2025/04/27 - 2025/04/27
4466位(同エリア4646件中)
mitsuさん
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- クチコミ18件
- Q&A回答25件
- 343,897アクセス
- フォロワー145人
プラハ国立美術館(ヴェレトゥルジュニー宮殿)
見渡す限りの広大な空間に、激動の時代を生きた芸術家たちの、個性豊かな近代アートが並んでいます。
クールベの『花の麦わら帽子の女』、ルノワールの『恋人たち』、ゴッホの『糸杉のある緑の麦畑』など巨匠の名作が贅沢に広がる空間。エミル・フィラやティッテルバハが描く豊かな大地、パデルリークやイーラらが伝える時代の緊迫感や内なる不安が交錯します。
さらに、マタルやレジェが描く都市と人間、コティークらの抽象絵画、マリフやブラーズダが魅せる壮大な宇宙や未来への視線へと続き、ネプラシュの彫刻やビエリツキーの現代アートまで、多彩な表現が空間を彩ります。
世界のトレンドに刺激を受けながら、自由な表現を追い求めた芸術家たち。彼らの情熱が息づくヴェレトゥルジュニー宮殿は、私の心にいつまでも色褪せない深い感動を刻んでくれました。
ここで出会った美の記憶を胸に、プラハ国立美術館を巡る旅はここで幕を閉じます。最後までこの美しいアートの世界に一緒にお付き合いくださり、本当にありがとうございました。
全体の大まかな行程は以下になります。
今日は,★☆★です (^^)/
4/13(日) 成田⇒ドバイ⇒
4/14(月) ⇒アムステルダム フォーレンダム観光
4/15(火) アムステルダム,ホールン,エダム観光
4/16(水) アムステルダム国立美術館,市内観光
4/17(木) ギートホルン観光
4/18(金) キューケンホフ観光
4/19(土) ザーンセ・スカンス観光⇒ロッテルダムへ移動
4/20(日) デハール城,ユトレヒト観光
4/21(月) キンデルダイク,デルフト観光
4/22(火) ハーグ観光
4/23(水) プラハへ移動とプチ観光
4/24(木) プラハ観光+コンサート
4/25(金) プラハ観光+コンサート
4/26(土) プラハ観光
★☆★4/27(日) プラハ観光
4/28(月) プラハ観光
4/29(火) チェスキー・クルムロフへ移動⇒観光
4/30(水) プラハへ移動・観光
5/1(木) パリへ移動,観光
5/2(金) パリ観光
5/3(土) ヴェルサイユ宮殿観光
5/4(日) パリ観光
5/5(月) 体調不良により観光無し
5/6(火) 体調不良により観光無し
5/7(水) パリ観光
5/8(木) シャルトルへ移動・観光
5/9(金) パリ観光
5/10(土) パリ観光
5/11(日) パリ観光
5/12(月) ベルノンへ移動・観光,パリ観光
5/13(火) パリ観光
5/14(水) パリ観光後⇒ドバイへ移動
5/15(木) ドバイ観光⇒成田へ向けて出発
5/16(金) 成田着
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
作者名:ギュスターヴ・クールベ
国:フランス
年:1857年頃
作品名:『花の麦わら帽子の女』(または『セーヌ川のほとりの若いお嬢さんたち』の断片習作)
花で飾られた麦わら帽子をかぶり、赤いドレスをまとった女性が物憂げに頬杖をつく姿を捉えた作品です。これはクールベの代表作『セーヌ川のほとりの若いお嬢さんたち』の制作に向けて描かれた一部、あるいはその後に切り出された断片とされています。
19世紀フランスの写実主義(リアリズム)の巨匠であり、「目に見えるものしか描かない」という信念のもと、当時の理想化された神話や歴史画に反発しました。労働者やありのままの市民の姿をありのままに描き、近代美術の発展に決定的な影響を与えたことで知られています。 -
作者名:ピエール=オーギュスト・ルノワール
国:フランス
年:1875年
作品名:『恋人たち』
緑豊かな木陰で寄り添う男女の親密な瞬間を描いた、初期印象派の傑作です。木漏れ日がドレスや周囲の草花にきらめく様子が、素早く鮮やかな筆跡(色彩の斑点)によって見事に表現されており、幸せで温かみのある空気が画面全体を包み込んでいます。
フランス印象派を代表する巨匠であり、光の変化を追求した他の印象派画家たちとは異なり、生涯を通じて「人間(特に女性や子ども)」や日常の幸福な情景を描き続けました。色彩豊かで官能的な表現は、後に続く多くの近現代の画家に深い影響を与えました。 -
作者名:フィンセント・ファン・ゴッホ
国:オランダ
年:1889年
作品名:『糸杉のある緑の麦畑』(または『緑の麦畑』)
南フランスのサン=レミにある療養所の周りに広がっていた、生命力あふれる初夏の風景を描いた作品です。うねるような力強い筆跡で描かれた緑の麦の絨毯、天に向かって力強く伸びる黒緑色の糸杉、そして渦巻く白雲が描かれた青空が、画家の高ぶる感情をそのまま伝えるようにダイナミックに表現されています。
ポスト印象派を代表する天才画家であり、独自の情熱的な色彩と激しい筆使いで、美術史に最も大きな足跡を残した一人です。生前はほとんど評価されず不遇な生涯を送りましたが、人間の内面や魂を揺さぶるような革新的な表現は、20世紀の表現主義などの近代美術に決定的な影響を与えました。 -
作者名:アルノシュト・パデルリーク(Arnošt Paderlík)
国:チェコ(旧チェコスロバキア)
年:1944年
作品名:『1944年』
第二次世界大戦末期の緊迫した空気と悲劇を象徴的に描いた重厚な作品です。ライフルを手にした険しい表情の女性と怯える子ども、そして地面に横たわる犠牲者の姿が、暗いトーンの色彩と有刺鉄線が張られた荒涼とした背景の中に描き出され、戦争がもたらす過酷な現実と人々の苦悩を静かに告発しています。
戦後チェコを代表する多才な芸術家であり、絵画だけでなく彫刻、グラフィック、舞台美術、さらに教育者としても広く足跡を残しました。1939年に結成された前衛美術グループ「10月の7人(Skupina Sedm v říjnu)」の創設メンバーであり、時代の不穏な空気や人間の感情の揺らぎを、力強い独自の形態感覚と暗喩を用いて表現し続けました。 -
作者名:ボフミール・マタル(Bohumír Matal)
国:チェコ(旧チェコスロバキア)
年:1947年
作品名:『街の中の人間、人間の中の街』(Man in the City, City in Man)
