2015/02/07 - 2015/02/07
339位(同エリア3275件中)
玄白さん
今回のスノーシュートレッキングは、小田代ケ原の西側に聳える外山の裏側にあるイオリ滝を目指します。そこは、夏は無数の沢を渡り藪こぎの連続となる難コースのため簡単には近づけないのですが、冬はスノーシューという武器があれば比較的楽にアクセスできます。とはいえ、一度も行ったことがないコースで、トレースがない場合のルートファインディングに不安があるので、地元のネイチャーガイドのツアーに参加する形でのスーシュートレッキングです。
昨年の湯滝~戦場ヶ原コースに比べると距離は約2倍の13km、ほぼ平坦な昨年のコースとは違い累積標高差400mのアップダウンもあるタフなコースです。
幸い好天に恵まれ、しっかりと踏み固められたトレースがつけられていたので快適なスノーシュートレッキングが楽しめ、青白い氷のカーテンのようなイオリ滝が感動的でした。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 交通手段
- 高速・路線バス JRローカル
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今回のツアーを主催するのは、地元の(有)自然計画さん。
ツアーに参加した一番の理由は、冒頭記したとおりトレースがないときのルートファインディングが単独ではできそうもないということだが、それ以外にもガイド同行だと、見聞きする自然のいろいろなことを教えてもらえることもありがたい。
ネイチャーガイドツアーの面白さ、良さは昨年夏の知床と釧路湿原で目覚めた。
ツアーの集合場所は戦場ケ原三本松駐車場。トレッキング開始地点は赤沼なのだが、冬は赤沼駐車場は閉鎖されているのである。
出発時間に少し余裕があったので、駐車場前の戦場ヶ原展望台で、厳冬期の戦場ヶ原を撮影 -
今日は朝から晴天で風も弱く、絶好のスノーシュートレッキング日和。
ツアー参加者は、自分と東京から参加のSさんの2名だけ。ほとんどガイド貸切りのような感じである。
なお、我が連れ合いは、昨年同様、”かんじき履いて雪まみれになって歩くなんてイヤ!”ということで不参加。ひとり温泉で11時のチェックアウトまで湯元の温泉宿でのんびりしている。 -
今回のガイドをしていただく金澤さん。東京の魚を扱う商社で働いていたが、定年後に、ネイチャーガイドの仕事を始めたそうだ。日光生まれで、現役時代から奥日光が大好きで、毎週のように週末奥日光を歩き回っていたそうだ。
(なお、ご本人の名前、写真をネット上で公開することについては了承していただいている) -
金澤さんの車で赤沼茶屋へ移動。赤沼駐車場に通じる道の路肩に車を停めて、9:20スタート。
天気に恵まれた週末なので、大勢のスノーシュートレッカーが来ている。 -
最初は、ミズナラの林の中を小田代ケ原に向けて夏道を歩く。小田代ケ原までは大勢の人が行くので雪は踏み固められていて、スノーシューを履かなくても歩けるのだが、今回はずっとスノーシューをつけて歩きましょうということになった。
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さっそく、動物の足跡を発見。まだ新しい。今朝通ったようだ。金澤さんによると、これはテンの足跡らしい。
奥日光には、シカをはじめ、キツネ、リス、ハクビシン、ノウサギ、テン、アライグマなどいろいろな野生動物が生息している。もちろん、ツキノワグマもいる。一昨年は、この付近で男性ハイカーがクマに襲われるという事件があった。 -
シカの食害にあったコメツガの木。この程度なら大丈夫だが、幹を一周ぐるりと食べられてしまうと枯れてしまうという。
シカは特にコメツガの樹皮を好むらしい。 -
10:00 小田代ケ原にシカが侵入するのを防ぐフェンスをくぐる。
冬は回転ドアが雪に埋もれてハイカーが通れなくなるので、取り外されている。しかし、これではシカ避けにはならないな〜。
先頭はガイドの金澤さん、次いでSさん。Sさんは現役のサラリーマンだが、ほとんど毎週のように週末は山スキーやスノーシュートレッキングに出掛けているというつわもの。 -
小田代ケ原が見えてきた。正面の山が外山。めざすイオリ滝は、この山の向こう側にある。
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小田代ケ原の女主人公 ”貴婦人”も葉を落とし寒そうだ。10月以来4ヶ月ぶりの再会。
「小田代ケ原は帰りにゆっくり立ち寄るので先を急ぎましょう」とガイドの金澤さん。 -
ここから弓張峠まで低公害バスが通る舗装された車道を歩く。冬季は観光用低公害バスは運休しているが、林野庁関係や自然保護関係の人達の車は通行するので、しっかり除雪されている。
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弓張峠の切通しを過ぎて、少し下ると、こんなゲートがある。ここが、イオリ滝へ行くルートの入り口。
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200mほど行くと、地図には載っていない立派な建物が見えてくる。国立環境研究所奥日光環境観測所である。大気汚染物質や二酸化炭素濃度など環境汚染の基礎データとなる観測を通年行っている。
