2015/09/24 - 2015/09/24
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redchilipadiさん
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フランシュ・コンテ地方は、フランス東部、スイスと国境を接する地域。
その中心的な町、ブザンソンは、軍事的に重要な土地で、町を取り囲むヴォーバン設計の城砦(シタデル)が世界遺産に登録されています。
一般に、日本人にはあまり馴染みがないし、観光とは縁遠いイメージを持ってしまっていました。
最近、チーズに興味をもちはじめ、
コンテチーズや、モンドール、トム・デ・サヴォアなど買うようになって、
はじめてフランシュ・コンテ地方に関心が向いてきました。
写真の牛は、モンベリアードと呼ばれる種
大きな鼻と胴回り、赤茶と白の斑模様が特徴なのだそうです。
この種の牛が、贅沢な環境で飼われてコンテチーズが出来上がります。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
-
ブザンソンは、ドゥー川が大きく湾曲したところにできた町。
3方を川に囲まれているだけでなく、谷になっていて、
両側にせまる丘に、城塞が築かれています。
人工密度(約1,800人/km?)の似ている京都市と比較すると、
ブザンソンの面積は65km、京都市の面積827km。
京都市を12分の1ぐらいに圧縮したような町という感じでしょうか。
語学学校があって外国人留学生が多いのも京都と似ています。
写真の向こう側の山にかすかに見える土色の壁と建物群は、その城塞の一部。
ヴォーバンの防衛施設群のひとつとして世界遺産に登録されています。 -
ブザンソンの駅のすぐ近くに、グリフォン砦。
見張り小屋のようなものが建っています。 -
駅からグリフォン砦を抜けると、ドゥー川に出ます。
橋を渡れば、ブザンソンの旧市街。 -
ドゥー川はこの地で大きく湾曲していて、旧市街をすっぽり、3方向から囲んでいます。
もう一方は、山。天然の要塞の地形です。 -
橋を渡ってまもなく、
旧市街の端に、常設の市場があります。
整然としすぎている感があって、市場の活気とかは期待できませんが、
珍しい野菜を眺めながら、地元のチーズや蜂蜜などゆっくりとお買いものできます。
2階はブザンソンの美術館 -
フランシュ・コンテの特産、コンテチーズ。
直径はもちろん、厚みも相当なもの。ひと塊40kgもあります。
フランス中で見かけるとってもポピュラーなハードチーズ。
24か月もの、18カ月もの、12カ月ものが並べられていました。
大理石の丸いボードの上で、チーズをカットしてくれます。
量り売りなので、旅行者でも少量、気軽に買えます。
春夏、牧草を食べた牛から作ったチーズは、草の香り。
秋冬 干し草を食べた牛から作ったチーズは、香ばしいナッツの香り -
コンテチーズ24カ月。
緑のラベルは、審査に通過したもので、コンテエクストラと呼ばれています。
表面はつるっとしていますが、食べるとアミノ酸の結晶がしゃりしゃりと
確かに感じられます。 -
写真上段の、筋入りチーズは、コンテ地方モルビエの谷のチーズ
真ん中に筋が入っているのが特徴。
これはカビではなく、煤(すす)なんだそうです。
一気に作るのではなく、朝絞りのミルクで半分作って、
虫除けのために鍋底の煤で覆い、
時間をおいてその上に残り半分のミルクを流して作るという、
昔の製法の名残。 味は、コンテチーズと同じです。 -
フランシュコンテ地方といえば、モン・ドール(金の山)
季節限定で生産、販売されるウォッシュタイプのチーズ。
