2019/10/10 - 2019/10/11
177位(同エリア920件中)
玄白さん
この旅行記のスケジュール
2019/10/10
-
10月10日 道の駅ロマンチック村に集合 温泉&飲み会
-
10月11日 ロマンチック村駐車場に集合 UNDERGROUNDツアーに出発
-
大谷景観公園を散策
-
とある大谷石採掘会社の採掘現場見学
-
大谷石露天手掘り採掘跡の見学
-
大谷石採掘跡地底湖のクルージング
もっと見る
閉じる
この旅行記スケジュールを元に
いつもの飲み仲間4人に夫人同伴で、道の駅ロマンチック村で一泊しての温泉と宴会を楽しみ、翌日は大谷石採掘跡にできた地底湖をラフティングボートでクルーズするツアーに参加してきた。大谷石採掘の歴史を手軽に知るには、大谷石資料館があるのだが、今回は地元の旅行会社「えにしトラベル」の「OHYA UNDERGROUND」というツアーで滅多に経験できない体験をしてきた。
このツアーには、今では数少なくなった大谷石採掘業者の現場見学もついていて、深さ60mの立坑を真上から覗くと迫力満点!
なお、今回のツアーで訪れた場所はいずれも私有地であり、場所が特定できる情報はネットには一切発信しないようにと厳命されている。私有地であるから持ち主に迷惑がかかるし、個人で訪れるには危険な箇所もあるので、当然のことではある。というわけで、旅行記としては情報不足の感が否めないが、場所の説明は省略してある。
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
PR
-
いつもの飲み会メンバー(メンバーの頭文字をとってNASA親睦会と称している)のうち、我が家を含め2組は地元だが、他の2組は横浜、千葉からの来訪だ。そこでツアー前日は、一泊してゆっくり飲み語らうというプランである。
宿泊したのは道の駅「ロマンチック村」のヴィラ・デ・アグリ。ここは通常の道の駅のような農産物の直売だけでなく、東京ドーム10個分という広大な敷地に、植物園、プール、温泉、宿泊施設まで備えた、ちょっとしたリゾート施設のようなものである。 -
利用したのは、洋室タイプの部屋。和室6部屋、洋室3部屋、和洋室1部屋とこじんまりした施設である。内装は木材中心の暖かな感触のシンプルな作りで快適である。
なお、広大な敷地内では、あらたにホテルが建設中であった。 -
日帰り温泉も兼ねた「湯処あぐり」
広い露天風呂もある。泉質は単純泉のようだ。他に別料金になるが、プール型混浴ゾーン「アグリスパ」もある。 -
ディナーは、敷地内のレストラン「麦の楽園」で栃木和牛のステーキ膳。
栃木県は、ビール用の二条大麦の一大産地で、日本での生産量の3割を占めており、ダントツの一位である。ロマンチック村の中にビール醸造所があり、宇都宮産の大麦で地ビール「麦太郎」や「麦次郎」を作っている。他にも黒地ビールもあり、これらを味わい尽くしたディナーであった。
朝食は、宿泊施設内の食事処「ゆず庵」にて。 -
翌日は、9:30にロマンチック村駐車場に集合して、えにしトラベル社主催の大谷石採掘跡地底湖探検ツアーに出発。
見所は、現役の大谷石採掘現場の見学、かつての露天掘りをしていた採掘場の見学、メインは採掘跡にできた地底湖をラフティングボートでクルーズするというもの。
まずは、足慣らしで、大谷石景観公園を散歩。ここは大谷石資料館や平和観音、大谷寺を訪れたついでに誰でも散策できる公共の場所である。 -
かつて帝国ホテルの玄関に置かれていた大谷石製の球形のモニュメント。アメリカの建築家フランク・ロイド・ライトが、帝国ホテルの設計をしたが、これも彼のデザインによるもの。彼は国立西洋美術館を設計したル・コルビジェ、ドイツのミース・ファン・デル・ローエと並び、近代建築三大巨匠と言われている。
大谷石は加工性がよく、高度な石材加工をデモンストレーションする意味もあって、こんなモニュメントを設計したという。 -
ここに置かれているモニュメントは当時のものではなく、若手の大谷石石工達からなるプロジェクト「008」(おおや)が2006年にコピー制作・設置したものである。プロジェクト名008は∞を縦横にデザインされた形になっていて、無限の将来の希望を込めたものという。
-
大谷地区は全域が大谷石でできており、あたり一帯には大谷石の奇岩が300mに渡って続いている。これは、ラクダ岩という呼ばれている奇岩。
-
これは亀岩。対岸には鶴岩というのもある。どの奇岩も動物名が付けられているが、いささか、無理筋のような名前の岩もある。
-
川に沿って300mほど、大谷石の岩壁が続いている。ちなみにこの小川は姿川と言い、翌日の台風19号襲来のときには、下流の壬生町で危うく氾濫寸前だった。
