静かな苔の森を行く　～根石岳ソロ登山～

2018/09/09 - 2018/09/10

冬が来る前に

かつてそんな歌があった。
9月、特段の山行予定もないことになんとなく焦燥感。
急遽決めた行先は、天狗岳。以前、唐沢鉱泉から登り、途中天候悪化で断念した山。
今度はしらびそ小屋に泊まって、東西のピークを踏み根石岳も周って来ようというもの。

ところが天気予報はまたしても下り坂。
こりゃしょっぱなから計画変更か･･･

エリア 茅野(長野)

• 旅行の満足度: 4.0
• ホテル: 3.5

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: レンタカー JR特急 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

硫黄や天狗の登山口である桜平。

やっぱり計画は大幅に変更せざるを得なかった。
当初は、初日はのんびり白駒の池でも見て、しらびそ小屋に宿泊（地図左上）。翌日中山峠経由で天狗岳東西ピーク、根石も周って本沢温泉・しらびそ小屋経由で下山･･･という計画だった。
天気が下り坂というので初日に天狗に行くことにしたのは良いが、スタートで少々アクシデントがあり出遅れ。
そこで登山口を一番“潰し”の効く桜平に変更。

ここからスタート。
ちなみに桜平には「上」「中」「下」の3つの駐車場があり、この日は日曜日とあってどこもそこそこクルマはあったが満車ではなかった。
初めてだと「中」「下」に停めてしまいがちだが、このゲートまでかなり歩くことになる。
「上」はこのゲートより上にあって見えないが、ゲートまで最短なので、まずはここを確認すべき。
以前はゲート周辺に路駐だったが、2017年からは駐車場が整備されたので路駐は厳禁。

とこの時点で時刻は既に11時を回っていた。
こりゃ天狗は無理かな･･･と思いつつ歩き始める。

けっこうな水量の川を渡る
夏沢鉱泉まではクルマが入るので、道も広い

川沿いに登って行く
そこここから支流が合流するさまが面白い

徐々に苔が目立ち始め、北八ヶ岳にいることを実感

考えてみるとこの川の水源を知らない
石の色が茶色くなっているのは硫黄分のせいだ

そして夏沢鉱泉に到着　11:38
ゲートから25分ほど

その名の通り温泉(冷泉)で加温した風呂に入れる。
日帰り入浴もできるのは嬉しい限り。
ここまではクルマが入れる（一般車はNG）
宿泊者に限り送迎もあるようだ

夏沢鉱泉 宿・ホテル

夏沢鉱泉で休憩を取り針葉樹の森を行く
地衣類の模様がなんともオシャレ

そして苔
小さな森

天気が良くない時は足元に目を向けよう

スギゴケも元気だ

苔むした渓流を眺め

北八ならではの景観を眺め

40分ほど歩けば次の山小屋　オーレン小屋
ちょうど昼時だったので、ここで昼食

八ヶ岳 オーレン小屋 宿・ホテル

食後のコーヒーまで楽しんで出発
シラビソの向こうに見えるは硫黄岳か
ガスってる･･･

時間が遅すぎて誰にも会わない(笑)

樹林帯の中に現れる箕冠山　2590m

眺望もないので単なる分岐点になってしまっているが

一応三角点もあるのだ
そして･･･

これ！

分岐から根石岳方面へ少し下ったところに、天然の展望台がある
ここからの眺めがイイ！
根石岳、東天狗岳、西天狗岳を一望、何よりこの稜線の絵がたまらない

稜線の山小屋　根石岳山荘
トイレ休憩、水補給

根石岳山荘 宿・ホテル

根石岳山頂　2603m

小屋から根石岳山頂までは15～20分
いや～それにしても地味な山(笑)

根石岳 自然・景勝地

でも眺望はなかなか

西天狗(左)と東天狗(右)
既に時刻は14時過ぎ
きょうはもうここで撤収
またしても天狗のピークを踏めず･･･

天狗岳 自然・景勝地

未練たっぷりで西天狗を眺める

以前この根石から到達した東天狗
山頂には人影が見える

ここで壮年のグループに出会う
聞けば今日のゴールは根石岳だとか

男1人女3人と言う何とも羨ましい構成であった
ハーレム…

足元見れば、もう秋

さて、そろそろ帰るか！

最後に山頂から反対方向
小屋の向こうには硫黄岳の爆裂火口、赤岳も見える

根石岳山荘の名物はコマクサ
今シーズン最後だろう
さすがに花に勢いがない

下山途中でコイワカガミ
これも最後の一輪か

陽が射してきた(涙)