春先だけなのかと思っていたら、9月10日から翌年5月10日まで販売されているのだそうです。
モンドールはとってもやわらかく、型が保ちにくいので、周囲にぐるっとエピセアの樹皮が巻きつけられています。
小さなモンドールはスプーンですくっていただきます。
フロマージュ屋さんの一角を、堂々、占めていました。 -
この界隈のジュラ山脈の山あいの農家で、コンテチーズは生産され、熟成されますが、ここPolygnyという町に集積されます。
Polygnyは、リヨンからブザンソンに向かう途中の停車駅。
朝早かったので、写真に靄がかかってしまいました。今回は下車しなかったので車窓からの一枚。
駅から中心地まで1km離れているのですが、コンテチーズ博物館があり、
チーズを作る過程が見れるそうですよ。 -
Polygnyの隣は、アルボア(Arbois)
ジュラワインの産地で有名なところ。
ここには、ブドウとワインの博物館があり、また
細菌学者パスツールの故郷で、パスツール博物館があります。
微生物の研究、ワクチンや低温殺菌法の発明、これらはワインの腐敗の研究がきっかけになったのだそうです。
それから、牛や馬としか出会わないような田舎町だというのに、
ショコラのM.O.F.、イルサンジェーのパティスリーもあります。
100年以上続く老舗なのだそうですよ。 -
アルボアの近辺は、フランスの美しい村もいくつかあり、
ぜひ、車でゆっくりと訪れたいところです。
小さな町を抜けると、あたり一面ぶどう畑。
ジュラワインの中でも、黄色いワイン(Vin Jaunes(ヴァン・ジョーヌ))が特殊で有名。、
シェリー酒に似た作り方をするのだそうです。
フランス語の単語で、色はお菓子の名前についているので、いくつかわかるのですが
赤はルージュRouge、黒 Noir、白はブラン Blanc
そして黄色はジョーヌJaune、 これはヴァン・ジョーヌで覚えました。 -
パレ・グランヴェル(PALAIS GRANVELLE)
palaisは、宮殿
フランス観光開発機構のサイトによると、
「16世紀の邸宅で、3層からなる正面の壁や、屋根の切妻、彫刻の施された巨大な屋根窓などが特徴的。
初期ルネサンス、イタリアのトスカーナ様式、イオニア様式などが調和。」
とあります。
この建物内に、時の博物館(MUSEE DU TEMPS)があります。 -
ヴィクトル・ユーゴー広場
ブザンソンは、レ・ミゼラブルの作者ヴィクトル・ユーゴーの生まれた町
この広場から、GRANDE-RUEと呼ばれる大通りをゆっくり登っていくと、
黒の門。 -
ブザンソンの目抜きとおり、グランドリュ
歩行者天国になっていて、ところどころの広場には、
移動遊園地の回転木馬があったり、市長舎があったり、教会があったり。
通りの奥には、ヴィクトルユーゴーの生家などもあります。 -
この小さな噴水、
名前もわからないのですが、、、グランド・リュを歩いているときに写したものです。
ところで、このブザンソンは、文豪スタンダールの「赤と黒」の舞台でもあるそうです。 -
Grand Rueを登り切ったところにあるノワール門
黒の門? といっても石は黒くないのだけれど・・
古代ローマ時代の2世紀に、皇帝マルクス・アウレリウスの戦勝記念に建てられた凱旋門なのだそうです。
普通の車も擦りそうになりながら通り抜け、私も何気なくくぐっていたけれど、
すごい遺跡だったことに今頃気づく。
そういえば、すぐ近くの公園に、ローマ時代の列柱が無造作に並んでいたような。 -
グランビルの終点、門をくぐったところにあるサン・ジャン大聖堂
4世紀の大理石の祭壇「サン・ジャンのばら窓」があるそうで、
私は見逃してしまいました。残念!