-
大谷石は、学術的には流紋岩質溶結凝灰岩という凝灰岩の一種で、2000万年前の海底火山の噴火の際、海底に積もった火山灰が固まり、後に隆起して地上に現れたものである。
-
あちこちに採掘された跡の直線状の穴が散在し、その奥に民家があるなど、独特の景観が見られる。
-
大谷石景観公園の散策の後、バスに乗り込んで、今でも操業をしている大谷石採掘業者の現場を訪問、見学した。
何の変哲もない刈り入れ間近の水田が広がる農村地帯に、突然、巨大な採掘用立坑が現れた。 -
大谷石の採掘は江戸時代後期から始まっているが、かのフランク・ロイド・ライト設計による帝国ホテルが、関東大震災の火災でも無事だったことから、大谷石の優れた耐火性、加工性が評価され、生産量が増えていった。最盛期の昭和30~40年代には、200社以上の石材業者がいたが、今ではわずか8社に激減している。写真は採掘した石材を規格通りに切断する機械だが、古い設備がいまだに稼働している。
-
大谷石は、その耐火性、加工性の良さから、塀や壁材として重宝されていたが、凝灰岩という柔らかな材質のせいで風化、劣化しやすく、徐々に安価なコンクリート材に置き換えられて衰退してしまったのである。
切り出された大谷石は、長さ90cmに統一されていて、厚さと幅によって11種類に規格化されている。平均して一個の重さは80Kg、かつてはこれを2個背負って人手で地上に運び出されていた。 -
イチオシ
採掘は、露天掘りと坑内掘りに大別される。ここでは坑内掘りが行われている。立坑の深さは60m。真上から覗き込むと、足がすくむような高度感だ。底の手前に坑内掘りの横坑があるようだが、真上からはよく見えない。
-
今ではウィンチで地上に運び上げているが・・・
-
かつては、この細い階段を使って人の手で運び出されていたようだ。80Kgの石材2個を背負って60mを登るとは、すさまじい重労働である。
-
次に向かったのは、明治時代から最高級の大谷石を切り出していた露天掘り現場の見学である。採掘跡の洞窟に入り込むので、ヘルメットを装着、現場まではぬかるんだ山道を歩くので、全員長靴に履き替える。
-
今回のツアー参加者は我々8人のほか、県外から訪れた6人、総勢14人である。これにガイド2名が加わる。
身支度を整え、いざ山道に分け入っていく。ちょっとした里山ハイキングである。 -
しばらく登っていくと、広場に出た。かつての石工達の休憩場所だったところである。休憩所兼事務所だった廃墟。今では、内部まで草が生い茂っている。もちろん、壁は大谷石製である。
-
トイレもあった。当時としてはモダンなトイレである。
-
石碑があった。風化して一部読めない箇所があるが、この碑を建てた人物の祖父が32歳にして、明治43年1月26日に、ここで大谷石の採掘を開始したというようなことが書かれている。
-
さらにいささか急な坂を上っていくと、自然林が生い茂る中に忽然と直線的な洞窟が現れた。大谷石露天掘りの跡である。ガイド氏によると、このあと予定しているクルーズの地底湖は、この洞窟につながっているという。
-
この山全体が明治時代から採掘を続けていた人物の私有地である。山での危険な採掘現場なので、あちこちに安全祈願の社や祠が建てられている。
このお堂の中には、見ることはできなかったが木造十一面千手観音座像が安置されていて、個人の所有であるが、宇都宮市有形文化財指定という看板が建てられていた。 -
苔むした石灯籠。遠目でよくわからないが、これも大谷石であろう。
-
やがて、大谷石の門を構えた大きな家が現れた。この山の地主で大谷石採掘業の社長の家だという。屋根の形から、かつては茅葺の家だったことは想像に難くない。
-
ちょっとだけ敷地内にお邪魔して、見所の土蔵を拝見。
何が見所というと、土蔵の大谷石である。大谷石には、ミソという茶褐色の斑点や穴が見られる。海底火山の火山弾が火山灰に潜り込み、熱水変質で鉄分が酸化したものだという。このミソが少なく均質なものほど上等なものである。この土蔵の石は、ミソが極めて少なく、茶褐色の刷毛ではいたような模様が入っていて、虎目という特別に高級な石材なのだという。
驚くべきは、明治時代に建築されて以来、一度も壁を洗ったり清掃していないというのに、まったく汚れがない。横の門の大谷石は風化で変質してしているのと対照的である。大谷石の防汚性能にこれだけの差があるというのは知らなかった。 -
昭和30年代に操業はやめてしまった最高級大谷石の露天掘り採掘跡の見学へ。
-
露天掘りと言っても、横に掘り進めて洞窟ができているので、坑内掘りと違いはないように思えるのだが・・・
-
坑内に薄日が射しこんできた。
-
イチオシ
