2022/04/30 - 2022/05/08
1005位(同エリア1345件中)
RiEさん
旅行2日目、後編。
飯盛山の観光を終えたタイミングで降り出した小雨は次第に強くなっていき、大粒になって風が出て肌寒さに拍車をかける。
歩けそうな距離だったのでHOTELに車を置いて、一昨日鶴ヶ城公園に熊が出没して大騒ぎになったばかりの“鶴ヶ城“に行ってみると、天候が悪いにもかかわらず天守閣には行列ができる程並んでいたので、今回は外観だけ眺めてUターンした。
雨脚は強くなる一方だったので、HOTELから徒歩圏にある野口英世青春通り沿いに建つ…大正時代の豪勢な商家の風情を今に残す“福西本店”と、野口英世が医師になるキッカケとなった火傷治療をした病院の建物を利用した“野口英世青春館”を訪れ、会津若松最後の夜を締めくくった。
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- レンタカー 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
HOTELからゆっくり歩いて片道20分強なので、シトシト雨が降るなか徒歩で鶴ヶ城を目指してみたけど、鶴ヶ城からまっすぐ伸びる国道118号線を歩いている人は皆無だった。
旅行出発前日の4月29日に鶴ヶ城公園に体長1m程の熊が出没して、5時間余り周辺の立ち入りが出来なかったため、鶴ヶ城も封鎖されたそう。
後で福西本店を訪れた際に案内担当の人から「熊が鶴ヶ城まで来るなんて今まで無かった」と「たぶん川を伝って下りてきたと思う」と話してくれたけど、鶴ヶ城周辺は住宅街で道路も広いから実際に周辺を歩いてみるとよく分かる。
鶴ヶ城は、前身ともいえる東黒川館を1384年に葦名直盛が築いたのがはじまりと言われ、現在の城とその城下町は蒲生氏郷時代にその基礎が造られ、加藤嘉明・明成により現在の姿となったそう。鶴ヶ城 (若松城、鶴ヶ城城址公園) 名所・史跡
-
鶴ヶ城の天守閣を見ながら緩やかな坂道を進んでいく。
雨脚が強すぎてカメラのレンズが濡れてしまうので、iPhone12ProMaxで撮影したものの、風で傘が不安定になり不便だった。鶴ヶ城 (若松城、鶴ヶ城城址公園) 名所・史跡
-
今年は4月の気温差が激しくて最高気温が30℃近く上昇する日もあれば、冬に戻ったかのように最高気温が10℃も届かない日もあったため、東北のソメイヨシノは既に散ってしまい、八重桜も葉桜になりつつあった。
鶴ヶ城 (若松城、鶴ヶ城城址公園) 名所・史跡
-
戊辰戦争では1か月にも及ぶ激しい攻防戦に耐えた名城としても知られており、1874年に取り壊されたものの1965年に再建され、2011年には赤瓦へのふき替えが完了して幕末当時の姿を再現している。
瓦が赤い理由は、会津のような豪雪地域では凍み割れ対策として、瓦を焼くときに表面にかけられる釉薬にひと工夫されており、瓦に水分が染み込まないよう鉄分入りの釉薬を施釉しているため、焼き上げたときに赤っぽくなる。
この角度からだとグレーの瓦に見えるから、表紙写真の方が小豆色を思わせる色で分かりやすいかも…ちなみに、鶴ヶ城は現存する天守閣で国内唯一の赤瓦の天守。鶴ヶ城 (若松城、鶴ヶ城城址公園) 名所・史跡
-
鶴ヶ城内にある“鶴ヶ城稲荷神社”は、城がつくられた当初から守護神として祀られていたと伝えられており、稲荷大神を祀っている神社として有名。
鶴ヶ城 稲荷神社 寺・神社・教会
-
石造りの鳥居をくぐると、編み笠とほっかむり姿をした狛犬ならぬ…狛狐が参道の階段の両脇に3対配置されていて、狐の足元には子狐がいたり、宝珠・巻物・米俵・稲・鍵などが置いてあって、雨でじっくりカメラを構えられないのが残念だった。
HOTELへ戻るため来た道を歩いていると、風の向きもあると思うけど往路より寒いし、大通り沿いの歩道がずっとタイル敷だったため足に負担が掛かり、足底筋膜炎と正月の京都旅行で発症したモートン病の痛みで足がなかなか進まず、レンタカーを使わなかったことを後悔した。鶴ヶ城 稲荷神社 寺・神社・教会
