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クラクフの西約50kmに位置するオシフィエンチム。オシフィエンチムのドイツ語読みがアウシュヴィッツ。<br /><br />今回の中欧旅の発端がこのアウシュヴィッツ見学で、どうせなら中央ヨーロッパの国をいくつか巡ってみようかということで、ここ以外の訪問地は特に目的意識もなく旅のルートを決めました。<br /><br />気持ちよく観光できるわけではない負の世界遺産。<br /><br />人類史の汚点ともいうべきホロコースト。絶滅収容所での地獄の生活。<br />これらの歴史的な負の記憶に触れて、見て学ぶというよりは、その対極にある自分の日常の自由と平穏さにありがたみと喜びを認め、ただ相対的幸福感の確認をしているにすぎないという、どこか後ろめたい思いがつきまといますが、まあ仕方のないところです。<br /><br />※ポーランド通貨レート換算<br /> 1zl(ズロチ,PLNとも表記される)=約29円

中欧縦断の旅 【2】 オシフィエンチム

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2019/05/12 - 2019/05/13

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旅行記グループ 中欧縦断の旅

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Dwind_999

Dwind_999さん

クラクフの西約50kmに位置するオシフィエンチム。オシフィエンチムのドイツ語読みがアウシュヴィッツ。

今回の中欧旅の発端がこのアウシュヴィッツ見学で、どうせなら中央ヨーロッパの国をいくつか巡ってみようかということで、ここ以外の訪問地は特に目的意識もなく旅のルートを決めました。

気持ちよく観光できるわけではない負の世界遺産。

人類史の汚点ともいうべきホロコースト。絶滅収容所での地獄の生活。
これらの歴史的な負の記憶に触れて、見て学ぶというよりは、その対極にある自分の日常の自由と平穏さにありがたみと喜びを認め、ただ相対的幸福感の確認をしているにすぎないという、どこか後ろめたい思いがつきまといますが、まあ仕方のないところです。

※ポーランド通貨レート換算
 1zl(ズロチ,PLNとも表記される)=約29円

同行者
一人旅
旅行の手配内容
個別手配
  • 5月12日(日)、ワルシャワ中央駅(Warszawa Centralna)から8時39分発のEIP1305に乗ってクラクフへ向かいます。路線距離293kmで所要2時間27分。ポーランド国鉄のサイトから購入した2等運賃は49zl(1420円)。

    5月12日(日)、ワルシャワ中央駅(Warszawa Centralna)から8時39分発のEIP1305に乗ってクラクフへ向かいます。路線距離293kmで所要2時間27分。ポーランド国鉄のサイトから購入した2等運賃は49zl(1420円)。

  • ポーランドの国名は「平原の国」という意味があるそうですが、その名の通り、クラクフへ向かう列車の車窓には田園風景が流れていきます。<br /><br />出発して30分した頃に車掌が検札に回ってきたのでプリントしたEチケットを見せると、パスポートの提示も求められました。

    ポーランドの国名は「平原の国」という意味があるそうですが、その名の通り、クラクフへ向かう列車の車窓には田園風景が流れていきます。

    出発して30分した頃に車掌が検札に回ってきたのでプリントしたEチケットを見せると、パスポートの提示も求められました。

  • クラクフ本駅で列車を降りてすぐそばにあるバスターミナルからオシフィエンチム行きのバス(所要1時間25分で運賃15zl)に乗り、アウシュヴィッツ博物館前に12時30分頃到着。<br /><br />博物館前の広い駐車場には何台もの大型観光バスが停まり、建物の前にはツアーなどで訪れた多くの人たちが入場を待っていました。

    クラクフ本駅で列車を降りてすぐそばにあるバスターミナルからオシフィエンチム行きのバス(所要1時間25分で運賃15zl)に乗り、アウシュヴィッツ博物館前に12時30分頃到着。

