福岡 北九州 八幡製鐵所跡(Ruins of Yahata Steel Works,Kitakyusyu,Fukuoka,Japan)

2023/04/08 - 2023/04/08

2023年4月8日(土)、鹿児島本線八幡駅17:36発の電車に乗り、1駅先のスペースワールド駅へ。2分ほどで到着。スペースワールド駅は1999年に開業した新しい駅。駅名は当時あったテーマパークの「スペースワールド」から付けられた。

鹿児島本線の小倉・黒崎間は九州鉄道により1891年(明治24年)に開通したが、現在の経路ではなく、当時幹線道路であった長崎街道にほぼ並行する形で内陸部を通る経路だった。1902年(明治35年)に戸畑駅を経由する現在の海沿いのルートに変更されたが、スペースワールド駅の両隣りの枝光・八幡間は1897年(明治30年)に官営製鐵所として開庁した八幡製鐵所工場敷地を迂回していた。

しかし、その後1970年に八幡製鐵は富士製鐵が合併し新日本製鐵となり、戸畑地区への集約や君津や富津への移転が行われ、1979年には八幡地区の製鋼設備はすべて休止され、枝光駅の南から八幡駅の東までの広大な土地が遊休地となる。その有効活用として、枝光駅の南側に、1990年に宇宙をテーマにしたスペースワールド(SPACE WORLD)が開園した。

1999年、東田地区基盤整備事業に伴って、スペースワールドの北西側に、枝光・八幡間をショートカットする高架の新線が建設され、旧製鐵所敷地の西側から南側を大回りしていた旧線は廃止された。また、それに伴いスペースワールドの南西角に近い位置にスペースワールドへの最寄駅として、このスペースワールド駅が新設された。

2017年いっぱいでスペースワールドは閉園したが、JR九州は「地元自治体(北九州市)などから駅名改称の要望は出ていない」として、閉園後も駅名は変更せず、検討もされていない。

12両編成対応の島式ホーム2面4線を有する2階建ての高架駅。枝光側の1階に改札口がある。防風対策としてガラスのスクリーンを設けている。付近に残る東田第一高炉をイメージして駅舎の床・壁は煉瓦で構成され、側壁はスチール製となっている。海側に複線の貨物線が通るが、信号等は設置されていない。

駅の南西には東田第一高炉史跡広場がある。1901年に操業を開始した官営八幡製鐵所の第一高炉一帯を公園として整備したもの。1962年の火入れから1972年まで使用された第10次改修高炉が保存されている。

内部の見学が可能なのだが、開園時間が朝9時から夕方5時までで入ることは出来ず、駅の南にあるスポーツ用品店のスポーツデポの駐車場から見上げた。なお、現在(2025年11月)は一部に危険個所があるため公園自体が閉鎖されている。

操業開始の年である「1901」のプレートが架かる塔が、鉄鉱石から銑鉄を作る高炉本体で、その上部から伸びているパイプで繋がってるのが発生したガスからダストを除去する除塵器。隣の白い塔と煙突は高炉に送り込む熱風を作る熱風炉。鹿児島本線の旧線は、この高炉のさらに南を通っていた。

駅前広場に戻り、東に進み、歩道橋を渡るとスペースワールドの西側のエントランスだったところ。現在はスペースLABOと呼ばれる北九州市科学館の入口になっている。2022年に、1960年から八幡東区の東端の桃園にあった北九州市立児童文化科学館の後継としてオープンした。

愛称は公募で決定したもので、「スペース」は新科学館の核となるプラネタリウムと繋がる「宇宙(スペース)」やスペースワールドの跡地であることを意味し、実験室を意味する「LABO」と組み合わせて、体験・体感する場所(スペース)であることを表現している。

東田第一高炉史跡広場の南側に別館のANNEXがあり、科学館主催の講演会やワークショップの会場として使われているが、その館内には八幡製鐵所に関するガイダンスセンターがある。

その北側には、スペースワールド跡地の大部分を駐車場と共に占めるTHE OUTLETS KITAKYUSHU(ジ・アウトレット北九州)。2022年開業。敷地面積27万平方m、延床面積5万7千平方mで、店舗数は約140。南側の道を挟んであるスペースワールド時代の2006年からあるイオンモール八幡東と連結ブリッジで行き来可能となっている。イオンモールの運営で、同社のアウトレットモール業態である「THE OUTLETS」の2号店(1号店は広島市の「西風新都グリーンフォートそらの」に、3号店は神奈川県平塚市の「ツインシティ大神」にある)。

アウトレットの前に皿倉山ケーブルカーのシャトルバスが止まっていた。あとで調べたら、八幡駅行と同じ時間にこのアウトレット行の便があった(現在(2025年秋)はこの便はないようだ)。駅からここまでけっこう遠かったし、そっちに乗った方が良かったと思ったが遅い・・・

ちょうどアウトレットの中央辺りの西側の駐車場入口の横にある歩道橋で道路を線路側に渡って、そこから地下道で線路を潜ると官営八幡製鐵所旧本事務所眺望スペースへの入口がある。

2015年に世界遺産の「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として登録された構成資産には、八幡製鐵所の4資産が含まれているが、そのうちの3つがこの地区にある。線路の北側、洞海湾の入江との間に日本製鉄九州製鉄所として残る中にある旧本事務所、修繕工場と旧鍛冶工場。

修繕工場は現在も稼働中で、旧鍛冶工場は資料を保管する史料室となっており、共に見学は不可で、旧本事務所も特別公開を除いて公開されていないが、2015年に線路沿いに眺望スペースが設けられ、遠景を見ることが可能となった(入場無料)。

ただし、週1回の閉場日(基本は月曜)以外の朝9時半から夕方5時までで4時半までに入場と云うことで、それは分かってて、もしかしたらそれでも何か見えるかもと思って行ったのだが、全くダメだった(下の写真)。残念・・・

どんなものか書いておくと、1899年に建設された赤煉瓦組積造の建物。当時としてはモダンな建築物で、構造は赤レンガ組みの2階建、延床面積が約310坪、長さ33m、スパン15m、軒高10.38m。左右対称のデザインで中央にはドームがあり、天井の梁は洋小屋組構造を採用し、屋根は和瓦葺、外壁の赤レンガはイギリス式のレンガ積となっている。

事務所内は長官室、顧問技師室、技監室、主計室などがあり、製鐵所の中枢を担っていた。1922年に新事務所が完成してからは、研究室として利用され、老朽化のため現在は資料館として残されている。
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駅に戻り、小倉に戻るが、続く

エリア 戸畑・八幡・黒崎(福岡)

眺望スペース入口