実は、ここまで結構だらだら坂を上がってきて、
ちょっとくたびれていました。 -
サン・ジャン大聖堂の裏にある天文時計。
19世紀の時計で、今でも1日に数回、人形が登場するのだそうですよ。
スイスにも近いブザンソンは時計の町で有名。
精密機械産業で栄えてきました。 -
ブザンソンの市内は、こんなかわいい電気トラムが走っています。
そういえば京都も、嵐電とか京福とか、路面電車が走っていたな。。。 -
今回の鉄道旅行では立ち寄れませんでしたが、
以前、このあたりをレンタカーで訪れたときに立ち寄ったアル・ケ・スナンの王立製塩所。
リヨンからブザンソンに向かう、少し手前に位置します。
建築家クロード・ニコラ・ルドゥが手がけた施設で、食住接近、都市計画まで視野に入れた点が評価され、世界遺産に登録されています。 -
ジュラは地下に岩塩の鉱脈があり18世紀は製塩業で栄えたそうです。
写真のような広大な敷地に新しい町を作り、製塩所、所長宅、礼拝堂、労働者を住まわせるような、直径 370 m の壮大な円形の都市を計画していたそうですが、
資金難で、計画見直しとなり半円となり、アルク村とスナン村の間に工事が進められました。 -
完成後、しばらく操業していましたが、、
不純物が多い、生産効率も期待通り伸びないなど、いくつかの理由で廃止に追い込まれ、一時は荒れる一方だったそうですが、
県の史跡として保存しようという動きがおこり、やがて、1982年に世界遺産として登録となったそうです。 -
世界遺産、といっても結構不便なところにあり、
この遺産だけがぽつんとあるような場所。
実際行ってみると、今に至る歴史などが実感され感慨深いものがありましたが、
相当な時間をかけてわざわざ足を運ぶとなると、ちょっと決断がいるところです。
私たちが訪れたのは、夏の太陽がじりじり地面を焼くような日の午後。
ただでさえ暑いのに、施設には日陰が少なく、写真にも陽炎とか蜃気楼が写るのではないか、と思うぐらい。
きれいに整備され再現された施設とは逆に、一時期、相当荒れてしまった当時の様子がなんだか脳裏によぎるようでした。 -
フランシュコンテ地方の中でも、
もうほとんどドイツとスイスの国境近くにあるロンシャンの礼拝堂(Chapelle Notre-Dame du Haut)
スイスの建築家、コルビジェの後期の作品です。
何度も世界遺産に推薦されているのだとか。2015年秋現在は登録なりません。 -
きのこのような前衛的な形ですが、
建物全体のダイナミックな造形にひるむことなく
落ち着いて、壁や窓を良く見ると、シンプルで、ミニマム。
窓の開け方に工夫があり、礼拝堂内部に入ると、いろいろなところから
いろいろな角度でふりそそぐ自然光が、とても厳かな雰囲気を作っています。
天井の曲線も、教会内部で仰ぎ見ると、神々しい感じ。
教会内部は撮影できなかったので、
今、一生懸命、映像化された記憶を呼び覚まして書いています。 -
礼拝堂全体の模型です。
丘の一番高いところ、奥に礼拝堂が建ち、
手前のグレーの箱は、施設の案内所や、説教所、修道院の建物群です。
丘の起伏を利用して、グレーの建物が配置されています。 -
薄グレーの建物の屋根はすべて芝生や雑木が植えられていて、
建物自体が、視覚に入らないようになっています。
最初、礼拝堂をめざして小道を登っていくとき、すぐ近くにあるこれらの建物に全く気付きませんでした。 -
最後に
鉄道でフランシュ・コンテ、ブザンソンを訪れるには、
TGVとTER(在来線)の2通りあります。
在来線の場合は、所要は、2時間半ほど。
リヨンのパール・デュー駅からTERのフランシュ・コンテ在来線で。
ローカル線なので、途中、コンテチーズの集積地Polygny駅や、ジュラワインで有名なArbois駅など、途中下車しても楽しいかもしれません。 -
ブザンソンには、SNCFの鉄道駅が2つあります。
主にTERが泊まるBesancon Viotte(ヴィオット)駅。古くからある駅です。
旧市街から川を隔てて、1kmほど離れた丘の上にあります。 -
TGVを利用する場合は、
Lyon Part-Dieu駅からBesançon-Franche-Comté TGV駅まで約2時間。 -
もうひとつは、2011年にできたばかりのTGV専用の駅です。
Viotte駅から10kmも離れた、野原の真ん中にぽつんとある駅です。
TGVの到着時刻にあわせて、Besancon Viotte駅から在来線がシャトルで運行しています。
トーマスクックの時刻表には見当たりませんでしたが、
シャトルがきちんと接続してくれていて何の不便もありませんでした。 -
BesanconのTGV専用の新駅です。
空港のような広々としたつくり。
Besanconは時計で有名なので、オブジェも歯車のデザイン。 -
この日は、ブザンソンからストラスブールへTGVで移動しました。
TGVはデュプレックス(2階建て) レイルパスを使って1等車を予約。
やや天井が低いのですが、腰かけてしまえば何の問題もありません。
幅は広々として、奥行きもゆったりとした布製のソファ。リクライニングも十分。
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