Brocken

2007/10/18 - 2007/10/29

ゲーテの「ファウスト」に出てくる「ヴァルプルギス」の夜、魔女がこの地に集まるという魔女伝説の地。旧東独時代は露西亜軍事基地や秘密警察の施設があって、一般の人達は立入禁止だったそうだ。

エリア ヴェルニゲローデ(ドイツ)

• 同行者: 一人旅
• 航空会社: ルフトハンザドイツ航空

Harzer Schmalspur Bahn：ハルツ狭軌鉄道

昔懐かしい「厚紙」の切符　

ブロッケン山頂　往復２４オイロ

ウェルニゲローデ駅からブロッケン山頂駅へ、こんなＳＬが客車を引っ張って登って行く。

朝の始発の一番列車に乗ったのは１０人足らず、途中からは何人かが乗ってきた。

秋の森の中を走っていく。

この鉄道会社は25台の1950年代ＳＬを保有、最も古いものは1897年製のマレット型。
1972年以来　文化財として保護されている。

ハルツ狭軌鉄道は　ブロッケン線　セルケタール線　ハルツ横断線にわけられ、総全長132Ｋｍ　400の鉄橋　そして旧東独の鉄道としては唯一トンネルがある。年中無休。

Drei Annnen Hohne/ドライ・・アンネンホーネ駅

ここからの急勾配を「蒸気馬」と呼ばれる700馬力のＳＬの純粘着鉄道（歯車やそれに類するもの無しで走行）の為施設されている。

ドライ・アンネン・ホーネ駅

ここがブロッケン方面とノルトハウゼン・ノルト駅方面への分岐点。

この駅にあったバード・テーブル

カラ類がひっきりなしに出入りしていた。
柵に止まっているのは「Willow Tit/コガラ」
ぶら下がっているのはおそらく牛脂だろう。

屋根下にとまっているのは「Great Tit/シジュウカラ」

分岐点の駅だから停車時間がかなりある。プラットホームに降りてシャッターをきる。

孫と一緒にきたお爺さん、洋の東西を問わず自分の孫が一番可愛いんだ！！

別の列車をまつハイキング客。

帰途　列車が徐行したとき、相席の独逸人が　ここがかっての東西独逸の国境だったのだと教えてくれた。
大勢のハイキングをする人が登ってくる。晴天ならば少しぐらいの寒さは　いとわないらしい。

レトロな客車も又旅の楽しみ。相席の独逸人にシャッターを押して貰って。１人旅の時はどうしても自分が写らない、気を見て近くにいる人に御願いしてもらう事にしている。

ブロッケン山頂駅

駅を降りたらこの霧の世界、おそらく気温はマイナス。
多くもない列車をおりた客の中に魔女ならぬ千葉の「おばさま三人組」が。　向こうもこんなところで一人旅の親爺にあうとは思ってもいなかったろう！
なんでも昨日　ミュンヘンからヴェルニゲローデ迄はるばる鉄道で移動してきたそうだ。

早速霧の中でシャッターを御願い。

霧も30分程ですっかり消え失せ、素晴らしい青空が拡がった。凍てつく空気、広い山頂は雪と氷の冬景色。

左・ホテル　中・テレビ等　右・ブロッケン博物館

ハイネもこの地を訪れ、「ハルツ紀行」を書いた。

照る日の光ほの紅く
はやひんがしはおけそめぬ
きりの深海にただよえる
山のいただきをちこちに

七里の靴をわれもたば
風のはやさにはしらなん
やま又やまのみねこえて
はしき君ますすみかへと。

いもがうまいの臥床より
やをらとばりを引きはらひ
かろく接吻（キスせんその額（ぬか）を、
ルビーに似たるその唇（くち）を。

さてひめやかにささやかん
小百合の花の耳もとに、
夢にも想へかたみにおもふ
ふたりの愛はとはに変わじと。

内藤　匡訳　岩波文庫　昭和９年

ゲーテの記念碑

魔女達の合唱

ブロッケン山へ魔女のお出まし、
刈株は黄色く、芽ばえはみどり。
そこへわんさと集まってくる、
ウリアン様が采配役。
木の根も岩もとっとと越えて
魔女は屁をこく、牡山羊はくさい。

道はひろびろ、まだ先や長い、
なんでもみあう馬鹿がいる？
火かきはくっつく、箒はひっかく、
腹の子ぺしゃんこ、おふくろパンク。

風は黙し、星はかくれ、
曇り月はすぐ消えたがる。
魔の合唱がざわめきたてば
千万（ちよろず）の火花　空高く散りて舞う。

箒に乗るのさ、杖にも乗るのさ、
火かきにも乗る、牡山羊もよろし。
今日び　登って来れない奴は
いつでもたってもダメ男。

ファウスト　山下　肇訳　潮出版社

帰りの汽車が登ってきた。

気象観測所

1142Ｍしかない山ではあるが、この冬景色！！
岩のごつごつしたあたりが魔女の祭壇か？

独逸の山は穏やかな山並みである。

はるか向こうに　ハイネが出発したゲッチンゲンがあるはず。