    博物館前の広い駐車場には何台もの大型観光バスが停まり、建物の前にはツアーなどで訪れた多くの人たちが入場を待っていました。

    オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

  • 時おり雨がぱらついたりする曇り空の陰鬱な天気。車や人の通りも少ない静けさの中を宿へと歩いて行く。

    時おり雨がぱらついたりする曇り空の陰鬱な天気。車や人の通りも少ない静けさの中を宿へと歩いて行く。

  • 博物館から10数分で「B&amp;M Guesthouse」に到着。<br /><br />宿泊客もあまりいないようなひっそりとした宿で、レセプション入口はロックされていたのでインターホンで伝えて開錠してもらいました。

    博物館から10数分で「B&M Guesthouse」に到着。

    宿泊客もあまりいないようなひっそりとした宿で、レセプション入口はロックされていたのでインターホンで伝えて開錠してもらいました。

  • 「Double Room with Bunk Bed」という1泊2700円の部屋で、2段ベッドが二つもある。

    「Double Room with Bunk Bed」という1泊2700円の部屋で、2段ベッドが二つもある。

  • 部屋に荷を解いて、何か腹ごしらえをということで出かけました。<br />グーグルマップを見てもこれといった所が見つからず、ひっそりとした団地の中を歩いていく。<br /><br />宿でもらった地図に旧市街の一角があるようなのでそちらの方へ向かいました。

    部屋に荷を解いて、何か腹ごしらえをということで出かけました。
    グーグルマップを見てもこれといった所が見つからず、ひっそりとした団地の中を歩いていく。

    宿でもらった地図に旧市街の一角があるようなのでそちらの方へ向かいました。

  • のどかな田舎町の空気を漂わせる、ソワ川に架かる小さな橋を渡っていく。

    のどかな田舎町の空気を漂わせる、ソワ川に架かる小さな橋を渡っていく。

  • 時おり車が通るだけで歩く人もまばら。安息の日曜日とはいえ、まるで日常生活の営みを一時停止しているかのような、ひっそりとした旧市街の佇まい。<br /><br />正面の教会は、ゲシュタポ(ナチス・ドイツの秘密国家警察)の事務所として使われたそうです。

    時おり車が通るだけで歩く人もまばら。安息の日曜日とはいえ、まるで日常生活の営みを一時停止しているかのような、ひっそりとした旧市街の佇まい。

    正面の教会は、ゲシュタポ(ナチス・ドイツの秘密国家警察)の事務所として使われたそうです。

  • 小さな雑貨屋や小売店がぽつぽつ営業しているだけで、日曜日はどこのスーパーマーケットも閉まっている。食事処も少ない。

    小さな雑貨屋や小売店がぽつぽつ営業しているだけで、日曜日はどこのスーパーマーケットも閉まっている。食事処も少ない。

  • 旧市街の中心に位置する広場の所に来ると、ケバブやハンバーガーなどのファーストフードの店が2、3軒営業していました。<br /><br />どこにしようかと迷っているうちにまた雨が降ってきたので、広場の一角に1軒のレストランが営業していたので飛び込みました。

    旧市街の中心に位置する広場の所に来ると、ケバブやハンバーガーなどのファーストフードの店が2、3軒営業していました。

    どこにしようかと迷っているうちにまた雨が降ってきたので、広場の一角に1軒のレストランが営業していたので飛び込みました。

  • マッシュドポテトと炒めたキャベツのついたポークチョップ(24zl)とジュレック(ライ麦を発酵させた酸味のあるスープ,13zl)。<br /><br />あんがいボリュームのあるポークチョップ、7zl(203円)の生ビール(TYSKIEというポーランドの定番ビールだそうです)を飲みながら美味しくいただきました。

    マッシュドポテトと炒めたキャベツのついたポークチョップ(24zl)とジュレック(ライ麦を発酵させた酸味のあるスープ,13zl)。

    あんがいボリュームのあるポークチョップ、7zl(203円)の生ビール(TYSKIEというポーランドの定番ビールだそうです)を飲みながら美味しくいただきました。

  • 食事を終えて宿に戻る途中、ガソリンスタンドに併設されたコンビニが営業していたので、ミネラルウォーターやパンなどを調達して17時前には部屋に帰ってきました。<br /><br />昨日ワルシャワで買っていた安物ワインを飲みながら、アニメ「ピアノの森」を視聴。

