2021/11/20 - 2021/11/25
47位(同エリア167件中)
Decoさん
この旅行記のスケジュール
2021/11/20
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三池港展望所
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旧三池炭鉱専用鉄道敷(三池港エリア)
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三池港船渠岸壁
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旧三池海水浴場(三池港北防砂提付近)
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三池港あいあい広場
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三池港閘門
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この旅行記スケジュールを元に
大牟田・荒尾の近代化産業革命遺産をめぐる旅、(1)の大牟田市石炭産業科学館と三川坑を訪れたあと、三池港(世界遺産)に立ち寄りました。
また、日を改めて訪れ、同港で人気の「光の航路」撮影に挑みましたが、結果はいかに?
(2021/12/09公開、2021/12/26「旧長崎税関三池税関支署」2021/12/28「三池港光の航路」「三池島原ライン」が登録されたので、位置情報に追加)・
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- 家族旅行
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
PR
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三池炭鉱三川坑から三池港展望所へ。車で5分とかからない距離です。三川坑自体が三池港のすぐ横にあります。
写真はボランティアの方々の管理ハウスです。
すぐ横の駐車場に車を停めると、ボランティアの方から「”光の航路”の下調べですか?」声をかけられました。
光の航路? 実は何も知らないで来ましたが、三池港の水位を調整する開閉式の閘門部分の先にに夕陽が沈むそうで、写真好きの方の間では有名なのだそうです。一年のうち、わずかな期間しか見られず、たまたまその期間にあたりました。出店なども出て、10日間で3000人以上が訪れるそうです。三池港と光の航路 自然・景勝地
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展望所に「光の航路」の写真が展示されていました。
三池港は完全な人工の港。東西に長い航路が続きます。そこを夕陽が沈むわけで、これは美しそうですね。 -
説明板にあった写真です。三池港の形状がよくわかります。
ちょうどハミングバードのような美しい形状ですが、外海から南北の防砂提で守られた細長い航路(進入路)があり、内港があります。
その奥に、閘門で水位が調整される部分(=船渠)があります。
ちなみに、数字の「1」が閘門、「6」と「7」は、三井港倶楽部と三川坑です。
三池港は、三井炭鉱の石炭の積出港として三井鉱山により築港され、1908年に完成しました。遠浅の有明海で大型船が接岸できないため、パナマ運河のような閘門を設けた港を作りました。ほぼ完全な人工の港と言っても良いと思います。三池港の完成により、海外へ直接石炭を輸出できるようになりました。それまでは島原半島南端の口之津港まで小型船で運んで積み替えていました。
三池炭鉱関連の世界文化遺産(明治日本の近代化産業革命遺産の一部)は、明治期に開坑され多くの史跡が残る「宮原坑」と「万田坑」、積出港である「三池港」、それに輸送のための「三池炭鉱専用鉄道敷」が指定されています。石炭の採炭から輸送・輸出までが一つのパッケージとして認められたようです。 -
こちらも掲示板にあった写真です。
三池港の築港を指揮した三池炭鉱事務長を務めた団琢磨です。三池港のみならず、三池炭鉱そのものを近代化させた人物です。
石炭産業が衰えても、高い機能を持つ港湾を作っておけば、また新たな産業につながる…大牟田市、荒尾市、団琢磨の考えを継いで、また新たな産業を興していかなければなりません…と書くのは簡単ですが、なかなか大変だと思います。でも、やっぱり優れた先人が残した遺産を生かして欲しいと思います。 -
展望所から見た閘門部分です。
この展望所、それほど高い場所ではありませんが、港の形状が良くわかり、なかなか良い場所に造ったと感心。
背後には有明海沿岸道路があり、ここを利用したような感じもします。三池港と光の航路 自然・景勝地
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展望所から、三池港の内側を南下、5分とかからないうちに、旧長崎税関三池税関支署へ。
ここでもボランティアさんが丁寧に説明してくださいました。撮影ポイントも教えていただいて、サービス精神いっぱいの方でした。
三池港は、三井が築いた港。だから税関などは本来不要ですが、貿易のためには必要で誘致されたということです。
こちらも土日祝のみ公開です。三川坑も同様ですし、三池港付近の近代化産業革命遺産の史跡は、土日祝がおすすめです。旧長崎税関三池税関支署(世界遺産) 名所・史跡
