2015/12/25 - 2016/01/02
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私がこの奇妙な場所の存在を知ったのは遥か30年以上も前のこと。
つい今しがたまで轟音をたてて流れ落ちていた滝の時間が止まり、そのまま何千年・何万年という長い月日が過ぎ、水の流れそのものが石化したかの様な風景。
初めてその写真を目にした時に、地球上の何処にこんな不思議な景色があるのだろうか…と思ったものでした。
そして次にその光景と再会したのは最初の出会いから長い時を経た2011年で、その時に子供時代の私を魅了した景色は〈Hierve el Agua:イエルベ・エル・アグア〉、別名:〈時を止めた岩〉と呼ばれるメキシコ中部にある崖だと知りました。
〈時を止めた岩:Hierve el Agua〉があるのはオアハカの郊外で、2011年当時の私の中のオアハカのイメージと言えば、メキシカン・ギャングが暗躍する麻薬取引の舞台。
コレはハリウッド映画などから刷り込まれた偏った印象で、現実のオアハカの街自体は比較的治安は悪くは無いとは言われてはいましたが、しかし、それでも、少し町の外へと出てしまうとそこは身代金目的の外国人誘拐事件の話も聞こえてくるような地域で、家族連れでのメキシコ旅を計画していた私にとって〈時を止めた岩〉のある地域はかなり敷居が高いエリアで、家族の身の安全を考えると家族旅として訪れるのは諦めざるを得ない処でした。
でも、待てばチャンスは自ずからこちらへと出向いてくるもの。
とある事件を発端に2015年の年末にメキシコへと一人旅へと行くことが決まり、その時に私がまず頭に思い浮かべたのが、どのようにして安全に〈時を止めた岩〉へと行くか・・・ということでした。
オアハカ郊外の治安などの状況は前に調べた時とはさして変わってはいませんでしたが、4年間の間に国内事情が少し変わり、女性一人旅の私でも身の危険を心配せずに行く為のツールが増えていました。
以前は〈時を止めた岩〉へ行くためには、オアハカからの流しのタクシーを利用する(この方法は現在でもあまりお勧めできません)、または旅行会社に専用車の手配をお願いする位しか行く手段は無かったのですが、2015年にはメキシコ人御用達の日帰りツアーが多く組まれていて、簡単なスペイン語が分かれば、ツアーへ参加さえすれば安全に〈時を止めた岩〉へと連れて行ってくれることが分かりました。
そこで、私は迷わずオアハカからの日帰りツアーへの参加を決めたのですが、このツアーが結構クセモノで…。
メキシコ人が買い物大好き♪人種だというコトを痛感させられました。
今回の旅行記では、世にも奇妙な光景が広がる〈Hierve el agua〉へ行くためのツールとして利用した1日ツアー(トゥーレの木、メスカル工房、織物工房、ミトラ遺跡、イエルベ・エルアグア)の様子と、二つの石滝の絶景、そして断崖絶壁にある天空のインフィンティ・プールを紹介したいと思います。
注:〈Hierve el Agua〉は日本語に直訳すると〈沸騰する水〉となりますが、旅行記では敢て私が最初に受けた印象〈崖の時間が止まっている!〉から、〈時を止めた岩〉として紹介します。
☆★☆★☆旅程 2015/12/25-2016/1/2☆★☆★☆
□12/25 成田-バンクーバー-メキシコ・シティ
□12/26 ビジャエルモサ、ラベンタ遺跡、パレンケ
□12/27 ヤシュチラン遺跡、ボナンパック遺跡
□12/28 パレンケ遺跡、ミソル・ハ、アグア・アスル
□12/29 オアハカ モンテアルバン遺跡
■12/30 ミトラ遺跡、エルトゥーレ、イエルベ・エル・アグア
□12/31 メキシコ・シティ、フリーダ・カーロ博物館、国立人類学博物館
□1/1 メキシコ・シティ-バンクーバー-
□1/2 -成田
☆★☆★☆続・母さんの一人旅 メキシコ編☆★☆★☆
・デカ頭に会いに・ラベンタ遺跡 http://4travel.jp/travelogue/11091613
・暗闇のラビリンス http://4travel.jp/travelogue/11124868
・宇宙人が作った古代都市 http://4travel.jp/travelogue/11202484
・お母さんは、にわか解説員 https://4travel.jp/travelogue/11294321