    食事を終えて宿に戻る途中、ガソリンスタンドに併設されたコンビニが営業していたので、ミネラルウォーターやパンなどを調達して17時前には部屋に帰ってきました。

    昨日ワルシャワで買っていた安物ワインを飲みながら、アニメ「ピアノの森」を視聴。

  • 5月13日(月)、チェックアウトした宿にバックパックを預けてアウシュヴィッツ博物館へ歩いていき、事前にメールで申し込んでいた、アウシュビッツ博物館唯一の日本人ガイド中谷剛氏の案内によるアウシュヴィッツ博物館見学、いよいよ午前9時から開始。<br /><br />13人の参加者(もちろん全員日本人、ガイド料は一人当たり80Zl=約2,320円)と一緒に、中谷氏の説明を聞くためのヘッドフォンを耳に当て、アウシュヴィッツ第一強制収容所のSS詰所横の正門を入っていきます。

    5月13日(月)、チェックアウトした宿にバックパックを預けてアウシュヴィッツ博物館へ歩いていき、事前にメールで申し込んでいた、アウシュビッツ博物館唯一の日本人ガイド中谷剛氏の案内によるアウシュヴィッツ博物館見学、いよいよ午前9時から開始。

    13人の参加者(もちろん全員日本人、ガイド料は一人当たり80Zl=約2,320円)と一緒に、中谷氏の説明を聞くためのヘッドフォンを耳に当て、アウシュヴィッツ第一強制収容所のSS詰所横の正門を入っていきます。

    オシフィエンチム (アウシュヴィッツ第一強制収容所) / アウシュヴィッツ博物館 建造物

  • 正門の上に掲げられた「ARBEIT MACHT FREI」(労働は自由への道)の文字。<br />しかしこの標語は叶わぬ夢、出口は焼却炉の煙突のみ。<br /><br />ちなみに「ARBEIT」は日本人がふだんよく使う言葉「アルバイト」のことで、ドイツ語で仕事・労働を意味するそうです。ドイツ語とは知らなかった。

    正門の上に掲げられた「ARBEIT MACHT FREI」(労働は自由への道)の文字。
    しかしこの標語は叶わぬ夢、出口は焼却炉の煙突のみ。

    ちなみに「ARBEIT」は日本人がふだんよく使う言葉「アルバイト」のことで、ドイツ語で仕事・労働を意味するそうです。ドイツ語とは知らなかった。

  • 強制収容所を象徴する鉄条網と収容棟。

    強制収容所を象徴する鉄条網と収容棟。

  • 当時の鉄条網には脱走を防ぐために高圧電流が流されており、中には絶望のあまり自ら有刺鉄線に触れて自殺する者もいたという。

    当時の鉄条網には脱走を防ぐために高圧電流が流されており、中には絶望のあまり自ら有刺鉄線に触れて自殺する者もいたという。

  • ポプラ並木と赤レンガの収容棟の間を説明を聞きながら歩いて行く。<br /><br />中谷氏の淡々としてよどみない語り口の中にも、負の歴史の記憶を次世代に伝えるという使命と力強さが感じられます。<br /><br />「当時のユダヤ民やロマ(ジプシー)の人たちが置かれていた状況と現代の難民問題の類似性。当時の多くの人々が傍観者でいたことがヒトラーの暴走を許した。同様の問題は、いつでもどの国でも起こり得る」と警鐘を鳴らすとともに問題提起を示されます。

    ポプラ並木と赤レンガの収容棟の間を説明を聞きながら歩いて行く。

    中谷氏の淡々としてよどみない語り口の中にも、負の歴史の記憶を次世代に伝えるという使命と力強さが感じられます。

    「当時のユダヤ民やロマ(ジプシー)の人たちが置かれていた状況と現代の難民問題の類似性。当時の多くの人々が傍観者でいたことがヒトラーの暴走を許した。同様の問題は、いつでもどの国でも起こり得る」と警鐘を鳴らすとともに問題提起を示されます。