ここではつるはしによる手掘りが行われていた。壁に残っている手掘りの跡の曲線が美しい。標準的な大きさの石材一個を切り出すのに、つるはしを2000回振るったという。ベテラン石工でも一日の生産量は8個程度、つるはしを16,000回振るっていたことになる。これまた、すさまじい重労働である。
大谷石は別名緑色凝灰岩ともいわれ、水分を含むと青みがかった緑色を呈するが、乾燥すると茶色がかった白色に変わる。ここの壁面は湿気が多いせいか、緑色っぽい。大谷石が建築材として一時期人気だったのは、加工性や耐火性だけでなく、見た目の美しさもあったからである。 -
採光のため(?)に開けられた穴から外の木々が見える。
-
奥まった暗闇の天井には、手のひらに乗るくらい小さなコウモリが張り付いている。ココウモリという種類かな?
-
最高級の大谷石露天掘り跡を見学したあとは、いよいよ地底湖探検クルーズに向かうため、里山ハイキング続行。
-
鍵が掛けられたゲートを抜け、いよいよクルーズ開始。まずは、全員ライフジャケットを着用。なお、洞窟内は8~10度でひんやりしているので、防寒用のジャケットが必要。夏場に半そでで入ると凍える!
-
イチオシ
ラフティングボートの定員は8名、ツアー参加者7名ずつにガイド一人ずつ分乗してクルージング開始だ。出発点だけは、このツアーのために設えられたライトが点灯している。明かりがにじんでいるのは、流れ込んだ外気が地底のひんやり冷たい空気と水で冷やされてうっすらと漂っている霧のせいである。
-
いざ、ボートに乗り込み、
-
地底湖に漕ぎ出す。漕ぐのはガイド氏だけで、我々は乗っているだけだが・・・
鍾乳洞のように自然が作り出したものではなく、人の手によって作られた幻想的空間だというのが感動的である。 -
手を入れてみると水は冷たい。7,8度くらいだろうか。採掘の時に出た粉塵が溶け込んでいるので濁っているが、オールの波が届かないところは、完全な水鏡になっている。
-
イチオシ
さらに奥に進むと、天井が低くなり、屈まないと頭がぶつかる。暗くてカメラの感度を目いっぱい上げているので、画質がひどく写真では表現できていないが、天井に着いた水滴が懐中電灯で照らされると、キラキラと輝き星空のように見える。このファンタジックな光景は、目に焼き付けるしかない。
-
行き止まりまでボートで進んだあと、一旦戻って別の方向に進む。
地下のダンジョンに潜り込んだRPGの主人公、ないしはインディ・ジョーンズになったような気分だ。 -
すると、ガイド氏が予想外のことを言った。真っ暗な洞窟の奥で、一旦上陸するという。
屈んでやっと一人通り抜けられるような穴にボートを横付けして、いざ上陸。 -
イチオシ
しばらく、暗闇を進むと外光が差し込む立坑があるところに出た。流れ込んだ暖かい外気と、冷たい坑内の空気が接触して霧が出ている。幻想的な情景だ。
-
霧がただよう立坑の前で、しばらく記念撮影タイム。我ら8人、歓声を上げてパチリ。(撮影はガイド氏)
-
クルーズしてきた地底湖を数メートル高いところから見下ろせた。鏡のような水面に反射した明かりで天井も照らしている。
-
洞窟の奥まったところに、石材が斜めに規則正しく積み重ねられている。ガイド氏によると、大谷石採掘跡は、戦時中は、軍の施設として利用されていた、確かな記録は残っていないが、ここも軍の倉庫としてつかわれていたようだとのこと。
-
イチオシ
軍の施設なぞもってのほかだが、今では採掘跡の洞窟は、年中温度変化がほとんどなく低温であることを利用して、コメの冷蔵保管、ワインやビールの熟成、生ハムの製造、苗木を冷気にあてることで秋に実らせるイチゴの栽培など、平和的有効利用が進められている。
大谷石の需要が減り、昭和40年代に地盤の陥没事故があったりして、宇都宮市にとって負の遺産とまで悪口を言われていたが、こうした新しい採掘跡地の有効利用が進み、地方活性化につながれば、一宇都宮市民としても、とても喜ばしいことである。 -
クルーズ終了し、出発地点に戻って来た。
-
このツアーは5年前から始まった。週一回ペースで行われているようだが、徐々に知名度があがり、今ではかなり先まで予約が埋まっているそうだ。午前、午後半日コースと洞窟内で一流シェフのランチまでついた一日コースが用意されている。
今回は午前のみ半日コースで、料金は¥8,500/人である。保険料も含まれているであろうし、これだけわくわくできるアドベンチャー気分が味わえるので、決して高くはないと思う。 -
最後に、洞窟の一角で暖かいお茶と大谷石を模したクッキーのサービスがあり、バスでロマンチック村まで送ってもらって解散。
同行したNASA会全員、大満足の2日間であった。今回のプランはメンバーの一人Aさんによるもの、感謝感謝!
