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《2020.December》あみんちゅなにげに関西街歩きの旅京都そのⅡ~北政所ねねの晩年・圓徳院編~<br /><br />圓徳院の拝観後、ねねの道を横切り高台寺参道である台所坂を登って行く。結構距離的にはあるものの傾斜が緩やかなために歩き易い。台所坂の両脇には赤黄緑の紅葉がライトアップされており非常に綺麗である。計算し尽くされた台所坂は、紅葉のトンネルを作り出しており、自撮りを含めた景色の撮影ポイントが随所にあった。<br /><br />台所坂を登り切り左方向へと進むと拝観受付があり、チケットを捥いで貰う。夜間拝観の立入可能区域は昼間とは異なっているために、許可されているエリアを進んで行く。偃月池手前付近では奥への立入禁止が定められているようだが、この界隈遺芳庵付近は人も少ない割にはライトアップされたモミジの本数も多く撮影には穴場である。<br /><br />偃月池を左手に眺めつつ歩くと工事中の書院に着く。どうやらここが小方丈になるようだ。書院から建物へと入り方丈へと向かう。撮影ポイントのひとつとされている〝方丈より波心庭を臨む景色〟だが昼間とは違う様相を呈していた。石庭部分にLEDが敷かれ、3D照明によるレンゲのライトアップのふたつが絶妙のタイミングで参拝者の目を楽しませていた。通常のライティングも素晴らしいものだが、ここまでやるか~?と感心したデモンストレーションだと私には思えた。<br /><br />順路に従い書院から出で偃月池に沿って歩く。池の向こう岸には開山堂と観月台が見えており、方丈横には高台寺庭園が広がっている。庭園を回り込むようにして中門を通り開山堂へと向かう。この際右手にある臥龍池には臥龍廊に加えて紅葉している木々がライトアップされた姿が水面に映っている。目で見るならば言葉を失うが、iPhone11Proのナイトモードを使って見るとそれなりにはカメラに収めることができた。しかしストロボを焚いてしまうと水面で光が乱反射してしまい、逆さ紅葉は見られない。<br /><br />重文指定の開山堂は元々ねねの持仏堂だったものであり、後に中興開山の三江紹益の木像を祀る堂となった。堂内には中央奥に三江紹益、向かって右に北政所の兄の木下家定とその妻である雲照院、左には高台寺の普請を担当した大名の中で最も大きな働きをしたとされる堀直政の木像が安置されている。堂の天井には秀吉の御座舟の天井と、北政所の御所車の天井を用いたものとされている。<br /><br />そんな開山堂参拝を済ませ、東側に位置する霊屋へと向かう。桃山時代の建築物は重文指定されているもので、先程参拝した開山堂と霊屋は臥龍池を渡す屋根付の階段である臥龍廊で結ばれているが、夜間拝観時には利用できないようであった。慶長10(1605)年建立の宝形造檜皮葺きの建物であり、堂内部中央の須弥壇上に置かれた厨子には大随求菩薩像が安置されており、向かって右の厨子に豊臣秀吉坐像、左側の厨子には片膝立ちのねね(北政所)像が安置されている。ねね像の下2mのところには自身が土葬され永遠の眠りについている。<br /><br />須弥壇や厨子等至る所に華麗な蒔絵が施されているが、これは秀吉に仕えた蒔絵師である〝幸阿弥長安一門〟が〝高台寺蒔絵〟の技法で手掛けた漆工芸品である。また内部の障壁画は狩野光信と一派の筆であり、画題は内陣が浜松図・外陣は花鳥図が描かれている。<br /><br />桃山時代の装飾と秀吉・ねねの仲睦まじさを今に伝える霊屋を後にして、高台寺最高峰を目指すことにする。傘亭・時雨亭というふたつの茶室はやはり重文指定されているものであるが、内部が開放されていないため、横を通り過ぎるだけで済ませてしまう。そして後は下りる一方となるが、何かにつけて良く取り上げられている〝竹林〟内を歩いて行く。昼間ならば鬱蒼とした雰囲気が漂う場所であろうと思うが、ライトアップされることで〝芸術的空間〟だと感じられるのが不思議である。雲居庵が見えてくると竹林も終わりに近づく。もう一度開山堂と臥龍池の逆さ紅葉を眺めた後、閉められている勅使門を経て高台寺天満宮へと向かう。そのまま出口を出て洗心寮までやって来た。ここは京都市内が一望できる場所として知られているが、私にとってそれは〝2番目の目的〟、1番は何と言っても喫煙コーナーだった。<br /><br />一服しながら京都市内の夜景を眺める。なんか凄い久しぶり感を持ち、刺激があってなかなか良かった。その隣には再建された鐘楼があり、工事中に移動していた鐘も元の位置に戻されていた。<br /><br />1時間半程かけて高台寺を一周して来た。後は地下鉄に乗って帰るだけだが、なかなかこれだけ参拝者の少ない時に来られることはないだろう。少ないとは言え0ではない。台所門を出て〝紅葉の参道〟を下りて行く訳だが、たまたまカメラを構えた時にレンズ越しに〝人がいない瞬間〟を発見した。勿論下りて行かれる方々も居られたのだが、どうぞ~と言って先に行って貰おうとしたら、こんな景色滅多にないでしょ!と待って頂いた。時間にすると1分程度のことではあるが、そんなお姉さんの心配りが嬉しかった。そんなことで石段を下りて行きねねの道に到着した。<br /><br />  《次編に続く》

