東京 千代田区 霞が関(Kasumigaseki,Chiyoda,Tokyo,Japan)

2022/05/19 - 2022/05/19

2022年5月19日(木)10時50分頃、国会議事堂前の国会前庭から霞が関に進む。霞ヶ関は歩いてきた永田町・隼町とともに日本の首都機能を担う場所で、特に省庁やそこに勤める官僚の代名詞となっている。

皇居の南に位置し、日比谷公園を東に接する。東が内幸町(日比谷)、南が虎ノ門、西が永田町。永田町が海抜20m前後の高台で、日比谷は海抜1m前後の低地であるため、西から東に向かって緩やかに傾斜している。

霞が関(霞ヶ関)の名は古代までさかのぼり、日本武尊(ヤマトタケル)が蝦夷の襲撃に備えて武蔵国に置いた関所「霞ヶ関」から名付けられた(他説もある)。関所から雲霞を隔てた遠方を望むことが出来るところと云う意味。

ただし、霞ヶ関がどこだったかは明確になっていない。
https://4travel.jp/travelogue/11796720

江戸時代の地図にはここを「霞ヶ関」と記したものもあり、大名屋敷が建ち並ぶ地域だった。江戸城桜田門のすぐ南に位置し、本丸に近いにも関わらず、上杉家や浅野家などの外様大名の屋敷も置かれていた。桜田門の外なので外桜田とも呼ばれる。

明治維新後の1870年(明治3年)に福岡藩屋敷に外務省が置かれたことをきっかけに官庁集中計画が持ち上がり大規模な都市計画が立てられた。1896年(明治29年)に大審院と司法省が完成し、現在の形に近いものとなった。

戦後は米軍施設が存在していた時期もあったが、都内に分散していた官公庁施設を霞が関周辺に集積する計画が立てられ、1954年に農林省霞ヶ関合同庁舎(現中央合同庁舎第1号館)が完成。現在は各省庁舎や合同庁舎などの国の行政・司法機関が集中している。

昔、後ほど回る霞が関ビルディングに取引先の事務所があったので、何度か訪問したことがあるが、その他は全く縁がなかったわ。それ以外ではほとんど歩いたこともなかった。

国会議事堂と国会前庭間の道を南に下がって茱萸坂と潮見坂の間の交差点に出る(下の写真)。茱萸坂は国会議事堂の項で記述済。潮見坂は日比谷公園の南脇まで下る坂で、中世の頃までは日比谷公園辺りが渚だったので、この名が付けられたと云われる。

潮見坂には進まず、左手の首都高の霞が関出入口方向に進み、潮見坂の1本北の坂に入る。この坂は霞が関坂と呼ばれ、この辺りに上述の関所が置かれていたと云われることから名付けられた。坂を下りて、桜田通りとの交差点を左に曲がったところに霞が関跡の標識も建てられている。

降りていく途中、右手(西側)の外務省の敷地内に陸奥宗光の銅像がある。明治初期に外相として不平等条約改正や日清戦争等の難局に果たした業績を讃え、1907年(明治40年)に建てられたもの。1943年(昭和18年)に戦時金属回収により供出されたが、改めて没後70周年に当たる1966年に再建された。

陸奥宗光は江戸後期1844年生れの紀州藩士。幕末に脱藩して竜馬の海援隊に加わる。維新後、外務大丞、元老院議官、駐米公使、農商務大臣などを歴任、1892年(明治25年)に第2次伊藤博文内閣の外務大臣となり、「陸奥外交」と呼ばれる大きな成果をあげた。ドラマなどでいろいろな方が演じているが、私には2010年に平岡祐太が演じたNHK大河「龍馬伝」のイメージが強い。

霞が関跡の標識がある霞が関一丁目の交差点を桜田通りに左折する。桜田通りは日本の大動脈で東京から大阪を東海道経由で結ぶ国道1号線の一部で、すぐ北の桜田門交差点から虎ノ門から赤羽橋、三田、白金高輪、高輪台を経由して五反田駅南西の西五反田一丁目交差点までを約7kmを結ぶ通りの通称。1964年の東京オリンピック開催を控えて東京都が設定した。

江戸以前から存在する古道で、東海道が整備されるまでは江戸から西へ小田原街道、中原街道の一部だった。名前は通りの始まりの桜田門から取られたと思われる。虎ノ門方向を見ると、正面に建築中の高層ビルが。

虎ノ門ヒルズステーションタワーでこの翌年の2023年に竣工した。高さ266m、地上49階、地下4階で、ホテル虎ノ門ヒルズの他、オフィス、商業施設、イベントホールなどの複合施設「TOKYO NODE」が入る。森タワー、ビジネスタワー、レジデンシャルタワーと共に虎ノ門ヒルズを構成している。

左折すると左手に中央合同庁舎第2号館。旧内務省系の総務省・警察庁が主に入居しており、総務省が過半数のフロアを使用している。総務省は2001年に総務庁、郵政省、自治省が統合され設置された省。行政組織、地方自治、地方公務員制度、選挙、政治資金、情報通信、郵便、統計、消防など国家の基本的諸制度を所管している。

この場所は江戸末期には広島藩浅野家上屋敷だったところの一部。明治に入り陸軍用地になり、1915年(大正4年)に内務大臣官邸が建てられ、1933年(昭和8年)に旧内務省の庁舎として合同庁舎第二号館(通称人事院ビル)が建てられた。現在の建物は2000年に建て直されたもので、高さ99.6m、地上21階、塔屋1階、地下4階で、屋上の鉄塔には中央防災無線・警察無線・消防無線のアンテナが設置されている。

その先、桜田門に一番近いところにあるのが警視庁本部庁舎。テレビや映画でお馴染みのいわゆる「桜田門」。首都である東京都を管轄する警察本部。警視庁と云う名は、川路利良がフランスの警察制度を参考に日本の警察制度を確立したので、フランス語を語源としている。東京だけ警視庁と呼ぶのは首都を管轄すると云うことで、内務省の直轄だった名残。

ここは江戸末期には大分杵築藩松平家上屋敷と美濃大垣新田藩戸田家上屋敷があった。明治に入り陸軍用地になり、1931年(昭和6年)に旧庁舎が建てられたものを1980年に建て直した。高さ83.5m、地上18階、塔屋2階、地下4階で、屋上には約40mの警察専用通信網のマイクロ波アンテナがある。

道の向かい側は法務省関連の敷地だが、法務省本省は1本東の愛宕下通り側の中央合同庁舎第6号館(A棟、B棟及びC棟)のA棟に入っており、桜田通り側には法務省旧本館(赤れんが棟)がある。法務省の施設等機関である法務総合研究所などが入っている。

江戸末期には米沢藩上杉家桜田上屋敷(江戸藩邸)があったところで、現在の建物は1895年(明治28年)に旧司法省庁舎として竣工した。関東大震災も東京大空襲も乗り越え、戦後改修されて1950年(昭和25年)から法務府庁舎(2年後には法務省本館)として使用されたが1990年に第6号館に移った。地上3階建てのドイツ・ネオバロック様式の歴史主義建築で、1994年の改修工事で創建時の外観を取り戻し、国の重文に指定された。
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後半に続く

エリア 霞ヶ関・永田町(東京)

財務省上交差点北東方向