2022/07/12 - 2022/07/12
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この旅行記のスケジュール
2022/07/12
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5泊6日の滞在はコチンダホテル(東の別棟)にて。とっても快適なので、お勧め!
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4本目のケイビングは銀水洞。所要時間は4.5時間で、歩く距離は予想よりも全然短かった。
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ケイビング後はワンジョビーチででまったりスノーケリング。左側の岩礁が珊瑚や小魚が多い。
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泳いだ後のアイスクリームは、ほぼ毎日の日課!
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宿から近い小料理屋の海幸で夕食。グルカンの唐揚げ、これ、おすすめ♪
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この旅行記スケジュールを元に
はるか数千年、数万年の昔、ホモサピエンスが誕生して間もない頃のお話です。
青い海に浮かぶ小さな島には、豊かな自然がありました。
南国特有のジャングルには色とりどりの花が咲き、地上には空を羽ばたくことのない鳥類や、もう見ることのできなくなってしまった哺乳類が、自然のルールの中で、強いモノは弱いモノを喰い、弱いモノは強いモノの死骸を漁り、たくましく暮していました。
ソレがある日、一瞬で全て消えて無くなったのです。
島の生き物たちは、何日か前から続く大地の身動ぎには気がついていました。
大地が喉の奥でうなるような不気味な音にも。
でも、彼らにはそれに対し為すべき手段はありませんでした。
島で暮す生あるものが最後に見た光景。
それは、崩れ落ちる大地だったのか、目の前に現れた海の水の色だったのか。
地球規模で起きた大きな地殻変動は、多様な熱帯生物が暮す島を海の底へと引きずりこみ、全ての島の命を断ちました。
そして、そこに島があったなどということは誰も覚えていなくなった頃、再び大地は動き、海の中にいた昔に島であった大きな岩の塊は海面近くへと持ち上げられました。
島だった岩がラッキーだったのは、その辺りが亜熱帯性気候であったこと。
海面から見ても大きな岩の塊は透けて見え、そこに根を下ろしたのは、珊瑚の幼生たち。
珊瑚はやがて大きな岩全体にその手腕を伸ばし、大きな珊瑚礁となり、岩の廻りは海の生き物が暮す楽園となりました。
しかし、岩の運命は魚の楽園が終着点ではなく、珊瑚礁はやがて海の水の減退により陸へと変わり、水を失った珊瑚は星の砂となり、島を作り上げる土台へと姿を変えました。
現在の地球には、隆起や沈降といった地殻変動と珊瑚が作り出した島が多くあり、鹿児島県の沖永良部島もその様な島のひとつです。
さらに沖永良部島では豊富な雨が珊瑚の地層を通過する時にミネラルを溶かし出し、地の底の空洞に白亜の鍾乳石が作り出す異世界を出現させました。
沖永良部島の鍾乳洞は岩と珊瑚、水と気候の偶然の条件が重なり生じた産物で、ケイビングは沖永良部島だからこその楽しめる自然での遊び。
私たちは4日間、沖永良部島でのケイビング遊びに興じました。
ケイビングで探検したのは、タイプの異なる4つの鍾乳洞。
1日目のリムストーンケイブ、2日目の大蛇洞、3日目の水連洞、全てが表情の異なる鍾乳洞ですが、やはりラスボスの銀水洞はそのスケールが違いすぎました。
ケイビング旅行記-4では、他の国では見ることのできない、闇の中にSilver Blueに輝く洞窟;銀水洞のケイビングについて綴ります。
☆★☆★2022年夏 アラフィフ・アラ還の沖永良部・与論旅☆★☆★
〔ケイビング〕リムストーン:https://4travel.jp/travelogue/11768182
〔ケイビング〕大蛇洞:https://4travel.jp/travelogue/11769223
〔ケイビング〕水連洞:https://4travel.jp/travelogue/11770072
〔ケイビング〕銀水洞:https://4travel.jp/travelogue/11772349
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 一人あたり費用
- 30万円 - 50万円
- 交通手段
- レンタカー
PR
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沖永良部島でのケイビングで最初にその存在を知ったのは、この旅行記の主題でもある銀水洞と呼ばれる鍾乳洞で、ネットで拾った秘境系旅行会社のパンフ写真を初めて見たときには、もう視線が釘付け!
