東京 千代田区 霞が関(続)(Kasumigaseki,Chiyoda,Tokyo,Japan)

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2022年5月19日(木)11時10分頃、法務省旧本館赤れんが棟から桜田通りを戻ると、隣(西側)には東京高等裁判所がある。1875年(明治8年)に設置された東京上等裁判所を前身とする日本の高等裁判所の一つで、関東地方および中部地方東部1都10県を管轄している。同じ建物には東京地方裁判所本庁と東京簡易裁判所(刑事部のみ)も入っている。

江戸末期には備中松山藩板倉家上屋敷が置かれていた場所。板倉家は大岡越前のモデルとなった名奉行板倉勝重を輩出した家で、多くの裁きを下した。1875年(明治8年)に最高裁判所の前身とも云える大審院が置かれ、戦後は1974年まで最高裁判所庁舎として使われた。現在の建物は1983年竣工で、高さ92m、地上19階、塔屋1階、地下3階。内部に設置された法廷の数は150を超える。

桜田通りをさらに南に進み、降りてきた霞が関坂を過ぎると右手(西側)に外務省。日本の外交を所管する省。1869年(明治2年)に設置され、改称せずに現存する日本最古の行政機関。1869年にわずか4ヶ月しか存在しなかった立法諮問機関である公議所のメンバーであった下総国佐倉藩の漢学者、依田学海が提案した名前の一つ。

江戸末期には福岡藩黒田家上屋敷があったところで、1870年(明治3年)にその屋敷に外務省が置かれ、以来ずっとこの場所にある。初代の庁舎は1877年(明治10年)に火災で焼失し、1881年(明治14年)に洋風の新庁舎が完成したが、関東大震災で焼失した。現在は口型に配置された、1960年完成の北庁舎、1970年完成の中央庁舎と南庁舎、1995年完成の新庁舎から成っている。北側の新庁舎のみ地上7階、地下3階で、あとは地上8階、地下1階。

そのまま潮見坂を過ぎると右手は財務省。健全財政の確保、公平な課税の実現、国庫の管理、税関業務の運営、通貨に対する信頼の維持等を所管している。2001年に大蔵省を改編改称して発足した。英語表記(Ministry of Finance)の略称のMOFからモフと呼ばれることもある。

江戸末期には丹後宮津藩松平(本庄)家上屋敷や河内丹南藩高木家上屋敷などがあった場所。維新後は官収され、ロシア大使館及びイタリア公使館が建っていた。1943年(昭和18年)に、この両館の移転跡地と岩倉邸跡地の一部に現在の財務省庁舎が建てられた。6階建てのレトロな庁舎で、戦後には一時米軍将校の宿舎としても使われていた。

財務省を過ぎて右折すると三年坂。現在は首都高4号線が走る道まで真っ直ぐ続いているが、1964年頃までは坂の上部は二段三段と曲折しており、栄螺尻(さざえじり)と呼ばれていた。

三年坂と云う名は、他の同じ名の坂と同様に「その坂で転んだものはすぐにその土を三度なめないと三年以内に死ぬ」という迷信から来ている。これらの坂は一般的に寺や墓地の近くにあり、江戸期の霞が関周辺は大名屋敷でぎっしりと埋まっているが、徳川入府以前のこの辺りは大寺院や墓地が占めていたようだ。

三年坂への入口に建つのが旧文部省庁舎。1933年(昭和8年)に建てられた建物の一部を保存したもので、保存棟とも呼ばれ、文化庁と文部科学省の一部の機関が入居している。地上6階建てで、国の登録有形文化財。かっこいい建物。

その後ろに建つ高層ビルが中央合同庁舎第7号館東館。主に文部科学省と会計検査院が入居している。文部科学省は教育、学術、スポーツ、文化および科学技術の振興、宗教事務等を所管する機関で、2001年に文部省と科学技術庁を統合して発足。