《2020.December》あみんちゅなにげに関西街歩きの旅京都そのⅢ~時期遅れの紅葉を見に行く高台寺編~

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2020/12/08 - 2020/12/08

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《2020.December》あみんちゅなにげに関西街歩きの旅京都そのⅡ~北政所ねねの晩年・圓徳院編~

圓徳院の拝観後、ねねの道を横切り高台寺参道である台所坂を登って行く。結構距離的にはあるものの傾斜が緩やかなために歩き易い。台所坂の両脇には赤黄緑の紅葉がライトアップされており非常に綺麗である。計算し尽くされた台所坂は、紅葉のトンネルを作り出しており、自撮りを含めた景色の撮影ポイントが随所にあった。

台所坂を登り切り左方向へと進むと拝観受付があり、チケットを捥いで貰う。夜間拝観の立入可能区域は昼間とは異なっているために、許可されているエリアを進んで行く。偃月池手前付近では奥への立入禁止が定められているようだが、この界隈遺芳庵付近は人も少ない割にはライトアップされたモミジの本数も多く撮影には穴場である。

偃月池を左手に眺めつつ歩くと工事中の書院に着く。どうやらここが小方丈になるようだ。書院から建物へと入り方丈へと向かう。撮影ポイントのひとつとされている〝方丈より波心庭を臨む景色〟だが昼間とは違う様相を呈していた。石庭部分にLEDが敷かれ、3D照明によるレンゲのライトアップのふたつが絶妙のタイミングで参拝者の目を楽しませていた。通常のライティングも素晴らしいものだが、ここまでやるか~?と感心したデモンストレーションだと私には思えた。

順路に従い書院から出で偃月池に沿って歩く。池の向こう岸には開山堂と観月台が見えており、方丈横には高台寺庭園が広がっている。庭園を回り込むようにして中門を通り開山堂へと向かう。この際右手にある臥龍池には臥龍廊に加えて紅葉している木々がライトアップされた姿が水面に映っている。目で見るならば言葉を失うが、iPhone11Proのナイトモードを使って見るとそれなりにはカメラに収めることができた。しかしストロボを焚いてしまうと水面で光が乱反射してしまい、逆さ紅葉は見られない。

重文指定の開山堂は元々ねねの持仏堂だったものであり、後に中興開山の三江紹益の木像を祀る堂となった。堂内には中央奥に三江紹益、向かって右に北政所の兄の木下家定とその妻である雲照院、左には高台寺の普請を担当した大名の中で最も大きな働きをしたとされる堀直政の木像が安置されている。堂の天井には秀吉の御座舟の天井と、北政所の御所車の天井を用いたものとされている。

そんな開山堂参拝を済ませ、東側に位置する霊屋へと向かう。桃山時代の建築物は重文指定されているもので、先程参拝した開山堂と霊屋は臥龍池を渡す屋根付の階段である臥龍廊で結ばれているが、夜間拝観時には利用できないようであった。慶長10(1605)年建立の宝形造檜皮葺きの建物であり、堂内部中央の須弥壇上に置かれた厨子には大随求菩薩像が安置されており、向かって右の厨子に豊臣秀吉坐像、左側の厨子には片膝立ちのねね(北政所)像が安置されている。ねね像の下2mのところには自身が土葬され永遠の眠りについている。

