2019/11/10 - 2019/11/10
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しにあの旅人さん
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旅に出たならば、帰らねばなりません。
東征のあとの、ヤマトタケルの家路を辿ります。
「其の国より科野国に越え、科野の坂の神を言向けて尾張国に帰り来て…」
古事記のヤマトタケル一行の科野国(信濃国)通過はこれだけです。
酒折宮を後にして、科野国に入ります。そのあとは科野の坂(信濃坂、現神坂峠)に飛びます。坂の神を言向けて、つまり懐柔します。日本書紀では坂の神はたたっ殺されていますから、ずいぶん穏やかです。
科野国はまだいいほうで、信濃坂の西、飛騨国は完全にスルーです。一気に尾張国まで行っちゃいます。
参考、引用資料については
「ヤマトタケルの家路1」
に列挙してあります。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
古代東山道は、ヤマト朝廷支配地の最北端、陸奥国(現宮城県)の、蝦夷と国境を接する辺境とヤマトを結んでおりました。常陸国(現福島県、茨城県)を南下、下野国(現栃木県)、上野国(現群馬県)を横断し、碓井坂(碓氷峠)を越え、信濃国に入ります。
信濃国では現上田を経て、松本。松本から南下、伊那谷を縦断し、現飯田の南で進路を西に変え、信濃坂(現神坂峠)を越えて飛騨国(現岐阜県)に入ります。
しかし、古代甲斐国の国府甲府近辺と東山道を結ぶ駅路、伝路はありません。ヤマトから甲斐国に行くには、古代東海道を足柄山の麓まで行き、北上して富士山麓の甲斐路をたどるのがメインルートだったのです。
しかし、駅路でも伝路でもありませんが、甲斐国府と諏訪を結ぶ逸見路(いつみじ)という古代道路がありました。古代の旅人は、この道を辿って旅をしたのです。 -
そこで、酒折宮から高藤まで、古代官道の原則に従い、現代の高速、それ以外はなるべく最短、直線というルートを作ってみました。ほぼ現代の中央高速と同様のルートとなります。現塩尻あたりで合流するはずです。しかし現茅野近くの杖突峠を越えて現高藤に抜ける道もあったようです。
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中央高速を諏訪方面に向かえば、車窓右には八ヶ岳が展開します。
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現代ですとこういう風景です。
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八ヶ岳の南端です。
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中央が編み笠山でしょうか。
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前景の家屋がないと、多分古代とそれほど違いはないはず。
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こんな風景もあった。
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行く手の左は南アルプスです。
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お昼頃です。山は青くかすんでいました。
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甲斐駒ヶ岳
古事記はこのすばらしい山岳に一言も触れません。
理由は簡単で、古事記の作者のプランでは、酒折宮のあとのイベントは尾張の美夜受比売(みやずひめ)です。
私たちは、ヤマトタケルは数多い古代の旅人の総称だと思っています。酒折宮のヤマトタケルと、美夜受比売を訪れるヤマトタケルは別人でいいのです。その2エピソードをつなぐために、一応経路を書いただけです。
私たちのヤマトタケルの1人くらいは、苦労してこの道を歩いた。そして道の左右のすばらしい景観に歓声をあげたことでしょう。
☆☆☆
茅野の近くで高速を下りました。
諏訪大社上社前宮の前を通って、県道152、杖突街道に入ります。 -
杖突峠頂上付近です。午後2時すぎ。南アルプスの山陰で、もう日陰です。
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頂上展望台から、諏訪湖。
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八ヶ岳、北八ヶ岳全貌です。
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八ヶ岳
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右から赤岳、阿弥陀岳、岳。
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阿弥陀岳、岳、左端は天狗岳でしょうか。
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北八ヶ岳
古事記の作者は、この山を見たこともなければ、聞いたこともない。何も知らなかったのでしょう。ヤマト・ヒッキー、狭い大和盆地に閉じこもって、甲斐、信濃の大地など、想像すらできなかった。見たことがあれば、もう少しましなことが書けたと思います。
☆☆☆
古代より諏訪から伊奈を結んだ道路がありました。中世以降秋葉街道、杖突街道とよばれました。上田より、八ヶ岳の山麓、南アルプス山中を抜け、伊那谷を縦断して、浜松に至ります。 -
杖突峠を下って10分くらい、午後2時半です。
伊奈方面 -
背後の杖突坂方向。
-
すでに日が陰っております。
-
山陰が谷間を覆い、西の山裾の民家にはもう陽がさしません。
ヤマトからの旅人はさぞかし驚いたことでしょう。こんなにはやばやと日が暮れるのです。中央アルプスと南アルプスの谷間です。3000メートル級の山々に挟まれているのです。奈良盆地にはない高山です。
「えーっ、ウッソー」とタケルが言ったというのは、ウソです。
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この旅行記へのコメント (2)
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- 前日光さん 2020/06/22 00:09:15
- 「ヤマトタケル」という漫画があるのですが。。。
- ご存じでしょうか?
え?少女漫画なんて読みませんか?そうですよねぇ(^^;)
梅原猛原作 山岸凉子画で、角川書店から昭和63年に発行されています。
なぜかそれを私が持っておりまして。(>_<)
久しぶりに引っ張り出して読んでみましたが、なかなか面白く描かれています。
ただ問題は、ここに登場するヤマトタケルは、シルベスター・スタローンみたいに超マッチョで、よわっちい腺病質が好みの私としては、おいおいその筋肉、なんとかしてくれえという感じでした。
山岸さんは、細マッチョは描いても、ここまでのラガーマンみたいなのは描かないのですが。
ヤマトタケルには双子の兄がいたとか、オトタチバナヒメにはお姉さん
がいて、そのお姉さんはヤマトタケルの双子の兄の妻という設定です。
タケルには、弟みたいにタケルになついる従者がおり、女装までしてタケルの危機を救うというストーリー展開です。
漫画では、ヤマトタケル一行は富士山を見てビックリし感動するのですが、記紀には富士山は出て来ないとのことですよね。
ですから八ヶ岳はもちろん登場しません。
私は見たことがないのですが、市川猿之助のスーパー歌舞伎で、ヤマトタケルが好評を博しました。
この歌舞伎には、富士山なんかが出て来るのでしょうか?
杖突峠を経て、3000メートル級の山々を眺めながら、その日暮れの速さに大和人は、「えーっ、ウッソー!」と本当に思ったかもしれませんよ(^_-)
前日光
- しにあの旅人さん からの返信 2020/06/22 06:17:01
- Re: 「ヤマトタケル」という漫画があるのですが。。。
- おはようございます。
その漫画は知りませんでした。梅原猛原作というなら、ある程度史実は押さえてあると思うのですが、すごい設定ですね。もはやBy妻のレベル。
猿之助のスーパー歌舞伎は、見たことはありませんが、機会があれば見たい。
タケルくんは古来日本のスーパースターです。あの魅力の源はなんですかね。いずれにしても、記紀の話から全部流れ出してきているわけで、記紀の作者はすごい作家だということになります。そのアラを探して楽しんでいる私たちは、象のお腹を突いているアリンコみたいなものでしょうか。
伊那谷の日暮れの早さはびっくりポンでした。特に私たちは九十九里平野という、真っ平らなところに住んでいるので、尚更でした。自然の坂、階段というものがありません。最寄りの階段はホームセンターの屋上パーキングに上がるやつ。
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