の向こうに頑丈な扉が見えた。
その扉の向こうが、津軽海峡線が実際に走っている本坑だそうだ。 -
見学は30分ほどで終了。
ケーブルで地上へと戻り、バスの時間まで記念館の展示を観ることにした。
そこには、青函トンネルの建設に関する資料が展示されていた。 -
バスの時間が近付いてきたので外へ出る。
屋外にも、工事車両が野ざらしで展示されていた。
そして、12時03分発のバスに乗り、龍飛崎を後にした。 -
三厩駅前には、12時35分に到着。
ホームでしばらく待っていると、列車がやって来た。
無人駅かと思っていたら、駅員さんが出てきて直立不動。
国鉄時代には、多くの駅で見られた光景が、三厩では今でも健在だ。 -
12時53分に三厩駅を出発。
昨日辿った道を引き返す。
4つ目の津軽二股駅に近づくと、右手から津軽海峡線が寄り添ってきた。
その線路を新幹線が走る日も、遠い日ではない。
とは言え、個人的には、在来線の方が好きなのだが。 -
終点の蟹田駅には、13時34分に着いた。
ここから、13時47分発の青森行に乗り換えて青森駅を目指す。
それにしても、青森駅から三厩駅までが津軽線なのに、この蟹田駅を境にまったく別の路線のような感じとなる。
しかも、蟹田駅から青森駅までは、新型の電車が走っているのだ。 -
青森駅からは、14時51分発の特急『スーパー白鳥22号』に乗り、八戸駅へと向かい、16時06分発の『はやて22号』に乗り換えた。
あとは、大宮駅まで寝て帰るだけだ。
新幹線の良さは、その速さだけだが、車窓を気にせずに寝ることが出来るのも良いところかもしれない。
※現在、東北新幹線の延伸により、『スーパー白鳥』は廃止されています。八戸駅 駅
-
八戸駅で買ってきた駅弁『十和田湖産牛肉使用 牛めし』で遅い昼食。
味は、値段の割に普通だった。
食べ終わって車窓を眺めると、夕暮れが迫っていた。
さて、あとは寝て帰ろう。
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この旅行記へのコメント (6)
-
- syukoさん 2020/09/24 21:05:07
- なんてタイムリーな階段国道!!!
- 先日、同僚と階段国道の話をしてたところに旅猫さんのこちらの旅行記を発見!
引き寄せられました!
去年行く予定だったけど、お天気の都合で行けなかった竜飛岬と青函トンネル資料館も興味津々です。
いつか、私も訪れてみたいです。
- 旅猫さん からの返信 2020/09/26 08:56:05
- RE: なんてタイムリーな階段国道!!!
- syukoさん、こんにちは。
書き込みありがとうございます。
階段国道を話題にするとは、面白そうですね!
龍飛崎は、風が強いし、天気もなかなか安定しないので、晴れているときに行くのはなかなか難しいらしいです。
私が訪れた時は、ちょうど天気も良く、良かったです。
青函トンネル資料館は、見応えがありました。
坑内はとても涼しいので、暖かい季節に訪れるのがおすすめです。
旅猫
-
- rokoさん 2011/12/03 16:22:50
- ごらんあれが龍飛岬
- 旅猫さん こんにちは
夏の終わりの津軽路へ〜
最終は龍飛岬ですね。
旅情たっぷり いい雰囲気が伝わってまいりました・・・
有名な階段国道、ここだったのですね、362段もあるんですか。
>海から吹き上げてくる風がちょっと寂しげだ
そんな雰囲気を感じます、
脇道に咲く野草が旅情をそそります。
イカ焼き食、旅先で食べるときは特に旨いっ 同じくです。
お宿も雰囲気よさげで、温泉でほっこり〜(^^)v
津軽路の旅、
楽しませていただきました。
roko
- 旅猫さん からの返信 2011/12/03 16:41:24
- RE: ごらんあれが龍飛岬
- rokoさん、こんにちは。
いつもありがとうございます。
旅の締めは竜飛崎でした。
鄙な感じがとても旅情を感じさせてくれます。
三厩駅から岬へ向かう途中にあった集落も歩いてみたかったです。
車を使わない旅だと、そのあたりが難しい。
階段国道は面白いですよね。
人しか通れない国道ですからね。
ただ、竜飛崎は名物の風が強くて。
寒い日は、まともにいることは出来ないでしょうね。
津軽の旅はとても良い旅でした。
これからも、何度か訪れることになると思います。
個人的に、東北は好きなのでしょうね。
次回は、鰺ヶ沢でイカ焼きを食べたいです(^^)
旅猫
-
- 潮来メジロさん 2011/11/13 22:47:32
- セグロカモメですね。ヾ(^o^)
- 旅猫さん、こんばんは! ヾ(^o^)
毎度、訪問&投票ありがとうございました。
> 海を見つめるカモメが一羽。
この鳥さんは、セグロカモメですね。もちろん、カモメの仲間です。
セグロカモメは冬鳥なので、関東では9月頃はまだ見られないのですが、
さすが津軽海峡では9月中旬にはもう渡ってきているのですね。
これから冬にかけて、関東でもたくさん見られるカモメの仲間ですね。
ではまた・・・。(^o^)/~~~
(潮来メジロ)
- 旅猫さん からの返信 2011/11/19 10:07:45
- RE: セグロカモメですね。ヾ(^o^)
- 潮来メジロさん、こんにちは。
こちらこそ、いつもありがとうございます。
そして、鳥さんの名前も。
セグロカモメでしたか。
北海道の網走で、オオセグロカモメを見たことがありますが、
あちらは丸々と太ってました。
日本列島は南北に長いので、季節の違いを楽しめますね。
旅猫
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