なにこれ、面白そう!
本格的なケイビングが日本でできるの?
どうやったら、こんな地下世界へ行けるの?
それにこの沖永良部島って、どの辺?-小笠原の方?それとも沖縄の方?
5日間のお代は・・
うわぁ! 現地費用がケイビングと宿泊で27万、更に現地集合。
我が家の場合は羽田からだから、飛行機代は往復で5万-10万か。
・・・てことは、5日間で安くとも32万円。
海外旅行と肩を並べるか、それ以上の金額だ。
短期の国内旅行で32万円の旅行代金は、通常ならばちょっと足踏みするような金額だったが、私が目にしたその写真は、真っ暗な地底空間の中にどこまでも透き通る青い水をたたえたいくつもの石灰棚(リムプール)が連なる異世界。
ソレは、まるで大昔に作られそのまま時と共に忘れさられてしまった地下神殿のようにも見え、地底人が作ったダンジョン、宇宙人の秘密基地といわれても信じてしまいそうな光景。
ともかく、とてつもないスケールで広がる地下ダンジョンの景色で、これならば30万円以上の価値があるのではないか。
そう思わせるだけの迫力を十分に兼ね備えていた。
現地で撮影してもらった銀水洞の動画がこちら↓
https://youtube.com/shorts/GZNDq98cttY?feature=share
冒頭、左側に移るライトの明かりが、歩く私たち。
この規模での鍾乳洞の絶景は世界的にも珍しいと思う。 -
そんな銀水洞の鍾乳洞だが、ここをケイビングで探検するためには、資格が必要となる。
資格って、ライセンスみたいなやつ?・・・・
ではなく、ケイビングの経験値が必要となり、沖永良部島に乗り込んで、いきなり銀水洞のケイビングにチャレンジしたい!と主張しても、どこのガイドさんも引き受けてはくれない。
沖永良部島のケイビングできる鍾乳洞は難易度別に分けられていて、銀水洞は上級コースとされている。
上級の銀水洞にチャレンジするためには、ケイビング協会またはケイビング連盟が主催する、初心者コース(リムストーンケーブまたは大蛇洞)で練習をして、ある適度の適性を見られた上での参加許可となる。
(写真:大蛇洞にて 2022.7.10 撮影)大山水鏡洞(リムストーンケイブ 大蛇洞) 名所・史跡
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更に銀水洞でのケイビングが目的で沖永良部島を訪れる場合その時期が重要で、旅の時期設定を間違えると、せっかく訪れたのにケイビングできないという致命的な失敗に繋がる。
ケイビングは鍾乳洞遊びなので、その時期は1年中いつでもOKかと思いきや、そうではない。
沖永良部島の鍾乳洞の中には川が流れていて、その水量が少ないとケイビングの行為そのものが危険となるため、鍾乳洞の中が乾期となる時期は、洞窟によっては入洞ができなく、特に銀水洞は毎年の様に入洞不可となる時期がある。
鍾乳洞の乾期は年によって差はあるが、だいたい3月-6月。
梅雨の雨がしっかりと降れば洞窟の中の水位も早く戻るが、空梅雨の時は・・・夏休みシーズンに入っても水位が回復しないというこもあり得る。
だから、銀水洞をケイビングしたい場合には、いつ沖永良部島に行くのかということが旅の成功の鍵となる。
(写真:2022.7月 銀水洞アナウンス)沖永良部ケイビング協会 名所・史跡
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最初のプランニング時は5月のゴールデンウィークの頃が気温もbestと考えていたが、5月が銀水洞の渇水時期にあたることを知り、一旦GW旅の計画は白紙へ。
GWがだめならば夏。奄美の梅雨明け後の夏。
しかし、夏ならばいつでもOKという訳ではなく、日本の夏の代名詞である台風の存在を忘れてはいけない。
奄美は日本の中でも南にあるため発生直後の台風の通過経路にあり、台風の滞在時間も本州付近に比べたら長め。
更に台風が近づくと船も飛行機もあっという間に止まり、島に一週間以上閉じ込められる可能性もある。
(ケイビングそのものは洞窟の中のアクティビティだから多少の雨ならば実施できるので、旅の時間に余裕がある旅人ならば、台風と遭遇しても問題ないかもしれない)
そんな訳で、私たちは少しでも台風の発生確率が低く、銀水洞の渇水が終わっているであろう時期として、7月中旬を旅の時期に選んだ。プリシアリゾート ヨロン <与論島> 宿・ホテル