・ジャングルで水遊び♪ https://4travel.jp/travelogue/11296494
・オアハカの洗礼 https://4travel.jp/travelogue/11297815
・時を止めた岩Hierve el Agua http://4travel.jp/travelogue/11311212
・フリーダ・カーロの世界 https://4travel.jp/travelogue/11314204
☆★☆★2011年 母さんの一人旅・ボリビア編☆★☆★
現地で手配!ティワナク遺跡 http://4travel.jp/travelogue/10637661
ウユニで人さらい http://4travel.jp/travelogue/10637723
チリ国境までの湖巡りドライブ http://4travel.jp/travelogue/10638094
ラパス市内観光 http://4travel.jp/travelogue/10638521
太陽の島でトレッキング http://4travel.jp/travelogue/10639292
Espejo del Cielo http://4travel.jp/travelogue/10648118
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 4.5
- ホテル
- 5.0
- ショッピング
- 4.0
- 交通
- 3.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 観光バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
2015年の年末のメキシコひとり旅。
この旅はある日、突如降って湧いた旅で、年初めには私の旅スケジュールの中にメキシコという国名は一切無かった。
もともと2015年の年末は相棒との結婚20周年アニバーサリー旅としてニュージーランド・トレッキングを企画していたのだが何が起きるか分からないのが人生で、この20周年企画のNZトレッキング旅がメキシコ一人旅へと変わったのも、ちょっとした些細なことがその発端だった。
年末年始のNZへ航空運賃は目玉が飛び出るほど高く、少しでも安く購入するためには旅の約11か月前の売り出し時期に購入するのが最も安く入手する近道で、私はこの年の1月末から2月にかけては毎晩仕事から帰ると航空券の予約サイトと格闘し、なんとか希望に合う経路と価格を探しだし、一緒にアニバーサリー旅へと行く相棒にどのルートを選ぶかの相談をしていた。
年末年始の最安値の航空券は売り切れるのが早く、売り出しから1週間程度が勝負期間。
だから私は幾度となく相棒に相談したのだが、家にいる時の彼はいつもTVドラマに夢中で心ここに在らずで、航空券に対する私の問いかけにも生返事ばかり。
私は決して気が長い方ではないので、そんな相棒の様子を見ていたら私ばかりが航空券について必死で調べるのが馬鹿らしくなり「そんなにTVが好きならば、君はTVとアニバーサリー旅に出ればよい!」と宣言して、NZについて調べるのは中止し、その晩の内に私の20周年記念旅行の旅先を変更。
年末年始のメキシコ・20thアニバーサリー・ひとり旅へ向けての航空券の予約を完了させた。
今回のメキシコひとり旅には、こんな笑い話の様な顛末があった。 -
そんな一人旅となったメキシコ旅のオアハカ滞在二日目の朝は、宿のおかみさんが作る美味しい朝食から始まった。
今回オアハカで宿泊したのは、Florida OaxacaというB&B的な宿だが、セキュリティもしっかりとしていて部屋も清潔で、また朝食付という点でもポイントが高い宿だった。
朝食にはオアハカ・アメリカン・メキシカン定食の3種類の選択肢があり、私が選んだのはオアハカ定食。
たっぷりの果物とピリ辛ソースのかかったトルティージャと卵。
どの辺がオアハカ風なのかは微妙な部分があったが、美味しかったのは間違いない。 -
この日は〈時を止めた岩:Hierve el agua〉へと連れて行ってくれる1日ツアーに参加するので、朝の散歩の時間はあまり長くはとれなかったのだが、それでも宿の周りへと歩きに出かける。
-
宿から大通りを一本超えると、そこにはオアハカ市民の台所であるMercado Benito Juarez(ベニート・フアレス市場)やMercado de Veinte de Noviembre(ベインテ・デ・ノビエンブレ市場)があり、まだ朝の8時過ぎだというのに、多くのお店はもう商売が始まっていて、市場独特の生肉や草花の臭いが辺りを覆い尽くしていた。
