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上海の近代史を支えてきた蘇州河のほとりにあるモダンな建物、上海郵政大楼の中にこの博物館がある。この建物自体が、中国の全国文物重点保護単位に指定されており、重要文化財として保存されている。その当時、極東一の建築物といわれたほどの規模を誇る。さらに、今回初めて開放された屋上庭園からは外灘から浦東にかけての景色を眺めることができ、この建築物を訪れるだけでも十分にその値打ちはある。博物館の入り口に掲げられている「上海郵政博物館」の文字を江沢民が書いているところからも、この博物館への意気込みが感じられる。<br />

上海の日本租界・上海郵政大楼・歴史建築

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2011/03/09 - 2011/03/09

5963位(同エリア11698件中)

中国の風景

中国の風景さん

上海の近代史を支えてきた蘇州河のほとりにあるモダンな建物、上海郵政大楼の中にこの博物館がある。この建物自体が、中国の全国文物重点保護単位に指定されており、重要文化財として保存されている。その当時、極東一の建築物といわれたほどの規模を誇る。さらに、今回初めて開放された屋上庭園からは外灘から浦東にかけての景色を眺めることができ、この建築物を訪れるだけでも十分にその値打ちはある。博物館の入り口に掲げられている「上海郵政博物館」の文字を江沢民が書いているところからも、この博物館への意気込みが感じられる。

旅行の満足度
5.0
観光
4.0
交通
5.0
同行者
一人旅
交通手段
鉄道
旅行の手配内容
個別手配

PR

  • 地下鉄10号線 天董路駅より徒歩5分。2号線南京東路駅より10分。<br />住所:中国上海市北蘇州路250号【地図】<br />TEL:(021)6393-6666(代表)<br />開館日:9:00〜17:00(入館は16:00まで)<br />開放日:水、木、土、日<br /><br />

    地下鉄10号線 天董路駅より徒歩5分。2号線南京東路駅より10分。
    住所:中国上海市北蘇州路250号【地図】
    TEL:(021)6393-6666(代表)
    開館日:9:00〜17:00(入館は16:00まで)
    開放日:水、木、土、日

  • かつて、中国には3つの大きな郵政大楼があった。一つは1915年に天津に建てられた天津車站郵政大楼、もう一つは1922年に北京に建てられた北京天安門広場郵政大楼、そして1924年に竣工したこの上海の上海郵政大楼である。北京と天津の大楼はすでに存在しておらず、上海郵政大楼が最後となった。<br /><br />

    かつて、中国には3つの大きな郵政大楼があった。一つは1915年に天津に建てられた天津車站郵政大楼、もう一つは1922年に北京に建てられた北京天安門広場郵政大楼、そして1924年に竣工したこの上海の上海郵政大楼である。北京と天津の大楼はすでに存在しておらず、上海郵政大楼が最後となった。

  • 敷地面積6,400平米、建築総面積25,294平米、U字形の正面ファサードを持つ英国古典主義建築である。鉄筋コンクリート製、地上4階、地下1階、三方は街路に面し、残る一方向は河に向いている。更に屋上四角形の基壇の上に高さ17mの鐘楼が乗り、その上に8.2mの旗竿が立っている。建物両サイドの壁面は、雄大なコリント式石柱が並び、古代ローマ時代の巨大な柱を模している。しかし北側は、赤煉瓦の無装飾の壁となっている。こうして二つの異なった建築様式をうまく融合するヨーロッパの折衷主義建築の特色により、上海郵政大楼は上海の最優秀建築の十指に入る建物となっている。<br /><br />

    敷地面積6,400平米、建築総面積25,294平米、U字形の正面ファサードを持つ英国古典主義建築である。鉄筋コンクリート製、地上4階、地下1階、三方は街路に面し、残る一方向は河に向いている。更に屋上四角形の基壇の上に高さ17mの鐘楼が乗り、その上に8.2mの旗竿が立っている。建物両サイドの壁面は、雄大なコリント式石柱が並び、古代ローマ時代の巨大な柱を模している。しかし北側は、赤煉瓦の無装飾の壁となっている。こうして二つの異なった建築様式をうまく融合するヨーロッパの折衷主義建築の特色により、上海郵政大楼は上海の最優秀建築の十指に入る建物となっている。

  • 清代1896年に光緒皇帝が大清郵政を批准したものの、まだ情勢は混沌としており、郵政業務に対して列強各国の思惑が錯綜する。<br />1911年に清政府は郵伝部を設立し、郵政部門と税関部門を分離した。1917年になって政府は郵政大楼建設計画に取り組む。何とか外国の勢力が及ばないようにすることが目的であったが、その願いもむなしく、結局イギリス租界内の四川路橋のそばに郵政大楼を建設することになった。河にも鉄道駅にも近いというイギリス側の強い主張によるものだった。<br /><br />