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左側から撮影。洋風ではありますが、屋根の形などどこか和風の意匠も。和洋折衷建築ということです。
旧長崎税関三池税関支署は、明治40年の三池港開港と共に開庁、昭和40年まで使用されました。その後倉庫や港湾関係施設として使用されていましたが、大牟田市により開庁当時の姿に補修復元されて公開されています。
名称の「長崎税関」ですが、当時、九州沖縄と下関は長崎税関の管轄下にあったからだそうです。旧長崎税関三池税関支署(世界遺産) 名所・史跡
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建物の中に入ります。入口部分は、コンクリートの土間が左右に広く、この窓口で税関の手続きをしていたようです。
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事務室に入ります。まさに木造洋館の雰囲気。シャンデリアも復元されたアンティークなもの。
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シャンデリアが吊り下げられている部分。四人の女性の顔があります。凝ったデザイン(ガイドさんお勧めの撮影ポイントです)。
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建物を出て、背後に廻ります。こちらには昔は、「附属建物」があって、宿直室や炊事場、トイレがあったそうです。
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旧三池炭鉱専用鉄道の線路も残っていました。
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説明版です。
文章を読むと
(1) 最初期の坑である大浦坑と、これまた初期の積出港だった大牟田港(大牟田川河口)の間で開通。(*馬車鉄道であり、後の炭鉱鉄道とは別軌道です)
(2) 現在のJR鹿児島本線と結ばれる(*当初は宮浦坑と大牟田港を結んで開通)。
(3) 明治~昭和初期の主力坑だった、七浦・宮原坑から万田坑まで結ばれる。
(4) 三池港築港と共に万田坑方面から荒尾市内を通って三池港へ延伸。
しかし、各坑の閉鎖と共に徐々に使用されなくなります。説明版では最後は三井化学の工場とJRを結ぶ線が使用されているとありますが、2020年の5月で終了となっています。 -
旧長崎税関三池税関支署からは、閘門で水位調整された船渠の風景がよく見えます。ちょうど船が接岸していました。
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岸壁は石積です。明治の築港当時をしのばせます。
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旧長崎税関三池税関支署を出て、三池港の内港の北側に廻ります。
車で行きつく先は、内港と北防砂堤が接する場所。
ここからは、内港~船渠と防砂提に守られた細長い航路の両方を見ることができます。
こちらの写真は内港の北側方向。 -
こちらは南側方向。工場や発電所が見えます。
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イチオシ
有明海側の景色。
長い航路が細い北防砂提(右側)と南防砂提(左側)に守られて延びているのがわかります。また、北防砂提の右側は有明海です。
南防砂提の幅は広く、工場やメガソーラーも設置されています。
かつては石炭の積出港だった三池港も脱炭素の時代でしょうか。 -
北防砂提の手前の海岸線(有明海側)。はるか先には対岸の島原半島・雲仙も見えます。
ここはかつては海水浴場でした…が、高度成長期の頃は工場の排水で大牟田市の海は水質悪化、海水浴場として使われなくなったそうです。 -
三池港の北防砂提・旧海水浴場付近を後にして、内港の方へ戻ります。
内港と船渠の境のあたりにあるのが「三池港あいあい広場」。
*三池港展望所からあいあい広場に行く途中、かつては炭鉱の社宅があったそうです。私が福岡市で勤めていたときの同僚が大牟田の出身で幼い頃住んでいたということでした。売店などもあって、一つの町のようだったとか。
また、三池港が出来たころには、奄美諸島最南端・与論島から働きに来た方々が住んでいたそうです。台風で壊滅的な被害を受け、多くの方が島原半島の口之津港で石炭積み替え作業(三池炭鉱から小型船で運ばれた石炭を大型船に積み替える)に従事されていましたが、三池港開港と共に仕事がなくなり、三池炭鉱で働くことになったそうですが、会社からも地域社会からも差別を受け、賃金も半分だったということです。今でも大牟田市や荒尾市にはその子孫の方が居住されています。
そして、第二次大戦前には欧米系の捕虜収容所があったと聞いています。故なかにし礼さんの小説「てるてる坊主の照子さん」(NHK朝ドラの「てるてる家族」の原作)で、ヒロイン照子さん(=石田あゆみさんのお母さんがモデル)は大牟田の出身で、そのお父様は三池鉱山にお勤で海外出張も行かれいたので、幹部社員だったのかも知れません。また照子さんのご主人は戦時中は捕虜収容所で働いていて、捕虜の人たちに親切だったので、好かれいた…と小説には書かれていました。 -
お隣には島原行の高速船乗場があります。三池港管理出張所もこの建物に入っているようです。
三池島原ライン 乗り物