ベニートファレス市場 市場
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市場のお店は売り物の種類によって区画が分かれていて、ハーブ売り場には山盛りの薬草たち。
あまりに山盛り過ぎて、下の方の草を取り出すときに山が崩れてこないのか心配になってしまう程。ベインテ デ ノビエンブレ市場 露店・屋台
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私の大好きな香辛料屋さんもあった。
昨日の午後は乾燥唐辛子だと思って近づいた真赤なモノが実は唐辛子ではなくぎょっとさせられたが、この日の朝見つけたのは間違いなく、メキシカン・チリの原料。
でも、昨日のことがあると、でっかいゴキブリを干したものにも見えてきてしまう。 -
朝の散歩の時間は1時間位。
オアハカの町は歴史的な建物も多くもっと歩きたかったのだが、ツアーの集合時間である9:40が近くなったので、ピックアップ場所である宿へと戻る。 -
この日のオアハカ郊外を巡るツアーの行先は、El Ture(エル・トゥーレ)、メスカル工房、織物工房、Mitla(ミトラ)遺跡、Hierve el Agua(イエルベ・エル・アグア)。
このツアーはBESTDAY社のツアーで、ネット経由で日本から手配しておいた。
ツアーの内容: https://www.bestday.com/Tours/mitla-hierveagua/
ツアーの行先の中で個人的に行きたかったのは、ミトラ遺跡とイエルベ・エル・アグアだけなので、後の3つは余計なオプションだったが、ここは我慢するしかない。
1日ツアーの代金は、当時の金額で37米ドル。
自分で専用車を手配したりタクシーを手配するよりは確実に安く、更に〈時を止めた岩:Hierve el agua〉まで安全に行くことができるとこのツアーを見つけた時には喜んだものだったが、バスの中に乗りこんでいる顔ぶれを見て、その安さに納得。
基本的にはメキシコ人の国内旅行者を対象としたツアーで、外国人は少数派。
ざっとみたところ、メキシコ人以外は私以外に3人だけで、その他は全て国内旅行者の様で、バスの中はメキシコ特有の蜂の巣をつついたような賑やかさだった。 -
朝11時過ぎに、ツアーの最初の目的地であるEl Ture(エル・トゥーレ)へと到着した。
El Ture(エル・トゥーレ)は聖なる木で、南北アメリカ大陸で最大の木だという事だ。
遠くからその期の姿を見た時は、ただの木ね・・・と思ったが、 -
近づくにつれ、その巨大さが分かってきた。
写真にはとても幹の全体像を映すことはできず、こんな風にしか紹介できないが、幹の背後にいる人の大きさと比較してもらうと、エル・トゥーレが如何に巨木なのか分かると思う。トゥーレの木 自然・景勝地
-
解説版によるとこのエル・トゥーレの木はイトスギの仲間で、樹齢:2000年以上、幹の周囲:58m、幹の直径:14m、高さ:42m。
そして、その重量は63万6107トンだという。
確かに巨大なのだが、重さの数値がやけに細かいのが気になる。
多分、樹の容積と密度から重さを算出したのだと思うのだが、最後の一桁の数値は必要だったのだろうか。 -
イチオシ
エル・トゥーレの木は何本のもイトスギが成長の過程で融合し、こんなに巨大化したものと思われるが、その枝ぶりは芸術的と言っても過言ではない感じ。
夜にシルエットで見たら、ちょっと怖い感じがしそうだよね。 -
イチオシ
2000年を生きるエル・トゥーレはメキシコ人にとって聖地でもあるので、お花を供える方も多く、樹の周りでは花売りを生業とする方を多く見かけた。
花売りというと若い女の子を想像しがちだが、此処では年配の方がその役割を担っていたのだが、その姿が何とも可愛らしかった。 -
エル・トゥーレの木の次に訪れたのが、メスカル酒の工房。
メスカル酒とはサボテンの葉から作る蒸留酒で、有名なメスカル酒にはテキーラなどがある。
工房でまず見せられたのがメスカル酒の原料となるサボテンの葉で、写真はサボテンの葉を蒸したもので、石臼で潰しそのエキスを搾り取る。 -
メスカル酒の原料となるのは、竜舌蘭(リュウゼツラン)と呼ばれる種類のサボテンで、乾燥した土地の続くオアハカは昔からリュウゼツランが自生する土地。