須弥壇や厨子等至る所に華麗な蒔絵が施されているが、これは秀吉に仕えた蒔絵師である〝幸阿弥長安一門〟が〝高台寺蒔絵〟の技法で手掛けた漆工芸品である。また内部の障壁画は狩野光信と一派の筆であり、画題は内陣が浜松図・外陣は花鳥図が描かれている。

桃山時代の装飾と秀吉・ねねの仲睦まじさを今に伝える霊屋を後にして、高台寺最高峰を目指すことにする。傘亭・時雨亭というふたつの茶室はやはり重文指定されているものであるが、内部が開放されていないため、横を通り過ぎるだけで済ませてしまう。そして後は下りる一方となるが、何かにつけて良く取り上げられている〝竹林〟内を歩いて行く。昼間ならば鬱蒼とした雰囲気が漂う場所であろうと思うが、ライトアップされることで〝芸術的空間〟だと感じられるのが不思議である。雲居庵が見えてくると竹林も終わりに近づく。もう一度開山堂と臥龍池の逆さ紅葉を眺めた後、閉められている勅使門を経て高台寺天満宮へと向かう。そのまま出口を出て洗心寮までやって来た。ここは京都市内が一望できる場所として知られているが、私にとってそれは〝2番目の目的〟、1番は何と言っても喫煙コーナーだった。

一服しながら京都市内の夜景を眺める。なんか凄い久しぶり感を持ち、刺激があってなかなか良かった。その隣には再建された鐘楼があり、工事中に移動していた鐘も元の位置に戻されていた。

1時間半程かけて高台寺を一周して来た。後は地下鉄に乗って帰るだけだが、なかなかこれだけ参拝者の少ない時に来られることはないだろう。少ないとは言え0ではない。台所門を出て〝紅葉の参道〟を下りて行く訳だが、たまたまカメラを構えた時にレンズ越しに〝人がいない瞬間〟を発見した。勿論下りて行かれる方々も居られたのだが、どうぞ~と言って先に行って貰おうとしたら、こんな景色滅多にないでしょ!と待って頂いた。時間にすると1分程度のことではあるが、そんなお姉さんの心配りが嬉しかった。そんなことで石段を下りて行きねねの道に到着した。

  《次編に続く》

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
交通
5.0
同行者
一人旅
一人あたり費用
1万円未満
交通手段
JRローカル 私鉄 自家用車 徒歩
旅行の手配内容
個別手配

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この旅行記へのコメント (2)

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  • ラムロールちゃんさん 2021/01/18 20:45:57
    紅葉のトンネル♪
    たかティムさん、こんばんは☆
    久しぶりの4トラで、すっかり出遅れてしまいました。

    高台寺、しばらく行っていないのですが、イルミネーションタイムがあるんですね。
    面白い…♪
    高台寺と言えば、近くの鍵善のくずきりが好きで…
    あー、食べたくなってきました(笑)

    それにしても、ラストから5番目の写真、本当に美しいですね!
    じっと見ていると、入っていけそうな気がします…。

    遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。

    ラムロール

    たかちゃんティムちゃんはるおちゃん・ついでにおまけのまゆみはん。

    たかちゃんティムちゃんはるおちゃん・ついでにおまけのまゆみはん。さん からの返信 2021/01/19 02:02:13
    Re: 紅葉のトンネル♪
    ラムちゃん

    あけおめことよろです。

    高台寺は最も滋賀に近い京都のライトアップで選びました。多分写真の景色は今年〝だけ〟という但書がつくようです。隣の高台寺公園の喫煙所を利用していた際にタクシーの運転手さんと話をしたのですが、未だかつてここまで人が少ないことは見たことがないと言っていました。紅葉のライトアップ、おまけに12月ということで空いていたと思ったのははき違いだったようです。

    ただ高台寺は紅葉ライトアップが例年でも少し遅く迄行われており、昨年は12月13日の日曜日迄やっていました。訪れたのは12月8日でしたが、ここまで満喫出来るとは考えていませんでした。

    コロナが終息し、今年の師走は是非訪れて下さいまし。

    年明け早々県内外出をして家を追い出されかかったたかティム。

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