エーゲ海ミニクルーズ　②　パルテノン神殿よりは小さいが継ぎ目のない柱は圧巻でした(動画あり）

2019/04/08 - 2019/04/08

日本人相手のオプショナルツアーには騙されないぞ、という考えが心の底にあったので、船内で仙台出身の陽気な添乗員に誘われても、首を縦には振らなかった。ネットのクチコミにはこの島にあるギリシャ神殿をみるより、のんびりと島を巡るほうがよっぽどよかった、神殿ツアーを選んだことへの後悔の念を綴ったものもあった。
神殿見学は船を降りたらすぐにバスに乗り、短い時間に終わらせるというものだったが、一番気になるのがその料金だった。はっきりは覚えていないが、私の金銭感覚では高いなぁ、という印象だった。いつも現地の格安ツアーを選んでは、半分も理解できない英語の説明を無理して聞きながら、安くゲットしたことに満足感を覚えていた。
古代ギリシャの神殿が見たくないのではない、時間があれば路線バスを利用して一日そこで過ごしたいくらいの憧れさえ持っていた。

自分には苦い思い出がある、それはドーバー海峡に面した城を見学しようと出かけた時だった。美術館、博物館などほとんど無料で入れるイギリスにあって、この城は私にとっては許容を超えた入場料に感じられた。そのため城は外から見ても大差ない、などと理由をつけて入らずに戻ってきてしまった。

タクシーまで使って出かけたのに、セコい考えで入場を断念した愚かさがいつも念頭にあった。参加人数が少ない、という添乗員の言葉に背中を押されて、ついに参加を申し込んでしまった。（という大げさな決心は、不動産を買うときのようである。）

遠くエーゲの海を見下ろす丘の上に、紀元前から立ちすくす男性的な円柱は見る者を圧倒した。神殿の柱は言った。「よう来てくれた、待っていたぞ、
日出ずる国の老人よ、遺跡を見るのに、お金をケチっちゃいけないよー。」
私は平伏した。

エリア エギナ島(ギリシャ)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 観光バス
• 航空会社: ターキッシュ エアラインズ
• 旅行の手配内容: 個別手配

船はポロス島に着きました。
アテネのピレウス港から５８ｋｍのところにあります。

地図で見るとペロポネソス半島から海峡をへだててたった２００ｍのところに
位置しています。

全員船を降りて街歩きをします。
船の同じテーブルにいたパキスタンの男性と一緒に歩いてみることにしました。

同行したパキスタンの男性は、仕事できたとか言っていたが、ついでに島巡りに参加したと言っていました。
仕事は空港の税関に努めている公務員だと言っていました。
穏やかな紳士で、控えめな態度が印象的でした。

見上げると、この島の象徴的な時計塔です。
急な階段を上って行くようなので、そこまでして行きたいとは思わない
年寄臭い二人でした。

歩いていくと小さな広場があって、何かの記念碑がありました。

どうということのないフツーの港、海の青さと、陽の光が特徴です、空気も澄んでいるかな？

埠頭にはヨットが係留されていて、リゾート地の雰囲気を出しています。

ここにも記念碑がありました。なにの記念なのか分かりませんが。

すっきりとした教会堂がありました。ギリシャ正教なのでしょうが、他のそれよりも質素なつくりでした。

海の青さだけが目立つ港です。

記念にパキスタン男性の写真を撮ります。思えば感じのいい人物なのに
メールアドレスの交換もしなかった、この時だけのお付き合い、会者定離・・・

再び乗船して、次の寄港地エギナ島に向かいます。
ここで、バイキングランチが出ました。期待以上の内容でしたが、パキスタン男性は驚くほどの小食でした。　宗教上の規律があるのでしょうか？