だから、メスカル工房が多いそうだ。 -
石臼で潰す前のリュウゼツランの茎を蒸したものを味見させてもらう。
甘くない干しイモの様な味で、繊維がその殆どでおいしいものではなかった。 -
絞ったリュウゼツランのエキスは薪の釜で熱をかけ、発酵後に蒸留して数年間寝かせるそうだ。
最近では全てを機械化している工場が多いが、この工房ではできるだけ昔と同じ製法でメスカル酒を造り続けているというのが自慢!と説明のオジサンは言っていた。 -
メスカル酒の製造方法の説明の後は、飲み放題の味見の時間。
様々な種類のメスカル酒をカウンターに並べて、オジサンは参加者に少しずつ配ってくれる。メスカル工場 文化・芸術・歴史
-
メスカル酒のアルコール度数は約40%とかなり高く、ほんのこの位の量でも喉がかっと燃える。
-
日本だとメスカルやテキーラはジュースなどで割りカクテルの様にして飲むことが多いが、此処メキシコではそんなのは邪道。
飲み方もワイルドで切ったオレンジの縁に特製の塩を付け、それを口の中にキュッと絞り、その酸味と塩分の余韻が残っている内にお酒をくっと喉に流し込む。 -
その特製の塩がこちら。
塩の中に赤唐辛子と、メスカル酒に欠かせないタンパク質を混ぜ込んである。
塩にタンパク質って何?と思うかもしれないが、メスカル酒の原料であるサボテン:リュウゼツランにはある種のタンパク質が宿っていて、そのタンパク質をメスカル酒と一緒に飲むことが悪酔い防止になる・・・というのがメキシコ人の常識らしい。 -
で、そのタンパク質が何かというと、ソレは昨日に私が青空市場で出会った唐辛子で味付けをされた蟲さん達。
この虫たちは現地ではGusano(グッサーノ)と呼ばれ、メスカル酒の原料となるリュウゼツランしか食べないので、メスカル酒とある意味同一の物とされている。 -
だから、売られているメスカル酒の中にも当然、蟲Gusano(グッサーノ)が入れられている。
蟲をメスカル酒のボトルの中に入れるのには、二つの理由があると云われており、一つはこのメスカル酒がリュウゼツランから作られた物で、まがい物ではないことを示すため。
そしてもう一つは、メスカル酒の純度を証明するためらしい。
もしメスカル酒の純度が悪い場合にはアルコール度数が落ち、ボトルの中の蟲が腐ってしまうらしい。
写真のメスカル酒は、この日の朝の散歩時に私が市場でお土産用に買ったもの。
この日のツアーでメスカル工房へと行くのは知っていたが、土産物屋を兼ねた工房は高いだろうと思って予め、市場で買っておいた。
私の予想通り、市場では写真のサイズのメスカル酒が45ペソ(約360円)だったが、メスカル工房では100ペソ以上だったので、メスカル酒をお土産に買うのならば、市場で買う方がお得だろう。 -
次に案内されたのは織物工房で、オアハカの地はサポテカ文明のデザインを生かした織物でその名を知られている。
-
この織物工房への立ち寄りは勿論お買い物が目的なのだが、ここでメキシコおばちゃんたちの買い物魂が炸裂し、あっちこっちで商談の場が設けられ、ああでもない・こうでもない・・・とラグを引っ張ってきては、また別のラグを持ってきての繰り返しで、もう大変。
私の様に最初から買い物には興味のない参加者にとっては、工房見学を終えた後の時間は苦痛の時間。
30分の滞在予定が1時間になり、ひたすら時間を潰すのが辛かった。 -
イチオシ
だから、暇な私は次から次へとやって来るバスツアーの最後尾にくっついて、何回も染料説明のコーナーを行ったり来たり。
3回目の説明を聞く頃になると、スペイン語での説明もほぼ全て理解できるようになり、勉強にはなった。
写真は、貴重な天然染料のコチニールの説明をするお兄さん。
コチニールはチョコレートのコーティング剤にも使われる赤い染料で、その原料はサボテンに憑くカイガラムシの一種。
カイガラムシの抽出液を染料や食品添加物に使用しているというとぎょっとしてしまうが、これは中南米だけではなくアジアでも同じように発展した文化らしい。 -
ランチタイムは13時過ぎから。
案内されたのは団体ツアー御用達のバイキング式のレストランで、此処の経費はツアー代金には入っておらず実費。
ツアーの申し込み時にチャットで確認した時には、バイキング・ランチが必要ない場合には近くにある別のレストランや屋台で行って食べるのもOKと聞いていたので、私はそのつもりでいたのだが、行ってみたら、団体御用達のレストランがあるのは草原の中の一軒家。