ゴゼンタチバナも赤い実を付けていた

これなんだっけ？

往路で見たかった陽射し

地衣類の上に乗っかる苔

おいおい･･･(涙)

陽射しを浴びると実はきれいな苔

緑が映える

オーレン小屋を過ぎ、せせらぎを横目に見ながら歩く

まるで庭園

思いのほかの美しさに思わず足が止まる

ちょっとアップで

独り占めする贅沢

年輪

まだ新しい
絶えず登山道の整備をしてくれる人がいる
ありがたい話だ

キレイな肌

これが見えると

夏沢鉱泉

根石からここまで約70分
かつてないスピードで降りてきたが（単独だからこそできる話）、もう15時半を過ぎている
天狗を断念したのは結果的に正解だったか

夏沢鉱泉 宿・ホテル

桜平ゲート到着　16:07

ここが「上」の駐車場
朝、残り1台のスペースだったが、この時間になるとさすがにガラガラ
出会った人の数から推測すると、ほとんどの人が硫黄岳日帰りだったのだろう

さて、ダートを下り切って唐沢鉱泉との分岐
こんな神社があったのね　山ノ神だって
下山してからじゃ本末転倒だけど、一応お参り

写真じゃわかりにくいが、ここにもしっかり「御柱」

祠の右下、気になる･･･

なんか怖いな、この謎のレリーフ

蓼科湖畔の今宵の宿に到着

湖畔の温泉宿蓼科 宿・ホテル

部屋の窓からは蓼科湖と遥か蓼科山
それにしてもパッとしない空模様
風呂入って（温泉）メシ食らってさっさと就寝

翌朝、柄にもなく早起きしたので、おさんぽ
きょうもどんより

蓼科湖 自然・景勝地

蓼科湖周囲はこんな散策路が設けられている

花も終わりだよ

ほほ～　横谷峡まで行けるのね

傍らには清流

宿の対岸　メルヘン街道沿いには怪しげな“彫刻の森”
微妙だ･･･

蓼科高原 芸術の森 彫刻公園 美術館・博物館

対岸より宿を見る
晴れていたらさぞかしきれいだったろう

チェックアウトして白駒に向かう途中、気になる古民家
なんと、あの小津安二郎の別荘跡

無藝荘 名所・史跡

白駒の池
駐車場はガラガラ（そりゃそうだ、月曜日だし）
時々、パラパラと霧雨

白駒の池 自然・景勝地

エリアに入った途端、この風景
苔、コケ、こけ

白駒の池もひっそり、というよりどんより

新緑とか紅葉のシーズンじゃ、湖畔にずらりと大砲（望遠レンズ）が並ぶ

反時計回りに行くと白駒荘
新館建築中

モーニングコーヒーと洒落こもう

白駒荘 宿・ホテル

目の前はボート乗り場
このコンディションで一人ボートに乗ったら･･･
犬神家の一族

見事なキノコ　その１

見事なキノコ　その２

おとぎ話に出てくるような･･･

実はベニテングダケという毒キノコ
その２が成長するとその１になる
キレイでも食べちゃダメ

で、やっとできたコーヒー
一杯ずつ豆を挽くらしい
それにしても恐ろしく薄い！(笑)
(味はしっかりしてるけど）

時間もあるので周回散策路

さすが苔の森「本家」

なめたけ～（うそ）

水の中も苔
水中にスギゴケのような植物が生えている

これぞ苔の森

森の精でも現れそうな

これぞ北八ツ

「もののけの森」？
命名者は言葉の意味を知らない、ジブリかぶれの輩だな
「もののけ」は物の怪。人に危害を及ぼす怨霊、死霊、生霊のことだぞ

池をほぼ一周
青苔荘に到着

北八ツを苔の聖地にした功績者だ

青苔荘 宿・ホテル

岩も木も苔に同化

ようこそ

怪しい天気はとうとう霧雨になってきた

小雨の中、やって来たのは稲子湯

ここははじめから下山後に寄ろうと思っていた場所
映画「岳」のロケにも使われた、秘湯の宿

稲子湯 宿・ホテル

平日とあって貸切り状態

「二酸化炭素硫黄冷鉱泉」という、かなりレアな泉質
