2019/01/16 - 2019/01/19
3668位(同エリア4639件中)
三峯霧美さん
2016年の秋から年に何度か訪れている京都。
いつの間にか始めてしまった西国と洛陽の観音霊場巡りを旅のポイントにしつつ、今回も冬の京の旅で特別公開のお寺を織り交ぜての旅です。
結願までにはずいぶん時間がかかりそうです。
初日は京都・妙心寺の特別公開寺院を廻っていきます。
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10:06 京都 JR花園駅
毎度おなじみ感のある花園駅です。
今回も新幹線で京都入り、荷物を宿に預けて、嵯峨野線で花園駅到着が10時、なかなかいい感じ。花園駅 (京都府) 駅
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10:10 妙心寺
小学生たちが先生の誘導で妙心寺の境内に入っていきました。
妙心寺はいくつもの塔頭があってとても広く、塔頭をつなぐ道は地元の人の生活道路になっています。 -
たまには勅使門からまっすぐ並ぶ堂宇の赤い三門を撮影・・・あ~、木が大きくて門が見えないんだっけね。
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10:13 龍泉菴 りょうせんあん
南総門を入ってすぐ右手にあり、いつも門が閉まっていますが、京の冬の旅で特別公開中。
龍泉派の本庵で、1481年に妙心寺10世の景川宗隆禅師が創建。
妙心寺の四本庵の中で最初に建てられた塔頭。 -
表門 江戸時代の1664年頃の建立
景川禅師は龍安寺の師匠の元に16年間毎日欠かさず通い、「禅は景川」と称えらたそうですよ。 -
門をくぐり綺麗に整えられた前庭に立つと、京都にいることを実感します。
今回の旅の最初の一歩、四日間の旅をたっぷり楽しもうと、ウキウキしながら受付に進みます。
正面は玄関。 -
受付は大きな庫裏で。
1796年に建立。
京都観光協会主催の特別公開は、必ずガイドの方がいらっしゃいます。
解説を聞きながらの拝観は深みが増します、いろいろ小ネタも聞けて面白い。 -
「冬の京の旅」で特別公開されるところは、インバウンド系の方々はほとんどいません。
事前に情報が手に入れられないのか、興味の対象では無いからかな、おかげで、静かに落ち着いて拝観できるんです。 -
庫裏で受付、平日だし、拝観者は少なめ、あちこち眺めながら靴を脱ぎます。
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庫裏は竈があるので天井を貼らず、屋根には煙り出しの空間があり、明かりが漏れています。
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受付を済ませて方丈に向かいます。
しっとりと心が落ち着く坪庭と、リズミカルに並ぶ幾何学模様の障子が面白い。 -
いきなり方丈北側の障壁画が目に飛び込んできます。
黎明開悟の間
菩提樹の奥から朝日が昇る姿で、悟りを開いたお釈迦様を表現しています。
方丈などの障壁画は「開祖、景川宗龍禅師五百年遠諱」の1999年に、日本画家の由里本出(ゆりもといずる)氏の作品が100面以上納められました。 -
まずは方丈の南側を見ていきます。杉戸絵もすごいなぁ。
300年前に狩野派の絵師、岡一郎右衛門高信によって描かれたものです。
水を飲む虎 裏側の人物画と合わせて、中国の故事を表します。 -
「虎渓三笑図」 扉が開けてあるので二人しか見えません。
中国の学僧慧遠は廬山に寺を建て、生涯寺域から出ないという誓いを立てました。
ある日、尋ねてきた二人の友人を送りに出ますが、話に夢中になり、今まで出たことのない虎渓を過ぎ、虎の声を聴いて誓いを破るところだったと気づき、友と3人で大いに笑ったという図。
これ、熱中するあまり、いろんなことを忘れてしまうという、お話。 -
方丈南側の枯山水庭園。
柔らかな冬の日差しが白砂に木々の影を落としています。 -
「霊峰四季之間」
正面が秋の噴煙をあげる阿蘇山(九州) -
左手が春の雲が晴れ行く石鎚山(四国)
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右は冬の夜明けの磐梯山(本州)
南面側に夏の羅臼岳(北海道)が描かれています。 -
方丈正面からお庭を見る
七五三の石組は阪神淡路大震災の被害に遭った檀家さんが送ったもので、このお庭は平成に造られた新しいものです。 -
方丈の昭堂 「種々東漸の間」
仏教や文化が西から日本海を渡って東に伝わっていくのを海で表現しています。
正面 波濤 荒波の力強さ -
左手 越前岬 小高い位置からの視線で、日本海を渡ってくる海外の文化の質を問いかける