幾何学的な形や線がパズルのように組み合わさった街の風景の中に、自転車や風車、そして人間のシルエットが溶け込むように描かれています。戦後の都市生活のダイナミズムや機械文明と人間の関係性を、キュビスムやシュルレアリスムの影響を感じさせる独自のモダンなスタイルで表現した作品です。
20世紀後半のチェコを代表する前衛画家の一人であり、都市の日常風景や近代技術をテーマにした高名な芸術グループ「グループ42(Skupina 42)」の最年少メンバーとして活躍しました。戦時中のナチスの強制労働収容所から生還した後に本格的な創作活動を再開し、後に独自の叙情的な抽象画のスタイルを確立してチェコ現代美術に大きな足跡を残しました。 -
作者名:フランティシェク・グロス(František Gross)
国:チェコ(旧チェコスロバキア)
年:1943年
作品名:『機械の街の男』(または『街の男』)
歯車やレバー、計器類といった機械のパーツが複雑に絡み合い、一つの人間のようなシルエット(機械人)を形作っています。背景には工場の煙突やクレーンなどの都市の建造物がそびえ立ち、戦時下の張り詰めた空気感と、近代化・機械文明に飲み込まれていく人間の運命を鋭く描き出しています。
20世紀チェコを代表する前衛画家の一人であり、都市風景や科学技術、工場を独自の詩的センスで描いた重要な芸術家集団「グループ42(Skupina 42)」の中心メンバーとして活躍しました。キュビスムやシュルレアリスムの手法を自在に取り入れ、機械と人間が融合したかのような独特のモチーフを生涯にわたり追求し、チェコのモダンアートに決定的な足跡を残しました。 -
作者名:フェルナン・レジェ
国:フランス
年:1952年
作品名:『景色のなかの二人の恋人』(Two Lovers in the Landscape)
太く力強い黒の輪郭線で描かれた男女と花が、画面の背景に配置された赤・黄・青・緑といった鮮やかな原色の色面と大胆に重ね合わされています。レジェの後期を代表する作風であり、形と色彩をあえて一致させずに独立させることで、画面に独特のポップな躍動感とモダンな調和を生み出しています。
20世紀前半のキュビスム(立体派)の発展を支えた巨匠であり、ピカソらとは異なり、円筒や機械のパーツのような形態を取り入れた独自のスタイル「チュビスム」を確立しました。戦後は、絵画を一部の特権階級のものではなく「大衆のための芸術」にすることを目指し、労働者、自転車、サーカスなどをテーマに、親しみやすく力強いモダンアートを追求し続けました。 -
作者名:J・T・トマシュ(J. T. Tomaš)
国:チェコ(旧チェコスロバキア)
年:1950年代初頭
作品名:『未来へ向かって』(チェコ語: Vstříc budoucnosti / 別名:『労働者、ピオニール、子ども』)
前掛けをしてハンマーを持った誇り高き労働者、赤いネッカチーフを巻いて平和の鳩を掲げる青年組織「ピオニール」の少年、そしてその鳩を見上げる小さな男の子が描かれています。戦後のチェコスロバキアにおいて、共産主義体制が理想とした「明るい未来」「労働の尊さ」「平和への希求」を象徴的に表現した、典型的な社会主義リアリズムの絵画です。
20世紀半ばのチェコスロバキアで活躍したプロパガンダ・グラフィック系の画家・イラストレーターです。戦後の共産主義政権下において、労働階級の称揚や若者の育成、国家の近代化などをテーマにした公式ポスターや記念画を数多く手がけ、当時の国策芸術の普及に貢献しました。 -
作者名:ヴォイテフ・ティッテルバハ(Vojtěch Tittelbach)
国:チェコ(旧チェコスロバキア)
年:1950年代初頭
作品名:『収穫の喜び(仮題)』
豊かな黄金色の背景のなかで、鎌を手に大粒の麦の束を抱えるたくましい母親、赤いネッカチーフを巻いて花束を掲げる青年組織「ピオニール」の少女、そして母のスカートの傍らで小さな花を差し出す幼い子どもが描かれています。前作の『未来へ向かって』と対になるような、共産主義体制下での「農業の喜び」「理想の家族像」「平和な暮らし」を国家的に讃えた鮮やかな社会主義リアリズムの傑作です。
20世紀チェコを代表する前衛画家・グラフィックデザイナーであり、初期はシュルレアリスムや叙情的な表現主義を取り入れたモダンな書籍装丁や絵画で頭角を現しました。戦後はチェコスロバキアの主要な美術学校(プラハ芸術建築デザイン大学やプラハ美術アカデミー)の教授を歴任し、時代の要求に応じた国家的・記念碑的な記念画や社会主義的テーマの作品を数多く手がけ、後進の育成にも深く貢献しました。 -
作者名:イヴァン・ソボトカ(Ivan Sobotka)
国:チェコ
年:1954年
作品名:『アブラハムとイサク』
旧約聖書・創世記の一節をテーマに、神への信仰を示すため愛する一人息子イサクを薪の上に載せ、生贄として捧げようとするアブラハムの緊迫した場面を描いています。画面には、チェコ語で「あなたが愛するあなたの一人息子を連れて行きなさい(Vezmi syna svého jednorozeného, kterého miluješ)」という聖書の言葉が赤字で大胆に配置されています。
20世紀後半のチェコを代表する、精神的・宗教的テーマを深く追求した画家です。中世のキリスト教美術やアイコン画(聖像画)から強い影響を受け、黒く太い輪郭線とごくシンプルな色面で構成された、人間の魂を揺さぶる独自の厳かな絵画様式を確立しました。 -
作者名:パヴェル・ブラーズダ(Pavel Brázda)
国:チェコ(旧チェコスロバキア)
年:1954年
作品名:『大いなる宇宙飛行士』(Velký astronaut / 大いなるアストロノート)
金色の背景の中に、無数の黒い星々と、両手を高く掲げたロボットのような黒い人物(宇宙飛行士)が描かれています。宇宙という無限の存在に対し、人間が鎧(宇宙服)をまとって勇敢に立ち向かいながらも、自身の限界を受け入れていくという「人間の力強さと無力さ」の双方を、中世の聖像画を思わせる厳かなタッチで象徴的に表現しています。
20世紀後半のチェコ美術界において、どの流派にも属さず独自の道を歩んだ伝説的な孤高の画家です。共産主義政権下では政治的理由から公での活動を完全に禁止され、ボイラー室の機関士などとして働きながら地下で創作を続けました。「人間のための芸術」を掲げた独自の思想を追求し、1989年の民主化(ベルベット革命)以降にようやく再発見されると、チェコ現代美術の最高峰として熱狂的に迎えられました。 -
作者名:エミル・フィラ(Emil Filla)
国:チェコ(旧チェコスロバキア)
年:1947年
作品名:『おい、おれが泥棒(義賊)に出かけたときには…』(スロバキア民謡の題名:Ej, keď som išiel na zboj...)