名の通り冷泉なので加温している
熱い場合はバルブ(浴槽右隅にある赤い部分)をひねると源泉がドバドバ出てきてぬるくなるという仕組み
赤いバルブの右側に黄緑色のコップが置いてあり、源泉を飲めるようになっている
「強炭酸」ということだったが、あまりシュワシュワ感は感じられなかった
味は･･･う～む、微妙、例えようのない独特の味だった

小海駅からバスも出ているが、この本数なのでやはりクルマの方が便利

体ホクホク～

来た道を戻る
途中に「八岳（やたけ）の滝」

気になるから行ってみよう

おぉ、これか

「徒歩5分」の看板に偽りなし
高さ10mほど
こじんまりとしているが、ちゃんと滝だ

j-ryuさんならどう撮るだろう？

なかなかいい感じ
人がいないのも良い
ただ、何かが出てきそうな感じもする

途中のせせらぎには滑滝のような場所もある

さて今回の獲物

≪上≫八ヶ岳開山祭記念バッジ
≪中≫左から
　　　根石岳(根石岳山荘)・オーレン小屋・箕冠山(根石岳山荘)
≪下≫左から
　　　白駒荘・白駒の池(白駒荘)・青苔荘

まるで山小屋巡り(笑)

【今回の記録】
歩行距離：9.2km
最大標高：2,603m
積算標高：902m

天候には恵まれず、当初の計画も大幅に変更せざるを得なかったのだが、静かな山をじっくりと歩くことができた
途中ですれ違った人は数人である
こんな山行もいいもんだ

この旅行記へのコメント （8）

• mayたんさん 2018/10/09 23:33:16

  美しい～～

  琉球熱さん、苔の森の写真、めちゃ美しいですね！
  すんごい綺麗です！
  苔の森というのが、一発で伝わりますね。
  雨の日は苔がキラキラ輝いて、さらに美しいですよね。
  
  今年の夏はホント雨が週末にくる感じで、ため息です。
  でもそんななか、臨機応変に計画変更で行ってこられたんですね。
  ピストン、お疲れ様でした！
  
  キノコの可愛い写真もごちそうさまでした。
  キノコ可愛くないですか？笑
  
  May
  

  琉球熱さん からの返信 2018/10/09 23:43:09

  予想通り(笑)

  mayたんさん、いつもありがとねー
  
  この旅行記をアップする時、mayたんさんがキノコに反応すると思っていたのだ(笑)
  でも、苔も好きなんだねー
  目線は女子、行動(山行)は男前(笑)
  
  苔の名前も覚えられると面白いんだろうけど、もう無理だなぁ
  樹木の名前も知りたいね〜
  木の名前、見て特定できるのはブナとシラビソとダケカンバくらいしかない(涙)
  
  > 今年の夏はホント雨が週末にくる感じで、ため息です。
  
  いや〜ほんとに悩ましい週末ばかりで。
  穂高は中止、それは正解だったけど、高速バスの回数券買っちまったよ、さてどうしよう？という状態です。
  有効期限内に無理矢理行かなくちゃね
  
  mayたんさんの次はどこ？
  そろそろ冬の計画でしょ？
  
  ------琉球熱-------

• momonga_bonさん 2018/10/09 18:27:24

  夏沢峠は懐かしい

  琉球熱さん、こんにちわ♪
  
  いやぁ～懐かしい場所だ！
  夏沢峠のやまびこ荘には思い出があります。^^
  ここの山小屋には本州モモンガが出没すると聞いて、モモンガ仲間で見に行った記憶が甦りました。
  夏沢鉱泉の近くにある露天風呂（日本最高地だったかな？）に気持ち良く入ったんだけど、その後の登り坂で死にかけました。（笑）
  
  やまびこ荘の人には、上に行かず、モモンガだけ見て帰るオイラ達にはちょっと驚いていましたけどね。^^;
  