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更にもう一つ、秋や冬ではなく夏を旅の時期に選んだ理由がある。
せっかく奄美諸島に行くのならば沖永良部島の隣の島の与論島、透き通る青で有名な与論島の与論ブルーの海だって楽しみたい。
与論島といえば、有名な自然現象が幻の白砂ビーチのサンドバーで、与論島のサンドバーが日中に出現する(日中に大潮の時間帯がある)のは、春-秋にかけて。
ハワイのリベンジで、波上に姿を現すサンドバー(百合が浜)に会えるかも。
そんなわけで、私たちの夏旅は沖永良部島ケイビング(5泊6日)&与論島シュノーケリング(3泊4日)の鍾乳洞と海を両方とも愉しんでしまおうという欲張りな計画。
でも、個人旅行なのだから、費用は頑張って抑えめに。
飛行機は早割利用で、宿は居心地のよい処を早めに予約し少しでもお安く・・・。
沖永良部島も与論島も交通費もアクティビティも、全部合わせて1人30万!が目標でプランニングに挑戦した。
実際は、与論の海が綺麗すぎてアクティビティを追加したり、大好きな島黒糖を山ほど買ったり、ちょっと美味しいモノを食べたりしたので、最終決算としては、奄美の離島8泊9日で二人併せて61万円(30.5万/1人)となってしまったのだが、ケイビングそのものが4鍾乳洞で21.6万円 /2人の経費となるので、プランナー的には頑張ったと胸を張って云える。
(写真:大潮の百合が浜 2022.7.15撮影)百合ヶ浜 ビーチ
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さて、ここからが本日の主題である銀水洞のケイビングについて。
銀水洞のケイビングは他の3つの鍾乳洞とは異なり装備もちょっと重めで、ガイドも3日間お世話になった濱本さんとヘルプの河本さんの2名。
河本さんは沖永良部島のケイビングガイドの第1号の大ベテランだ。
銀水洞でガイドが二人つくのは他の3洞窟と比べ歩く距離が長く、ひたすら鍾乳洞の奥へと進むため。
途中でアクシデントが起きた時にガイド1人では対処が難しいため2名ガイド体制が基本となる。
だからその分、銀水洞ケイビングは費用がお高めで、10万円/2名。
でも、この日までの3鍾乳洞のケイビングでその価値は十分にあるのは体感しているので、ガイドさんへの対価として妥当性のある金額だ。 -
銀水洞があるのは大山の西側。
4つの洞窟の中で、一番沖永良部島の基板層に近い処に位置する。
場所は、目印も何も無い、道ばたの熱帯雨林の中だ。
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道路脇で装備を整えたら、密林の中へ踏み込む。
森の中は、蜘蛛の巣だらけ。
昆虫が多いこの島では、蜘蛛は獲物を狩り放題で、どこもかしこも木々の間は蜘蛛の巣で覆われてて、落ちている木の枝を拾い、蜘蛛の巣を払いながら進む。 -
鍾乳洞の入口はわかりにくい処にあり、途中からは森の斜面を下る。
ガイドさんが念のために斜面にザイルを設置してくれたが、山登りを普通にする旅人だったら、四肢を上手く使えばザイルは全く必要ないかな。 -
斜面を下ったら、今度は沢を降りて。
ケイビング用シューズは水の中を歩くことに特化しているので、濡れた岩は苦手。
だから、ここは滑らないように注意して歩く。 -
そして洞窟の入口に到着し、その30秒後には匍匐(ほふく)前進の開始。
今までの鍾乳洞では、鍾乳石の層で濾過されてきた透明な水の流れる川を歩くことがほとんどだったが、銀水洞は違う。
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銀水洞は島の基盤岩の層の部分にできた鍾乳洞。
基盤岩の層とは、旅行記の序文で記したその昔の地殻変動で海の中へと沈んで、その後、海の水の減衰により再び地上へと姿を表した島の基礎となる岩盤の層のことだ。
その層から下は、硬い岩そのものなので水は一切浸透せず、基盤岩の上に貯まった水は全て流れる川となる。
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銀水洞の鍾乳洞内の川は砕けた岩や泥で濁っている。
