はちのすけさんのクチコミ(107ページ)全3,564件

　江戸時代後期に築かれた備前焼の窯で、昭和15年頃まで実際に使用されていたという。現地の説明によると、それまでは大型の窯3基で大量生産していたが、藩の保護政策の縮小や薪の関係で非効率的になっていた。そのため、新たに生産効率のいい小型の登窯を築いたが、そのうちの一つが天保窯だった。燃焼効率がよく、燃料も製造日数も大窯の4分の1ほどに縮小した。当時としては画期的な窯だった。

　国内最古の「学校」として知られる閑谷学校を創設した岡山藩主の池田光政を祭る神社。学校に隣接した地にあり、学ぶ青年たちを見守っているかのようだ。現地の看板などによると、やはり同じ敷地にある孔子をまつった聖廟に比べてひとまわり小さく、少し低く建てられている。これは孔子に対して礼を尽くす思いの表現だという。

　備前市の山だ。ここには風格ある古刹の福生寺、梅林で有名な実相院、あじさいで有名な西法院がある。これらに参拝したのち、ふっと見上げると三重塔が目に飛び込んできた。大滝山福生寺の三重塔は、室町時代に建築された国指定重要文化財という。周辺はハイキングコースだけに、自然と古刹の散策が楽しめる。

　岡山、兵庫県境の静かな町にある城跡だ。１３３３（元弘３）年、地頭である伊東氏が後醍醐天皇の倒幕計画に呼応して天王山（291メートル）に築いたと伝わる。その後、浦上氏の拠点となったが、領地の変動で本拠地を天神山城へ。三石城は廃城となった。頂上付近には築城遺構が残されているが、ふもとからは登山道の案内などでその存在がうかがえるだけだ。

　10月第3週の土・日曜日に実施される備前焼の大売り出しイベントだ。JR伊部駅一帯に広がる備前焼の店、窯元などが一斉に2割引きで販売する。さらに同駅近くの広場、駐車場、空き地などに個人の作家やショップがテントで出店しており、その数は数え切れないほどだ。要所要所にショップの位置を書いた地図が配布されているので、まずはそれを入手してから散策を始めるのがいい。公共交通ならば問題はないが、マイカーで行くならば駐車場は混雑する。無料の駐車場が多数設けられているので下調べしてから行くのがいい。

　ＪＲ駅舎と一体になった観光案内所兼ショップだ。この建物は一階が「東備観光情報センター」と「JR伊部駅」、二・三階が備前焼伝統産業会館だ。同センターは備前焼以外の工芸品、食、特産品をそろえており、一般的な観光需要に応えている。近隣には駐車場もあり、車での寄り付きもいい。

　備前焼まつりの時にしか行ったことがなかったが、平時に初めて参拝した。伊部の中心部にあり、国道から神社に向かって入った道沿いにある近くの駐車場に車を止めて急な階段を上った。参拝後は社務所を訪ねてご朱印をいただいた。まつりのときはあわただしくて不可能だが、平時ならではのことだ。備前焼の狛犬をまじまじと見たが、いい顔をしていた。

　ＪＲ伊部駅を出るとすぐ右側に見える。備前焼の歴史、工程の展示のほか、施設内の人間国宝館では金重陶陽、藤原啓ら5人の人間国宝の偉業を特集しており、備前焼ファンならば一度は見ておきたい展観だ。現代作家の作品も数多くある。

　これで３年目だが、楷の木は今年も見事に紅葉していた。毎年、左右の木でオレンジと赤という具合に少し色合いが違うが、2019年は最盛期を過ぎていたせいかあまり色合いに違いがなかった。講堂の中では「論語塾」をやっており、往時の門下生よろしく参加者が論語を読んでいたが、床が例年よりもきれいに磨かれていた。そのせいか、例年にも増して「床もみじ」の色合いが鮮やかだった。

　旧日銀岡山支店だ。施設の活用に当たっては市が市民からアイデアを募り、運用もＮＰＯ法人が指定管理者として手掛けている。旧日銀という重厚な建物に加え、金庫の活用など内部の意匠も銀行と大正・昭和の味わいある面影を残している。展示会やミニコンサートなど多様な用途で使われている。観光施設というよりも、市民の非日常の演出に役立っている感じだ。