-
ランチを済ませた後は野口英世青春通り沿いにHOTELから歩いて約3分、黒い外観が印象的な“福西本店”へ。
19世紀後半から20世紀前半に栄えた大商家:福西家が、100年ほど前に建てた蔵と商家建築で、現在も店舗を構える店蔵・仏間蔵・炭蔵の3棟の蔵の外壁は一般的な白漆喰塗ではなく高度な技術を要する黒漆喰塗を用いており、2階窓は銅板張の両開きになっているお陰で重厚な雰囲気を醸し出している。福西本店 名所・史跡
-
店蔵は品物を取り扱う商売の場所で、現在は「会津に百年続くもの・会津で百年残したいもの」をテーマに、会津の民芸品・郷土の食材・加工品などを取り扱うセレクトショップになっている。
福西本店 名所・史跡
-
歴代の福西家は商人として活躍しており、綿から始まった家業が明治時代には様々な物産を扱う問屋業に加えて味噌・醤油・漆器などに手広く商売を拡げ、9代目当主の時代には会津銀行の頭取に就任し、鉄道や電力会社の設立に参加して大株主になるなど、会津を代表する大商人となったそう。
店蔵の脇から通路が伸びているので奥に進んでいくと…福西本店 名所・史跡
-
福西本店の建物内部は一般公開されているので、母屋入口から入って見学させてもらう。
福西本店 名所・史跡
-
入場料は大人1人:300円で、パンフレットを見ると入り組んだ造りをしているのがわかる。
福西本店 名所・史跡
-
レトロなシューズロッカーに靴を入れて見学スタート。
館内は自由に撮影することができるようになっており、スタッフの手が空いていれば歴史や建物の造りについて説明してもらえる。福西本店 名所・史跡
-
オレンジ色の温かい光と艶々に輝く廊下。
福西本店 名所・史跡
-
【数寄屋】
まず最初に向かったのは、建物の東にしつらえられた庭に面した部屋で客人が滞在する場所となる…10代目が1930年に造った最後の離れ。
ちなみに11代目の跡継ぎ夫婦が、新婚生活を過ごしたこともあるそう。福西本店 名所・史跡
-
6畳2間続きになっていて…
福西本店 名所・史跡
-
ガラス障子先の縁側は大きなガラス窓になっており、室内からも東の庭を望むことが出来る。
福西本店 名所・史跡
-
雨がしっとりと木々や苔を濡らして、庭園を艶やかに魅せていた。
福西本店 名所・史跡
-
階段は途中で折れ曲がる構造になっていて、2階へ続いている。
福西本店 名所・史跡
-
卵型をしたクラックガラスの照明が様々な場所に用いられていて、美しく柔らかな光を拡散し、壁の陰影も素敵だった。
福西本店 名所・史跡
-
2階は廊下で三方を囲うような造りになっていて、ひと1人が通れる幅しかない。
福西本店 名所・史跡
-
外に面しているガラス窓のフレームが面白い形をしていた。
福西本店 名所・史跡
-
2階は素朴な雰囲気。
福西本店 名所・史跡
-
階段が急なので注意を払いながら戻る。
使用人が住み込みながら布団づくりなどの作業をする場所だった【母屋蔵】は、展示販売会が行われていたのでパスして…福西本店 名所・史跡
-
座敷蔵横にある階段は立ち入れないけど、大きな窓が設けられて障子越しに明かりを取り込めるから明るい雰囲気だった。
福西本店 名所・史跡
-
【座敷蔵】
敷地の北辺中央に1886年頃建てられた約30畳の座敷蔵で、福西家の歴代当主が住んだ贅沢な造りをしており、ハレの蔵にあたる。
入口は黒漆喰塗のどっしりした両開き扉が出迎えてくれるのでインパクトがあった。福西本店 名所・史跡
-
1階は改修で1室になったけど元は3室に分かれていた。
福西本店 名所・史跡
-
入口隅に立つと、東西に延びた妙に奥行きがある部屋だとわかる。
福西本店 名所・史跡
-
床・棚・書院はもともと中室だった部屋に設けられており、床の間の装飾には黒柿という大変珍しい木が使われていて、格式の高い人を出迎えられるよう工夫されている。