その水の中を、天井から垂れ下がる鍾乳石を傷つけないように頭を低くし、腹ばいとなったり、中腰となったりしながら歩く。 -
最初に水に浸かるのは5分程度と長くはなく、すぐに少し天井の高いエリアへとでて、ここで小休止。
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洞窟の天井には、島の基盤岩である赤茶色に光る岩の姿。
その岩を鍾乳石が包み込んでいた。 -
こんな風に基盤岩の層と鍾乳石の層の接続面が二層となって見ることのできる鍾乳洞は、島の中では珍しいとのことだ。
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銀水洞は、洞窟の壁面や天井から湧き出す地下水の量が多いので、石灰水の滝が鍾乳石化したフローストーンがあちこちに出没する。
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濾過され滴る石灰水の量が多い上その濃度も濃いので、一瞬だけ見たら洞窟の壁を這う巨大なナメクジにも見えてしまう、恐怖の鍾乳石もある。
真っ暗な壁面をライトで照らした時にこいつがいきなり目の前に現れると、かなりギョっとさせられ、私も何度か肝を冷やした。 -
基盤岩に近い古い地層なので、壁には珊瑚の化石も埋まっていた。
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少しだけ高さがあるエリアの後は、また再び水の中を歩く。
基板岩エリアでは、足下の川底は平らではない。
天井にあるような大きな基板岩が川の底にもゴロゴロ。
でも、そいつらは真っ暗な濁った水の中で、何処にあるのかは全然見えない。
で、川の中を歩いていると、暗い水の中に隠れた大きな岩に足の脛を思いっきりぶつけるというアクシデントが多発し、私の脚にはこの日だけで5本の指では足りないほどの青あざがお土産として残された。 -
銀水洞の特徴は、基盤岩や濁った川の水だけではない。
今までの洞窟にはなかったヤツラが此処にはいる。
ソレは、羽虫。
洞窟の外からの河川水の通り道となっている銀水洞は、外世界から植物の種、魚、爬虫類、様々な昆虫にその卵が鍾乳洞内へと流れ込む。
水が豊富で湿度が高い洞窟内は昆虫にとっては居心地の良い場所・・・ということで、鍾乳洞内;特に外界に近い入口側は羽虫天国で、無数の羽虫が目の前を飛び交い、ヤツラはヘッドランプの明かりに釣られ顔めがけて飛んでくる。
コロナ禍につきマスクをしていたから羽虫を口の中に吸い込むことはなかったが、マスクがなかった頃は、羽虫でむせてしまう方もいたそうだ。
そして、もう1つ、全体的に川面から洞窟天井までの高さが低いという特徴があり、その低い天井の中でも、此処のケイビングで一番の難所がこの先に見える穴の奥。(写真左の白い球は、民家の庭から流れてきた海で使うウキだ) -
ガイドの濱本さんが、奥にある小さな半円形の穴に向かって進む。
私たちの進む道はこの穴の先。
ここで、川の水位が高すぎると、私たちはこの先へと進むのを断念しなければならないのだが、この日はそんなに水位が高くなく、先へと進むOKがでた。 -
川面から穴の上部までの長さは30cmもなく、此処は頭を起こしたままでは通ることはできない。
濱本さんはヘルメットを外し、それをラッコのように胸に抱え、お尻でズリズリと穴に向かって進み、脚から体を寝かせて穴の奥へと進んでいく。 -
そして、首から上だけを水面にだし、呼吸を確保しながらゆっくりと進む。
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相棒も濱本さんのまねをしてラッコ体制で穴をくぐる。
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頭が穴にぶつかりそう!
この穴のサイズが小さいってこと、分かってもらえたかな。 -
穴を通過すると、その先は広い空間。
先ほどの穴の開いた壁のお陰で、こちら側は羽虫の数も少なく、歩くには快適だ。
ルート上にあるのはその昔にできた巨大な鍾乳石で、濱本さんがちょっとしたマジックを見せてくれた。 -
鍾乳石のヒダの間にライトを射し込むと、ほら!