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
旅行記グループ
宇都宮2014-2018
-
いつもの散歩道にも春が来た! 2014年3月
2014/03/02~
宇都宮
-
インディ・ジョーンズの世界さながらの大谷採石場の巨大地下空間に潜る
2014/03/11~
宇都宮
-
ようやく同慶寺の梅が咲いた!
2014/03/22~
宇都宮
-
二時間で日本一周旅行!? 伊能忠敬地図展
2014/03/28~
宇都宮
-
赤門の江戸彼岸桜 ~昼桜、夕桜、夜桜~
2014/04/01~
宇都宮
-
宇都宮の枝垂れ桜巡り ~祥雲寺と広琳寺~
2014/04/01~
宇都宮
-
花見客で賑わう週末の八幡山
2014/04/05~
宇都宮
-
春爛漫のいつもの散歩道、写真日記2014年4月
2014/04/05~
宇都宮
-
いつものウォーキングがてらの宇都宮市内桜巡り
2014/04/08~
宇都宮
-
薫風が心地良いいつもの散歩道 写真日記2014年5月
2014/04/27~
宇都宮
-
梅雨時のいつもの散歩道 写真日記2014年6月
2014/06/04~
宇都宮
-
晩秋のいつもの散歩道 写真日記2014年11月
2014/11/10~
宇都宮
-
クリスマス間近の松が峰教会
2014/12/22~
宇都宮
-
雪景色のいつもの散歩道 写真日記2015年1月
2015/01/30~
宇都宮
-
霧の宇都宮城址公園河津桜
2015/03/20~
宇都宮
-
今年も真っ先に咲いた慈光寺の赤門桜
2015/03/30~
宇都宮
-
いつもの散歩道 2015年4月写真日記 ~田川の枝垂れ桜~
2015/04/02~
宇都宮
-
月食花見 ~奇跡的に雲間から赤銅色の月が見えた!~
2015/04/04~
宇都宮
-
写真好き仲間と宇都宮近郊の桜の撮影会
2015/04/06~
宇都宮
-
いつもの散歩道、2016年2月写真日記 ~田川のアオサギ、ミヤタロウ君~
2016/02/03~
宇都宮
-
身近な郊外の田んぼに白鳥が来た!
2016/02/04~
宇都宮
-
いつもの散歩道写真日記2016年11月 ~宇都宮、晩秋の初雪風景~
2016/11/24~
宇都宮
-
ギョウザだけじゃない! 宇都宮に残る伝統工芸、宮染めを見学してきた
2017/01/11~
宇都宮
-
甘い香り漂う羽黒山の蝋梅&夜景
2017/02/04~
宇都宮
-
いつもの散歩道写真日記2017年7月 ~ド根性サルスベリ~
2017/07/20~
宇都宮
-
大谷石のオブジェに灯された明かりが幻想的 ~大谷石夢灯りイベント@大谷公園平和観音~
2017/08/14~
宇都宮
-
めくるめく極彩色の地下迷宮 ~デジタル掛軸@大谷石採掘坑跡~
2017/11/30~
宇都宮
-
写真日記 ~2018年宇都宮の冬~
2018/01/01~
宇都宮
-
2018年宇都宮の桜名所めぐり
2018/03/30~
宇都宮
-
気分はインディ・ジョーンズ ~大谷石採掘跡地底湖探検ツアー~
2019/10/10~
宇都宮
旅行記グループをもっと見る
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
宇都宮(栃木) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
旅行記グループ 宇都宮2014-2018
0
51