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観測所を過ぎると、いよいよ登りの傾斜が増し、夏であれば藪こぎになるであろう道なき道に入る。
今日はすでにいくつものパーティが先行して入ったようで、しっかりと踏み固められたトレースがついている。 -
雪に埋もれた小さな沢の一つ。
イオリ滝へは、外山沢に沿って緩やかに登って行き、途中でイオリ沢に入っていく -
ところどころ、沢の水が顔を出しているところがある。
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奥に見える真っ白に冠雪した山は白根隠し山。関東以北最高峰で百名山の一つである日光白根山は、その奥に隠れていて、ここからは見えない。
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イオリ沢。イオリ滝からの水が流れている。今年は例年より雪が少ないため、沢の水が見えている。普通は、完全に雪に埋まっていることが多いそうだ。
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やがて木立の奥に氷瀑が見えてきた。イオリ滝である。11:30に到着。
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滝の右側の斜面を少し登って滝全体を俯瞰。滝は左右に分かれていて、真ん中から滝の裏側に入ることができる。後で入ってみよう。
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滝だけだとスケール感がよくわからないが、人物を入れると滝の大きさがよくわかる。
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イチオシ
右側の部分。落差20mの滝。氷の青白い色が印象的だ。
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画角が足りないので滝の全体像は収まりきれない。
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イチオシ
滝の上部。複雑な形の氷の上に雪が被っている。見事な自然の造形である。
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滝の下の部分は、薄い氷のカーテンのようになっている。完全結氷はしていないのでカーテンの後ろ側では水が流れ落ちている。ガイドの金澤さんによると、寒い時期は完全に凍ってしまうが、今年は暖かく、一度も100%結氷はしていないそうだ。
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滝の左側の部分
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滝に近寄ってみる
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左右の滝の中央部分から滝に近づき・・・
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イチオシ
滝の裏側に入り込んでみる。
金澤さんから、今日は暖かく氷柱が崩落する危険があるので長居はしないでくださいと忠告を受ける。 -
しばし、滝の撮影をした後は、滝から少し離れた斜面にシートを敷き、持参のパンで昼食。こういう寒冷地ではおにぎりなど水分が多い食べ物は避けるのが鉄則だが、今日は暖かいので、おにぎり弁当でも良かったかもしれない。
金澤さんが持っていた温度計を見ると、なんと零度もある。暖かく感じるわけだ。
平均的には晴れた日の正午でもこの辺はー5度からー7度くらいが普通らしい。 -
1時間の昼食、休憩タイムの後、同じルートを引き返す。
戦場ヶ原、小田代ケ原は白樺が多いが、この辺りはダケカンバが多い。少し離れているだけで樹相の違いがある。
落葉樹中心で色彩の乏しい季節だが、たまに常緑樹をみると、緑が新鮮な感じがする。 -
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ダケカンバの白い幹が青空に映える。
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新雪は雪の結晶が壊れていないので、太陽光が結晶のエッジで分光されて色とりどりに輝いてとてもきれいだ。写真では拡大して見ないとわかりにくいが・・・
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時々トレースがあるルートをはずれ、スノーシューを履いていても膝まで浸かる新雪の上を歩いてみる。とたんに歩くのがとても大変になる。
このコースは、もしノートレースでラッセルしながら滝まで行くのだとすると、とても大変で、単独行では無理、交代でラッセルしながらでないと滝には行けそうもない。 -
外山沢では、動物の足跡を見かけなかった。