絵巻物や掛け軸を思わせる縦長の独特な画面(混成技法)に、スロバキアの伝統的な民族衣装を身にまとった伝説的な義賊(ヤノーシークなど)の姿が描かれています。画面の下部には哀愁を帯びたチェコ・スロバキアの古い泥棒民謡の歌詞(Ej, keď som išiel...)が美しい手書き文字で綴られており、民俗的な詩情とモダンな造形表現が融合した、きわめて独創的な作品です。
20世紀前半のチェコ美術界を牽引した最も偉大な「チェコ・キュビスム」の巨匠です。ピカソやブラックの立体派をいち早く自国に紹介し独自の様式へと昇華させましたが、第二次世界大戦中はナチスの強制収容所に囚われました。戦後は奇跡的に生還し、伝統的な風景画やスロバキアの民俗文化、民謡をテーマにした叙情豊かな大作を数多く残し、プラハ工芸美術大学の教授として後進の育成にも尽力しました。 -
作者名:エミル・フィラ(Emil Filla)
国:チェコ(旧チェコスロバキア)
年:1951年頃
作品名:『チェコ中央高地の風景(仮題)』(または『ペルツ近郊の風景』)
南画(中国の文人画)や東洋の水墨画から極めて強い影響を受けて描かれた、晩年の風景画シリーズの一点です。伝統的な墨の筆跡と、黄色やピンクといった穏やかな色彩を巧みに融合させ、チェコのなだらかな山並みや川べり、春の草花が咲き誇る豊かな自然の情景を、東洋的で叙情豊かな詩情をもって表現しています。
20世紀前半のチェコ美術界を代表するキュビスム(立体派)の巨匠です。第二次世界大戦中にナチスの強制収容所に囚われ、戦後に奇跡的に生還した後は、それまでの激しい立体派様式から一転し、中国の山水画や東洋美術の思想を深く研究しました。ペルツの城館にアトリエを構え、東洋の墨絵の技法を西洋画へ融和させた独自の美しい風景画の世界を確立し、晩年の新境地を開きました。 -
作者名:ヴァーツラフ・バルトフスキー(Václav Bartovský)
国:チェコ(旧チェコスロバキア)
年:1947年
作品名:『古いアトリエ I 』(Starý ateliér I)
赤いアームチェアと観葉植物の鉢が置かれた静かな室内から、開け放たれた大きな窓越しにプラハの街並みを望む情景を描いています。全体的に淡く柔らかな色彩(パステル調)でまとめられており、戦後の穏やかな日常の空気感や、プライベートな空間に流れる心地よい静けさが詩的に表現されています。
20世紀半ばのチェコを代表する前衛画家・芸術理論家であり、日常のありふれた情景や身の回りの品々を詩的に描く芸術集団「グループ42(Skupina 42)」に近い立場で活動しました。後に「ウ・ジェスタ(U Josta)」や「マージ(Máj 57)」といった重要な戦後チェコの前衛美術グループの創設・理論的支柱となり、教条的な社会主義リアリズムに抵抗しながら、個人の内面や近代的な詩情を重視した自由な美術の発展に大きく貢献しました。 -
作者名:ヤン・コティーク(Jan Kotík)
国:チェコ(旧チェコスロバキア)
年:1957年
作品名:『大いなる構図』(または『絵画』)
深い緑色をベースにした画面のなかで、黒い線や原色の色彩が激しく飛び散り、衝突し合うように描かれた抽象絵画です。当時のヨーロッパを席巻していた前衛芸術運動「アンフォルメル(非定型の芸術)」の精神をいち早く体現しており、形式にとらわれない画家の内面的な情熱や生命のエネルギーが、ダイナミックな筆跡によって表現されています。
20世紀後半のチェコを代表する最も重要な抽象芸術の先駆者の一人です。戦時中は「グループ42」のメンバーとして都市をテーマに描き、戦後はステンドグラスやガラス工芸の分野でも国際的に高く評価され、1958年のブリュッセル万国博覧会(EXPO 58)でメダルを受賞しました。後に共産主義政権の検閲を避けて西ベルリンへ移住し、ヨーロッパの現代アートシーンの最前線で国際的に活躍し続けました。 -
作者名:カレル・ネプラシュ(Karel Nepraš)
国:チェコ(旧チェコスロバキア)
年:1966年
作品名:『大いなる対話』(または『大きな対話』 / チェコ語: Velký dialog)
こちらは絵画ではなく、ワイヤーやテキスタイル、エポキシ樹脂に鮮やかな赤色のラッカーを塗って制作された、プラハ国立美術館の現代美術フロアを代表する有名な彫刻(アサンブラージュ)です。向かい合う2人の人物の顔や体が、無数の「拡声器(スピーカー)」やパイプのように増殖して歪められています。お互いに自分の主張を発信するだけで、相手の言葉を一切「受信」しようとしないコミュニケーションの不可能性や、人間の不条理、社会の相互不信を風刺的かつグロテスクに表現しています。
20世紀後半のチェコを代表する最も著名な前衛彫刻家の一人です。ナンセンスやパロディ、アイロニーを芸術に持ち込んだ前衛グループ「シュミドロヴィ(Šmidrové)」のメンバーとして活躍しました。1968年の「プラハの春」以降の激しい政治的検閲下でも、機械のパーツや蛇口などを用いた独自の不条理でユーモラスな彫刻を作り続け、チェコ現代美術に非常に決定的な影響を与えました。 -
作者名:ロベルト・マッタ(Roberto Matta / ロベルト・マッタ・エチャウレン)
国:チリ
年:1956年
作品名:『絵画』(Obraz / Picture)
くすんだ黄色や茶色の抽象的な背景のなかに、昆虫や機械、あるいは宇宙の知的生命体を思わせる奇妙で有機的な形態(バイオモルフィックな形)が浮遊するように描かれています。目に見える世界ではなく、画家の潜在意識や精神の内側にあるエネルギーの広がりを「心象風景(インスケープ)」としてダイナミックに表現した作品です。