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右手 虹立つ 海岸に立ち虹の立つ岬を海外文化への憧れの気持ちとして表しています。
そして南側は 涛 うねり -
方丈は1848年に建立されました。
妙心寺の塔頭の中で、一番大きな方丈だそうです。 -
方丈東側 「水到渠成の間」
水が流れた後は溝になり、物事が自然に成就することを表しています。
正面は 夏 滝が流れ落ちる層雲峡 -
春 釧路湿原 金箔で水面が輝く様が描かれています。
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秋 根室半島 野付 雲に覆われているのは地平線なのか水平線なのか・・・。
南側は 冬 朝陽山 北風が吹く雪山
「霊峰四季之間」とは四季の並び方が違います。
雄大な風景画を見ていると、美術館にいるみたいです。 -
舞楽図 「還城楽 げんじょうらく」という舞楽の一場面だそうです。
蛇を好んで食べた西域の人が、蛇を見つけて喜んで持ち帰るという舞楽。
左下に蛇を見つけ「お!」と喜んでいるように見えますね。
残念ながら風雨にさらされて、かなり退色が進んでいます。 -
方丈北側 「樹下静寂の間」
沙羅双樹が描かれ、お釈迦様の涅槃の時を表現。
菩提樹が描かれた部屋と合わせて、お釈迦様の生涯を描いています。
開かれているところには銀色の満月が描かれているそうです。
いろいろな緑色で描かれた葉がとても綺麗です。緑色が好きなので、いつまでも眺めていたい。 -
南側から書院を見る。
書院では狩野探幽の三幅一対の観音・龍図・虎図の掛け軸などの寺宝の展示がありました。 -
書院は渡り廊下でつながります。
書院は撮影禁止、畳のお部屋で、なんだか立って歩きまわるのが、ちょっと居心地が悪いんですよね。
畳は座る場所って思ってるからかな。 -
方丈南側に長谷川等伯の枯木猿猴図(こぼくえんこうず)のレプリカが飾られています。
今は掛け軸ですが元は6曲1双の屏風で、現存しているのは右側の四つだけ。
古くは加賀前田家が所有していて、屏風の猿が手を伸ばして、眠る利長の髪をつかんだので、腕を切り落としたという伝説があります。 -
書院のお庭。
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庫裏にさりげなく飾られていた盆栽
お正月らしく、紅白と松竹梅のおめでたい取り合わせ。 -
御朱印を頂きました。
南無観世音菩薩 -
10:52 今回の特別公開は妙心寺の塔頭が3寺で、とても効率よく拝観できます。
妙心寺の仏堂や講堂を横目に見ながら、麟祥院に向かいます。 -
非公開の霊雲院 門を額縁にした構図が綺麗ですね。
妙心寺四派の霊雲派の本庵、右に見える救世観音さまはお参りできます。 -
道はお寺の敷地をぐるりと回りこんで続きます。
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春光院は外国語看板が目を引きます。
アメリカ在住経験のある副住職さんが外国人向けの座禅や茶道の体験を英語で受けられるんだそうですよ。 -
北総門に続くメインストリート 奥に見えるのは衣笠山
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11:00 麟祥院 りんしょういん
二つ目の特別公開寺院
1634年に徳川家光が乳母の春日局(お福)の追福を願い、木辻菖蒲小路(花園高校付近)に菩提所として建立されました。
麟祥院は春日局の法号です麟祥院 寺・神社・教会
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通常非公開
今回は方丈の襖絵、海北友雪の水墨画で雌雄の龍を描いた江戸時代の初期の傑作とされる雲龍図、瀟湘八景(しょうしょうはっけい)・西湖図などが拝観のメイン。 -
1897年に本堂、霊屋、庫裡、鎮守などが現在地に移転。
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拝観は玄関から
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同時に公開された「百椿図 ひゃくちんず屏風」は、いろいろな種類の椿が色鮮やかに描かれて優美で女性らしいデザインで、縁は春日局の打掛の布をつかっているとか、春日局が家光より賜ったのだそうです。
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お庭は1910年に造られたもの。
春日局お(お福)の父、斎藤利三は明智光秀の重臣で山崎の戦いのあと処刑され、お福は母の実家の稲葉家に身を寄せます。
その後、小早川秀秋の家臣、稲葉正成の後妻となります。 -