福西本店 名所・史跡
-
入口反対側から見ると、左端に白い連続した襖が見えるけど実際に部屋は無く、奥行きを感じさせるための工夫なのだそう。
福西本店 名所・史跡
-
調度品も季節や行事に合わせたものが配置されているので、見どころが多い。
福西本店 名所・史跡
-
座敷蔵の黒漆喰塗両開き扉を出て母屋の1室に入ると…
福西本店 名所・史跡
-
ガラス戸の先に坪庭があり、左手側が母屋の廊下になっていて、向かいが仏間蔵にあたるので行こうとすると、この部屋を出て母屋の廊下をぐるっと周る必要があった。
福西本店の建物は、座敷蔵のように人を出迎えるようなハレの場と、プライベート空間にあたるケの場が交わらない動線になっているのが興味深い。福西本店 名所・史跡
-
【仏間蔵】
店蔵の北に建つ東西棟の6畳間。福西本店 名所・史跡
-
照明が控えめで線香の香りが漂う仏間蔵は独特の空気だけど、1907年頃に撮られたと言われている福西家の集合写真(左手側)が飾られていたり、向かい合うように7代目の妻:イネさんの肖像画が飾られており、小さな部屋に家族の歴史が詰まっている。
福西本店 名所・史跡
-
仏間蔵側の廊下から見た母屋。
一部しか映っていないので見にくいけど、坪庭の壁面は煉瓦壁になっていてモダンな雰囲気だった。
雨脚は一層強くなって、静かな空間に雨の打ち付ける音が大きく響いていた。福西本店 名所・史跡
-
母屋と店蔵の間にある急階段をのぼっていくと…
福西本店 名所・史跡
-
母屋2階に上がることが出来た。
母屋は一族が生活していた場所で、1階の雰囲気とは一転しプライベート感が強い雰囲気が漂う。福西本店 名所・史跡
-
矩折れに配置された部屋は2か所の襖で3部屋(10畳・12畳・10畳)に仕切ってあるけど、合わせると30畳以上の大広間になるので、11代当主の結婚式もハレの場にあたるこの大広間で催された。
ちなみに、美しい寄木細工飾り棚は1925年開催のパリ万博への出展品伝承がある。福西本店 名所・史跡
-
母屋の欄間は緻密な細工が施されており、専門職人が数ヶ月間泊まり込んで仕上げたそう。
福西本店 名所・史跡
-
福西家歴代当主が収集した書画骨董を鑑賞しながら隣室に向かうと…
福西本店 名所・史跡
-
1番奥の部屋の書院は廊下に面していて、透かし彫りの鳳凰が素晴らしかった。
福西本店 名所・史跡
-
書院に面した廊下を進むと1番奥に茶室がある。
豪奢な建物や調度品をじっくり鑑賞させてもらえるので、立ったり正座したりしながら様々な角度で世界観を堪能することができた。
1階へ降りるとこれから山形方面へ進む私たちのために、13代目の福西さんがこの時期でも見られる桜の名所を幾つも教えてくれた。
その後に店蔵の2階に上がってみると陶器の展示販売が行われていて、会津の作家の個展や地元アーティストの展示などに利用されているとのこと。福西本店 名所・史跡
-
外に出ると大粒の雨がザーザー降っていたけど、“野口英世青春館”は福西本店のすぐ隣なので、足元があまり濡れずに済んだ。
野口英世青春館 美術館・博物館
-
野口英世像もマスクをしている。
野口英世青春館 美術館・博物館
-
入場料は大人1人:200円で、1階の喫茶店脇から入って小窓から声を掛けると、喫茶店のスタッフが入場チケットを販売してくれた。
靴を脱ぎ幅の狭い廊下を進むと、突き当りに階段が現れるので2階へ上がる。野口英世青春館 美術館・博物館
-
ここは今なお残る旧会陽医院の建物で、野口英世が幼少の頃に左手に火傷を負って5本の指がこぶしを握るようにくっついてしまったため、恩師らの寄付金などにより高等小学校の時に手術を受けた病院。
こちらでやけどの瘢痕拘縮手術は3回行われ、2度目に受けた16歳の時に医師になる決断をした。
書生として3年間を過ごす中で、手術を担当してくれた渡辺先生から医学の基礎や語学を学び、上京して医師免許取得したものの、手術をしたとはいえ左手が不自由なために触診に苦戦したのと、医術を深く学びたいという思いから研究者の道へ進む。野口英世青春館 美術館・博物館