20世紀を代表するシュルレアリスム(超現実主義)の国際的な巨匠であり、もともとは建築家としてル・コルビュジエらとも働きました。 手がけたSF的で多次元的な絵画世界は、アメリカのジャクソン・ポロックらによる「抽象表現主義」の誕生に決定的な影響を与えたことでも非常に高く評価されています。 -
作者名:ヨーゼフ・イーラ(Josef Jíra)
国:チェコ(旧チェコスロバキア)
年:1959年頃
作品名:『目(または不安・恐怖)のサイクルより』(Strach III)
暗く濁ったトーンの空間に、不気味な仮面のような顔や、こちらを凝視する無数の「目」が浮かび上がるように描かれています。戦後の不穏な世相、人間が根源的に抱える孤独や内省的な恐怖を、生々しい質感(厚塗り)と激しい表現主義的な筆跡で描いた非常にドラマチックな作品です。
20世紀後半のチェコを代表する最も重要な表現主義の画家・グラフィックアーティストのひとりです。初期はジュエリーやダイヤモンド彫刻を学び、その後に絵画へ転向、チェコ前衛美術グループ「Máj 57(マージ 57)」の創設メンバーとして活躍しました。自身の戦争体験や人間の内面をテーマにした、神秘的で少し辛辣な独自の絵画世界を築き上げ、チェコ近代美術史において「マラスカルのシャガール」とも称され愛されました。 -
作者名:リハルド・フレミツキー(Richard Fremund)
国:チェコ(旧チェコスロバキア)
年:1959年
作品名:『都会(街のコンポジション)』
当時の工業化や都市の拡大をテーマに、標識、網目状の金網、工場や機械、数字の「50」が書かれた看板のような都市の断片をモザイク状に組み合わせた、非常に先駆的なミクストメディア・コラージュ(複合技法)作品です。グレーや白を基調とした寒色系の空間に、黄色や鮮やかなオレンジ色を対比させることで、戦後モダニズムにおける都市の雑踏やダイナミズムをクールに表現しています。
20世紀後半のチェコを代表する最も著名な前衛画家・グラフィックデザイナーのひとりです。1950年代の教条的な社会主義リアリズム(国策芸術)に真っ向から抵抗し、個人の自由な表現を追求する重要な美術グループ「Máj 57(マージ 57)」の創設メンバーとして、チェコの戦後モダンアートを牽引しました。初期の叙情的な風景画から徐々にキュビスム、表現主義、そして本作のような洗練された抽象・コラージュ様式へと至り、戦後チェコ前衛美術の可能性を大きく広げました。 -
作者名:カレル・マリフ(Karel Malich)
国:チェコ
年:1973年~1974年頃
作品名:『光 - 空気(宇宙の卵)』(Světlo - vzduch / Kosmické vejce)
こちらは絵画ではなく、ステンレス製の細いワイヤー(針金)を空間に巡らせて作られた、プラハ国立美術館のモダンアート部門を代表する非常に洗練された立体彫刻(ワイヤー・オブジェクト)です。窓から差し込む自然光を背景に配置され、目に見えない空気の流れや光の振動、そして宇宙のエネルギーを、重力から解放されたかのような圧倒的な軽やかさで表現しています。
20世紀後半のチェコを代表する、最も独創的で国際的な評価も高い抽象芸術・前衛彫刻の巨匠です。初期の風景画から1960年代に幾何学的・構成主義的な表現へと至り、1970年代からは本作のように「ワイヤー」のみで三次元空間にエネルギーの軌跡を描き出す独自のスタイルを確立しました。精神世界や人間の視覚の限界、自然の波動を詩的に捉えた作品は、チェコ現代美術史における不朽のモニュメントとなっています。 -
作者名:カレル・マリフ(Karel Malich)
国:チェコ
年:1973年~1974年
作品名:『人間の頭部(あるいは風景の中のエネルギー)』
前作のワイヤー彫刻に続き、さらに大規模に空間を制したマリフの記念碑的な大作です。細い針金を鳥の巣や気流の渦のように幾何学的・有機的に編み込んでおり、人間の思考の広がりや、そこに生まれる見えないエネルギーの波動、記憶の地図を三次元のデッサンとして具現化しています。壁や床に落ちる繊細な影までもが作品の一部となっています。
20世紀後半のチェコを代表する、最も独創的で国際的な評価も高い抽象芸術・前衛彫刻の巨匠です。1970年代からワイヤーのみで空間にエネルギーの軌跡を描き出すスタイルを極めました。精神世界や人間の視覚の限界、自然の波動を詩的に捉えた彼のワイヤー・オブジェクトは、チェコ現代美術史において最も革新的なモニュメントとして語り継がれています。 -
作者名:ラドスラフ・クラティナ(Radoslav Kratina)
国:チェコ
年:1968年頃
作品名:『タワー(または可変オブジェクト)』(Věž / Tower)
細い棒状のパーツをグリッド状(格子状)に幾何学的に組み合わせた、プラハ国立美術館のキネティック・アート(動く芸術)フロアを代表する非常に洗練された立体彫刻です。このパーツは手で触れて配置を自由に変えられるように設計されており、鑑賞者の介入によって全体のシルエットや光の透過具合が変化する「可変的・構成主義的」な美しさを追求しています。
20世紀後半のチェコを代表する前衛彫刻家・グラフィックデザイナーであり、幾何学的抽象やキネティック・アートを追求した前衛芸術集団「具体主義者クラブ(Klub konkretistů)」の中心メンバーとして活躍しました。鑑賞者が触れて変化させることができる独創的な「可変オブジェクト」を数多く生み出し、固定された形を持たない彫刻の新しい可能性を切り拓いたパイオニアとして国際的に高く評価されています。 -