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新雪の上にスノーシューを置く。踏み込むと膝までズブズブと沈む場所がいたるところにある。
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あえぎながら、新雪を踏みしめて小高い丘に登った後は、楽しい尻セードが待っている。しりもちをついて滑り降りる。天然の滑り台である。童心に帰るひととき。
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低公害バスの車道に戻る。弓張峠を越えたところで車道から離れ、再び林の中へ。
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ここにはいたるところに動物の足跡が見られる。
ガイドの金澤さんによると、これはノウサギの足跡らしい。 -
ここにも別の動物の足跡が・・・
金澤さんも、これはどんな動物かわからないという。 -
ミズナラの2つに分かれた幹の根元にコブのようなものが出来ている。ナラ枯れ病にかかっているのだそうだ。カシノナガキクイムシという虫が媒介する伝染病で、奥日光では、まだ被害は少ないが、東北地方ではナラ類の林に広範囲にナラ枯れ病に広がり深刻な状況なのだそうだ。樹齢50年以上の古木がかかりやすい。昔は樹齢20年くらいで炭焼きのために伐採されていたので、病気が広がることはなかったが、現代では炭の需要が減り、古木が増えたことが原因なのだという。
人間の暮らしと自然との関係の変化が、こんな形でも現れる一例である。 -
車道から離れて15分ほど林の中を歩くと、小田代ケ原西側をぐるりと回って泉門池、湯滝に向かう遊歩道と合流する。ここで、しばし、コーヒータイム
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金澤さんに、コーヒーを入れていただく。
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イチオシ
暖かいコーヒーを飲みながら、小田代ケ原の雪原と日光連山の山並みの絶景を眺める至福のひととき。
山は、右から順に男体山、大真名子山、小真名子山、太郎山 -
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男体山と白樺林をアップで
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この遊歩道は昨年新しく作りかえられたばかり。柵は雪がなければ、腰の上あたりの高さがあるのだが、今は積雪で、こんな状態。
紅葉のシーズンの早朝には、この遊歩道に三脚とカメラの砲列がずらりと並ぶのだが、今は時折スノーシューハイカーが通るだけである。 -
イチオシ
ふたたび貴婦人とご対面。秋には黄金色に輝いていた背後のカラマツ林も、今は赤茶けている。
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車道脇の小田代ケ原展望台からの眺め。
中央の山が太郎山、左へ順に山王帽子山、三岳と続く -
赤沼に続く樹林帯の中の遊歩道を戻る。湯川を渡れば、赤沼茶屋まではもう少し。
15:00 予定通り、赤沼茶屋に到着。
三本松駐車場まで戻り、Sさんとはここでお別れ。金澤さんの車で中禅寺温泉バス停まで送ってもらい、そこから東武バスで帰宅の途に着く。
これ以上はないというほどの好天に恵まれ、快適なスノーシュートレッキングであった。
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この旅行記へのコメント (2)
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- belleduneさん 2015/02/13 09:06:41
- 勝手にすみません...
- 玄白さん、先ほどメールをお送りしましたが、Q&Aにも写真は添付出来ないようなので、私の旅行記、フレペの滝編に先程最後の2枚を付け加えました。ミズナラの木なのかどうか、ご存知でしたら、お教えください。日本の樹木をいう分厚い本を見ていますが、詳し過ぎて、どれもそのように見えてしまいます。よろしくお願いします。
- 玄白さん からの返信 2015/02/13 11:41:30
- RE: 勝手にすみません...
- belleduneさん、こんにちは
フレペの滝旅行記の写真拝見しました。玄白も樹木に詳しいわけではないのですが、幹の肌の感じからはミズナラのように見えますね。葉っぱの形が判れば正確な判断ができると思いますが、冬は葉は落ちていますからね〜
ナラ枯れ病はカシノナガキクイムシが直接の原因ではなく、この虫が病原菌を媒介しているんですね。マラリアの病原菌を蚊が媒介するのと同じです。
この病気について調べてみました。病状としては枯れてしまうというのが主な症状で、写真のようなコブが病気が原因でできたものなのかはよくわかりませんでした。
杉やブナでも、幹にできたコブを見かけることがありますが。これは幹についた傷を治そうと木が頑張って出来てしまうのだそうです。
玄白
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