稲葉正成は関ケ原の戦いの際、主君の秀秋を説得して東軍に寝返らせ、家康を勝利に導いた功労者。
春日局(お福)は、正成と離縁し、家光の乳母となりました。
お庭の一角に稲葉氏が治めていた淀城のしゃちほこがありました。 -
雲龍図の作者、海北友雪の父の海北友松は、浅井家の家臣の息子として生まれ、仏門に入ったあと画才を秀吉に認められて絵師となります。
友松亡き後の友雪は厳しい生活をしていたそうです。 -
海北友松は春日局の父の斎藤利三と交流があり、本能寺の変のあと、謀反人として磔になった利光の遺体を、友松が槍を振るって奪い取ったと伝わります。
その後も斎藤利三の一家を庇護したのだそうです。 -
春日局は友雪を徳川家光に推挙し、旧恩に報います。
御霊屋は後水尾天皇(中宮は家光の妹の徳川和子)が春日局に下賜した仙洞御所の釣殿を改修したもので、小堀遠州が造った春日局の木造が安置され、御霊屋に改められました。 -
稲葉家の家紋 折敷に三文字 おしきにさんもじ
鬼瓦の足に当たる部分かな? -
頂いた御朱印は
御福 おふく
春日局の本名で、稲葉家の家紋の印が押されています。 -
次は北総門の近くにある天球院。
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11:26 天球院
織田信長の家臣、池田恒興の娘、天球院が、岡山藩主の池田光政、光仲( 甥の息子たち) の支援を受けて創建しました。天球院 寺・神社・教会
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天球院は因幡の若桜城主の山崎家盛の室になりますが、子供に恵まれず離縁。
池田家に戻り天球印様とよばれていました。
出家し、生前に自らの菩提寺として天球院を建立しました。 -
現在でも障壁画がそのまま残っている貴重なお寺で、本物は京都国立博物館にあります。
京狩野派の狩野山楽と娘婿の山雪の障壁画と杉戸絵が全部で152面。 -
今回公開された高細密デジタル複製画は上に金箔などを張って、まるで本物みたいです。
作成にはかなりの金額がかかるそうです。 -
受付は玄関から。
予定ではオリジナルの御朱印帳三種類のうち、現地で一番気に入ったものを一冊だけ購入する予定でした。
ところが障壁画の美しさに感動して一冊を選びきれず、お寺の廊下で立ち尽くして煩悩の塊と化しました。 -
お寺はいつも限定公開なので、遠方から来てる自分には次のチャンスがないかもしれないし、後悔したくなくて三種類全部いただいてしまいました。
それぞれ御朱印を書いていただき、納める金額に一瞬めまいがしましたが、障壁画の保存に貢献しましょう。
若いご住職(?)に丁重な感謝の言葉をいただきました。 -
まずは南面の東側、礼の間 「籬草花図(まがきそうかず)」
御朱印帳で紹介していきましょう。
金箔のもやに籬に朝顔と鉄線などの蔓が流れていくように白や青の花を咲かせています。
白と赤の菊と、蔓の流れを断ち切るように垂直に咲く百合が配されているのが面白い。夏から秋にかけての草花が描かれています。 -
方丈中央の室中のお部屋には「竹虎図」
金色の地にリズミカルに配置された竹が心地よく、ところどころ皮のついた筍があるのがほほえましい。竹の間に虎と豹が描かれています。
江戸時代は生きている虎と豹を見た人は無く、中国から渡ってきた毛皮と猫をモデルにして描かれました。豹は虎の雌だと考えられてたそうです。
丸まって眠っている虎は山楽が自分を描いたそうで、なんとなくディズニーのチシャ猫に似てる。 -
西側の旦那の間には「梅花遊禽図」
こちらも金箔のもやに大胆な構図の梅の古木と岩にとまっている雉、緩やかな流れに浮かぶ鴨、しなやかな柳の木に白鷺などが描かれています。
梅の木の根元の岩にいる雉が御朱印帳に選ばれました。
この梅の力強さが好きだな~、日本画にしかないデフォルメの美学。 -
奥の廊下の天井は伏見城の血天井、ここにもあったんですね。
方丈の北側は、渋い水墨画の山水人物図です。
一部は本物が入っています。
下間一の間は作者不明の山水人物図が14面。
そして奥のお茶室を眺めます。 -
1月はロウバイが咲きます、春を先取りするようないい香り。
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御朱印を頂きました。
釈迦如来 -
11:52 北総門
ここから歩いて仁和寺に向かいます。 -
反対側のバスがきた。
仁和寺までバスに乗ることも考えましたが、きっとタイミングが悪くて、待っている間に着くような気がする、そんな距離。 -
仁和寺に向かい道沿い、カフェもいくつかあって、ランチも考えたんですが、どんどん先に進みます。
京福北野線 妙心寺駅を越して、仁和寺に向かいます。妙心寺駅 駅
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