　ＪＲ岡山駅を起点とする桃太郎大通り。これを旭川まで真っ直ぐ行くと、突き当たるのが石山公園だ。ここを扇の要とすると旭川、後楽園、県立美術館、岡山城、県立図書館、市民会館と文化ゾーンが並ぶ。市民会館は移転が決まっているので、数年後には新しい名前が加わると思うが。イベントが多いのもこの公園の特徴だ。期間限定のオープンカフェ、パンなどのマルシェ、市場など四季折々に開催されている。モニュメントも多い。噴水と一体化した平和の像、岡山城築城時の巨岩運搬を再現したイベントで運ばれた岩の展示、現代アートの文化の十字路などだ。また、入り口のモニュメントは倉敷市の楯築遺跡のようだ。この公園の所で旭川は大きく曲がっており、朝方は岡山城と朝日の共演を観賞できる。

　ラジオ塔のスペースを有効活用したバラ園だ。９月末にバラ園の近くで雑貨と食のマーケットがあり、園内にも足を伸ばしたが、閑散期だった。秋の見ごろに合わせて剪定したばかりという。ただ、園内を一周している芝生はふわふわとしてとても気持ちがよかった。看板によると、見ごろは５月中旬から６月上旬、10月中旬から11月上旬の2回設定しているという。公共交通はちょっと不便だが、広大な無料駐車場がある。

　岡山市を代表する紅葉の名所の一つだ。前回は紅葉を見損ねたので、季節を狙って再訪した。青もみじとは異なり、大きな紅葉の木々がそこここにある。この庭園の本番はこの時期に照準を定めていたのでないかと思わせるあでやかな絵があちこちにあった。紅葉の時期がおすすめだ。

　足守藩木下家二万五千石の陣屋町。明治以降の近代化の中でも町並みがよく残っており、文化財も多いことから県の町並み保存地区に指定されている。特筆されるのは、人によるホスピタリティーの高さだ。各施設とも熱心な職員（地元住民のボランティアか？）が在住しており、施設の手入れに従事する傍ら、来客を見かけると施設の案内を買って出ている。さらに、駐車場を含む各施設が無料なのがいい。旅行客が気軽に立ち寄ることができ、町での時間消費も自然と増えるだろう。

　コンフォートホテルやエクセルホテルがある城下交差点から石山公園に向かい、市民会館前を右折、山陽放送の前を岡山城に向かって歩くと、県立図書館を過ぎて県庁前にたどりつく。ゴールは相生橋を渡って古京町の交差点だ。この道を烏城みちとしている。岡山市が1984年に市民公募で決定したネーミングだ。烏城は岡山城の異名で、このルートが岡山城の遺構や天守閣周辺をめぐることから付けられたのではないか。ところどころに「烏城みち」という石碑が立っている。

　有力な譜代大名である池田家が居城とした岡山城は、最盛期には天守閣のほか34の櫓があったという。が、戦災などで現存しているのは本丸の月見櫓と、この西の丸の西手櫓のみだ。路面電車から見える幹線道路沿いで、名建築として有名な禁酒会館の横の駐車場から望むことができる。

　酒害の撲滅運動をうたった禁酒運動の拠点として建築された建物。戦災を免れ、現在は国の登録文化財だ。一階がカフェなどの店舗、二階が貸事務所になっていた。独特なデザイン、木造三階建て、禁酒会館というロゴなど存在感のある建築物だ。

　足守の町並みの中ほどにある資料館だ。廃絶していた醤油醸造場を復元し、往時の商家の姿を紹介している。建物は通りの一角を占めるほど巨大で、中に入ると帳場やしょうゆ桶、醤油の生産工場などの展示がある。おそらくは地元ボランティアであろう解説員が常駐しており、親切に案内してくれた。藤田千年治は創業者の名前だが、代々の当主が襲名していたという。ここも入館無料だ。

　閑谷学校は庶民教育のための施設だが、ここにあった藩学は藩士の子弟を教育するために設けられたものだ。閑谷学校が城下町から遠く離れた場所にあるのに比べ、ここは商店街から歩いてすぐの一等地だ。当時の位置づけの違いがわかるようだが、皮肉にも立地が災いし、戦災で焼失してしまった。現地の石碑によると、当時の藩校は中国の例にならって「はん池（ち）」を設けたが、今は全国でもここの池が完全に残っている唯一の残存例だという。

　国指定史跡。前方後円墳としては全国四番目の大きさを誇るが、上位三つは天皇陵であり立ち入りはできない。つまり、立ち入りできる古墳としては国内最大だという。被葬者は特定されていないが、周辺に陪塚もあり、吉備王国の首長と比定される。古墳の上から周囲を見ると、なんとなく明日香村のような雰囲気があり、強大な勢力の中心地があってもおかしくないオーラがある。また、見渡す平野の先には水攻めで有名な古戦場の高松城址があり、毛利軍はこの古墳上に陣を敷いたと伝えられる。墳頂には神社がある。ここの手水鉢が由来ありげだったが、後から調べるとやはり石棺だった。