作者名:ズビシェク・シオン(Zbyšek Sion)
国:チェコ
年:1976年
作品名:『秘密の受粉をするヴィーナスの温室(仮題)』(または『隠花植物のヴィーナスの温室』 / Skleník tajnosnubné Venuše)
鬱蒼とした温室の内部を舞台に、植物、鉢植え、謎めいた彫刻の頭部、そしてカメラなどの工業製品が不思議な青緑色の光のなかに混在して描かれています。美の象徴であるヴィーナスのイメージが奇妙な生命体や文明の断片と絡み合う、幻視的でどこか怪しげな美しさを放つシュルレアリスム風の傑作です。
20世紀後半のチェコ美術界において、人間の不安や社会の不条理を神話や象徴を用いて毒々しくも幻想的に描く「ファンタスティック・リアリズム(幻想的写実主義)」および「表現主義」の重要な推進者として活躍しました。1960年代の政治的抑圧や時代の不穏な空気感を独自の皮肉と緻密な描写力でキャンバスに映し出し、戦後チェコ絵画史に強烈な足跡を残しました。 -
作者名:ベドジフ・ドロウヒー(Bedřich Dlouhý)
国:チェコ(旧チェコスロバキア)
年:1978年
作品名:『空のワゴン(または空・貨車)』 (Obloha-vagon)
緑豊かなチェコの広大な大地に置かれた白いワゴン(貨車)から、夕暮れ時の淡いピンク色の「空」そのものが四角いブロック状の立方体となって湧き上がっているかのような、非常に奇妙で幻想的な風景画です。現実の風景に異物や不条理なアイデアを融合させることで、見る人に現実と虚構の境界を問いかける、シュルレアリスムやマジック・リアリズムの精神が美しく表現されています。
20世紀後半から現在にかけて活躍するチェコ現代美術界の巨匠のひとりです。1950年代に、ナンセンス、アイロニー、そして独自のパロディを芸術の武器とした伝説的な前衛グループ「シュミドロヴィ(Šmidrové)」をカレル・ネプラシュらと共に結成しました(※16枚目の赤い彫刻の作者です)。伝統的な高い絵画技術を持ちながら、日用品を画面に取り付けたり、本作のようにSF的でユーモラスな幻視空間を描き出すスタイルで、今なおチェコ美術シーンの最前線で高い評価を得ています。 -
作者名:ヤン・コティーク(Jan Kotík)
国:チェコ(旧チェコスロバキア)
年:1985年
作品名:『並行して配置された全体』(Paralelně uspořádaný celek)
形の異なる2つの変形キャンバス(1つの四角形に近い画面と、もう1つの縦長の細長い画面)を、あえて傾けて紐で連結して壁に掛けるという、従来の四角い「額縁」の概念を根底から覆した独創的な抽象絵画・変形オブジェクトです。格子状の背景に、赤・黄・青といった原色が、画家の激しい身体的エネルギーを伝えるようなダイナミックなタッチで力強く描かれています。
20世紀後半のチェコを代表する最も重要な抽象芸術の先駆者の一人です。戦時中は日常と都市をテーマにした伝説的な芸術集団「グループ42」のメンバーとして頭角を現し、戦後はガラス工芸の分野でも国際的に高く評価されました。その後、当時の共産主義政権による表現の検閲を避けて西ベルリンへ移住し、ヨーロッパ現代アートシーンの最前線で国際的な前衛抽象画家として生涯にわたり革新的な挑戦を続けました。 -
作者名:チェコ現代美術家による合同展示(カレル・ネプラシュ、アレンカ・クチェロヴァー、ヤロスラフ・ロタバ、ベドジフ・ドロウヒーほか)
国:チェコ
年:1960年代~1980年代
作品名:『プラハ国立美術館・ヴェレトゥルジュニー宮殿 常設展示風景(1960?1989:自由と統制の芸術)』
プラハ国立美術館の現代美術フロアを象徴する大規模な立体展示スペースです。
手前にはカレル・ネプラシュらによる、人間の孤独やユーモア、不条理を泥や金属で表現した新表現主義的な彫刻(椅子に座る人物像や奇妙な生物像)が並び、奥の壁面には以前ご紹介したベドジフ・ドロウヒーの幻想的な絵画(右奥)などが配置されています。共産主義体制下の困難な時代に、チェコの芸術家たちが自由を求めて生み出した多様な前衛アートが響き合う、圧巻の空間です。 -
作者名:チェコ現代美術家による合同展示(ミハル・ガブリエル、ヤロスラフ・ローナ、12月1日グループほか)
国:チェコ
年:1980年代後半~1989年
作品名:『プラハ国立美術館・ヴェレトゥルジュニー宮殿 常設展示風景(1989:ベルベット革命への軌跡)』
1989年の共産主義体制崩壊(ベルベット革命)直前の、激動の時代に生まれたチェコ前衛アートを象徴する展示空間です。手前左側には、ミハル・ガブリエルによる机に向かう人物像、中央の展示台には木や金属を用いたトーテム(精霊)を思わせる有機的な彫刻群が並び、奥の壁面には「1989」の文字とともに当時の抵抗運動や社会変化を伝える写真グラフィックが配置されています。 -
作者名:チェコ現代美術家による合同展示(ジジー・ナヴラティル、ダリボル・チャトニー、アレシュ・ヴェセルーほか)
国:チェコ
年:1970年代~1980年代
作品名:『プラハ国立美術館・ヴェレトゥルジュニー宮殿 常設展示風景(正常化時代における非公式アートの網目)』
金網(ワイヤーメッシュ)のパーティションを巧みに利用し、作品の表裏や空間の透過性を活かした非常にモダンな展示風景です。
右手前には、ポップ・アートや記号論的なアプローチを感じさせるストライプ柄の「ウサギ」を描いた絵画や、原始的な動物のシルエットを施したテクスチャー豊かな作品が並んでいます。
当時の政治的抑圧(正常化体制)のなかで、公的な美術館から距離を置き、地下活動や個人のアトリエで独自の探求を続けた作家たちの多様な実験精神が、文字通り「網目のように」繋がっている空間です。 -