他のクルーズ船とすれ違います。

接岸する島が見えてきました。

エギナ島
オプションでバスに乗りこの遺跡までやってきました。

添乗員は写真は左角から上に受かって斜めに映すと良く撮れると言っています。
なるほどいい構図ですね。でも、言われなくとも、皆そうしているぞ。

アフェア神殿
パルテノン神殿を見た後では迫力、大きさ、美しさでは劣る気がします。
しかし、島の高い丘の上、遠くエーゲ海を臨む地に建つ神殿は、男性的で、質実な雰囲気であり、柱は大理石を使わず、自然石の一本づくり、パーツを積み上げたつくりではないため、力強さを感じます。

こんな小さな島にこのような神殿が建設されたとは信じがたいと思いましたが、
歴史的には、アテナイに対抗する都市国家でもありました。
アテネと覇権を争ったこともありましたが、敗れたといいうことです。その結果、
ピスタチオのアイスクリームを売って、糊口をしのぐ貧しい島になってしまいました。（これはpedaruの偏見に満ちた見方です、島の皆さん、ごめんなさい）

これを見ると神殿の構造が推定されますね。中には祭壇があって、女神かなんかの像があり、巫女が捧げものを納めたかも、その捧げものは、羊の滴る血だったり、ピスタチオのアイスクリームだったりしたかも。

こんなところに柱の台座と思しき加工された石がありました。周りに散らばっている石材を見るにつけ、いまよりはるかに大きな建築物を従えた神殿だったのではないかと推定されますね。

円柱の上部はコリント式でもなくイオニア式でもない、質実な力強い形をしています。

神殿の構造、施工の方法などが記してあります。

遠くにエーゲの海が見えます。こういうところだからこそ神は住まわれるのですね。

あれっ？よく見ると柱はつなげてありますね、一本の石材をまるまる使ったわけではないのですね。例にもれず、アフェア神殿のはしらも積み上げられたものだったのですねぇ。今までの記述を変更せざるを得ません。言い訳ですが、継ぎ目の分からない柱も存在するのは確かかも・・・・

梁は単なるシンプルな石だけかと思っていましたが、複雑に溝を掘ったりして他の梁と繋ぐための工作をしているのですねぇ。自重だけに頼っているわけではないのですね。

神殿の麓には、このような色をしたピスタチオアイスクリームを売っていました。
ほとんどの人が、アイスクリームとピスタチオを買っていました。
私も変人に思われたくないので、アイスクリームを買いました。
ピスタチオはアテネで買ったよりも安かったですが、品質は落ちていたようです。
しかし、味は良かった。

神殿見学の次は、建物の新しいギリシャ正教のお寺を見学します。
入場料はツアー代金に含まれているのか、それとも太っ腹に誰でも自由に入れるのか分かりませんが、明るい雰囲気の寺院でした。

聖職者の肖像画でしょうか、たくさんの絵が飾ってあります。
背景はすべて金箔です。

これは黒光りする棺です。土に還さず棺に寝かせて室内に置いています。
キリスト教に限らず、他の国でも聖人は土に還してもらえません。

いかに生くべきか？いかに死すべきか？を教える宗教が、聖人の死を受け入れず、
肉体に固執する未練がましい行為は、いかがなものかと、素朴な疑問を持つ、
卑しくも神より最も遠い存在のpedaruの見解です。

荘厳な雰囲気の絵です。厳しい修行を経て高みに上った聖人の姿です。

あれっ　なんだかジョットの絵に似てませんか？

繊細な象眼の大理石の床です。何百、何千年もこの教会が続くよう祈りながら、
職人の技を駆使して完成させたのでしょうね。その真摯な態度に頭が下がる思いです。

この椅子で住民は神父様のお説教を聞き、日ごろの心の垢を洗浄するのでしょう。

これは特別に偉い人の肖像画です。

教会を後にします。この教会も何百年も経てば、有名な名所として大勢の人が訪れることでしょう。

窓の外をチラッとお墓が見えました。外国の墓地も興味深いものがあります。

ギリシャ正教の寺院の前を通ります。どのお寺も立派です。

窓の下にはタベルナで食事をする人たちの姿が見えました。

evermore cruises 船が待っています。

既に楽しそうな音楽が聞こえています。

ノリノリの演奏者たち、

https://www.youtube.com/watch?v=Wz0o7Ta4meY&feature=youtu.be
白いワンピースみたいな民族衣装をまとった頭つるつるのスキンヘッドの男性が踊っています。
てるてる坊主かっ！