ここで食べるしか選択肢は無かった。
バイキング方式のレストランの代金は200ペソ(約1600円)。
メキシコ人にしたらランチで1600円はかなり高いと思うし、私にとっても高すぎる。
仕方なく此処でランチとしたが、同じツアーで来ているカナダ人の一人旅の女性とお喋りしたりで、それはそれで楽しかった。 -
イチオシ
ランチ後の観光は、ようやく私の楽しみにしていた遺跡。
世界遺産であるミトラ遺跡(Mitla)へとやって来た。
ミトラ遺跡は、遺跡の壁を埋め尽くす立体装飾の美しさで名を知られている遺跡だ。 -
遺跡と言ってもミトラ遺跡のサイズは小さく、その見学には1時間もあれば十分。
美しい幾何学模様が残る遺跡の中へいざ、出陣! -
ミトラ遺跡の装飾の特徴は連続する模様で、これはこの場所が祭祀の場であったための紋様らしい。
連続する模様は、その中で祈る神官をトランス状態にするとか…。 -
確かにこのグルグル模様を見ていると、目が回りそうになるのは確かかもしれない。
-
ミトラ遺跡の建物は石灰岩の上に切り出した石を組みこんで立体模様にしたもので、立体模様を横から眺めるとこんな感じ。
壁の模様を立体とし陰影をつけることで、祭祀場としての重厚感を与えていたのかもね。 -
遺跡の中の紋様は近代に修復された部分も多かったが、屋根つきで保存されている小部屋にはサポテカ文明が栄えていた9世紀から12世紀頃の紋様がそのまま残っていた。
この壁のモザイク紋様の中には14種類の図柄がある。
有名なのは、空・大地・羽毛生えた蛇で、この写真では一番上が空、中段が大地、下段が羽毛の生えた蛇を表している。オアハカの中央渓谷のヤグールとミトラの先史時代の洞窟群 洞穴・鍾乳洞
-
遺跡の南側には地下通路も有り、その中も見学できる。
実は、サポテカ文明のミトラ遺跡はスペイン人の征服後もしばらくその祭祀センターとしての役割を持ち続けていた場所で、その重要な役割を担っていたのがこの地下通路らしい。 -
エルナン・コルテル等によるアステカ文明征服後、スペイン政府は現地の人達をキリスト教へと改宗させるために多くの宣教師たちをメキシコへと送り込んだ。
そのスペイン人宣教師たちがオアハカのミトラ遺跡へとやって来た時、かれらはあまりの光景に絶句したそうだ。
その光景があったのは、遺跡の南側にある地下通路の奥。
そこでは、征服者であるスペイン人に対する呪詛の儀式が執り行われていて、美しい装飾が施された通路の奥にあったのは山積みとなった生贄の人達。
膨大の数の心臓を取り出された人間の亡骸が積み重なっていたそうだ。
その生贄の通路が、現在公開されているこの場所であるかどうかの解説は無かったので、真偽のほどは分からないが、もしかしたら、この通路がその場所だったのかもしれない。 -
夕方5時。
ようやく私が一番来たかった〈時を止めた岩:Hierve el agua(イエルベ・エル・アグア〉へと到着した。
ここからが私の体力勝負の時間。
自由時間は日没までの1時間。
日が沈む前にどこまで行くことが出来るのか、体力の限界に挑戦だ。 -
イチオシ
イエルベ・エル・アグアは崖の上にある石灰棚がつくるプールで、ぬるい温泉が湧きでている場所。
崖上の青く輝く水をたたえるプールは神秘的な雰囲気で、これぞ天然の石灰棚が作る究極のインフィニティ・プール♪
こんなのが日本にあったら、天空のラグーン…とか呼ばれてSNSで大人気になって大変なことになりそうだが、メキシコではちょっと違うかも。 -
この泉は、メキシコ人にとってはヒーリングスポットでもある地。
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だから、その水の中に入って沐浴する人もいれば、その不思議な景観を楽しむ人、泉からパワーを貰う人もいる。
-
この時は夕日が沈む時間帯だったので、多くの観光客は崖の端に座り込み、山の反対斜面の方を見ていた。
-
イチオシ
彼らが見ているのは、この光景。
何千年・何万年の時間をかけて流れ出した石灰石が作り出した石の滝。
まるで沸騰した岩が白い泡となって流れ落ちる瞬間に時が止まったかのような光景。
私が見たかった<時を止めた岩>の景色が、ここにあった。
私もこの石灰棚に座り込んで他の観光客同様に夕景のこの景色を眺めていても良かったのだが、私にはやりたいことがあった。