作者名:チェコ現代美術家による合同展示(ミロスラフ・シュトハル、ジジー・ナヴラティルほか)
国:チェコ
年:1970年代~1980年代
作品名:『プラハ国立美術館・ヴェレトゥルジュニー宮殿 常設展示風景(記号と叙情の抽象空間)』
前作の金網展示エリアを別の角度から捉えた、奥行きのある美しい展示風景です。
左手前の暗いトーンの絵画には「1から9までの数字」や「ハシゴ」「三日月」といった神秘的な記号がちりばめられており、対照的に右側の金網にはパステルピンクの円の中に母子や生命の誕生を思わせる温かみのあるモチーフが叙情的に描かれています。抑圧的な時代背景の中で、言葉にできないメッセージを記号や色彩に託した、非常に詩的な空間です。 -
作者名:アントニーン・ストゥジージェク(Antonín Střížek)
国:チェコ
年:1989年
作品名:『数字』(Čísla / Numbers)
深い茶色や青、オレンジ色の背景に、1から9までの「数字」が画面全体に大きくちりばめられ、右端には天へと続くような「ハシゴ」、枝には一羽の「カササギ(鳥)」、そして左上には輝く「三日月」が描かれています。
まるで夢の中の記憶の断片や寓話を暗号のように組み合わせた、非常に謎めいていながら、完璧に美しく調和された静謐な空間を表現しています。
1980年代のチェコ美術界において、それまでの激しい表現主義から一転して「古典的な絵画への回帰」というポストモダン的な重要な転換を先導した巨匠です。日常の banal(ありふれた)なモチーフやイラスト、古い写真から着想を得て、すべての要素が画面の中で完璧な音楽のように響き合う「調和」を生涯にわたり追求し、チェコ現代絵画の第一人者として高く評価されています。 -
作者名:アレシュ・ヴェセルー(Aleš Veselý)
国:チェコ
年:1963年~1964年
作品名:『スタグネーション(停滞)』(Stagnace / Stagnation)
画面中央に大きくそびえ立つアルファベットの「T」を象徴化したような灰色の物質が、周囲の複雑な質感から浮かび上がっています。
その両端には、まるで身動きが取れず壁に打ち付けられたような不気味な黒い「手」のモチーフが固定されており、当時の政治的な閉塞感や、人間の精神的な「停滞・抑圧」を激しい質感(インフォルメル様式)で表現した記念碑的な大作です。
20世紀後半のチェコを代表する、最も革新的で国際的評価の高い前衛彫刻家・画家の一人です。1960年代に鉄、溶接された金属、木、泥などを組み合わせた「表現主義的・構造的」なアートを先導し、人間の根源的な恐怖や存在意義を問い続けました。後年は巨大な鉄を用いたモニュメント彫刻を世界各地で制作し、プラハ美術アカデミーの教授として後進の育成にも多大な貢献を残しました。 -
作者名:チェコ現代美術家による合同展示(ヴラディミール・ココレ(手前左)、イジー・ソプコ(奥の4分割画)、トマーシュ・ツィサジョフスキー(右壁面)ほか)
国:チェコ
年:1980年代
作品名:『プラハ国立美術館・ヴェレトゥルジュニー宮殿 常設展示風景(1980年代:階級(ヒエラルキー)の終焉)』
壁面に書かれた解説「80s The End of Hierarchies(80年代 階級の終焉)」が示す通り、1980年代のチェコ美術界に吹き荒れた新しい絵画の波「ニュー・ペインティング(新表現主義)」を体感できる展示空間です。
手前左のヴラディミール・ココレによる自立する衝立型の大作、正面奥のイジー・ソプコらによるアイロニーと強烈な色彩に満ちた連作など、体制の教条主義的なルールが崩壊していく時代のエネルギーを、荒々しい筆跡と自由な色彩で表現しています。 -
作者名:イジー・ペトウブシ(Jiří Petrbok)
国:チェコ
年:1997年
作品名:『旅』(Cesta / The Trip)
ピンク色の奇妙な形の車(あるいは家)に、白い犬のようなキャラクターたちが満載で乗り込み、どこかへ向かって走っている様子を描いたユーモラスでシュールな大作です。
1990年代以降のチェコ現代美術界において最も影響力のある画家のひとりです。プラハ美術アカデミー(AVU)のドローイング・スタジオで長年にわたり教授を務め、後進の育成に深く貢献しました。個人的な記憶や大衆文化のシンボル、不条理なシンボルを巨大なキャンバスに毒気とユーモアを交えて描き出す独特のスタイルで知られ、現在も第一線で活躍し続けています。 -
作者名:クリスティーナ・ヴィチェトヴァー(Kristýna Vyčítalová)
国:チェコ
年:2012年~2013年頃
作品名:『日常の断片(仮題)』
アクリルケースのなかに、買い物カートを押す老人、犬の散歩をする女性、警官と倒れる人、ベンチで休む人など、街で見かけるありふれた人々のイラストカット(切り絵オブジェクト)が立体的に配置されています。
それぞれの人物から伸びる赤い糸が下部の「トースター」へと繋がっており、左側の黒いポートレートや家電製品(トースター)という日常のモノをアートに組み込むことで、消費社会における人々の繋がりや、現代生活の機械的でどこか愛らしい不条理さを表現したミクストメディア・インスタレーション作品です。
2000年代以降のチェコ現代美術界で活躍する新進気鋭の女性ビジュアルアーティストです。プラハ美術アカデミーなどで学び、日用品、古い写真、テキスタイル、刺繍、そして本作のようなトースターなどの電化製品といった身近な素材を自在にコラージュ・再構成するスタイルを得意としています。私的な記憶と現代の消費文化を詩的かつユーモラスに交差させる作風で、非公式なオルタナティブ・アートシーンや国内外の展覧会で注目を集めています。 -