光を透過した鍾乳石が闇の中に怪しく浮かび上がり、脈打つ巨人の心臓みたい。 -
鍾乳石は大理石などと同じ理論で光を透過するのだが、この鍾乳石でランプシェードとか作ったらキレイなんだろうな。
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川はこの先も続くが、このエリアの水は外界からの河川水の流れ込みが少なく、濾過水がほとんどなので、水が透明。
水が綺麗なところにいる生物を発見!
これは、もしや・・・ -
水の中にいたのは最高級品の、国産ウナギ。
私のカメラについていた赤い紐を餌と勘違いし、岩の間から顔を出してくれた。
今は、先を急ぐので捕まえて食べたりしないから、安心おし・・・。 -
洞窟の入口から歩き出して1時間もかからないで、本日の見所の1ポイント目へと到着。
銀水洞ケイビングでは距離を歩くと聞いていたので、どれほどたくさん歩くのかとドキドキしていたが、休憩しながらの1時間歩きだったので、疲れは全く感じない。 -
天井の高さはそこそこあり、大きなドーム状の空間。
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ガイドの濱本さんがライトを設置してくれると、鍾乳石のつららで覆われた天井が現れた。
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イチオシ
真っ白な鍾乳石が天井から降り注ぐその光景は圧巻。
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天井から垂れ下がる鍾乳石達はトゲトゲしているように見えるが、その1本1本の先端はとても繊細でもろいので、近づくときは注意して。
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コレは、大蛇洞、水連洞の天井鍾乳石とは異なる美しさ。
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天井の鍾乳石をパチリ。
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鍾乳石がモコモコしているのは、二酸化炭素濃度が濃いので、炭酸ガスと共に噴き出した鍾乳石が噴き出した形で固まったから。
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様々な形態のヤツラがいて、生きてはいないのに、蠢いているようにも見えてくる。
断面図なんて、中からどろりと柔らかく動く何か出てきそうな予感しかしない・・・。 -
細いストローの先端からは透明な水がぽたり・ぽたり。
この水はただの水ではなく、石灰水。 -
石灰水の中の炭酸濃度が強いと、こんな風に反重力の不思議な形の鍾乳石となる。
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こちらのスパイラル鍾乳石は、浸出水のカルシウム濃度が濃い上にその染み出るスピードが速く、コリオリの法則に従ってネジネジ巻いた巻き貝形となっていた。
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石灰成分の多い水なので、地面に落ちた水の中の炭酸カルシウムが再結晶して真っ白な構造体を作り出していた。
このまま成長したら、あと数千年後には、エルサの氷の城みたいになるのかな。 -
ホールの先は基盤岩を覆う鍾乳石に囲まれた細い隙間。
その隙間を進む。 -
鍾乳石の壁は所々棚になっていて、その中にあるのは、ミニ鍾乳洞だ。
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そして、突き当たり。
そこには雪の様に真っ白なフローストーン。 -
側面の壁はその昔にフローストーンだったと思われる鍾乳石が並ぶ。
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巨大なオブジェみたいだが、コレは自然が作り上げたもの。
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イチオシ
大昔に水が流れる巨大なフローストーンだったモノは、巨神兵の牙のように壁から生えていて、そのサイズは今まで見てきたフローストーンの中で一番でかく、迫力もある。
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その下に入り込み、美しき芸術作品を鑑賞。
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薄く滑らかなカーテンのように広がる鍾乳石。
柔らかそうに見えるが、多分、堅いはず。
自分の指で触ってその触感を体感したいが、おさわりは禁止だから、ここも見てるだけ。 -
どこもかしこも不思議な光景でいっぱいだ。
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1億年以上の時間をかけて地球が作り出した自然のアートだよね。これは。
このアートな光景の動画がこちら↓
https://youtube.com/shorts/jAYj8TK-BOM?feature=share -
イチオシ
そして、このドームの先。
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このフローストーンの上が、私たちの最終目的とする世界。
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その世界へと向かうために、岩のウォータースライダーを滑り降りる。
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スライダーの滝壺のすぐ先にあるのが、真っ白い巨大なフローストーンで、フローストーン上を大量の水が流れ落ちる。
先へ進む度に現れるフローストーンの規模がどんどん大きくなり、核心部に近づきつつあることを感じ、背中がゾクゾク!
