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キューバ5日目。8時前に宿のパティオで朝食。別料金で5CUCだったが、ボリュームもたっぷりで美味しかった。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.2391276547609022&amp;type=1&amp;l=1e6929a8ca<br /><br />この日は9時半出発の蒸気機関車でロス・インヘニオス渓谷を訪ねるツアーに乗ろうと思ってて、旅に出る前にネット予約しようとしたのだが出来なかった。前日チェックインした時に聞いたら駅に行けばいいと云うことだったので、1時間くらい前に駅に行けばなんとかなるのではないかと云うことで8時20分頃宿を出る。10分ほどで駅に到着。想像以上に何もない駅。蒸気機関車の姿は見えず、おっちゃんたちが手漕ぎトロッコで仕事に出ていく。駅の南にオープンな建物があったので入ってみると、これが駅舎だった。ツアーを紹介した掲示もある。これで大丈夫と思ったのだが・・・<br /><br />ところが、チケットを買おうとするとなんと蒸気機関車が壊れて動いてないと(壊れてなくてもチケットセールスは9時10分からって掲示にあるので早過ぎたのだが)。なるほど、それで予約できなかったんだ。それなら分かるように説明しろよ、ネットエージェンシー。1906年製の蒸気機関車らしいし、まあ維持するのは大変だと思う。で、夕方5時発の列車はあるとおばちゃん。いや、それは遅過ぎるやろ。他の手はないかを聞きたいのだが、おばちゃん、英語が全然なので(私がスペイン語が話せないせいだね)なかなかスムーズに会話が出来ない。ここの他には旅行社とか全く見当たらないし、なんとか現地に行く方法を教えてもらうしかないと思ってたところに、いつの間にか白人の兄ちゃんが参戦。あとで分かったのだが、彼はスペイン人の旅行者で、私と同様にこのツアーに乗りたくて来ていた。で、同じスペイン語を話せる人同士の会話はスムーズ。タクシーでの渓谷回りに一緒に行かないかと誘ってくれた(彼は英語はそこそこ)。15CUCとツアーと同じ値段でって云うことで、私としては「喜んで!」。<br /><br />突然大雨が降りだしたが、9時前に私と同じ年の年季もののクラシックカータクシーで出発。この日は日中はずっと降ったり止んだりが続いたが、その度の窓の開け閉めも大変な車。まずは渓谷が見下ろせる展望台に。ミラドール・デ・ラ・ローマ・デル・プエルト(Mirador de La Loma del Puerto)はトリニダー駅から6㎞ほどの渓谷の入口に位置する標高192mの展望台。ここから渓谷を望むことが出来る。山の形は違うがビニャーレス渓谷に似ている感じ。ロス・インヘニオス渓谷(Valle de los Ingenios)は、トリニダーの東に位置するサン・ルイス(San Luis)、サンタ・ロサ(Santa Rosa)、メイエル(Meyer)という3つの渓谷の総称。los Ingeniosは「機械類」のことで、70以上もの製糖工場がこの渓谷で稼動していたことから来ている。別称、砂糖の谷(Valley of the Sugar Mills)。日本ではロス・インヘニオス盆地とも云われる。<br /><br />製糖業は、スペイン人がサトウキビを島に持ちこんだ1512年以来、重要な産業となっていった。この渓谷は気候と土壌はサトウキビ栽培に申し分なく、複数の川から水を調達でき、製糖工場に適していた。先住民が奴隷としての粗悪な扱いとヨーロッパからもたらされた病気で絶滅させられたので、スペイン人は代わりにアフリカからの黒人奴隷をプランテーションや工場で働かせた。最盛期には3万人の奴隷が使われていた。1800年前後には砂糖の生産量世界一となり、キューバの基幹産業となり、その交易はトリニダーや周辺地域を豊かにした。1820年に奴隷制は廃止されたが、19世紀の独立戦争で終止符が打たれるまでは残存していた。砂糖の品質劣化を避けるためには迅速な輸送が不可欠であり、そのために1880年代に渓谷とトリニダー、そしてトリニダーとは6km離れていた沿岸部のカシルダ(Casilda)とを結ぶ専用鉄道が敷設された。この一部が朝乗ろうとした鉄道。現在、ほとんどの製糖工場は廃墟と化している。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.2391280680941942&amp;type=1&amp;l=465669514e<br /><br />最初に向かったのはサン・イシドロ・デ・ロス・デスティラデロス(San Isidro de los Destiladeros)。9時40分頃到着。ここは1830年代から1890年まで稼働していた製糖工場の跡。工業化以前の奴隷労働で運営されていた工場。生産終了以降は畑では様々な作物が栽培され、建物や工場は放置され崩壊し、廃墟と化していたが、近年保護地域となり、修復が進められている。オーナーズハウスと3階建ての鐘楼は残っているが、圧搾機、シュガートレイン(ジャマイカ・トレイン、スペイン・トレインとも云う)方式の製糖ライン、奴隷小屋などは廃墟となっている。堰や井戸は残るが水はない。鐘楼は3階まで登ることが出来る。奴隷たちが祈りをささげたと云う聖なるパンヤの木は本当に顔のように見える。奴隷小屋はブロックで分けられた小部屋に10人以上が入れられたそうで、信じられないような劣悪な環境だと分かる。英語ガイドが付いて1CUCはツアー代とは別。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.2391286114274732&amp;type=1&amp;l=4cd8cb8bd3<br /><br />1時間ほどサン・イシドロにいて、次はマナカ・イスナーガ(Manaca Iznaga)へ。11時過ぎに到着。ここにはイスナーガの塔(La Torre Manacas Iznaga)と呼ばれる監視塔、農園主の邸宅、奴隷の居住地区などが残る。まずは塔に登る。ここも1CUC必要。農園主アレホ・イスナーガ(Alejo Iznaga)が1816年に建てさせたもので、7階建て、高さは45mある。サトウキビプランテーションを360度見渡すことができ、奴隷たちを監視するのに使われていた。同時に、一時はキューバで最も高い建造物であったこの塔は、奴隷たちや製糖業界にイスナーガ家の権勢を見せ付ける象徴としても機能していた。南側に点在する家はバラコーネ群(barracones)と呼ばれるかつての奴隷の居住地区で、現在も住居として使われているが損傷が激しい。登っている間にまた雨が来て、上る前には両サイドにずらりと並んでいたこの辺りの名産「ファゴッティング(Fagotting)」と云うレース刺繍をあしらったクロスなどを売ってた店が、綺麗に消えていた。今はレストランに転用されている農園主の邸宅の前の鐘はかつては塔に吊るされて奴隷たちに一日の労働の始まりや終わりを告げていたもの。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.2391294000940610&amp;type=1&amp;l=2cd56906c4<br /><br />11時45分頃イスナーガ観光終了。スペイン人の彼に他にどこか行きたいところがあるかと聞かれたが、特にないと答える。ないと云うよりもこの塔しか知らなかったのであるが。もしも蒸気機関車が走ってたらここと、もう少し先のFNTAと云う町に寄るようだが、この時点ではそんなことは理解してなかった。まあ、そこには行かなかったが、鉄道だと最初の展望台やサン・イシドロには行けないので、タクシーツアーで良かったかな? 2人の都合で動けたし。と云うことで、渓谷観光は終了してトリニダーの町に戻る。<br /><br /><br />トリニダー 旧市街に続く