私のやりたいこと・・・とは、目の前に見えている向かい側にある白い石の滝(この写真)の崖上へと行き、そこからこちら側を眺める事。
そして、更にもう一つの絶景、ハイキング道を下った崖の下にあると言われる<石化した滝>を眺めること。
しかし、どうやったら向かい側にある石の滝の上へと行くことができるのか、どのように崖の下へと辿り着いたら良いのか…。
日本で旅の準備段階にあった私には、この更なる絶景を見に行くためのルートやハイキング道の情報はガイドブックでもネットでも、見つけることが出来なかった。イエルベ・エルアグア 自然・景勝地
-
でも、元来が楽天的な私は、日本で分からなくても現地へ行けば誰か知っている人がいるはず…と考えていた。
そして、やはり、現地情報はローカルの人たちに聞くのが一番。
オアハカの宿のおかみさんがハイキングルートの情報を知っていた。
おかみさんが言うには…
行き方は単純で、石灰棚の更に奥に緑の看板があるので、その看板の方向へ歩いて行けば、もう1つの石の滝、そして、更に<石化した滝>を見上げるポイントへと行くことができる。 -
ただし、その所要時間は1時間半。
通常のツアーの滞在時間は1時間なので、時間内で行く為には走らなければならないが、ハイキング道は状態が良くなく、また滑りやすい。
行く場合には滑らない靴と時間配分に注意をして!!と言われた。
そして、石灰棚の奥で私が見つけた2枚の看板。
1枚目が、滝の下方へと戻る方向、そしてこの写真は駐車場方向へと戻る看板だ。 -
今、私がやるべきことは走ること。
この日の体力は、その為だけに温存してきた。
他の歩いている人の邪魔にならない様に、感覚をとりながらも走り、第一チェックポイントのである先ほど眺めていた石灰棚の上に10分ほどで到着した。
ここからは、さっきまで居た大勢の観光客が夕陽を眺める石の滝の様子が一望できる。 -
自分があそこに見える石の滝の上の石灰棚に居た時、まさか足元の崖がこんな風な白い石の滝になっていたなんて思わなかったが、こうやって遠くから眺めると、結構凄い景色だ。
-
そして、時間に余裕のない私は更に下を目指す。
この先へと下る道には危険!の看板も有ったのだが、そこは気を付けて歩くことで何とかクリア。
崖に設置されている木の階段も腐って抜け落ちている個所があり、確かに危険なことは危険な道だった。
でも、此処まで来たのに下へ降りない訳はない。 -
そして、走り始めて30分。
ついに、二つ目の絶景<石化した滝>が見えてきた。 -
<石化した滝>の真下へと立つ。
先ほどの泡だって流れ落ちる様な白い石灰岩の風景も凄かったが、こちらのひだ状になった岩の豪快さも負けてはいない。 -
石灰岩の様に水に溶け込みやすい成分が固まり、この様な奇岩となったのだろうが、先ほどまで流れ落ちていた滝が一瞬にして時を止め、そのまま何千年・何万年が過ぎて石と化してしまった様な岩の形状。
地球上っぽくない、この景色、不思議すぎる~。 -
イチオシ
一般的に鍾乳石が1cm伸びるのに100年から200年かかると言われているので、この石の滝が出来上がるのには、どれほどの気が遠くなるような長い月日がかかっているのか。
-
私が感動してこの風景を眺めている間にも、時間は止まることなく進み、あっという間に夕陽は山の影へと隠れ、辺りは一気に夕暮れモードに。
懐中電灯は持ってきていないので、此処にゆっくりとするのは危険。
それにツアーバスへと戻る時間も近づいている。 -
そんな風に思っていたら、更に下の道か歩いてくる旅行者を発見し、短い時間で情報交換。
彼らが言うには、この先は更に道が悪いが、この岩の下に更に異なる風景の見える場所があるらしい。
私のタイムリミットはあと5分。
あと5分したら、今度は登り道を全速力で駆け上がらなければならない。 -
時間はないので、もう少しだけ山道を下ってみることに。
太陽が山の影に入ってしまったので写真では綺麗には写らないが、地球上ではないような不思議な光景が広がっていた。 -
あと1時間あれば、午後4時にここへと到着していれば、もう少しゆっくり見られたのだが…如何せん、ツアー参加なので時間に制約がある。
これ以上崖下へと下るのは諦め、20分の残り時間で山道を駈け上がる。 -
先程、夕陽の中で見た石滝もチョット雰囲気が変わり、流れ落ちる石の襞模様がハッキリと分かる。
-
もっとゆっくりと眺めたかったのに…と唇を噛みつつも、この景色を横目で見ながら駆け上がる。
-