こんなに大量の水があるって、この上にはいったい、どれだけの水があるのだろう。 -
イチオシ
フローストーンの回廊を更に進む。
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天井にあるのは基盤岩を覆う鍾乳石だ。
歩くときは、今ここで地震が起きたら・・・なんてちょびっとでも考えたらだめ。
その時は、その時・・・でしかないのだから。 -
フローストーンの回廊の先にあったのは・・・
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先ほどよりももっと大量の水を、滝のように流れ落とすフローストーン群。
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象牙色に輝く巨大なフローストーン群があった。
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このフローストーンの上流部にあるのが、最終目的地。
私たちが初めて写真を見て、なにこれ!って驚いたあの景色がある場所だ。 -
でも、憧れのそのエリアに入るためには儀式が必要。
儀式とは、フローストーンに手をついて、足の裏をあげて、ブラシで靴底をゴシゴシ。
蹄鉄を掃除してもらっている馬みたい。
ここから上にある鍾乳石のゾーンは、泥汚れの持ち込み禁止。
鍾乳石の白さを保つため、体についた泥汚れやゴミを全て水の中へと落としていく。 -
そしてキレイになった体で、フローストーンの頂点を目指して登り始める。
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でも、私たちが最初に行けるのはその中段まで。
ガイドさんの指示で、此処で一旦停止。
斜面のフローストーンに腰を下ろして、私と相棒は軽いランチタイム。
この日の銀水洞コースは所要時間が5時間程度と長いので、エナジードリンクや高カロリー食を持参が原則。
私たちが持ってきたのは、小さなジップロックに小分けしたローストナッツ、チーズ、黒砂糖とゼリー飲料。
ケイビングではランチだからといって、サンドイッチやおにぎりはお勧めはしない。
食べられなくは無いと思うが、ここまで来る間の川の水に持ち物全てが浸かるので、泥臭いおかゆ状のご飯や、泥味のフレンチトースト風パンとなることは間違いない。 -
ランチを食べながら、周囲をライトで照らしてみたら、こんなかわいいケイブパールを見つけた。
水の中にあるので、陸上にあるケイブパールとはその生成過程は異なるが、小さな石の核に鍾乳石がつき、再結晶してできた鍾乳石のボールだ。
私たちがランチ休憩をしている間、濱本さんと河本さんの二人のガイドは大忙し。それぞれそれぞれ担いできた10kg近い重さのバックパックの中から、仕事道具を取り出してセッティングをしていた。
何をセッティングしていたのかって? -
イチオシ
ソレが、この風景。
彼らはフローストーンの上に広がる巨大なリムプールに防水ライトを沈め、ライトアップ。
そして、軽めのランチを終えた私たちが案内されたのが、リムプールの対面にある丘の上。
その丘の上から、この青く輝く異世界の光景を見下ろしている。 -
巨大なリムプールには、天井や壁から染み出してきた濾過水が流れ込み、太陽の入らない暗闇の中、流れる水そのものの色を、ライトは投影する。
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水の色は、青というよりもSilver Blue。
このBlue Worldが此処にあることを知った上で此処へとやって来てはいるが、やはり自分の目の前にこの景色を突きつけられるとその美しさは格別で、感動はもはや、言葉にはならない。 -
美しさなのか、神々しさなのかも分からなくなるような景色
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コレは、まさに地球が億単位の時間を費やし作り上げた神秘の地下神殿といっても過言では無いのかも。
私が子供だったら、地底人が作った神殿と言われたら、そうなんだ!やっぱり地底人はいるんだね。と信じてしまうかもしれない。 -
私たちが腰を下ろし青く輝くリムプールを見下ろしている小高い砂の丘だが、ガイドの濱本さんによると、斜面の崩落が近年激しくなってきているため、近いうちにこの丘に登るのは危険だからと禁止され、このリムプールを見下ろす景色を見ることができなくなるかもしれない、とのこと。
この丘が登頂禁止となるまえに来ることができたのはラッキーだった。 -
丘に登った後は、再び先ほどの下の川まで下りて、足の裏とお尻の砂を川の水で洗い流してから、もう一度巨大フローストーンを登ってリムプールへ。
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イチオシ
銀水洞でのクライマックスはここのリムプールなので、時間は30分くらいたっぷりとある。
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リムプールを歩くときのお約束は、水の中に入らない。触らない。
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上段のリムプールへは近づかないこと。の3点。