作者名:ミハエル・ビエリツキー(Michael Bielický)
国:チェコ(ドイツを拠点に活動)
年:1990年
作品名:『ザ・ネーム(名前)』 (The Name / Jméno)
画面中央にそびえ立つ、巨大な螺旋(スパイラル)状の鉄のフレームに、複数の小型テレビモニターが取り付けられた記念碑的なニューメディア・ビデオインスタレーション作品です。
背後の壁の展示コンセプト「Konec černobílé doby(白黒の時代の終焉)」と連動しており、1989年の民主化直後の情報社会の到来や、メディアが人間の意識に与える循環的な影響を、ダイナミックで空間的な彫刻として表現しています。
チェコ出身のニューメディア・アートおよびビデオ・インスタレーションの先駆者・巨匠です。プラハ美術アカデミー(AVU)に初の新メディア・スタジオを設立してチェコのデジタルアートの基礎を築いたほか、ドイツのカールスルーエ造形大学などで長年教授を務め、世界のデジタルメディア芸術の発展を牽引し続けています。 -
作者名:ジジー・ナヴラティル(Jiří Navrátil、左)/ ミロスラフ・シュトハル(Miroslav Štochl、右)
国:チェコ
年:1970年代~1980年代
作品名:『無題(叙情的なコンポジション)』(左)/ 『目(あるいは1219の記号)』(右)
金網のパーテーションに2つの対照的な前衛絵画が並んでいます。
左側の作品は、白地に淡い黄色や緑、赤をスプレーや細い線で施した軽やかな抽象画です。
右側の作品は、緑色の背景に記号「1219」がうっすらと刻まれ、じっとこちらを見つめるような大きな2つの目がミニマルかつポップな造形で切り取られています。
両者ともに、1970年代から80年代のチェコ(正常化体制下)において、公的な美術界から一歩引いた場所で独自のモダンアートを追求した現代芸術家です。体制による表現の制限を受けながらも、直接的な言葉を避け、記号や抽象的な色彩、詩的なビジョンを用いて人間の内面や存在の不条理をキャンバスに表現し続けました。 -
作者名:ズデニェク・ベラン(Zdeněk Beran)
国:チェコ
年:1970年~1971年
作品名:『大きな絵画的トルソ I(グロテスクな解決)』 / (チェコ語: Velké obrazové torzo I (groteskní řešení))
画面上部に、肉体や内臓、あるいは引き裂かれた物質を思わせる、グロテスクで有機的な形態が緻密な明暗法(チアロスクーロ)で生々しく描き出されています。
しかし、画面の右下半分は大胆な白い直線によって完全に切り裂かれるように空白となっており、美しい古典的な写実描写と、それを否定するような現代的な抽象の対比が、見る者に強烈な不安感と破壊の美学を植え付ける記念碑的な大作です。
20世紀後半のチェコ現代美術界において、人間の肉体の崩壊や存在の不条理を圧倒的な写実力で描き続けた「新写実主義(ネオ・リアリズム)」の巨匠です。
1960年代から1970年代の厳しい政治的抑圧のなか、地下活動(アンダーグラウンド)の先駆者として、アサンブラージュや破壊をテーマにした前衛表現を牽引し、後にプラハ美術アカデミー(AVU)の教授として多くの優れた現代美術家を育成しました。 -
作者名:ミラン・クンツ(Milan Kunc)
国:チェコ
年:1999年
作品名:『フルトニウム』(Frutonium)
青空と積乱雲が広がる背景のなか、中央にそびえ立つ不思議な観覧車のような構造体に、イチゴ、ラズベリー、オレンジ、リンゴ、プラム、桃といった、みずみずしい果物たちがフォークで互いに突き刺し合うように固定されています。
下部には切り分けられたスイカと、緑の平原を貫くハイウェイが描かれており、だまし絵(シュルレアリスム)的なユーモアと、科学技術(プルトニウム)を果物(フルーツ)に引っ掛けた、ポップでアイロニカルな文明批判が込められた大作です。
20世紀後半のチェコを代表する、世界的なポップ・アートおよびシュルレアリスムの巨匠です。1970年代に西ドイツへ移住後、過激で通俗的な表現を美術に持ち込んだ「イースト・ポップ」の創始者として頭角を現し、前衛芸術グループ「グループ・ノルマル(Gruppe Normal)」を結成しました。古典的な絵画技法をベースにしながらも、現代社会の環境問題、消費文化、大量生産を痛烈なアイロニーと鮮やかな色彩で風刺する独自のスタイルを確立し、欧米の主要な現代美術館に作品が所蔵されています。 -
作者名:ミハル・ガブリエル(Michal Gabriel)
国:チェコ
年:1988年
作品名:『ストーブの前の男の子』(Chlapec u kamen / Boy by a Stove)
格子状の白い床の上に、幾何学的なデザインのストーブと、その後ろ姿をじっと見つめる小さな男の子の彫刻が配置されています。
日常のありふれた一コマを、どこか非現実的で静謐なワンシーンへと昇華させており、見る人に懐かしさと同時に不思議な孤独感を抱かせる非常に詩的な立体インスタレーション作品です。
1980年代後半にチェコの美術界を揺るがした重要な前衛芸術グループ「トヴルドフラヴァー(頑固者たち)」の創設メンバーとして、チェコ現代彫刻を牽引した巨匠です。人間や動物の形を、木、ブロンズ、樹脂、さらには3Dデジタル技術など多様な素材を用いて表現し、ブルノ工科大学美術学部の学部長を務めるなど教育者としても深く貢献しています。 -