道が平らな部分では、息を整えつつもスピードは緩めずに…。
-
そして、バスの集合時間の5分前に、みんなが夕陽を眺めていた石灰棚の上まで戻ってきた。
日頃、運動をしていなかった私には結構ハードな走りだったが、往復1時間半のコースをなんとか1時間で行ってくることができ、目的達成! -
でも、本当のことを言えば、このお姉さんみたいに、石灰棚の上でゆっくりと景色を見る時間も欲しかった。
おばちゃんたちが、織物工房でのお買い物をさっさと切り上げてくれていたならば、あと30分長く、この絶景の地に居られたかもしれないのにね・・・。 -
ツアーバスがオアハカの街に帰ってきたのは夜8時過ぎ。
ソカロ広場の近くの路上で下された。
ツアーの約束では、ホテルまで送ってくれるはずだったのに…。中央広場 (ソカロ) 広場・公園
-
でも、そんな逆境も気にしないのが私。
昼食後にすっかり仲良くなったJoan(ブラジル系カナダ人)と一緒にソカロ広場周辺の屋台のタコス屋さんで夕食を食べた後は、別腹の時間。カテドラル (オアハカ) 寺院・教会
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デザートを飲みにオアハカでも有名なショコラテ屋さんへと行く。
チョコレート マヨールドモ 専門店
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MAYORDOMOは市内のあちこちに支店があり、どこのお店も店頭には長い行列が出来ていた。
この時の待ち時間は10分弱。
10人以上が列を作っていた。 -
MAYORDOMOは実演販売の店で店内でチョコレートを製造していて、店の中には甘いチョコの香りが充満していた。
-
ドリンクの種類にはホットチョコとアイスチョコの二種類があり、新鮮なドリンクを提供するために、一杯一杯を出来立てのチョコを溶かして手作業で作っていく。
-
アイスチョコが美味しかったので、同じお店でチョコ(ココア)を1kg(最少単位)購入し、家族のお土産に。
旅から帰国し、このココアを家族に振る舞ったのだが、家族の反応はイマイチかな。
バンホーテンなどの滑らかな舌触りのココアに慣れていると、粗削りチョコが残るオアハカのココアは若干ワイルドかもしれない。
私的には、そんなところが魅力的なのだけどね♪
前の旅行記:オアハカの洗礼
https://4travel.jp/travelogue/11297815
続きの旅行記:フリーダ・カーロの世界
https://4travel.jp/travelogue/11314204
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この旅行記へのコメント (2)
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- salsaladyさん 2017/12/27 11:16:21
- 20th Anniversary!はどこへ?
- ☆楽しい顛末記?で結局一人旅?相棒さんはTVと。。。仲良し~
☆一人旅を努力と苦心の末に勝ち取る醍醐味も凄いけれど、余り見かけない場所へ行かれたようですね。メヒコ!天空の城マチュピチュしか知らない~
☆次回はどうぞ、お二人で~see you~
- ウェンディさん からの返信 2017/12/27 23:30:18
- RE: 20th Anniversary!はどこへ?
- salsaladyさん こんばんは。
一度は流れてしまいメキシコ一人旅となった結婚20周年の2015年でしたが、相棒も私も元来がアウトドアな遊びが好き♪
だから、22周年となる2017年にゾロ目アニバーサリーという事で、ゾロ目ゆえのダブルのアニバーサリー旅を企画しました。
一つ目は、ノルウェーで今年の夏に【トロルの舌】や【シェラーグボルデン】など有名だけど体力勝負の絶景ポイントを攻めてきました。
そして、二つ目はネパールでのトレッキング。
ネパールというとエベレスト山系を頭に浮かべる方が多いのですが、今回はアンナプルナ方面です。
冬なので雪が降るかも知れなく、最高地点は4000m超えのマイナス20℃の世界。
雪男イエッティに会えたら、写真を撮ってくるので、乞うご期待♪ですね。
ウェンディ
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