上段のリムプール部分は石灰棚に泥が付着していて、ソレが靴底についたら下流にある白い石灰棚を汚してしまうので、茶色い上段部分には近づいてはいけない。 -
イチオシ
まずは石灰棚の中腹に座って、この景色を堪能する。
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ワインでも持っていたら乾杯したくなるほどの絶景。
こんな景色が日本にあるなんて、私たち、今まで日本の何を見ていたんだろうね。全く。 -
足下のリムプールの中の水は青く透明。
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水の中で、珊瑚のように成長する石灰石。
元の珊瑚としての命は失っても、水に溶け、また鍾乳石として再結晶する石灰石。
Reincarnation(輪廻)とは少し違うが、生命ってまわっているんだね。
地球のやる事って、ほんとに不思議だ。 -
水は限りなく透明で、波紋がないと流れている水だって事が分からないくらいに澄んでいる。
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その中に飛び込んでしまいたくなるほど、美しい水景色だ。
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砂山の上にいる濱本さんに呼ばれて、一枚パチリ。
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ガイドの濱本さんには最高に感謝。もちろん、本日のサブの河本さんにも。
こんな異世界に私たちを案内してくれて、ケイビングの記念になる写真をたくさん撮ってもらって、感謝しかない。 -
鍾乳石が作ったリムプールの淵を歩く。
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イチオシ
1つ1つのリムプールの形は複雑で、その深さも多分、私の身長よりも遙かに深い。
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リム部分は平らではなく、でこぼこしているので足下に注意して移動しないと転けそうに。
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こんなところで転んで、プールの中に落ちたら大変!
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損害賠償モノの事故(私がお支払いする側)になってしまう。
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でも、この景色を愉しみたくって、歩く足は止まりはしない。
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何が楽しくって、山を歩くのって聞かれることがあるが、それはケイビングと一緒。
その先にあるかもしれない景色を探しに行くんだ。 -
季節や時間帯、そして年月によって、景色に一つとして同じモノはない。
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見たことのないモノ、コトを見つけるために山に登ったり、歩いたりしているんだろうな。私は。
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相棒は、何が目的で山に登るっているのだろう。
今度聞いてみなくっちゃ。 -
銀水洞での異世界の散策時間は、そろそろ終わり。
ガイドさん達がライトを一つずつ回収し始めている。 -
ライトが一つ消える度に、明るさのトーンが下がり、
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そして、純白のリムプールの絶景は、静かに元の闇の中に還っていった。
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さあ、私たちも地球の見せてくれた夢の世界から、現実世界へと戻る時間。
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島の胴体の中を歩いて、帰ろうか。
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来るときに通った穴を再びくぐり、羽虫の多い世界へと。
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帰り道で見つけたのは、手乗りエビの川エビ。
光が無い鍾乳洞の中程なので、目は機能していないかもしれない。 -
この日は4鍾乳洞のケイビングの最終日なので、ケイビングカードを受け取る。
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イチオシ
カード裏面には4日間のガイドをしてくれた濱本さんのサイン。
本当に楽しい4本のケイビングで、私があと20歳若かったら今の仕事なんてほっぽって、ガイド修行に出ていたかもしれない。 -
今回4鍾乳洞を制覇した私たちには、ケイビング主催のケイビング協会より、4つの鍾乳洞をイメージしたTシャツをプレゼントされた。