作者名:チェコ現代美術家による合同展示(エドゥアルド・オヴチャーチェク、イジー・ヒルマル、ミロシュ・ウルバーセクほか)
国:チェコ
年:1960年代~1980年代
作品名:『プラハ国立美術館・ヴェレトゥルジュニー宮殿 常設展示風景(1960?1989:構造と幾何学的探求)』
金網のパーティションを巧みに使ったギャラリーの全景です。
手前左側には、モノトーンの美しい円と直線を組み合わせた、視覚的・幾何学的抽象(コンストラティヴィズム/構成主義)の大作が並び、その奥には、激しい質感(インフォルメル)や記号論的なアプローチを用いたチェコ前衛絵画の数々がリズムよく配置され、計算された奥行きを生み出しています。 -
作者名:エヴァ・コツァートコヴァー(Eva Koťátková)
国:チェコ
年:2017年頃(常設展示のための空間構成)
作品名:『見えないコレクション』(Invisible Collection)
クリーム色の幾何学的な展示台の上に、大小の鳥カゴのような金属製の檻(おり)、ハシゴ、巨大な白いボウル、そして床に横たわる大きなスプーンなどが不思議な配置で組み合わされています。
教育・創造スペース「ATLAS」の一環として設置されたインスタレーションで、鑑賞者が美術館のコレクションのミニチュアモデルを使って自分だけのアートの星座(星座的繋がり)を構築できる、インタラクティブ(参加型)なコンセプチュアル・アートです。
2000年代以降のチェコ現代美術界において、最も世界的な活躍を見せている代表的な若手女性ビジュアルアーティストです。社会的な仕組み、教育、家族の構造などが個人をどのように束縛・統制するかをテーマに、インスタレーション、彫刻、ドローイング、パフォーマンスを融合した独自の精神空間を構築し、ヴェネツィア・ビエンナーレなど国際的な大舞台で高く評価され続けています。 -
作者名:エヴァ・コツァートコヴァー(Eva Koťátková)
国:チェコ
年:2017年頃
作品名:『見えないコレクション』(Invisible Collection)
先程の展示風景を反対側の角度から捉えた、よりディテールが際立つカットです。
手前には波打つように歪んだ巨大なフォークと白い皿、その奥には大きなスプーンや鳥カゴを思わせる檻、さらに一番奥には木製の構造物が配置されています。
日常生活で見慣れた「食卓の道具」を巨大化させたり変形させたりして展示台に並べることで、私たちの身体的感覚や社会のルールの境界を揺さぶる、知的なインスタレーション作品です。
2000年代以降のチェコ現代美術界において、最も世界的な活躍を見せている代表的な若手女性ビジュアルアーティストです。社会的な仕組み、教育、家族の構造などが個人をどのように束縛・統制するかをテーマに、インスタレーション、彫刻、ドローイング、パフォーマンスを融合した独自の精神空間を構築し、ヴェネツィア・ビエンナーレなど国際的な大舞台で高く評価され続けています。 -
作者名:ズビニェク・セカル(Zbyněk Sekal)
国:チェコ(晩年はオーストリア・ウィーンにて活動)
年:2014年~常設(1955年~1997年までの作品・資材群)
作品名:『アトリエ・セカル(復元展示)』
作家が晩年を過ごしたウィーン・ジメリンク地区のアトリエ(作業場)を、遺族からの寄贈によりプラハ国立美術館(ヴェレトゥルジュニー宮殿)内にミリ単位で完全に再現・復元した大規模な常設インスタレーション空間です。
棚に整然と並ぶ無数の木箱、素材としての木片、そして手前に並ぶ白い石膏彫刻や抽象的な立体オブジェクト群に囲まれた空間そのものが、画家の緻密で瞑想的な精神世界を象徴する一つの芸術作品となっています。
20世紀後半のチェコを代表する、最も思索的で孤高の彫刻家・ビジュアルアーティストの一人です。第二次大戦中はナチスの強制収容所に囚われ、戦後は前衛美術グループ「Máj 57(マージ 57)」のメンバーとして活躍しましたが、1968年の「プラハの春」以降にウィーンへ亡命しました。日本の伝統的な「禅の庭」や東洋哲学に深い共鳴を見出し、生前は2度日本を訪れて個展を開催するなど、きわめて静謐で精神性の高いアサンブラージュ彫刻を追究し、国内外で高く評価されました。 -
長い時間ゆっくり過ごしたプラハ国立美術館(ヴェレトゥルジュニー宮殿)を出ました。
一歩外へ出て振り返ると、その機能主義的でモダンな灰色の巨大な建物が、青空のもとで静かにそびえ立っていました。
館内では、ゴッホやルノワールといった世界的な至宝から、チェコの激動の歴史を生き抜いた前衛芸術家たちの魂の叫びまで、数え切れないほどの素晴らしい作品に包まれ、本当に贅沢で忘れられない最高の思い出になりました。 -
24:1924年(建築のコンペティションが開催され、宮殿の歴史が始まった年)
74:1974年(この建物の運命を劇的に変えた、大規模な大火災が発生した年)
24:2024年(火災からちょうど50年、そしてコンペから100年を迎えた節目の年)
壁面には、かつての見本市協会(PVV)と見本市宮殿(VP)の頭文字を掛け合わせた歴史的なアートワークが刻まれています。
反対側に回ると、青空へ続く窓ガラスの壁がダイナミックに広がっていました。巨大な船のような圧倒的スケールに息をのみます。
大火災などの激動を乗り越えた宮殿で、いま素晴らしいアートに出会えた奇跡に、深い感謝が込み上げました。
美術館を後にし、次は「聖ヘンリ・聖クニグンダ教会」へさらっと立ち寄り、色鮮やかな「ジュビリーシナゴーグ」へと向かいます。
つづく。
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