https://www.youtube.com/watch?v=w6BTDu3BZcs&feature=youtu.be

乗客も駆り出されて踊りだしました。

お祭りの後は寂しいものです。沈む夕日が明日も幸あれと・・

陽の光は刻々と色を変えて・・

ツアーの舞台の緞帳を下ろしていきました。

陽気なジャマイカのお姉さんたち、生真面目なパキスタンの男性、席を譲ってくれたフィリピンの若者たち、船から降りてバスに着くまで、お別れを惜しんでおしゃべりに花が咲きました。
バスはそれぞれに宿泊のホテルに送り届けてくれました。

この旅行記へのコメント （6）

• 前日光さん 2019/09/04 00:02:32

  美は乱調にあり！

  師匠、こんばんは。
  夜型人間の私はいつも深夜にコメントし、朝型人間の師匠は早朝に返信を返して下さいます。
  
  年をとってもまだ夜型が止められません。
  夜の方が思考が冴えるような気が。。。
  
  さてエーゲ海クルーズの後編、小さな島の力強い神殿は青い空と海に映えますねぇ。
  完成されたものではなく、一部が欠けていたり倒壊していたり。。。
  そこには「もしかしたらこうだったのかもしれない？」という「チコちゃん劇場」のような想像力の入り込む余地が多々あります。
  非の打ち所がなかったり、完璧だったりするものに反発する精神が昔からありまして。
  遺跡や痕跡に惹かれるのは、そこに妄想やイマジネーションを駆使することが出来るからなんですねぇ。
  整ったものなんてツマラナイ！
  
  やはり美は乱調にあるからこそ、人は欠けたものを埋めようとして、多くの想像力を働かせるのだと、この神殿の写真を拝見して確信しました。
  
  それにしてもこの空の下で食すピスタチオのアイスクリームは、どんな味がしたのでしょうか？
  
  注…「ヴェニスに死す」の美少年のギリシア彫刻のような美しさに惹かれるのは、
  どうなんだ？という質問はなさらないでください。
  何事にも例外はあるということでして（～＿～；）
  
  
  前日光

  pedaruさん からの返信 2019/09/04 06:25:06

  RE: 美は乱調にあり！

  
  前日光さん　おはようございます。
  年寄りの早起き、朝しか頭がさえぬpedaruです。
  
  エーゲ海に浮かぶ島に、紀元前の神殿、これだけでワクワクです、いくらかは忘れましたが、躊躇する値段の高さ、でも行ってよかったなぁ、オプショナルツアーですから一人旅の醍醐味はあじわえなかったですが・・・　
  
  > 注…「ヴェニスに死す」の美少年のギリシア彫刻のような美しさに惹かれるのは、
  > どうなんだ？という質問はなさらないでください。
  > 何事にも例外はあるということでして（?＿?；）
  
  ハハハ、この文を読む前に同じこと思いました。こと美男美女に関しては、整った形が要求されるようです。pedaruも鏡を前にして、「うーん、このウエスト周りの肉を取れば、まあまあいけるかな？」なんて恥知らずなことを妄想しています。
  
  > 整ったものなんてツマラナイ！
  
  おー、なんという尊いお言葉でしょうか、私はこの言葉を金科玉条として鏡に向かうことでしょう♪
  
  
  pedaru
  
  
  
  
  　