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小さなリムプールが続くリムストーンケイブに、蛇みたく狭いルートを歩く大蛇洞、昔の観光鍾乳洞の奥に隠された水連洞に、巨大なリムプールが織りなす異世界の銀水洞。
それぞれの特徴がデザインされT-シャツは、機能性素材で速乾性。
デザインも素敵だし、思い出にもなるし、コレはトレッキング用にも重宝しそう♪ -
この日の夕食はケイビング完遂のお祝いで、宿の近くの小料理屋さんの“海幸”にて。
相棒が酒は飲まないんで、私も旅ではそれにお付き合い。
だから、その分、豪華にね。海幸 グルメ・レストラン
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看板メニューの海幸定食をオーダーした。
この定食は本来は煮魚がつくのだが、この日は煮魚ではなく唐揚げだとのこと。 -
イチオシ
唐揚げの魚はグルクン。
グルクンは奄美や沖縄地方ではメジャーな魚で、唐揚げにすると皮まで美味しいお魚。
鮮度が落ちやすい魚なので、基本は南の地方でしか食べることができない。
そして、出てきたグルクンは骨までバリバリ食べられるほどカリカリで、その身はふっくら。
初めて食べたが、コレは旨い。 -
お刺身は、マグロと鯛と鰹で、こちらも美味。
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海幸はカウンターとお座敷があるが、私たちが入った後に地元の方もいらしていたので、夕食時は電話予約する方がベターかな。
和泊に宿泊して、ちょっと美味しい海鮮定食を食べたいときには、第1選択肢となる小料理屋さんだと思う。 -
4日間のケイビングでお世話になった、沖永良部島ケイビング協会の濱本さんには、本当に感謝している。
息が合っているようで全く合っていないこの二人は本当に夫婦?と思われるような私たちをガイドするのは、結構、気苦労があったのではないかと思う。(偽装夫婦ではないですよ。お互い、自己の意思表明がはっきりしすぎているだけ)
ガイドさんのライティングの腕、知識があってこそのケイビング。
私たちは、沖永良部島で心からその楽しさを味わった・・・そう言い切れる。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
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この旅行記へのコメント (2)
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- 琉球熱さん 2022/08/15 23:47:15
- 語彙喪失
- ウェンディさん、こんにちは
ケービングのラストも超ド級でした
なんですか、あの「リムプール」とかいうやつ!!
行った人にだけ許される絶景
もう語彙喪失です
誰もが「キレイ~~!!」と声を裏返すでしょうが、じゃ実際に行ってみようと思う人はどれだけいるでしょう、ましてそれを実行しちゃう人となれば、さらに減るでしょう
そもそも沖永良部自体のハードルが高い
さらにケービングと言っても、石垣や西表で催行されているツアーとはレベルがまるで違う(相応のスキルと覚悟が必要であることは充分わかりました)
アクセスに難があろうが、旅費がかさもうが、そこにある「代えがたい価値あるもの」めがけて突撃するのは、まさにウェンディさんの真骨頂ですね
絶景の数々とともに、その行動力にも脱帽です
いやしかし、あの景色は何枚写真を撮っても足らないなぁ
---------琉球熱--------
- ウェンディさん からの返信 2022/08/16 09:47:21
- Re: 語彙喪失
- 琉球熱さん こんにちは。
銀水洞のケイビング旅行記へのコメントをありがとうございます。
この鍾乳洞は写真を初めて見たときに一目惚れをし、何が何でも行ってやる!と思った場所で、その思いをこの夏に叶えてきました。
ケイビングというと非常にアドベンチャー要素が強く聞こえますが、運動量としてはたいしたことは無く、登山の方が断然、その疲労度は大きいです。
水の中を歩いたり、潜ったりするので一つ一つのアクションは大きいケイビングですが、実際に歩いている時間は総所要時間の1/3も無かったです。
だから必要なのは体力よりも、その状況を愉しむ心の余裕と探検心かな。
多分、琉球熱さんが考えているよりもずっとハードルの低い遊びだと思います。
銀水洞のケイビングでたどり着いた石灰棚(リムプール)の絶景は、その美しさに私自身も語彙喪失でした。
ガイド氏のライティングの技術もありますが、闇の中に神秘的に浮かび上がるあの姿は、世界的にも珍しいのではないかと思います。
小さな島の鍾乳洞ケイビングですが、Afterコロナの時代となったら、世界中のCaver達が注目し始めるのではないかと。
鍾乳洞内は川水の水位の変化でケイビングができないこともあるので、今回4つの鍾乳洞を全て歩けた(水連洞では行けない部分もありましたが)私たちはラッキーでした。
日本の知られざる絶景、他にもまだまだたくさんあると思います。
コロナ禍の今だからこそ、日本を愉しみたいですよね。
ウェンディ
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