-
世界の野口英世博士の生い立ちや功績、ゆかりのある道具などが1室に展示されていて、展示物が多くて雑多な雰囲気が個人コレクターの部屋にお邪魔したように感じた。
野口英世青春館 美術館・博物館
-
父の日に送る義父への日本酒と、夫が楽しむ福島産の日本酒を求めて“渡辺宗太商店 会津酒楽館”へ。
地下のセラーで選んでもらったお酒はどれも好みだったらしく大好評だった。渡辺宗太商店 会津酒楽館 専門店
-
旅行3日目。
今日も和食を選んだけどハンバーグと焼き鮭でボリューム満点で美味しかった(から…と食べ過ぎて、昨日同様に14時を過ぎてもお腹が減らないのは困ったけど)。
今日は会津若松を離れて山形県へ移動する途中で、まずは蔵の街と呼ばれる喜多方の町並みを散策することに。
続きは04へ。中町フジグランドホテル 宿・ホテル
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
-
前の旅行記
葉桜がゆれる東北ロードトリップ in 新潟・福島・山形・宮城★2022 02 2日目【会津若松】
2022/04/30~
会津若松
-
次の旅行記
葉桜がゆれる東北ロードトリップ in 新潟・福島・山形・宮城★2022 04 3日目【会津若松⇒喜多方】
2022/04/30~
喜多方
-
葉桜がゆれる東北ロードトリップ in 新潟・福島・山形・宮城★2022 01 1日目【名古屋⇒新潟⇒会津坂下...
2022/04/30~
会津若松
-
葉桜がゆれる東北ロードトリップ in 新潟・福島・山形・宮城★2022 02 2日目【会津若松】
2022/04/30~
会津若松
-
葉桜がゆれる東北ロードトリップ in 新潟・福島・山形・宮城★2022 03 2日目【会津若松】
2022/04/30~
会津若松
-
葉桜がゆれる東北ロードトリップ in 新潟・福島・山形・宮城★2022 04 3日目【会津若松⇒喜多方】
2022/04/30~
喜多方
-
葉桜がゆれる東北ロードトリップ in 新潟・福島・山形・宮城★2022 05 3日目【米沢⇒高畠】
2022/04/30~
川西・高畠
-
葉桜がゆれる東北ロードトリップ in 新潟・福島・山形・宮城★2022 06 4日目【小国町⇒村上⇒鶴岡】
2022/04/30~
村上・岩船
-
葉桜がゆれる東北ロードトリップ in 新潟・福島・山形・宮城★2022 07 5日目【鶴岡】
2022/04/30~
鶴岡
-
葉桜がゆれる東北ロードトリップ in 新潟・福島・山形・宮城★2022 08 6日目【鶴岡⇔酒田・遊佐町】
2022/04/30~
酒田
-
葉桜がゆれる東北ロードトリップ in 新潟・福島・山形・宮城★2022 09 7日目【鶴岡】
2022/04/30~
鶴岡
-
葉桜がゆれる東北ロードトリップ in 新潟・福島・山形・宮城★2022 10 7日目【月山⇒寒河江】
2022/04/30~
寒河江・東根・月山
-
葉桜がゆれる東北ロードトリップ in 新潟・福島・山形・宮城★2022 11 7-8日目【山形】
2022/04/30~
山形市
-
葉桜がゆれる東北ロードトリップ in 新潟・福島・山形・宮城★2022 12 9日目【蔵王町⇒仙台⇒名古屋】
2022/04/30~
仙台
旅行記グループをもっと見る
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
この旅行で行ったホテル
この旅行で行ったスポット
もっと見る
会津若松(福島) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
旅行記グループ 葉桜がゆれる東北ロードトリップ in 新潟・福島・山形・宮城★2022
0
49