• sanaboさん 2019/08/23 00:53:33

  エーゲ海ミニクルーズ

  pedaruさん、こんばんは
  
  エーゲ海クルーズ、楽しそうでしたね～♪
  片腕を斜めに上げ、もう一方を対角線上に構え、瞬時にして
  ジャマイカ美女3人のハートを見事に射られたpedaruさん☆彡
  ウサイン・ボルトも脱帽されていることでしょう！
  老婆なロバちゃん、いつまでもお元気でね♡
  港で整列しているロバちゃんたちの後ろ姿には悲哀を感じました。。。
  (と、ここまではミニクルーズ①へのコメントでした）
  
  ミニクルーズ②では踊るてるてる坊主(？)の映像を
  楽しませていただきました^^
  こういうのはやはり動画に限りますね～！
  アフェア神殿はやはりいらして良かったですね。
  柱のつなぎ目は修復時のものかしらとも思いました。
  確かにパルテノン神殿と比べたら見劣りしそうですが
  2千年もの間、丘の上から歴史を見続けてきたと思うと
  やはり凄いことですね。
  
  日本の猛暑は嫌だけど
  ギリシャの陽光が恋しくなったsanaboより
  
  
  
  

  pedaruさん からの返信 2019/08/24 06:01:39

  RE: エーゲ海ミニクルーズ

  
  sanaboさん　おはようございます。
  
  エーゲ海クルーズとかいうと、１０階建てのビルのような大きさの船で、毎夜、夜会服など着てディナーショー、ダンスパーティー、昼間はプールで優雅に過ごす、というイメージでしたが、
  ミニクルーズは庶民の手軽な旅です。一応ランチも出ますし、沈まない程度の大きさの船ですし、船底で奴隷が櫂を漕いでいるほかは普通の船と変わりありません(笑)。
  
  上陸して島を歩くときは、気の合うツレがいたほうが楽しいでしょうね。
  わぁ〜　などと可愛く感動してくれる妻と一緒の旅がいいか、一人で、口うるさい妻と離れて、勝手に歩き回るのがいいか、最近はいつも後者を選んでいます。
  
  アフェア神殿の麓のピスタチオは普段スーパーのよりおいしく感じました。
  ピスタチオのアイスクリームはピスタチオのつぶつぶが入っているかと期待しましたが、
  期待するほうが無理でした。
  
  pedaru

• norisaさん 2019/08/22 09:06:00

  オプショナルツアー

  pedaruさん、
  
  おはようございます。
  投票もカキコも一番乗りかもしれませんね。
  rinnmamaさん向けには自粛します（笑）
  （たぶん、クシャミされているでしょう（爆））
  
  さて、確かにオプショナルツアーはたいてい高いですね。
  それも日本人向けのヤツが。
  なので我々も安めの現地ツアーしか利用しないようにしています。
  （そもそもオプショナルツアーの利用率が低いのですが）
  
  この小ぶりの神殿の雰囲気も良いですね。
  4月の快晴の空に映えます。
  夕焼けも見事ですね、是非油絵に描きたい1シーンです。
  
  norisa
  

  pedaruさん からの返信 2019/08/23 06:40:51

  RE: オプショナルツアー

  
  norisaさん　おはようございます。
  
  管制官のようなnorisaさんがいち早く私の旅行記を見つけて、正しく誘導してくれるおかげで、旅行記も順調に進んでいます。と言っても、ギリシャ旅行は一年前、イタリア旅行記の失敗の轍を踏まないように頑張っております。（ポンペイの遺跡ではたくさんの轍をみてきましたが、）
  
  今回のギリシャ旅行記はスケッチを入れてないので、早めに投稿できてます。矢継ぎ早でこれにコメントを入れてくださるnorisaさんには申し訳なく思っております(笑)。
  
  英語オンリーのオプショナルツアーの欠点は（私個人的に）解説がよくわからないこと、注意事項など聞き逃したらどうしようと思うこと。良い点はまず、安いこと、いろんな国の人と親しくなれること、こんなところでしょうか。
  
  norisaさんの夕景の写真には敵いませんが、珍しく満足いきました♪
  
  pedaru