会計検査院は国・政府関係機関の決算、独立行政法人等の会計、国が財政援助する地方公共団体の会計などの検査を行い、決算検査報告を作成することを主要な任務とする機関。内閣から完全に独立して存在する唯一の行政機関。1880年(明治13年)に設置された、外務省に次いで改称せず現存する2番目に古い国家機関。

この場所は江戸末期には日向延岡藩内藤家上屋敷があった。明治期には工部省・工部大学校(現在の東京大学工学部)が置かれていたが、1933年(昭和8年)に文部省が、1935年に
会計検査院が建てられた。現在の第7号館東館は、高さ156.67mで地上33階、塔屋1階、地下2階。

旧文部省庁舎と中央合同庁舎第7号館東館は中央合同庁舎第7号館西館、アネックス(霞が関コモンゲートアネックス)と共に官民共同の「霞が関R7プロジェクト」により霞が関コモンゲートとして2007年に開発された。西館は下層部が官庁スペース(金融庁が入居)、上層部は民間床で霞が関コモンゲート西館とも呼ばれる。

第7号館東館の先を左手(南側)に曲がるとその先に霞が関ビルディングがある。我々の世代には「超高層のあけぼの」で知られた日本初の初の超高層ビルで、前述のように霞が関で唯一来たことがあるところ。「超高層のあけぼの」は1969年公開の映画で、霞が関ビルの建設を描いている。池部良主演。中2の時に授業(?)で見たわ。

ここも日向延岡藩内藤家上屋敷跡で、工部省・工部大学校を経て、1927年(昭和2年)に華族会館(後の霞会館)が建てられた。霞が関ビルは1968年竣工で、約2年後に浜松町の世界貿易センタービルディングが竣工するまで日本最高度の建築物だった。高さ147mで、地上36階、塔屋3階、地下3階でオフィスと商業設備に使われている。

霞が関ビルの南の道を回り込んで桜田通りに戻り、財務省方向に戻って行くと財務省の向かいに経済産業省。日本の経済および産業の発展ならびに鉱物資源およびエネルギー資源の供給に関する行政を所管する機関。2001年に通商産業省を改組及び改称する形で設置された。

江戸末期には美作勝山藩三浦家上屋敷があった。桜田通り沿いに建つのは本館。1984年竣工で、地上18階、地下3階。東の愛宕下通り沿いに建つ、1973年に竣工した別館が、本館が竣工するまで本庁舎として使用されていた。

そのまま桜田通りを北に歩くと、外務省の向かいにブロックに中央合同庁舎第1号館と中央合同庁舎第5号館。第1号館が桜田通り沿いに、第5号館が日比谷公園側の愛宕下通り沿いに建つ。第1号館には農林水産省が、第5号館には厚生労働省、環境省が入る。

農林水産省は日本の食料の安定供給、農林水産業の発展、森林保全、水産資源の管理等を所管している。1978年に農林省から改称。

厚生労働省は、日本の健康、医療、福祉、介護、雇用、労働、および年金に関する行政ならびに復員、戦没者遺族等の援護、旧陸軍、海軍の残務整理を所管している。2001年に厚生省と労働省を統合して誕生。

環境省は日本の環境の保全・整備、公害の防止、原子力安全政策を所管。2001年に環境庁を改組し設置された。

江戸末期には桜田通り側に陸奥相馬中村藩相馬家上屋敷と横須賀藩西尾家上屋敷が、愛宕下通り側に出羽山形藩主水野家上屋敷、常陸下館藩石川家上屋敷があった。明治に入り、1894年(明治27年)に海軍省及び軍令部が置かれた。

第1号館は1954年に竣工した地上8階・地下1階の建物。第5号館は1983年竣工の、霞が関中央官庁地区で初めての超高層庁舎。高さ111.2mで地上26階、地下3階建て。
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この他、総務省の西側に中央合同庁舎第3号館(国土交通省)、財務省の西側に中央合同庁舎第4号館(内閣府、消費者庁など)、永田町の総理公邸の東に中央合同庁舎第8号館(内閣官房など)がある。


日比谷公園に進むが、続く