    清代1896年に光緒皇帝が大清郵政を批准したものの、まだ情勢は混沌としており、郵政業務に対して列強各国の思惑が錯綜する。
    1911年に清政府は郵伝部を設立し、郵政部門と税関部門を分離した。1917年になって政府は郵政大楼建設計画に取り組む。何とか外国の勢力が及ばないようにすることが目的であったが、その願いもむなしく、結局イギリス租界内の四川路橋のそばに郵政大楼を建設することになった。河にも鉄道駅にも近いというイギリス側の強い主張によるものだった。

  • 郵政大楼は現在、往年の面影を残して復元された。入り口は、立派な時計台の下側にある。ちょうど四川路と北蘇州路の角に位置する。<br />

    郵政大楼は現在、往年の面影を残して復元された。入り口は、立派な時計台の下側にある。ちょうど四川路と北蘇州路の角に位置する。

  • 国によってポストの色がちがいます。<br /><br />

    国によってポストの色がちがいます。

  • 今のポストの方が良いですね。<br /><br />

    今のポストの方が良いですね。

  • 設計はイギリス人によるもの。当時のイギリス人郵政局郵務長S.H.Shieidsが建設の責任者となった。総投資額360万元で1922年に工事が始まり、丸2年の歳月をかけて1924年11月に竣工した。地下1階、地上4階で、最も高い塔の部分で50メートルほどの高さがある。時計台に設置された時計の直径は3メートルほどある。時計台両サイドにはランプが灯され、その当時夜になるとライトアップされたという。さらに、塔の2面には交通・通信をシンボルとした象が掲げられ、現在も当時のまま残っている。<br /><br />

    設計はイギリス人によるもの。当時のイギリス人郵政局郵務長S.H.Shieidsが建設の責任者となった。総投資額360万元で1922年に工事が始まり、丸2年の歳月をかけて1924年11月に竣工した。地下1階、地上4階で、最も高い塔の部分で50メートルほどの高さがある。時計台に設置された時計の直径は3メートルほどある。時計台両サイドにはランプが灯され、その当時夜になるとライトアップされたという。さらに、塔の2面には交通・通信をシンボルとした象が掲げられ、現在も当時のまま残っている。

  • 鐘楼基壇の東西両サイドの彫刻は、当時上海で最も優れた青銅彫刻と言われている。片側の彫刻は、キューピット、マーキュリー、ビーナスで、真中のマーキュリー(水星)は天上の神の使いとして人類に神の意思を伝える。両側の愛の天使は、郵便が人類に愛を伝え、愛が成就することを象徴していると言われる。もう一方の3体の彫刻は、各々両手に郵便の輸送手段となっていた初期の汽車、汽船の錨、通信用ケーブルを握っている。それらは設計者の美意識を表すと同時に、国民の親書伝達吏として、送信者に対する公平なサービスと、人々が通信により連帯感を持つことを象徴している。合理性だけが優先される現代から見ると、今より85年も前に、こうした格調高い建築物を造る時代の精神に感動を覚えざるを得ない。<br /><br />

    鐘楼基壇の東西両サイドの彫刻は、当時上海で最も優れた青銅彫刻と言われている。片側の彫刻は、キューピット、マーキュリー、ビーナスで、真中のマーキュリー(水星)は天上の神の使いとして人類に神の意思を伝える。両側の愛の天使は、郵便が人類に愛を伝え、愛が成就することを象徴していると言われる。もう一方の3体の彫刻は、各々両手に郵便の輸送手段となっていた初期の汽車、汽船の錨、通信用ケーブルを握っている。それらは設計者の美意識を表すと同時に、国民の親書伝達吏として、送信者に対する公平なサービスと、人々が通信により連帯感を持つことを象徴している。合理性だけが優先される現代から見ると、今より85年も前に、こうした格調高い建築物を造る時代の精神に感動を覚えざるを得ない。

  • 入り口から入って螺旋状にカーブした階段を上って2階のホールに入る。<br />

    入り口から入って螺旋状にカーブした階段を上って2階のホールに入る。

  • 入り口から入って螺旋状にカーブした階段を上って2階のホールに入ると、大理石のカウンターが美しく復元されている。その当時このホールは「極東地区最大のホール」といわれ、ずらりとカウンターが並んでいたようだ。文革のころに一時、間仕切りがされたが、今でも当時の面影を偲ぶことができる。<br />

    入り口から入って螺旋状にカーブした階段を上って2階のホールに入ると、大理石のカウンターが美しく復元されている。その当時このホールは「極東地区最大のホール」といわれ、ずらりとカウンターが並んでいたようだ。文革のころに一時、間仕切りがされたが、今でも当時の面影を偲ぶことができる。