  ----- momonga_bon -----

  琉球熱さん からの返信 2018/10/09 23:33:33

  RE: 夏沢峠は懐かしい

  momonga_bonさん、書き込みありがとうございます。
  
  そうですか！　やまびこ荘に行ったことがあるんですね！
  モモンガで有名ですね〜
  
  それにしても「モモンガ仲間」って(笑)
  
  > 夏沢鉱泉の近くにある露天風呂（日本最高地だったかな？）に気持ち良く入ったんだけど、その後の登り坂で死にかけました。（笑）
  
  本沢温泉のことでしょうか？
  死にかけたとは穏やかじゃありませんが、一体何が？(笑)
  
  やまびこ荘に泊まれば、普通は翌日硫黄岳とかに行くんでしょうが、私もモモンガ見てみたい
  
  
  -------琉球熱--------
  

• らびたんさん 2018/10/06 16:51:10

  好きだなー

  琉球熱さん、こんにちは(^^)
  
  この界隈ほんと好きです。
  根石山荘を目下に、北向きのこの天然展望台、私も好きです。
  地味すぎて今まで誰とも語ることなかったですし、嬉しい！！
  
  コマクサまだ咲いてましたか。
  そして天狗は地味に時間かかるんでパス正解ですね。
  人の少なさにも驚きました。
  
  で、出たー琉球熱さん怒りのツッコミ！w
  もののけってさ…こういうきれいな看板引くんですよほんとに。
  ジブリ映画苦手なんで余計にイライラします。
  
  その点、自然は決して裏切らないのでよいです。
  あのキノコなんてスーパーマリオみたい(￣▽￣)
  
  この連休、台風は関東から逸れていますが、
  山はどんな天気でしょうねー。
  紅葉のピークを迎えてきてて、出かけたくてウズウズしてしまいます。
  
  らびたん
  

  琉球熱さん からの返信 2018/10/07 00:00:47

  RE: 好きだなー

  らびたんさん、まいどー
  
  アナタもあの展望台ご存知だったのね！(笑)
  あそこは意外にスルーされちゃう場所だね
  
  この界隈、赤岳じゃなくて硫黄とか天狗とかを目指す人しか来ないでしょ？
  静かに歩く人が多いイメージなので、好きなんだよね
  
  白駒の森は「もののけ」じゃなくて「森の精」って感じなんだけど、「もののけ」の方が一般有卦するんだろうなぁ
  でも言葉を誤用しちゃいかんぜ
  
  山は紅葉真っ盛りだねー
  早くしないと終わっちゃうよ
  
  --------琉球熱--------

• j-ryuさん 2018/10/05 04:19:37

  懐かしい響き

  おはようございます。
  
  昨夜はご来訪＆コメント＆いいね、ありがとうございます。
  
  八ヶ岳や蓼科の響きを聞くととても懐かしく感じます。
  すでに語ったことがあるかも知れませんが
  東京の専門学校に通っていた頃、夏休みの丸々１ヶ月間
  蓼科グランドホテルで住み込みバイトをしたことがあります。
  休日無しのバイトだったので観光らしい観光はしませんでしたが
  ビーナスラインや蓼科湖、蓼科大滝などは休憩時間に連れていってもらいました。
  
  蓼科グランドホテルの別館から蓼科大滝に到る遊歩道もやはり苔の森で
  元祖”もののけ姫”の世界でした。
  八ヶ岳山麓は雨が多く湿度が高いのでしょうかね。
  バイト当時は苔など全く興味がありませんでしたが
  今は自称苔フェチなのでとても羨ましい地域です。
  渋い趣味ですが自宅では苔玉や苔盆栽もやっています。
  
  南の海、滝、渓流、苔、etc・・・・・好きなので
  キーワードは水の星地球かも。
  
  では、また。　　　j-ryu

  琉球熱さん からの返信 2018/10/05 23:38:54

  RE: 懐かしい響き

  j-ryuさん、いつもありがとうございます。
  
  蓼科のホテルでバイトしてたんですか！
  世間は狭い(笑)
  
  j-ryuさんが苔盆栽をやっているとは！
  それほどの苔好きでらば、北八ヶ岳は間違いなくストライクですね。
  
  八岳の滝はいかがですか？
  滝の写真を撮る時、j-ryuさんが脳裏をかすめます(笑)
  
  --------琉球熱---------