サウジアラビア王国の至宝 Roads of Arabia 【１】

2018/02/03 - 2018/02/03

東京国立博物館の表慶館で開催されている「アラビアの道－サウジアラビア王国の至宝」へ行ってきました。
遺跡が大好きですが、サウジアラビアは観光目的の入国が認められておらず「世界一入国が厳しい国」今回、そんなサウジアラビア王国の貴重な文化遺産の展示ということで楽しみにしていたのですが、他にもそんな人がたくさんいるとは・・・想像以上の混雑ぶりに驚きました。
なお今回、こちらの全展示品撮影可でした。

エリア 上野・御徒町(東京)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 新幹線

特別展ですが、総合文化展観覧料だけで別途費用なしということで入れました。
年間パスポートのスタンプ欄この為に1つ空けておいたんですが(笑)

東京国立博物館 美術館・博物館

「ゾウの下顎骨化石」タイマー出土　数万年前　タイマー博物館
旧石器時代のアラビア半島は、ゾウなどが生息できる湿潤な環境だったらしい。

「動物骨化石」タイマー出土　数万年前　タイマー博物館

礫器・両面加工石器　 前期旧石器時代オルドワン文化　サウジアラビア国立博物館蔵
100万年以上前にさかのぼるアジア最初の石器などが展示されていました。アフリカから出発した人類の玄関口がアラビア半島です。

新石器時代（紀元前6000年頃）の石器・矢尻など　サウジアラビア国立博物館蔵

「石皿」マカル出土　新石器時代（紀元前6500年頃）サウジアラビア国立博物館蔵

近年、サウジアラビア南部のマカルで紀元前6500年頃の旧石器時代の遺跡が偶然発見されています。遺跡からは石鏃、スクレイパー、製粉具、紡織具やその他の道具などとともに動物をかたどった多数の石像も発見されました。

「馬」マカル出土 新石器時代（紀元前6500年頃）サウジアラビア国立博物館蔵
従来、馬の家畜化が初めて行われたのは5500年前の中央アジアだと言われていましたが、それよりも遥か昔から家畜化されていたことになります。

「人形石柱」紀元前3500～前2500年頃　サウジアラビア国立博物館蔵
（左）ウラー付近出土
（中央）及び（右）カルヤト・アルカァファ出土　

「石偶」紀元前3500～前2500年頃　サウジアラビア国立博物館蔵

（左）「彩文土器」フルサーニーヤ出土　紀元前5000－前4000年頃
（右）「黒曜石の剥片」ドゥーサリーヤ出土　紀元前5000－前4000年頃
左の土器はメソポタミア文化を代表するウバイド土器といわれるもの、右はアナトリア半島（トルコ）で算出する黒曜石の石器。文明の十字路であることがわかります。
　

「彩文土器」紀元前5000－前4000年頃　サウジアラビア国立博物館蔵
ブカイクやドゥーサリーヤなどで出土したメソポタミアの土器

「祈る男」タールート島出土　紀元前2900～前2600年頃
サウジアラビア国立博物館蔵
メソポタミア文明とインダス文明をつなぐ海上交易で繁栄したアラビア湾（ペルシャ湾）タールート島の出土物。

「壺」ブカイク近郊　紀元前3000～前2500年頃 ダンマーム博物館蔵

「石器容器」タールート島出土　紀元前2500～前2000年頃　サウジアラビア国立博物館蔵
現在のイランで製造された石器は、タールート島の商人を介しメソポタミアへ運ばれていました。

「石器容器」タールート島出土　紀元前2500～前2000年頃　サウジアラビア国立博物館蔵

「石器容器」タールート島出土　紀元前2500～前2000年頃　サウジアラビア国立博物館蔵

「アラバスター椀」アラバスター　紀元前3000－前2000年頃　サウジアラビア国立博物館蔵

（上左）「彩文壺」ブカイク　紀元前3000－前2250年頃　　
（上中央）「インダス式彩文壺」タールート島　紀元前2200－前1800年頃　
（上右）「壺」ザフラーン　紀元前2000－前1800年頃　
サウジアラビア国立博物館蔵
インダス文化の影響のある土器など

「短剣」「闘斧」タイマー　紀元前2400－前2000年頃　タイマー博物館
レヴァント地域（シリア～パレスチナ）に特徴的な青銅器でありタイマー周辺でレヴァントの人々との接触があったと考えられます。

「彩文鉢」タイマー　紀元前1000－前400年頃　サウジアラビア国立博物館蔵
美しい彩文土器。
　

「彩文皿」タイマー　紀元前1000－前400年頃　サウジアラビア国立博物館蔵
北アラビアのオアシス都市タイマーは、南アラビア、レヴァント、エジプト、メソポタミアを結ぶ道の十字路にあたります。

「彩文壺」タイマー　紀元前1000－前400年頃　サウジアラビア国立博物館蔵

「ネックレスまたはブレスレット」タイマー　紀元前1000－前400年頃　サウジアラビア国立博物館蔵

「アラム文字による奉献碑文」タイマー　紀元前4世紀頃　サウジアラビア国立博物館蔵
碑文にはタイマーの主神サルマの他、シリアの女神の名前も刻まれてます。　

「柱の台座または祭壇」タイマー　紀元前5ー前4世紀頃　サウジアラビア国立博物館蔵

「男性頭部」タイマー　紀元前4ー前2世紀頃　タイマー博物館蔵
ウラー出土のリフヤーン王国の人物像に類するもの。

「男性像」ウラー　紀元前4-前3世紀　キングサワード大学博物館
オアシス都市ダーダーン（現在のウラー）に栄えたリフヤーン王国の人物像

「男性頭部」ウラー　紀元前4-前3世紀　キングサワード大学博物館

「男性頭部」ウラー　紀元前4-前3世紀　キングサワード大学博物館
リフヤーン王国は交易により富を蓄えその勢力は南のタイマーまで及んでいます。

「男性像」ウラー　紀元前5-前2世紀　キングサワード大学博物館

「祭壇または香炉」ウラー　紀元前4-前3世紀　キングサワード大学博物館

「ライオン浮彫」ウラー　紀元前6-前4世紀　キングサワード大学博物館
バーバリーライオンでしょうか、見事な体格のライオンです。

ナバテア王国は、紀元前2世紀前半頃にペトラ（現在のヨルダン西部）を中心に栄えたナバテア人の王国でリフヤーン王国を弱体化させエグラ（現在のマダーイン・サーリフ）を南の都としています。