  • (右)大理石でできたカウンターは復元され、今でも郵便業務が行われています。<br />

    (右)大理石でできたカウンターは復元され、今でも郵便業務が行われています。

  • ビル内部の優れたデザインは、二階の営業ホールに見られる。

    ビル内部の優れたデザインは、二階の営業ホールに見られる。

  • カウンターや私書箱は実際の営業をしています。<br />

    カウンターや私書箱は実際の営業をしています。

  • 封筒、便箋など郵便用品を販売しています。万博をデザインした<br />ものもあります。<br />

    封筒、便箋など郵便用品を販売しています。万博をデザインした
    ものもあります。

  • 博物館の入り口は、このカウンター群の隣にある。中国で初めての郵便をテーマにした博物館だけに、まずはじめは中華人民共和国の初代郵電部部長である朱学範の展示から始まる。朱学範は上海楓涇(現在の金山区)出身の上海人だけに展示に力が入れられているのが分かる。

    博物館の入り口は、このカウンター群の隣にある。中国で初めての郵便をテーマにした博物館だけに、まずはじめは中華人民共和国の初代郵電部部長である朱学範の展示から始まる。朱学範は上海楓涇(現在の金山区)出身の上海人だけに展示に力が入れられているのが分かる。

  • 世界のポストが展示されているが、色も形も違います。<br /><br />

    世界のポストが展示されているが、色も形も違います。

  • 三国志、西遊記、紅楼夢、水滸伝の名場面の切手で綴る冊子です。<br />

    三国志、西遊記、紅楼夢、水滸伝の名場面の切手で綴る冊子です。

  • かつては両翼の建物に挟まれた中庭で、郵便物の積み下ろし作業が大規模に行われていた広い空間。<br />

    かつては両翼の建物に挟まれた中庭で、郵便物の積み下ろし作業が大規模に行われていた広い空間。

  • かつては両翼の建物に挟まれた中庭で、郵便物の積み下ろし作業が大規模に行われていた広い空間。<br />

    かつては両翼の建物に挟まれた中庭で、郵便物の積み下ろし作業が大規模に行われていた広い空間。

  • 建物は数度の改築を経てきたが、“元状保存”の方針により、今日でも初期の雄大な建築を見ることが出来る。

    建物は数度の改築を経てきたが、“元状保存”の方針により、今日でも初期の雄大な建築を見ることが出来る。

  • 中庭には、1909年に上海郵政総局が毎月銀200元で借りた運送用の馬車や,1917年に上海郵務管理局が始めて購入したフランス製の郵政トラックのレプリカがある。

    中庭には、1909年に上海郵政総局が毎月銀200元で借りた運送用の馬車や,1917年に上海郵務管理局が始めて購入したフランス製の郵政トラックのレプリカがある。

  • (左)中庭には馬車やトラック、列車のレプリカが展示されています

    (左)中庭には馬車やトラック、列車のレプリカが展示されています

  • 郵政大楼の中庭部分。飛行機が飛んでいます。<br />

    郵政大楼の中庭部分。飛行機が飛んでいます。

  • 天井には1929年に上海と南京を結んだ上海で初めての定期航空郵便に使われた飛行機のレプリカがぶら下がっている。<br />

    天井には1929年に上海と南京を結んだ上海で初めての定期航空郵便に使われた飛行機のレプリカがぶら下がっている。

  • (右)このような荷物用のスロープがたくさん見られます.<br /><br />

    (右)このような荷物用のスロープがたくさん見られます.

  • <br />むき出しのエレベーター。<br />


    むき出しのエレベーター。

  • すべての展示を見たら、中庭を見学しよう。

    すべての展示を見たら、中庭を見学しよう。

  • そして1924年に竣工したこの上海の上海郵政大楼である。当時の入口を復元している。<br />

    そして1924年に竣工したこの上海の上海郵政大楼である。当時の入口を復元している。

  • そして1924年に竣工したこの上海の上海郵政大楼である。当時の入口を復元している。<br />

    そして1924年に竣工したこの上海の上海郵政大楼である。当時の入口を復元している。

  • 博物館出口にある井戸。水が今でもコンコンと湧き出ています<br />

    博物館出口にある井戸。水が今でもコンコンと湧き出ています

  • <br />そして、最後に1階の出口までくると、なにやら水を豊かに湛えた井戸のようなものを見つけることができる。


    そして、最後に1階の出口までくると、なにやら水を豊かに湛えた井戸のようなものを見つけることができる。

  • 上海開港後、租界地であった上海の郵便事情は、長らく各国が各国の切手や郵便制度を持ち込んでいた。

    上海開港後、租界地であった上海の郵便事情は、長らく各国が各国の切手や郵便制度を持ち込んでいた。

  • 中でも印象に残ったのが、2003年12月に浦東に建設された「浦東郵件処理センター」に関しての展示だ。

    中でも印象に残ったのが、2003年12月に浦東に建設された「浦東郵件処理センター」に関しての展示だ。

  • この屋上庭園から眺める上海の風景はまた格別だ。

    この屋上庭園から眺める上海の風景はまた格別だ。

  • 螺旋階段の天井の図柄。

    螺旋階段の天井の図柄。

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