トリニダー ロス・インヘニオス渓谷 (Valle de los Ingenios, Trinidad)

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2018/09/18 - 2018/09/18

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ちふゆ

ちふゆさん

キューバ5日目。8時前に宿のパティオで朝食。別料金で5CUCだったが、ボリュームもたっぷりで美味しかった。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.2391276547609022&type=1&l=1e6929a8ca

この日は9時半出発の蒸気機関車でロス・インヘニオス渓谷を訪ねるツアーに乗ろうと思ってて、旅に出る前にネット予約しようとしたのだが出来なかった。前日チェックインした時に聞いたら駅に行けばいいと云うことだったので、1時間くらい前に駅に行けばなんとかなるのではないかと云うことで8時20分頃宿を出る。10分ほどで駅に到着。想像以上に何もない駅。蒸気機関車の姿は見えず、おっちゃんたちが手漕ぎトロッコで仕事に出ていく。駅の南にオープンな建物があったので入ってみると、これが駅舎だった。ツアーを紹介した掲示もある。これで大丈夫と思ったのだが・・・

ところが、チケットを買おうとするとなんと蒸気機関車が壊れて動いてないと(壊れてなくてもチケットセールスは9時10分からって掲示にあるので早過ぎたのだが)。なるほど、それで予約できなかったんだ。それなら分かるように説明しろよ、ネットエージェンシー。1906年製の蒸気機関車らしいし、まあ維持するのは大変だと思う。で、夕方5時発の列車はあるとおばちゃん。いや、それは遅過ぎるやろ。他の手はないかを聞きたいのだが、おばちゃん、英語が全然なので(私がスペイン語が話せないせいだね)なかなかスムーズに会話が出来ない。ここの他には旅行社とか全く見当たらないし、なんとか現地に行く方法を教えてもらうしかないと思ってたところに、いつの間にか白人の兄ちゃんが参戦。あとで分かったのだが、彼はスペイン人の旅行者で、私と同様にこのツアーに乗りたくて来ていた。で、同じスペイン語を話せる人同士の会話はスムーズ。タクシーでの渓谷回りに一緒に行かないかと誘ってくれた(彼は英語はそこそこ)。15CUCとツアーと同じ値段でって云うことで、私としては「喜んで!」。