「柱頭」マダーイン・サーリフ　1世紀頃　ウラー博物館蔵

「壺」マダーイン・サーリフ　紀元前3‐後3世紀頃　ウラー博物館蔵

「ラテン語碑文」マダーイン・サーリフ　175－77年頃　ウラー博物館蔵
ローマ皇帝マルクス・アウレリアス・アントニウス帝時代の城壁の改修碑文。

「饗宴」カルヤト・アルファーウ 1‐2世紀頃 サウジアラビア国立博物館蔵
1972年から始まったカルヤト・アルファーウの発掘では様々なものが発見されています。

「高層建築」カルヤト・アルファーウ 紀元前3‐3世紀頃　キングサワード大学博物館

「葬送」カルヤト・アルファーウ 紀元前1世紀頃　キングサワード大学博物館
片手に杯、片手に馬の手綱を持つ人物が描かれています。

「葬送」カルヤト・アルファーウ 紀元前1世紀頃　キングサワード大学博物館
片手に杯、片手に馬の手綱を持つ人物が描かれています。

「神殿の装飾」カルヤト・アルファーウ 紀元前1世紀頃　キングサワード大学博物館

「まぐさ」カルヤト・アルファーウ 紀元前3‐3世紀頃　キングサワード大学博物館蔵

（上）「ヘラクレス」カルヤト・アルファーウ 1‐3世紀頃　
（下）「イシス＝テュケー」カルヤト・アルファーウ 紀元前1‐3世紀頃
キングサワード大学博物蔵
ヘラクレスはギリシャ神話の英雄、イシス＝テュケーはエジプトのイシス女神とヘレニズムの女神テュケーが習合したもの。

（左）「女性像」カルヤト・アルファーウ 紀元前1世紀頃　
（中）「ハルポクラテス」カルヤト・アルファーウ 1‐3世紀頃　
（右）「ハルポクラテス」カルヤト・アルファーウ 2‐3世紀頃　

（左）「女性像」カルヤト・アルファーウ 1‐2世紀頃　
（右）「アルテミス」カルヤト・アルファーウ 紀元前3‐3世紀頃　キングサワード大学博物館蔵

「ヒトコブラクダ」カルヤト・アルファーウ 紀元前3‐3世紀頃　キングサワード大学博物館蔵

「分銅」「銀貨」他　カルヤト・アルファーウ 1世紀頃　キングサワード大学博物館蔵

（左）「香炉」カルヤト・アルファーウ 紀元前3‐3世紀頃
（右）「奉献台」カルヤト・アルファーウ 紀元前4‐前1世紀頃

「ガラス杯」「ガラス壺」「香油瓶」カルヤト・アルファーウ 1世紀頃　サウジアラビア国立博物館蔵

「ガラス皿」カルヤト・アルファーウ 紀元前1‐1世紀頃　キングサワード大学博物館蔵
美しい文様のガラス皿

「織物」カルヤト・アルファーウ 紀元前3‐3世紀頃　キングサワード大学博物館蔵
材質は羊毛または亜麻

（左）「緑釉水差」（右）「緑釉双耳瓶」カルヤト・アルファーウ 紀元前1‐1世紀頃　キングサワード大学博物館蔵

「緑釉双耳瓶」カルヤト・アルファーウ 紀元前1‐1世紀頃　キングサワード大学博物館蔵

「葬送用のベッド部品」カルヤト・アルファーウ 1世紀頃　キングサワード大学博物館蔵

青銅製の「ランプ」「香炉」など
カルヤト・アルファーウ 紀元前3‐3世紀頃　キングサワード大学博物館蔵

（左）「椅子の脚」カルヤト・アルファーウ 1世紀頃　サウジアラビア国立博物館蔵
（右）「ライオン形ドアノッカー」カルヤト・アルファーウ 3世紀頃　キングサワード大学博物館蔵

この旅行記へのコメント （2）

• yamayuri2001さん 2018/02/07 16:56:28

  +mo2さん、はじめまして。

  週末に、このアラビアの道か　
  目黒雅叙園で開催されている百段ひな祭りか、
  どちらかを鑑賞しようと思い、
  迷った挙句に、ひな祭りを観に行きました。
  アラビアの道も気になっていましたので、
  タイムリーに旅行記を拝見して、
  しかも詳しい 解説付きで、行った気分にさせていただきました。
  ありがとうございます。
  文明の発祥を知る上で
  貴重な展示が数々あり、
  驚きました。
  
  yamayuri2001
  

• たらよろさん 2018/02/04 22:57:08

  これは、貴重な展覧会ですね

  こんばんは、＋moさん
  
  サウジアラビア、
  今だけややこしいことになっているのかと思っていたのですが、
  観光目的で入国のできない大変な国家になっているんですね。
  そんな国家の貴重な資料をこうして日本で見ることができるって、
  なんて素晴らしい貴重な体験なんでしょう。
  私も近くだったらぜひ見に行きたかった、、、
  巡回展示しないのかな？？
  
  たらよろ