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高速船乗場の建物。古い建物ですが、中はきちんとしていました。段差も、後付けのスロープでカバーされていました。
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こちらは、あいあい広場から撮影した高速船乗場。内港北側の様子もよく見えます。
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あいあい広場からは、三池港の大型船の寄港を可能にしている閘門がよく見えました。
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ここで旅行記を終了の予定でしたが、前述のように三池港では年に2回・各10日間、夕陽が港の閘門を通り沈む光景が見られます。有明海から港へ入る「航路」と「内港」、そして水位調整をする「閘門」の間から一番奥の「船渠」へ、夕陽が一直線に照らします。
令和3年は11月25日が最終日でした。この日は晴天にも恵まれ、最後尾のチャンス。時間を作って訪れました。三池港と光の航路 自然・景勝地
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撮影チャンスの時間は日没前の15分程。この日は17時12分が日の入りでした。16時15分のオープンに合わせて三池港展望所へ。既に人が集まっています。
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コーヒーとフルーツサンドの出店も。
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光の航路の期間中は、時間にあわせて岸壁も開放されます。
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今日は晴れていますが、はたして無事撮影できるでしょうか。
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閘門付近をズームで撮影。
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順調に閘門の間に日が沈みそうですが、雲が見えてきました。
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なんと…雲に隠れてしまいました。
でも、これはこれで見応えのある風景。 -
港全体が、雲に反射した光で照らされます。
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刻一刻と、光と影は変化していきます。
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イチオシ
太陽の偉大さ、自然の美しさ。
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雲は燃えるが如く輝く、光と影のシンフォニー。
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もう、日も沈みかけ、完全な光の航路は見られない…そう思って帰りかけますが、最後まで諦めきれない…。岸壁に集まった人たち皆同じ思いのようです。
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太陽は完全に雲に隠れたか…と思ったら、閘門の右側部分が少し明るくなてきました。
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最後に少しだけ夕陽が見えました!
皆岸壁の前の方に集まります。
皆さん口々に、「完全な光の航路が見えたら、どんなにきれいでしょうね」とカメラやスマホで撮影しながら、声をかけあっていました。 -
今年の光の航路は今日で終わり。
さようなら三池港、さようなら光の航路。
また来るから、次は…。
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この旅行記へのコメント (2)
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- チーママ散歩さん 2021/12/10 23:07:47
- こんばんは
- Decoさん こんばんは
かぶりましたね~。
夕日♡つながりですよ。私も今日アップしました。
大変だったでしょうね。
寒かったでしょうね。
とても綺麗です。
そしてセツナイです。
どうしてくれようか・・・。
この乙女心。
出古乃進さんの回収に伺う予定でしたが。
今日もセツナイのでこのまま帰ります。
心を夕日に奪われました。
出直します。もう少しぶら下がっていてください。
- Decoさん からの返信 2021/12/11 18:28:26
- Re: こんばんは
- ちぃ殿
拙者にしては、かなり頑張った夕陽の写真じゃったが、ちぃ殿の一ツ眼電気写しに比べると、ちと分が悪いかの…いや急速に腕を上げられたちぃ殿の技ありじゃ。
夕陽が切ないと言うなら、もう二か月ぶら下がっておりワシはもっと切ないわい(涙)
それから、撮影した日は、11月にしては暖かったので助かったのじゃが、海辺は風が強くてやっぱり寒かった…。1月にも光の航路はあるらしいが、気温や天気と相談じゃな…
出古乃進
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