突然大雨が降りだしたが、9時前に私と同じ年の年季もののクラシックカータクシーで出発。この日は日中はずっと降ったり止んだりが続いたが、その度の窓の開け閉めも大変な車。まずは渓谷が見下ろせる展望台に。ミラドール・デ・ラ・ローマ・デル・プエルト(Mirador de La Loma del Puerto)はトリニダー駅から6㎞ほどの渓谷の入口に位置する標高192mの展望台。ここから渓谷を望むことが出来る。山の形は違うがビニャーレス渓谷に似ている感じ。ロス・インヘニオス渓谷(Valle de los Ingenios)は、トリニダーの東に位置するサン・ルイス(San Luis)、サンタ・ロサ(Santa Rosa)、メイエル(Meyer)という3つの渓谷の総称。los Ingeniosは「機械類」のことで、70以上もの製糖工場がこの渓谷で稼動していたことから来ている。別称、砂糖の谷(Valley of the Sugar Mills)。日本ではロス・インヘニオス盆地とも云われる。

製糖業は、スペイン人がサトウキビを島に持ちこんだ1512年以来、重要な産業となっていった。この渓谷は気候と土壌はサトウキビ栽培に申し分なく、複数の川から水を調達でき、製糖工場に適していた。先住民が奴隷としての粗悪な扱いとヨーロッパからもたらされた病気で絶滅させられたので、スペイン人は代わりにアフリカからの黒人奴隷をプランテーションや工場で働かせた。最盛期には3万人の奴隷が使われていた。1800年前後には砂糖の生産量世界一となり、キューバの基幹産業となり、その交易はトリニダーや周辺地域を豊かにした。1820年に奴隷制は廃止されたが、19世紀の独立戦争で終止符が打たれるまでは残存していた。砂糖の品質劣化を避けるためには迅速な輸送が不可欠であり、そのために1880年代に渓谷とトリニダー、そしてトリニダーとは6km離れていた沿岸部のカシルダ(Casilda)とを結ぶ専用鉄道が敷設された。この一部が朝乗ろうとした鉄道。現在、ほとんどの製糖工場は廃墟と化している。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.2391280680941942&type=1&l=465669514e

最初に向かったのはサン・イシドロ・デ・ロス・デスティラデロス(San Isidro de los Destiladeros)。9時40分頃到着。ここは1830年代から1890年まで稼働していた製糖工場の跡。工業化以前の奴隷労働で運営されていた工場。生産終了以降は畑では様々な作物が栽培され、建物や工場は放置され崩壊し、廃墟と化していたが、近年保護地域となり、修復が進められている。オーナーズハウスと3階建ての鐘楼は残っているが、圧搾機、シュガートレイン(ジャマイカ・トレイン、スペイン・トレインとも云う)方式の製糖ライン、奴隷小屋などは廃墟となっている。堰や井戸は残るが水はない。鐘楼は3階まで登ることが出来る。奴隷たちが祈りをささげたと云う聖なるパンヤの木は本当に顔のように見える。奴隷小屋はブロックで分けられた小部屋に10人以上が入れられたそうで、信じられないような劣悪な環境だと分かる。英語ガイドが付いて1CUCはツアー代とは別。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.2391286114274732&type=1&l=4cd8cb8bd3

1時間ほどサン・イシドロにいて、次はマナカ・イスナーガ(Manaca Iznaga)へ。11時過ぎに到着。ここにはイスナーガの塔(La Torre Manacas Iznaga)と呼ばれる監視塔、農園主の邸宅、奴隷の居住地区などが残る。まずは塔に登る。ここも1CUC必要。農園主アレホ・イスナーガ(Alejo Iznaga)が1816年に建てさせたもので、7階建て、高さは45mある。サトウキビプランテーションを360度見渡すことができ、奴隷たちを監視するのに使われていた。同時に、一時はキューバで最も高い建造物であったこの塔は、奴隷たちや製糖業界にイスナーガ家の権勢を見せ付ける象徴としても機能していた。南側に点在する家はバラコーネ群(barracones)と呼ばれるかつての奴隷の居住地区で、現在も住居として使われているが損傷が激しい。登っている間にまた雨が来て、上る前には両サイドにずらりと並んでいたこの辺りの名産「ファゴッティング(Fagotting)」と云うレース刺繍をあしらったクロスなどを売ってた店が、綺麗に消えていた。今はレストランに転用されている農園主の邸宅の前の鐘はかつては塔に吊るされて奴隷たちに一日の労働の始まりや終わりを告げていたもの。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.2391294000940610&type=1&l=2cd56906c4

11時45分頃イスナーガ観光終了。スペイン人の彼に他にどこか行きたいところがあるかと聞かれたが、特にないと答える。ないと云うよりもこの塔しか知らなかったのであるが。もしも蒸気機関車が走ってたらここと、もう少し先のFNTAと云う町に寄るようだが、この時点ではそんなことは理解してなかった。まあ、そこには行かなかったが、鉄道だと最初の展望台やサン・イシドロには行けないので、タクシーツアーで良かったかな? 2人の都合で動けたし。と云うことで、渓谷観光は終了してトリニダーの町に戻る。


トリニダー 旧市街に続く

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