  • 4号館と5号館の展示。

    4号館と5号館の展示。

  • 7号館の再現された3段ベッド。<br />この狭いベッド1段に2人ずつ寝かされていたそうです。

    7号館の再現された3段ベッド。
    この狭いベッド1段に2人ずつ寝かされていたそうです。

  • ポーランドの学生たちなのだろうか、若い人たちも多く見学に訪れていました。

    ポーランドの学生たちなのだろうか、若い人たちも多く見学に訪れていました。

  • 戦後に復元された、第一クレマトリウム(ガス室と焼却炉)。<br />

    戦後に復元された、第一クレマトリウム(ガス室と焼却炉)。

  • 復元されたものとはいえ、不気味な空気が漂う第一クレマトリウムの内部。

    復元されたものとはいえ、不気味な空気が漂う第一クレマトリウムの内部。

  • 第一強制収容所から西北へ約3kmの所にある「アウシュヴィッツ第二強制収容所ビルケナウ」に連絡バスに乗って来ました。<br /><br />線路跡から見る、死の門と呼ばれる監視塔のメインゲート。

    第一強制収容所から西北へ約3kmの所にある「アウシュヴィッツ第二強制収容所ビルケナウ」に連絡バスに乗って来ました。

    線路跡から見る、死の門と呼ばれる監視塔のメインゲート。

    ビルケナウ (アウシュヴィッツ第二強制収容所) 史跡・遺跡

  • 140ヘクタール(東京ドーム約30個分)もの広大な敷地を有する絶滅収容所ビルケナウ。

    140ヘクタール(東京ドーム約30個分)もの広大な敷地を有する絶滅収容所ビルケナウ。

  • 第二クレマトリウムへ向かう途中、振り返って死の門の方を見る。

    第二クレマトリウムへ向かう途中、振り返って死の門の方を見る。

  • 第二クレマトリウム(ガス室と焼却炉)の残骸。

    第二クレマトリウム(ガス室と焼却炉)の残骸。

  • 絶滅収容所の恐怖を物語る、碍子(がいし)に巻きつく張り巡らされた有刺鉄線。

    絶滅収容所の恐怖を物語る、碍子(がいし)に巻きつく張り巡らされた有刺鉄線。

  • 墓標のようだとよく表現される、取り残された暖炉の煙突。

    墓標のようだとよく表現される、取り残された暖炉の煙突。

  • ナチスのホロコーストに関連する本は「夜と霧」を筆頭にいろいろ読みましたが、Netflix(ナチスやヒトラーで検索すると出る)でもたくさんの動画が配信されていて、中でも「ナチスの強制収容所」の映像は衝撃的でした。<br /><br />※追記 2021/09/15<br />最近目の疲れもあって、オーディオブックを利用してます。ただ聞くだけなので楽ですが、すぐウトウトしてしまうのが難点。「夜と霧」を聞いていて、2年前に読んだ「ローズ・アンダーファイア」を思い出し、もう一度手に取りました。ラーフェンスブリュック強制収容所での壮絶な地獄の体験と救いを描いたこの小説、2度目でも物語に没入してしまいました。

    ナチスのホロコーストに関連する本は「夜と霧」を筆頭にいろいろ読みましたが、Netflix(ナチスやヒトラーで検索すると出る)でもたくさんの動画が配信されていて、中でも「ナチスの強制収容所」の映像は衝撃的でした。

    ※追記 2021/09/15
    最近目の疲れもあって、オーディオブックを利用してます。ただ聞くだけなので楽ですが、すぐウトウトしてしまうのが難点。「夜と霧」を聞いていて、2年前に読んだ「ローズ・アンダーファイア」を思い出し、もう一度手に取りました。ラーフェンスブリュック強制収容所での壮絶な地獄の体験と救いを描いたこの小説、2度目でも物語に没入してしまいました。

  • 家畜同然のように詰め込まれた貨車で死の門をくぐり、生死の選別が行われた。<br />当時使われていた貨車と同型車が整備されて展示。

    家畜同然のように詰め込まれた貨車で死の門をくぐり、生死の選別が行われた。
    当時使われていた貨車と同型車が整備されて展示。

  • 中谷氏による約3時間のガイドツアーを終えてビルケナウで解散。<br />一人残って荒涼とした強制収容所跡をもう少し見て回りました。

    中谷氏による約3時間のガイドツアーを終えてビルケナウで解散。
    一人残って荒涼とした強制収容所跡をもう少し見て回りました。

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